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浮気の慰謝料はいくら?請求できる条件・相手・時効・証拠を弁護士が解説【2026年最新】

浮気の慰謝料はいくら?請求できる条件・相手・時効・証拠を弁護士が解説【2026年最新】
中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所

監修弁護士

中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所

東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。男女問題・不倫慰謝料に関する相談を多数解決。

    浮気(不貞行為)の慰謝料は、裁判例では離婚しない場合で50〜100万円程度、離婚する場合で100〜300万円程度が目安です。ただし請求できるかどうかは「婚姻関係が破綻する前の不貞か」「相手を特定できているか」「時効に間に合うか」で決まります。相場だけで動く前に、この3点を確認してください。

    この記事でわかること

    1. 自分のケースで慰謝料を請求できるか(条件チェックリスト)と、離婚する・しない別の相場
    2. 配偶者・浮気相手のどちらに、いくら請求でき、時効はいつまでか
    3. 証拠の残し方から示談・調停・訴訟までの手順と、弁護士に頼む価値があるかの判断基準

    🔍 問い詰める前に、まず確認したい3つ

    1. 証拠:LINEや写真を、相手に気づかれる前に保存できていますか
    2. 時効:浮気の事実と相手の氏名・住所を知った日から、3年以内ですか
    3. 相手:配偶者だけでなく、浮気相手にも請求するかを決めていますか
    浮気の慰謝料を請求する前に確認する7つの順番(条件・相場・時効・相手・証拠・手順・費用)

    浮気の慰謝料の相場|離婚する場合・しない場合でいくら違うか

    👉 このパートをまとめると!
    離婚しない場合50〜100万円、離婚する場合100〜300万円が裁判例の目安。個別事情で増減する。

    浮気の慰謝料は、離婚するかどうかで金額の目安が大きく変わります。まず全体像を表で確認し、そのうえで自分の事情がどこに当てはまるかを見ていきましょう。

    慰謝料の相場早見表(離婚あり・離婚なし・別居中)

    浮気の慰謝料とは、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償で、法律上は民法709条の不法行為責任にあたります。

    慰謝料に法律上の計算式はありません。裁判例の傾向をまとめると、おおむね次のような幅に収まります。

    夫婦のその後金額の目安(裁判例の傾向)主な考慮事情
    離婚しない50〜100万円程度夫婦関係への影響が比較的小さいと評価されやすい
    別居中100〜200万円程度別居の原因が不貞にあるか、修復の見込みがあるか
    離婚する100〜300万円程度婚姻期間、子の有無、不貞の期間・悪質性
    浮気の慰謝料の相場(離婚しない・別居中・離婚する場合の裁判例の傾向)

    この金額はあくまで「裁判になった場合の傾向」です。示談交渉では、相手の支払能力や早期解決の希望によって、これより低くも高くもなります。

    慰謝料が高くなる事情・低くなる事情

    同じ浮気でも、金額は次のような事情で増減します。ご自身の状況に近い項目をチェックしてみてください。

    高くなる方向に働く事情低くなる方向に働く事情
    婚姻期間が長い婚姻期間が短い
    不貞の期間が長い、回数が多い不貞が短期間・1回限り
    未成年の子がいる子がいない
    不貞が原因で別居・離婚に至った夫婦関係が維持されている
    相手が既婚と知っていた相手が既婚と知らなかった、だまされていた
    反省がない、嫌がらせがある深く反省し、関係を解消している
    不貞前の夫婦関係が円満だった不貞前から関係が悪化していた

    たとえば「結婚10年・小学生の子あり・不倫期間1年・離婚は迷っている」というケースでは、婚姻期間と子の存在が増額方向に、離婚しない選択が減額方向に働きます。

    裁判例でみる上振れ・下振れ(各1件)

    金額の幅を実感していただくために、相場から大きく外れた裁判例を2件紹介します。

    高額になった例低額になった例
    事案夫が婚姻後も浮気を繰り返し、自宅に女性を連れ込むなど長年不貞を続けたうえ、妻に暴力も振るっていた夫の単身赴任を機に夫婦関係が悪化し、夫が離婚を切り出していた状況で、妻が夫の不貞相手に慰謝料を請求した
    裁判所の判断夫に反省が見られないこと、妻に落ち度がないこと、長年耐えてきたことを考慮し、慰謝料1,000万円不貞相手と夫が交際を始めた時点で、夫婦がすでに破綻の危機にあったことを考慮し、慰謝料40万円
    参照岡山地方裁判所 平成15年2月18日判決東京地方裁判所 平成30年1月23日判決

    2つの判決の差は25倍です。違いを生んだのは「不貞の悪質さ」と「不貞の時点で夫婦関係がどうだったか」でした。

    つまり、金額を左右するのは相場表ではなく、次のセクションで扱う「請求できる条件」と「夫婦関係の実態」なのです。

    慰謝料を請求できる条件|自分のケースで請求できるか5項目でチェック

    👉 このパートをまとめると!
    婚姻中・破綻前の不貞で、相手が既婚と知り得た場合に請求できる。破綻後の不貞は原則不可。

    浮気をされたからといって、必ず慰謝料を請求できるわけではありません。ここでは「請求できる条件」を、法律の定義から順に確認します。

    「不貞行為」とはどこからか|浮気・不倫との違い

    日常語の「浮気」「不倫」と、法律上の「不貞行為」は範囲が異なります。慰謝料の対象になるのは不貞行為です。

    不貞行為とは、配偶者以外の人と自由な意思で肉体関係を持つこと、またはそれに準ずる行為をいいます。

    食事に行った、親密なメッセージをやり取りした、というだけでは原則として不貞行為にはあたりません。一方で、ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行があれば、裁判所は肉体関係があったと推認するのが通例です。

    夫婦がお互いに不貞をしてはならない義務(貞操義務)は、民法に直接の条文があるわけではありません。根拠となるのは、離婚原因を定めた次の条文です。

    第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 一 配偶者に不貞な行為があったとき。

    出典:e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第770条第1項第1号 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

    不貞行為が離婚原因とされていることから、夫婦は互いに貞操義務を負うと解釈されています。この義務を破った配偶者と、それに加担した相手が、慰謝料の支払義務を負うわけです。

    請求できる条件チェックリスト(はい/いいえ形式)

    次の5項目に答えてみてください。

    慰謝料を請求できるかを確かめる5つのチェック
    #質問「はい」なら
    ①法律上の婚姻関係(または内縁関係)にありますか請求の前提を満たします
    ②不貞があった時点で、夫婦関係は破綻していませんでしたか請求可能性が高まります
    ③浮気相手は、あなたの配偶者が既婚だと知っていた、または知り得ましたか相手にも請求できます
    ④肉体関係を示す事情(宿泊・ホテル・メッセージ等)がありますか立証の見込みがあります
    ⑤浮気の事実と相手を知ってから3年以内ですか時効の心配は当面ありません

    すべて「はい」なら、請求できる可能性は高いといえます。

    ②や③が「いいえ」または「分からない」の場合は、請求できないと決めつける必要はありません。判断が分かれる論点なので、弁護士に事情を伝えて個別に確認するのが確実です。

    ⑤が「いいえ」でも、まだ請求できる場合があります。詳しくは次の「時効」のセクションで説明します。

    「婚姻関係の破綻」とは|相手が必ず持ち出す反論

    慰謝料を請求できるのは、夫婦関係が破綻する前の不貞に限られます。そのため、請求を受けた側が、「不貞の時点で夫婦関係はすでに破綻していた」と反論してくるケースがあります。

    では、破綻とは何でしょうか。

    裁判所は、夫婦の一方または双方が婚姻を続ける意思を確定的に失い、共同生活の実態がなく、回復の見込みがまったくない状態を破綻と考えています。長期間の別居はその典型ですが、別居さえしていれば破綻と認められるわけではありません。

    反対に、「何年も会話がなかった」「夫婦生活がなかった」という主観的な事情だけでは、破綻は認められにくいのが実情です。

    同居を続けている夫婦であれば、破綻が認められる可能性は低いと考えてよいでしょう。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    別居している場合は、「いつから」「どちらの意思で」「何が理由で」別居が始まったのかを、今のうちに時系列で書き出しておいてください。相手の「破綻していた」という反論に、最初に必要になる材料です。

    実は、私自身も過去に請求された側の代理人を務めた際、相手方が「破綻後の不貞だった」と主張してきたことがあります。同居中であればこの反論はほぼ通りませんが、別居中の事案では別居の経緯を整理できていた依頼者ほど、交渉が短期間で終わる傾向があります。

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    時効はいつまで?|「相手が誰か分かった日」から3年、不貞から20年

    👉 このパートをまとめると!
    不倫の事実と相手の氏名・住所を知った時から3年、不貞行為から20年で時効。内容証明で6か月猶予できる。

    相場を確認したら、手順に進む前に必ず時効を確かめてください。「相場だけ見て動いたら、時効で請求できなかった」という後悔を防ぐためのセクションです。

    3年と20年、2つの時効の仕組み

    浮気の慰謝料請求権には、2つの期限があります。根拠は次の条文です。

    第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。 一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。 二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

    出典:e-Gov法令検索「民法」第724条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

    1つ目は、「損害及び加害者を知った時」から3年です。浮気の場面では、不貞の事実と、誰が相手なのかを知った時点が起点になります。

    2つ目は、不貞行為があった時から20年です。浮気の事実をまったく知らなかったとしても、20年を過ぎると請求できなくなります。

    いずれか早いほうが到来した時点で、時効が完成します。

    起算点は配偶者と浮気相手で異なる

    3年の時効は、請求する相手によってスタート地点が違います。ここが最も誤解されやすいポイントです。

    請求する相手3年のカウントが始まる日
    配偶者不貞の事実を知った日
    浮気相手不貞の事実に加えて、相手の氏名と住所を知った日
    配偶者(離婚慰謝料として)離婚が成立した日
    慰謝料の時効は誰に請求するかで起算点が変わる(配偶者・浮気相手・離婚慰謝料)

    浮気相手について「名前しか知らない」「顔しか知らない」という状態なら、まだ時効は動いていません。相手の住所や連絡先を特定できた時点から、3年が始まります。

    あなたは、相手のことをどこまで知っていますか。もし特定できていないなら、「もう遅い」と諦めるのは早計です。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    不倫相手の氏名・住所を「いつ」「何で」知ったのかを、日付付きで記録しておくことをお勧めします。

    私自身も過去に「不倫を知ったのは4年前だから諦めていた」という相談者から依頼を受けたことがあります。相手の住所が判明したのは相談後の弁護士会照会によってでしたから、浮気相手への請求はまだ十分に可能でした。このように、一見時効が成立しているように思える事案でも弁護士に相談していただくことで慰謝料請求が可能だったというケースも多いです。

    時効カウントダウン判定フローと、時効を止める方法

    ご自身の状況を、次の3つの質問で確かめてみましょう。

    時効カウントダウン判定フロー

    1つ目の質問は、「不貞の事実を知った日から3年以内か」です。3年以内なら、配偶者にも浮気相手にも請求できます。

    2つ目の質問は、「浮気相手の氏名・住所を知った日から3年以内か」です。事実を知って3年を過ぎていても、相手の特定が最近なら、浮気相手への請求は可能です。

    3つ目の質問は、「離婚する予定か」です。不貞発覚から3年を過ぎていても、離婚するなら、配偶者に対する離婚慰謝料は離婚成立日から3年間請求できます。

    時効が迫っている場合は、次の方法で完成を止めることができます。

    • 内容証明郵便で請求する:相手に届いた日から6か月間、時効の完成が猶予されます。ただし、この猶予は1回限りです。
    • 調停や訴訟を申し立てる:手続き中および終了後6か月は完成が猶予され、確定すれば時効は更新(ゼロからやり直し)されます。
    • 相手に支払意思を認めさせる:「少し待ってほしい」「分割なら払う」といった発言は債務の承認にあたり、時効が更新されます。録音や書面で残しておきましょう。

    内容証明を送ってから6か月以内に、調停か訴訟へ進む。これが時効寸前の基本動作です。

    誰に請求できる?|配偶者・浮気相手・両方に請求する場合の違い

    👉 このパートをまとめると!
    配偶者・浮気相手のどちらにも請求できるが、慰謝料の総額は1つ。離婚しない場合は求償権に注意。

    浮気の慰謝料は、配偶者と浮気相手のどちらにも請求できます。ただし「両方に全額」は請求できません。この仕組みを知らないまま動くと、受け取った慰謝料が家計に戻ってくることもあります。

    浮気相手にも請求できる法的根拠

    配偶者ではない第三者に、なぜ慰謝料を請求できるのでしょうか。根拠は不法行為の基本条文です。

    第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

    出典:e-Gov法令検索「民法」第709条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

    最高裁昭和54年3月30日判決は、配偶者と不貞に及んだ第三者は、他方配偶者の「夫または妻としての権利」を侵害したものとして、不法行為責任を負うと判断しています。この判決以来、浮気相手への慰謝料請求は確立した実務となっています。

    浮気相手が「既婚だと知らなかった」と主張しても、知ることができた事情(結婚指輪、家族の話題、生活時間帯など)があれば、過失があるとして責任を免れないのが通常です。

    「誰に・いくら」の関係図|総額は1つ、両方に全額は請求できない

    配偶者と浮気相手は、2人で1つの不法行為をしたと評価されます。これを共同不法行為(民法719条)といい、2人は連帯して慰謝料全額を支払う責任を負います。

    誰にいくら請求できるかの関係図(慰謝料の総額は1つ・求償権)

    ここで大切なのは、慰謝料の総額は1つだということです。

    たとえば慰謝料が総額100万円と評価されるケースで、配偶者から100万円を受け取った場合、浮気相手にさらに100万円を請求することはできません。すでに損害は補填されたと扱われるからです。

    一方で、両方に請求すること自体には利点があります。どちらか一方に支払能力がなくても、もう一方から全額を回収できる可能性が高まるからです。

    離婚しない場合の落とし穴|求償権で慰謝料が家計に戻る

    離婚しない場合、配偶者に請求しても家計の中でお金が動くだけになるため、浮気相手だけに請求する方が多くいらっしゃいます。この選択には、1つ注意点があります。

    浮気相手が慰謝料の全額を支払った場合、相手は自分の負担割合を超えた分を、あなたの配偶者に請求できます。これを求償権といいます。

    たとえば浮気相手から150万円を受け取ったあと、相手から配偶者へ「負担割合は半分ずつだから75万円を返してほしい」と求償され、結果として家計から支払うことになる、という流れです。

    対策は、示談書に「求償権を放棄する」という条項を入れることです。相手が放棄に応じない場合は、その分を見込んで金額を調整する、という交渉も可能です。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    離婚せずに浮気相手だけへ請求するなら、示談書に「求償権放棄条項」を入れることをお勧めいたします。

    求償権放棄条項を入れることで、不倫相手から金銭を受け取った後で、不倫相手から配偶者への請求を防ぐことができ、新たなトラブルが生じることを未然に防ぐことができます。

    不貞慰謝料と離婚慰謝料は別物|浮気相手に離婚慰謝料は原則請求できない

    慰謝料には、実は2種類あります。区別を知らないと、請求先と時効の判断を誤ります。

    不貞慰謝料離婚慰謝料
    何に対する慰謝料か不貞行為そのものによる精神的苦痛不貞が原因で離婚に至ったことによる精神的苦痛
    請求できる相手配偶者・浮気相手の両方原則として配偶者のみ
    時効の起算点不貞の事実と相手を知った日離婚が成立した日

    浮気相手に対して離婚慰謝料まで請求できるかについては、最高裁が次のように判断しています。

    夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対し、当該第三者が、単に不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。

    出典:最高裁判所第三小法廷 平成31年2月19日判決(平成29年(受)第1456号)[裁判所「裁判例検索」のURLを確認のうえ併記]

    つまり、浮気相手が「離婚させてやろう」と意図して家庭に干渉したような特別な事情がない限り、浮気相手に請求できるのは不貞慰謝料だけです。

    この区別は時効にも影響します。不貞の発覚から3年を過ぎていても、離婚するなら配偶者への離婚慰謝料は残ります。しかし、浮気相手への請求は不貞慰謝料の時効で判断されるため、離婚を理由に期限を延ばすことはできません。

    証拠は何が有効か|問い詰める前に残すべきもの

    👉 このパートをまとめると!
    肉体関係を推認させる証拠(LINE・写真・領収書)を、相手に気づかれる前に確保するのが原則。

    証拠がなければ、相場も条件も絵に描いた餅になります。ここでは「何が証拠になるか」の判断基準と、集めるときの注意点に絞って説明します。

    証拠の強さ早見表

    証拠として求められるのは、肉体関係があったと推認できる事実です。強さの目安は次のとおりです。

    立証力証拠の例
    強いラブホテルに2人で出入りする写真・動画、宿泊記録、性的関係を明確に示すメッセージ
    中程度2人で旅行した記録、ホテルの領収書やクレジット明細、親密な写真、探偵の調査報告書
    補強的本人が不貞を認めた録音や書面、目撃者の証言
    弱い食事や飲み会の記録、親しげなやり取りのみ、勘や印象
    浮気の証拠の強さ早見表

    弱い証拠でも、複数を組み合わせることで立証力は上がります。1つで決めようとせず、時系列で積み重ねる意識を持ってください。

    自分で集めるときの注意点(違法にならない範囲)

    証拠集めは、方法を誤ると自分が責任を問われかねません。

    1つ目に、配偶者のスマートフォンに無断でGPSアプリを入れる、パスワードを推測してアカウントに入る、といった行為は違法となるおそれがあります。

    2つ目に、スクリーンショットは日付と送信者が分かる形で保存してください。トーク画面の一部だけを切り取ると、前後関係を争われます。

    3つ目に、集めた証拠は自分だけがアクセスできる場所に、複数のバックアップを取っておきましょう。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    配偶者と話し合いをする場合は、証拠を保存し終えてからにすることを推奨します。

    実は、私自身も過去に「動揺して問い詰めたら、翌日にはメッセージが全部削除されていた」という相談を何度も受けてきました。反対に、問い詰める前に不倫相手とのやりとりのスクリーンショットやホテルの領収書を残していた相談者は、配偶者と事実認定で揉めることなく、交渉が1か月〜2ヶ月で終わるケースもあります。

    証拠の具体的な集め方や、有効な証拠の詳しい一覧は、別記事で解説しています。[内部リンク:浮気の証拠の集め方]

    請求の手順|証拠確保から示談・調停・訴訟までの流れ

    👉 このパートをまとめると!
    証拠確保→相手の特定→内容証明で請求→示談書作成。合意できなければ調停・訴訟へ進む。

    条件・相場・時効・相手・証拠が整理できたら、いよいよ請求です。全体の流れは6ステップで、多くのケースはステップ④の示談で終わります。

    浮気の慰謝料請求の流れ(証拠確保から調停・訴訟まで)

    ステップ①〜③:証拠・特定・内容証明

    ステップ①は証拠の確保です。前のセクションのとおり、問い詰める前に済ませておきます。

    ステップ②は浮気相手の特定です。氏名や住所が分からない場合、弁護士に依頼すれば、電話番号や車のナンバーから弁護士会照会という制度で持ち主の情報を照会できます。

    ステップ③は内容証明郵便による請求です。電話やLINEで請求することもできますが、内容証明を使う理由は2つあります。

    1つは、時効の完成を6か月猶予できることです。もう1つは、「いつ・誰に・いくら請求したか」が郵便局の証明付きで残り、後の交渉や裁判で証拠になることです。

    ステップ④:示談書に必ず入れる項目

    相手が不貞を認め、金額だけが争点なら、多くのケースは示談で解決します。合意ができたら、口約束で終わらせず示談書を作成してください。

    項目内容
    慰謝料の金額と支払期日一括か分割か、分割なら回数と期限
    接触禁止条項今後の連絡・面会を禁じ、違反時の違約金を定める
    求償権放棄条項離婚しない場合は記載しておくことが望ましい
    清算条項示談書に定めた以外の請求をお互いにしないことを確認する
    秘密保持条項不貞の事実や示談内容を第三者に漏らさない

    分割払いにする場合は、示談書を公正証書にしておくと、支払いが滞ったときに裁判を経ずに強制執行ができます。

    ステップ⑤〜⑥:合意できないときの調停・訴訟

    相手が不貞を否認する、金額の折り合いがつかない、連絡を無視される、といった場合は、裁判所の手続きに進みます。

    ステップ⑤の調停は、調停委員が間に入る話し合いです。相手と直接顔を合わせずに済み、成立すれば調停調書に強制力があります。

    ステップ⑥の訴訟では、こちらが不貞の事実を証拠で立証する必要があります。判決までは半年から1年以上かかることが一般的です。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    相手への連絡は、感情的な言葉を避けること。できれば、弁護士を通じてやりとりすることをお勧めします。

    不倫相手に対して、感情的になってしまうお気持ちはよくわかります。
    しかし、感情的なメッセージを送ってしまい、それが「脅迫」や「名誉棄損」だと捉えられると、後々自分にとって大きな不利益になることがあります。弁護士に依頼をすれば、基本的には相手方との交渉を全てお任せいただくことが可能です。

    内容証明の具体的な書き方と例文は、別記事で解説しています。[内部リンク:浮気相手に送る内容証明の書き方]

    弁護士に頼むべきか|費用と手残りで判断する

    👉 このパートをまとめると!
    相場が100万円を下回る見込みなら費用倒れに注意。相手が争う・特定できない場合は弁護士が有効。

    弁護士に依頼すれば必ず得をする、とは限りません。慰謝料の見込み額によっては、費用を差し引くと手元にほとんど残らないこともあります。ここでは、依頼するかどうかを数字で判断できる材料をお渡しします。

    弁護士費用の構造と「相場×費用」の手残り試算表

    弁護士費用は、依頼時に支払う着手金と、解決時に支払う報酬金(獲得額の一定割合)で構成されるのが一般的です。当事務所の料金体系を前提にすると、手残りの目安は次のようになります。

    獲得した慰謝料着手金報酬金手残りの目安
    50万円[ ]万円[ ]万円[ ]万円
    100万円[ ]万円[ ]万円[ ]万円
    200万円[ ]万円[ ]万円[ ]万円
    慰謝料の額と弁護士費用・手残りの目安

    (数値は自事務所の料金表に基づいて記載。他事務所の料金を転記しない)

    見込み額が50万円前後で、相手が支払能力に乏しい場合、費用倒れになる可能性があります。その場合は、まず自力での交渉を検討するのも合理的な選択です。

    自力交渉でよいケース・弁護士に頼むべきケースの判断表

    自力交渉でも進めやすいケース弁護士に頼む価値が高いケース
    相手が不貞を認めている相手が不貞を否認している
    争点が金額だけ「破綻していた」と反論されている
    相手の氏名・住所が分かっている相手の住所が分からない(弁護士会照会が必要)
    時効まで十分な余裕がある時効が数か月以内に迫っている
    離婚はしない離婚・親権・財産分与も同時に進める
    相手と冷静にやり取りできる相手と直接関わりたくない、脅されている

    右の列に1つでも当てはまるなら、無料相談だけでも受けておくことをおすすめします。

    弁護士からのコメント

    中川弁護士

    依頼を決める前に、「見込み額 − 弁護士費用 = 手残り」を必ず計算してください。手残りがわずかなら、自力交渉や、依頼範囲を内容証明の作成だけに絞る方法もあります。

    当事務所では自力で交渉を進める方のために、「サポートプラン」をご用意しています。弁護士に依頼するよりも比較的低い金額で、書面の制作などをサポートさせていただいています。

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    離婚も考えている場合に知っておくこと|2026年4月施行の改正家族法

    👉 このパートをまとめると!
    慰謝料の要件は変わらないが、離婚を伴う場合は親権・養育費・財産分与のルールが2026年4月に変わった。

    浮気をきっかけに離婚も視野に入れている方は、慰謝料とは別に、2026年4月1日から施行された改正家族法の影響を受けます。

    法務省の説明によれば、この改正(令和6年法律第33号)は、父母の離婚後の子の養育に関する見直しを目的とし、親権・監護、養育費、親子交流、財産分与などの規定を改めるものです。

    慰謝料の請求条件や相場そのものは、この改正で変わっていません。ただし、離婚を選ぶ場合には次の点が関係します。

    1つ目は、離婚後の親権について、父母双方を親権者とする選択が可能になったことです。

    2つ目は、養育費の取り決めがない場合でも一定額を請求できる法定養育費の仕組みや、養育費の回収を強化する制度が設けられたことです。

    3つ目は、財産分与の請求期限が延長されたことです。

    慰謝料の交渉と離婚条件の交渉は、同時に進めるほうが有利になる場面が多くあります。詳細は改正法に対応した別記事で解説しています。[内部リンク:浮気が原因で離婚する場合の慰謝料・財産分与・親権・養育費]

    参照:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html / 裁判所「離婚と子どもをめぐる新しいルールについて」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_kaisei/index.html

    浮気の慰謝料に関するよくある質問

    👉 このパートをまとめると!
    離婚しなくても請求可能。恋人間は原則不可。慰謝料は原則非課税。性別で相場は変わらない。

    離婚しなくても浮気相手に慰謝料を請求できますか?

    できます。慰謝料請求は離婚とは別の権利で、婚姻を続けながら浮気相手だけに請求することが可能です。ただし、離婚しない場合は夫婦関係への影響が小さいと評価され、相場は50〜100万円程度と低めになる傾向があります。求償権の対策として、示談書に放棄条項を入れることも忘れないでください。

    浮気相手の名前しか分からない場合はどうすればいいですか?

    弁護士に依頼すれば、電話番号やLINEのID、車のナンバーなどから、弁護士会照会によって相手の住所を特定できる場合があります。氏名や住所が分からない間は、浮気相手に対する3年の時効は進行していません。特定できた日を記録しておけば、そこから3年以内に請求できます。

    浮気が今も続いている場合、いつの分まで請求できますか?

    継続中の不貞は、個々の行為ごとに時効が進むと考えられています。そのため、直近3年以内の行為については確実に請求でき、それより前の分は時効にかかっている可能性があります。関係が続いている今は証拠も集めやすい時期ですから、早めに動くことをおすすめします。

    夫の浮気と妻の浮気で慰謝料の相場は変わりますか?

    性別によって相場が変わることはありません。金額を左右するのは、婚姻期間、不貞の期間や回数、子の有無、離婚に至ったかどうか、双方の収入や資力といった事情です。夫が請求する場合も妻が請求する場合も、同じ基準で判断されます。

    恋人・婚約者の浮気でも慰謝料を請求できますか?

    単なる交際関係では、原則として請求できません。貞操義務は婚姻関係から生じるからです。ただし、結納や式場の予約を済ませた婚約関係、同居して生計を共にする内縁関係であれば、法律上の保護に値するとして請求が認められる可能性があります。詳しくは別記事をご覧ください。[内部リンク:恋人・婚約者の浮気で慰謝料を請求できるケース]

    相手が「肉体関係はない」と言い張る場合は?

    ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行など、密室で長時間過ごした事実があれば、裁判所は肉体関係があったと推認するのが通例です。「最後まではしていない」という反論は非常に多く見られますが、性交類似行為も不貞にあたります。証拠を時系列で整理し、推認に足る事実を積み上げることが対策になります。

    慰謝料に税金はかかりますか?

    精神的苦痛に対する慰謝料は、原則として所得税や贈与税の対象になりません。ただし、社会通念上あまりに高額な場合や、慰謝料の名目で実質的に財産分与や贈与にあたる金銭が動く場合は課税の可能性があります。金額が大きい場合は、税理士や税務署に確認してください。

    浮気の慰謝料を請求されたらどうすればいいですか?

    まず、請求書に書かれた金額をそのまま支払わず、不貞の事実の有無、婚姻関係が破綻していなかったか、時効が完成していないかを確認してください。相手の主張に反論の余地がある場合は、減額や請求棄却につながることもあります。請求された側の対応は別記事で解説しています。[内部リンク:不倫の慰謝料を請求されたときの対処法]

    まとめ|相場だけで動かず、証拠・時効・相手を先に確認する

    👉 このパートをまとめると!
    条件・相場・時効・相手・証拠の5点を確認し、示談か相談かを選ぶ。今は請求しない選択も記録は残す。

    この記事の要点5つ

    1. 慰謝料の対象は「不貞行為」で、婚姻関係が破綻する前の不貞に限られる
    2. 相場は裁判例の傾向で、離婚しない場合50〜100万円、離婚する場合100〜300万円程度
    3. 時効は、不貞の事実と相手の氏名・住所を知った日から3年、不貞から20年
    4. 配偶者と浮気相手に請求できるが総額は1つ。離婚しないなら求償権放棄条項を入れる
    5. 問い詰める前に証拠を確保し、内容証明→示談→調停・訴訟の順に進める

    次にとる行動を選ぶ

    次にとる行動を選ぶ(A・B・Cの3つの選択肢)

    A. 証拠が揃い、相手も特定できている方 証拠を時系列で整理し、示談書に入れる条項を決めたうえで、内容証明を送りましょう。次にやること:本記事の示談書の項目表を印刷し、希望する金額と条件を書き出す。

    B. 時効や相場に不安がある方 無料相談で、証拠・時効・相手の3点を一緒に確認しましょう。次にやること:不貞を知った日と相手を特定した日を書き出し、手元の証拠を一覧にして相談予約をする。

    C. 今は請求せず、様子を見たい方 請求しない選択も尊重されるべきものです。ただし、証拠と日付の記録だけは残しておいてください。次にやること:スクリーンショットと日付のメモを、自分だけがアクセスできる場所に保存する。

    どの道を選んでも、今日ここまで読み進めたあなたは、感情ではなく事実で判断する準備を終えています。焦らず、しかし時効の期限だけは忘れずに、次の一歩を選んでください。

    📞 今の状況を整理するだけでも構いません
    「請求できるのか」「いつまでか」「いくらか」を、弁護士と一緒に確認する無料相談を受け付けています。依頼を前提としない相談も歓迎です。

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    本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。慰謝料の金額や請求の可否は個別の事情により異なります。具体的なご相談は弁護士にご確認ください。本記事は2026年○月○日時点の法令・裁判例に基づいています。

    参考文献

    1. e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第709条・第719条・第724条・第770条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
    2. 最高裁判所第三小法廷 平成31年2月19日判決(平成29年(受)第1456号)損害賠償請求事件
    3. 最高裁判所第二小法廷 昭和54年3月30日判決
    4. 岡山地方裁判所 平成15年2月18日判決/東京地方裁判所 平成30年1月23日判決[判例集の巻号頁を確認のうえ記載]
    5. 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
    6. 裁判所「離婚と子どもをめぐる新しいルールについて」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_kaisei/index.html

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