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更新日: 弁護士 宮地 政和

子供の連れ去りが違法になるケースとは?対処方法を紹介

子供の連れ去りが違法になるケースとは?対処方法を紹介
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離婚や別居を考える際、最も悩ましい問題の一つが「子どもの連れ去り」に関するトラブルです。

一方的な連れ去りは違法と判断されることもあり、親権争いや家庭裁判に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、違法となるケース・ならないケースの違いや、実際に連れ去りが起きた場合の対処法、親権争いで不利にならないための具体的なアドバイスなどを、法律家の視点から分かりやすく解説します。

子供の連れ去りが違法になるケース・ならないケース

子どもの連れ去りは、無断・実力行使・子どもの意向の無視など悪質な形では違法となる可能性が高いですが、虐待回避やDV被害からの保護など正当な理由があれば違法とならない場合もあります。

違法になるケース

  • 離婚協議中や親権争いの最中に、他方親の同意なく子どもを連れ去って別居する場合
  • 子どもが嫌がって抵抗している状況にもかかわらず、力づくで移動させた場合
  • 保育園・学校の通学路で待ち伏せて、他方親に無断で連れ去るような場合
  • 一方が面会交流の際、子どもを返さずそのまま連れ去る場合

等には、違法な連れ去りと判断される可能性があります。

違法にならないケース

  • 夫婦の間でどちらが子どもを養育するかについて合意した上で別居を開始した場合
  • 他方親に養育能力がない場合
  • 子どもが虐待を受けている場合
  • 親自身がDVやモラハラ被害を受けている場合

等のケースは、連れ去りに正当な理由があるとして、違法な連れ去りとは評価されないことがあります。

子供の連れ去りと親権への影響

子どもの連れ去りは、離婚時の親権争いに影響を与える可能性があります。

特に、別居中に共同親権者の同意なく子を連れ出した行為は、「違法な監護の開始」として評価され、元の監護親からの引渡しが認められる傾向が強まっています。

一方で、連れ出した親が同居時に主たる養育者だった場合や、子が強い愛着を示している場合などは、必ずしも一方的に不利とされるわけではありません。

民法819条6項に基づき、親権者の決定はあくまで「子の利益」を最優先に判断され、親の監護能力、健康・経済状況、育児実績、子の年齢や意思など、複数の事情を総合的に考慮して決定されます。

親権獲得のためには、連れ去りの背景と監護の実情を丁寧に説明し、子の利益にかなう主張を構築することが重要です。

子供が連れ去られたときの対処法

1. 速やかに警察へ通報

子どもが連れ去られた場合、まずは警察に通報して安否確認を依頼することが重要です。

ただし、親権者である元配偶者による連れ去りの場合、警察が「民事不介入」として積極的に介入しないこともあります。

その場合でも、子の所在確認や保護のための記録が残るため、通報は有効です。

また、虐待の懸念がある場合には児童相談所とも連携して対応を依頼する必要があります。

2. 子供の居場所を特定する

相手が連れ去り後に子どもの居場所を明かさない場合は、保育園や学校、親族・知人などを通じて所在を把握する手段も検討の余地があります。

必要に応じて警察や児童相談所とも連携をとり、子どもが安全な環境にいるかどうかを確認することが重要です。

3. 弁護士に相談し法的対応を検討

子の連れ去りは、親権や監護権の判断にも影響を及ぼす可能性があるため、早期に家事事件を多く扱う弁護士へ相談することが望ましいです。

弁護士を通じて家庭裁判所への申立てを行うだけでなく、面会交流や今後の親権・監護権争いに備えた戦略を立てることが可能です。

また、連れ去りの状況によっては、刑事告訴の検討も含めた助言が得られます。

4. 家庭裁判所へ「監護者指定」、「子の引渡し」の審判を申し立てる

離婚前にどちらの親が子どもの監護者となるかについて、家庭裁判所において判断してもらうとともに、子どもを引き渡すように求める審判を申し立てることができます。

子どもの連れ去りが不当であると認定されれば、他方親が監護者として指定される可能性もあり、今後の親権争いに向けた重要な布石ともなり得ます。

5. 家庭裁判所へ「審判前の保全処分」を申し立てる

「監護者指定」、「子の引渡し」の審判と同時に「審判前の保全処分」も併せて申し立てることで、裁判所も緊急性があることを認識して早期に手続きを進めてもらえる可能性があります。

6. 面会交流の調停・審判を申し立てる

連れ去りが起きたとしても、親子関係の継続は重要です。
家庭裁判所に面会交流調停や審判を申し立てることで、正式に面会の機会を求めることができます。

この申し立てを通じて、連れ去った側が不当に会わせない場合の問題提起にもなり、裁判所が監護者としての適格性を判断する際の材料になります。

国際離婚の場合の子供の連れ去り

国境を越えた子どもの違法な連れ去り等があった場合には、「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)」が適用されます。

日本は2014年にハーグ条約を締結し、16歳未満の子どもが国外へ不法に連れ去られた場合、出身国への返還手続が可能となっています。

たとえば、日本に居住していた子どもを、外国人の親が一方的に国外に連れて帰った場合、元の居住国である日本への返還を求めることができます。

ただし、返還が認められない例外事由(虐待や同意等)もあるため、具体的内容を弁護士とともに確認する必要があります。

子供を連れて別居しようとしている方へのアドバイス

子どもを連れて別居する場合は、「子の利益」を最優先に考えることが重要です(民法820条)。

一方的な連れ去りと判断されると、後の監護者指定や親権争いで不利になる可能性があるため、まずは相手方との協議を試み、双方の合意のもとで別居を開始しておくことが望ましいでしょう。

仮にDVや虐待等、緊急性がある場合には、証拠を確保し、警察や弁護士、女性相談センターへの相談を経たうえで、正当な保護行動として別居を開始すべきです。

そのような正当な理由があれば、裁判所も違法な連れ去りと認定しづらくなります。

親権争いで不利にならないようにするためには

親権争いでは「子どもの利益」や「監護実績」が重視されます。

子どもを連れていった側も、連れていかれた側も、過去の監護実績について立証できるよう準備をすることや、今後の監護態勢について、周囲の協力を仰いでおくこと等、冷静な対応を取ることが重要になってきます。

子供を連れていかれてしまった側の場合

子どもを連れ去られた際は、どうしても感情的になってしまうことがありますが、落ち着いて冷静に法的手続きを進めることが重要です。

具体的には、速やかに家庭裁判所へ監護者指定、子の引渡しの審判の申立てを行い、自らの監護実績や子との結びつきを主張することが求められます。

その際、今後どのように養育していくつもりかといった養育環境や教育方針を、子どもの利益に適うように具体的に示すことで、監護者として適任であると裁判所からの信頼を得やすくなります。

年齢にもよりますが、子どもの意思確認も重視されるため、子どもの意思を抑圧してしまうような働きかけには注意が必要です。

子供を連れていった側の場合

子どもを連れて別居した側としては、違法な連れ去りでなかったことを主張することになります。

たとえば、別居前から主たる監護者としての実績があった場合や、DV・虐待等の保護目的だった場合には、その正当性を立証するということが考えられます。

したがって、別居前からの監護実績や別居の経緯について記録し、証拠化しておくことが有効です。

よくある質問

子どもの連れ去りに関して、よくある質問をまとめました。

Q1. 子供の連れ去りを警察に通報したら、動いてくれるの?

親権者による連れ去りは、警察が「民事不介入」を理由に動かないこともありますが、虐待の懸念があれば、児童相談所とも連携をとり、警察が介入する可能性が高くなります。

また、通報履歴が後の法的手続きで重要な証拠にもなり得るため、迷ったときは通報しておくことをおすすめします。

Q2. 監護者指定の申し立ては、親権にどれくらい影響する?

監護者指定は、子どもの世話をどちらが担うかを家庭裁判所が判断する手続で、継続的な監護実績があると有利になります。

監護者の判断と親権の判断が必ずしも直結するものではありませんが、監護者として指定されれば、親権争いの際にも継続性を重視され、実質的に有利に働く傾向があります。

Q3. 子供の意思はどれくらい重視されるの?

子どもの年齢が15歳以上の場合、自分の将来について、ある程度自分で決定できると考えられていることから、法律上、子どもが15歳以上の場合には、親権者や監護者の指定等に際して必ず意見を聴取しなければならないと定められています。

また、15歳未満でも、家庭裁判所の調査官が子どもに聞き取り等の方法で調査をすることが多く、概ね10歳以上であれば、裁判所はその意思をある程度尊重する傾向にあります。

ただし、意思が他方親の影響下で形成されたと疑われる場合は、判断材料としての重みは下がります。

 

まとめ

子どもの連れ去り問題は、親権や監護権を巡る争いに直結し得る重大な問題です。

違法か否かの判断には、子どもの利益や過去の養育実績、連れ去りの経緯等の様々な事情が総合的に評価されます。

親権争いで不利にならないためには、正当な理由の説明と冷静な対応、専門家への相談が必須といえるでしょう。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアの日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関で信販・クレジットカード・リース業務に関する法務やコンプライアンス、プロジェクトファイナンスなどの経験を積む。これらの経験を活かし、個人の法的問題に対し、専門的かつ丁寧に対応しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
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