離婚時の親権決定に子どもの意思はどれほど反映されるのか?子どもの意思を尊重するポイントを紹介
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記事目次
離婚時の親権の行方は親だけでなく子どもの人生も大きく左右する問題です。
親権を得て子どもと暮らしたいと考えている方は、自身に不利になる状況は少なくしたいと考えます。
親権を決める際は様々な事情や状況が考慮されますが、中でも気にかかるのが子どもの意思です。
そこで本記事では、子どもの意思がどの程度審判や訴訟の親権指定の判断に影響を与えるのかを解説したいと思います。
親権の争いにおいて、子どもの意思がどの程度反映されるのか、子供の意思の聴収と年齢の関係、子どもが親権を拒否した場合にどうなるか、など子どもの意思と親権の関係について詳しく説明しますので、是非最後まで読み進めてください。
親権争いにおいて子どもの意思はどれほど尊重されるのか
親権争いにおいては、子どもの意思が尊重される程度は、子どもの年齢によって異なります。
また、子どもの混乱度合いも考慮して、判断するとされていますので、年齢だけではひとくくりにすることはできません。
一般的には、混乱状態にある低年齢の子どもの意見よりも、落ち着いている高年齢の子どもの意思が結果に反映されやすいとされています。
15歳以上の子は必ず意見を聴取しなければならない
家事事件手続法152条2項、169条、人事訴訟法32条4項では、満15歳以上の子どもに関して、親権者や監護者の指定をする場合、変更の審判、裁判を行う場合は、子の意見を聞かなければならないと規定されています。
代表的な意見の聴取方法は以下の4種類です。
- 証人尋問手続
- 審問
- 陳述書の提出
- 調査官による面接
親権について、両親の間で争いがない場合は、子どもの意見を聞くことなく、陳述書による確認のみで済まされることもあります。
調査官が面談を行う場合は、子どもの発言だけでなく行動も観察した上で、子どもの真意をくみ取ろうとします。
子ども本人だけでなく、学校や保育園、医療機関での面接調査や、親子のやりとりの観察、心理テストなどにより、総合的に子どもの状態を把握するのです。
低年齢の子どもは、親の存在が絶対的であり親から吹聴された相手方の悪口を口走ったり、現在一緒に暮らしている親への遠慮から真意とは真逆の言葉を発したりすることもあります。
それらの可能性も考慮した上で、調査官は調査報告書を裁判所に提出します。
調査報告書は、裁判所に謄写の請求を行えば、原則として閲覧可能です。
15歳未満の子どもは意思を表明できる能力がある場合は意見を参考にする
実務上では、子どもの年齢が15歳未満でも、おおよそ10歳前後であれば自分の意思を表明できるものとして、その意思を確認するといわれています。
もちろん、子どもの能力には個人差がありますので、一律に年齢だけで判断するのではなく、判断能力や精神的発達の程度に応じて個別具体的に判断されます。
6歳の子どもが、父親によって母親の元から連れ去られ、母親が子どもの監護者を母親にするようにと申し立てた事件では、子どもが母親を激しく拒否したものの、連れ去った父親やその親族の影響があるとして、母親が監護者に指定されました(東京高決平成11年9月20日)。
周囲の影響を受けやすい幼児の意見は、聴取するものの、それが全面的に結論に反映されるとは限りません。
親権について子どもが拒否した場合は?
上述のとおり子どもが、一方の親を拒否している場合であっても、必ずしもその意見だけが結果に反映されるとは限りません。
子どもの親権者や監護者を指定する際は、以下の項目を総合的に考慮されます。
- 子どもの利益
- 子どもの意思
- 監護の継続性(現状の維持)
- 母親優先の原則(乳幼児は母親が指定されることが多い)
- 兄弟姉妹不分離
したがって、子どもの意思だけで親権者が決定されることはありません。
とはいえ、子どもが一方の親(相手方)と暮らしたいと主張している状態を放置しておくと審判等の結果が不利になる可能性がありますので対策を講じる必要があります。
親権についての交渉を弁護士に依頼する
親権を獲得するためには、「自分と暮らすことが、子どもの利益のためには最適だ」という点を、客観的な事実を基に調停委員や裁判官に主張しなければなりません。
そのためには、理解してもらいやすい申立書や陳述書の作成などが欠かせません。
弁護士は、法律の専門家であると同時に交渉のプロでもありますので、親権交渉においても的確に対応することができます。
相手方に弁護士がついている場合はもちろんのこと、そうでない場合でも弁護士に交渉を一任することで有利な立場にたつことができます。
子どもの気持ちに寄り添う
子どもがあなたではない親と暮らしたいと、あなたを拒否している場合、なんらかの原因があると考えられます。
暴力や虐待、ネグレクトなどの問題がないのに子どもがあなたを拒否している場合には、子どもと向き合ってしっかりと話し合うことが大切です。
親が離婚した子どもは親から十分に説明を受けておらず、一方の親から見捨てられたという思い込みによって深く傷ついていることが多いです。
また、子どもが、一方の親から他方の親の悪口や欠点を吹き込まれて一種の洗脳状態になってしまっていることもあります。
どちらの問題も解決するためには、子どもとの対話が必要です。
相手方である親の悪口を吹き込むのではなく、どちらの親も子どもを大事に思っていることを言葉の限り伝えましょう。
親権について子どもの意思を反映するポイント
子どもが、あなたとの生活を望んでいる場合、その意思を調停委員や裁判官にしっかりと理解してもらう必要があります。
そのためにも以下のような子どもの意思を実現するための後押しも必要です。
調査官による調査を実施するよう上申する
子どもの意思を、裁判官に正しく理解してもらうために有効な手段が裁判所の調査官による調査です。
裁判所の調査官ですので、公正で信頼性が高いと判断され、その内容が判断に大きな影響を与えます。
したがって、子どもが明確にあなたと暮らしたいと言っている場合は、調査結果が有利に働く可能性が高いです。
面会交流を拒絶しない
子どもの親権争いにおいては、親権を持たない親が面会交流を拒絶することは、ネガティブに評価されやすいです。
離れて暮らす親と面会交流する権利は、子どもの権利でもありますので、親のエゴで拒否すると、親権者に適さないと判断されるおそれがありますし、そもそも子の福祉や子の健全な成長の観点からも他方の親と交流ができないという事態は望ましいものではありません。
面会交流は、拒絶せずに受け入れるようにしてください。
自分が不利になる言動をしない
親権に関する調停や審判、訴訟では、親の行動や発言なども監護者として適格かどうかという点での判断材料となります。
例えば、過剰にもう一方の親の悪口や誹謗中傷を繰り返したり、社会的常識を疑われるような態度をとることは得策ではありません。
また、子どもの親権を獲得するために、一方の親の許可を得ずに子どもを無断で連れ去る行為も、親権についての判断に悪影響を及ぼしますし、未成年者略取罪という犯罪行為に当たりかねません。
離婚時の親権に関する疑問は弁護士まで
離婚の際の親権争いは、親だけでなく子どもの将来にとっても非常に重要です。
子どもが本心からあなたと暮らしたいという意思を表示している場合は、子どもの意思を裁判官に理解してもらうべく、対策を講じましょう。
親権に関する交渉は、ケースバイケースで判断されるため、疑問点や不安なことなどがありましたら弁護士に相談することを強くお勧めします。
親権に関する事案の解決実績が豊富な弁護士であれば、個別の状況を考慮した上で、最適な対策、助言が可能です。
その際は、弁護士の実績だけでなく、人柄を重視しておくと良いでしょう。
親権が絡む離婚事案は、解決までに時間がかかることが多く、弁護士とのコミュニケーション量も増えます。
ご自身が、「合わないな」と感じる弁護士とのやりとりは苦痛となってしまいますので、相性が良く人柄が良い弁護士を選ぶことをお勧めします。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設