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投稿日: 弁護士 表 剛志

露出で逮捕されると何罪になる?逮捕後の流れも解説

露出で逮捕されると何罪になる?逮捕後の流れも解説
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露出は何罪に問われる?

露出行為を理由として逮捕、起訴される場合、公然わいせつ罪に問われるケースが多いです。

このほかにも、迷惑防止条例違反や、軽犯罪法違反等に該当する可能性もあります。

公然わいせつ罪

露出行為は、公然わいせつ罪に該当する場合が多いです。公然わいせつ罪については、刑法第174条で規定されています。

公然わいせつ
第174条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
出典:刑法『e-GOV 法令検索』

ここでいう「わいせつ」とは、判例上、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」ことと理解されています(最判昭和32年3月13日〔チャタレー事件〕)。

性器や下半身の露出行為、屋外での性行為は、基本的にはこれに該当します。

また、「公然と」とは、わいせつな行為を不特定又は多数の人が認識できる状態をいいます。

公共の場所や公道での露出行為は、これに該当します。また最近では、インターネットでの生配信などでの露出行為や性行為も、公然わいせつ罪で検挙される可能性はあります。

迷惑防止条例違反

公然わいせつ罪には該当しない場合でも、公共の場での露出行為等の卑わいな言動に対しては、各都道府県が定める条例に該当する可能性はあります。

例えば東京都の場合は、以下のような規定となっています。

粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(3)(略)人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
出典:警視庁HP・迷惑防止条例等全文より抜粋

東京都の場合は、以上のような行為に対して、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則を用意しています(東京都迷惑防止条例違反第8条第1項(2))。

ただ、迷惑防止条例は各都道府県が定めるものですので、都道府県によっては微妙に罰則が異なっていたり、差があったりするので注意が必要です。

軽犯罪法違反

公然わいせつ罪や迷惑防止条例違反に該当しない場合であっても、軽犯罪法違反に該当する可能性もあります。

第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
20 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
出典:軽犯罪法『e-GOV 法令検索』

軽犯罪法で規制されているのは、この条項から分かるように、公衆の目に触れるような場所で、公衆に嫌悪の情を抱かせる方法で、尻・腿・その他身体の一部をみだりに露出する行為です。

この法定刑は、「拘留」又は「科料」で、両方がともに科される場合もあります(併科)。

なお、本条号で定められている刑罰である「拘留」とは、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置するという刑罰(刑法第16条)で、「科料」とは、千円以上一万円未満を国に納めるという刑罰を指します(刑法第17条)。

拘留と科料は各刑罰の中で最も軽いですが、言い渡されればこれも前科になりますので、注意が必要です。

露出で逮捕された後の流れ

逮捕された後の流れは、概要としては以下の図表のとおりです。

逮捕されてからは、警察官による取調べを受けたうえで、逮捕時から48時間以内に事件が検察官に送致されます。

検察官への送致後は、主に検察官による取調べを受け、事件が送致されてから24時間以内、かつ逮捕時から72時間以内に、被疑者について勾留請求をするか否かを決定します。

勾留後は、最大20日間の身柄拘束が続き、最終的に検察官が起訴するか否かを決めます。

起訴後は約1か月後の日程で公判期日が指定され、裁判所が審理判断をして、判決が下されます。

逮捕された場合、最長23日間、留置場や拘置所に留置されることになります。

警察による事件認知・捜査開始

まず逮捕までに、警察が事件発生を認知し、犯人等の捜査を開始します。

警察が事件発生を認知する契機としては、被害者からの被害届等があり得ます。

また、警察官や目撃者が露出行為を現認し、現行犯逮捕をする場合も考えられます。

現行犯逮捕の場合には、その後速やかに警察での取調べが開始されますが、そうでない場合も、後日逮捕される可能性は残ります。

後日逮捕の場合には、警察が防犯カメラや被害者・目撃者への事情聴取を経て被疑者を特定し、裁判所に逮捕状を請求します。

それを受けて裁判所が発付した逮捕状に基づいて逮捕が行われることになります。

犯人自身が、捜査機関に事件の発生自体認識されていない段階で自首するケースもあります。

この場合は、刑の任意的減軽が認められていますが(刑法第42条)、ご自身だけだとうやむやにされる可能性もありますので、可能であれば私選弁護人に相談する等して、同行してもらうことも検討すべきでしょう。

警察・検察での取調べ

後日逮捕された場合、身柄拘束を受けた状況で警察からの取調べを受けることになります。

この場合、起訴や早期の身柄解放に向けて自ら行動することは極めて困難であり、弁護士に相談・依頼して対応をしていくことが重要となります。

逮捕後48時間以内に事件・身柄が検察官に送致されて以降は、主に検察官からの取調べを受けることになります。

逮捕された場合に利用可能な制度として、「当番弁護士制度」があります。

これは、自身が逮捕されている場合に、初回のみ無料で、待機している弁護士に接見に来てもらって相談することができる制度です。

ただ、引き続き対応してもらうには正式に依頼が必要ですし、弁護士を選べるわけではないので、刑事弁護に精通した弁護士であるとは限りません。

他方で私選弁護人の場合、刑事事件に精通した弁護士を選ぶことが可能です。

そのため、より適切に対応することができ、裁判・前科の回避や刑の減軽がより期待できます。

なお、逮捕されていない場合でも、取調べの必要があるとして、警察から任意での出頭を求める連絡が入ることがあります。

これ自体に強制力があるわけではありませんが、もし出頭要請に応じない場合、「逃亡のおそれがある」、「罪証隠滅のおそれがある」と判断されてしまい、後日逮捕に向けて令状を取得される可能性があります。

警察からの任意出頭の要請がされる時点で、すでに警察において相当程度捜査が進んでいると予想できますので、後日逮捕を避けるためにも、できる限り協力するのが望ましいでしょう。

検察官による起訴判断

逮捕されてから最長72時間以内に、検察官が勾留請求をするか否かを判断します。

勾留請求を裁判所が認めた場合、その後さらに最長20日間、身柄拘束がされることになります。

検察官は、被疑者に取調べを行いつつ、最終的に起訴をするか否かを判断することになります。

逮捕直後の勾留請求については、勾留期間は10日とされていますが、検察官がこの期間だけで起訴するか判断できない場合、さらに勾留延長請求がされることがあります。

この時期ですでに弁護人に依頼していれば、勾留請求・勾留延長請求に対しても異議申立てをして、身柄解放に向けて活動をしていきますし、被害者への示談等、不起訴処分や刑の減軽に向けて積極的に対応していくことになるので、この時点から弁護人に早期に相談・依頼することが、少しでも有利な結果を得るためには肝要です。

刑事裁判

勾留期間満了時に検察官が起訴すべきだと判断した場合、その後は刑事裁判に進みます。

起訴後は、裁判を行う公判期日が指定されますが、大体起訴後から1か月~1か月半の時点で指定される場合が多いようです。

起訴後は、裁判を行う公判期日が指定されますが、大体起訴後から1か月~1か月半の時点で指定される場合が多いようです。

露出行為等の事実関係に争いがなければ一回の期日で結審・判決となりますが、否認事件の場合には、複数の手続期日が行われることになります。

逮捕・勾留がされている場合、引き続き身柄拘束が続けられることも珍しくありません。

その場合、身柄解放のために保釈請求を行っていくことも考えられます。

ここでも、もし私選弁護人として、刑事弁護に精通した弁護士に依頼できれば、保釈請求においてポイントになる部分を押さえて有効な弁護活動を行えますので、身柄解放により近づきます。

露出で逮捕されるとどうなる?考えられるリスク・デメリット

露出行為を理由に現行犯逮捕されたり、後日逮捕されたりした場合、適切に対応することができずに捜査が進められていくと、様々なデメリットが生じる危険があります。

ここでは、そうしたデメリットの中でも特に大きいと予想されるものをご説明します。

社会的な信用を失ってしまう

露出行為は、犯罪類型としては性犯罪に分類されるもので、社会的にも耳目を集めるようなインパクトのある事象といえます。

そのため、ニュース等で実名報道される可能性も高いです。

公共の場で露出行為に及んだ場合は、その場に居合わせた目撃者が写真や動画を撮影して、SNS等で拡散される可能性もあります。

このようにして社会一般の目に触れられてしまうと、実名等の個人情報とともに、性犯罪者としての社会的評価が根強く残されることになります。

このような事態に発展すると、職場関係やご近所づきあいといった様々な場面において、性犯罪者としてのレッテルが付きまとうことになり、社会的な信用を失ってしまうことが考えられます。

会社や学校で懲戒・謹慎処分を受ける

露出行為で逮捕されたり有罪判決を受けたりしたことが会社や学校に発覚した場合、就業規則や校則に従って懲戒処分が下される可能性もあります。

具体的な処分は就業規則や校則の定めに従うことになりますので、会社や学校によります。

刑事事件に対して厳しい会社や学校の場合には、懲戒解雇や退学処分がされることもあり得ます。

他方で、起訴猶予処分や執行猶予付き判決にとどまったり、更生の余地があると判断されたりした場合には、けん責・戒告や停学処分で済む場合も考えられます。

会社や学校内での露出行為でない場合には、聞き入れられるかは状況次第ですが、捜査機関に対して、職場や学校には連絡しないでほしいと申し入れる余地もあります。

いずれにせよ、早期に弁護士に相談して適切に対応すれば、このデメリットを十分回避可能です。

前科がついてしまう

露出行為を行ったことで捜査機関による捜査が進められ、刑事裁判において有罪判決が下された場合、前科がつくことになってしまいます。

前科がつくと、今後の生活に以下の悪影響が生じるおそれがあります。

  • 履歴書の賞罰欄に記載する必要が生じ、就職活動が難しくなる。
  • 士業や金融業、警備員等、前科があるために就職できない職種が出てくる。
  • 再犯時に刑事処分や判決の内容が厳しくなる可能性が高まる。
  • 性犯罪者として、社会から厳しい目にさらされるリスクが出てくる。

以上から、露出行為に関しては、まずは刑事裁判に持ち込ませない、つまり不起訴処分を獲得することを目指していくべきことになります。

早期に弁護士に相談し、適切に対処すれば、不起訴処分獲得の確率は高まります。

露出をするとバレる?

露出行為は公共の場で行われることが多いため、目撃者も多くいるケースが大抵です。

そのため、目撃証言といった証拠が集まりやすく、露出行為が発覚して検挙されてしまう可能性も極めて高いといえます。

露出で検挙される確率

露出のうち公然わいせつ罪に限られたものですが、犯罪白書によると、令和4年における検挙率等の具体的なデータは以下のとおりです。

・認知件数:2,387件
・検挙件数:1,587件
・検挙率:66.5%
出典:『令和5年版犯罪白書』

これによれば、公然わいせつ罪については、3件に2件は検挙されていることになります。

これらすべてが露出行為に関するものとはいいきれませんが、その行為態様を考えても、検挙される確率は極めて高いといえるでしょう。

露出に時効は効く?

公然わいせつ罪等の露出行為の時効期間は、迷惑防止条例もあるため都道府県にもよりますが、大体3年間です。

傾向として、後日逮捕の場合には露出行為から半年後に逮捕される傾向があるようであり、中には、事件発生から数年後に後日逮捕、報道されたケースも存在します。

露出行為にももちろん時効はありますが、実際のケースにもあるように後日逮捕の可能性は高いので、事実なのであれば真摯に罪を認め、早急に弁護士に相談して対応することが重要です。

露出での逮捕・前科の回避を目指すなら弁護士に相談すべき

露出行為を理由とする逮捕・前科を回避するには、以下の理由から、弁護士に相談することが得策です。

被害者と示談交渉を進め、有利な刑事処分を得やすい

公然わいせつ罪は社会的法益を保護するものと理解され、個人の利益を保護するものではありません。

その意味で「被害者」がいない犯罪ですが、露出行為を目撃してしまった人は、それにより精神的ショックを受けるのが通常です。

したがって、その人が事実上の「被害者」といえます。

弁護士に相談すれば、早期に事実上の被害者と連絡を取り、示談交渉を進めていくことができます。

厳密な意味での被害弁償とは異なる部分はありますが、この場合も示談が成立すれば、被害者もその行為を許していることや、犯人自身も行為を認め反省し、誠実に対応していることを印象付けられ、有利な刑事処分を得られる確率が高まります。

自首に向けた判断や助言を得られる

捜査機関に露出行為自体が発覚していない場合、自首をすることも有効です。

自首は刑の任意的減軽事由になっていますし(刑法第42条)、自ら罪を認め警察署に赴いていることから、逃亡・罪証隠滅のおそれもないとして、逮捕を回避できる可能性も高まるためです。

もっとも、自首したことを証拠化できなければ意味はなく、自分だけで警察署に行っても、うやむやにされてしまっては意味がありません。

弁護士に相談すれば、自首すべきか否かの判断もできますし、自首に当たって書面を準備したり、同行して警察署での対応も行ったりできますので、自首を成功させ逮捕・前科を回避できる確率もぐっと上昇します。

事案によっては、法的判断に関して争い無罪獲得を目指せる

そもそも露出行為をしていない場合、事実自体を争うことになります。

「わいせつ」に該当するかを争わなければならないケースも中にはあるでしょう。

しかし、そもそも「わいせつ」といった法的判断は素人に容易ではないですし、検察官も事実を裏付ける証拠を準備している以上、事実自体を争うことも至難の業です。

刑事弁護に専門的な知見を有する弁護士ならば、こうした事実認定や法的判断についても、適切にポイントを押さえつつ争い、無罪獲得に向けて活動していくことも可能です。

まとめ

露出行為で逮捕されたり、有罪判決を受けて前科がついたりすると、様々なデメリットが生じます。

こうしたデメリットを回避すべく逮捕・前科を防ぐためには、刑事弁護に精通している弁護士に相談し、対応していくことが最も近道であるといえるでしょう。

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執筆者 弁護士表 剛志 大阪弁護士会 登録番号61061
いかなる内容の法律相談であっても、まずは依頼者さまのお話を真摯にお聞きし、弁護士以前に人として、「共感」することを信条としています。 まずは人として「共感」し、その次に、法律家として問題点を「整理」して、法的解決を志向することに尽力いたします。
得意分野
一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
プロフィール
大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了

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