離婚調停の期間はどのくらい?離婚調停を短期間で終わらせるための方法とは

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記事目次
「離婚の話し合いがなかなかまとまらない…」という方が検討する方法として、離婚調停があります。
離婚調停とは、簡単に言えば裁判所の仲介の下で離婚の話し合いを進めることです。
しかし、「面倒臭そう」「長引きそう」というイメージがあってなかなか離婚調停に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
今回は、離婚調停の平均的な期間や離婚調停を短期間で終わらせるポイントについて解説します。
離婚調停にかかる期間の目安は?
調停の平均的な回数や、期間の目安は司法統計で見ることができます。
調停には円満調停や婚姻費用分担調停なども含まれるため、離婚調停だけのデータではありませんが、おおよその目安としては有効です。
離婚調停にかかる期間は平均半年
同様にこちらも平成27年の司法統計を見ることで、離婚調停の審理期間の分布が分かります。
| かかる期間 | 統計 |
|---|---|
| 1ヶ月以内 | 約6.4% |
| 3ヶ月以内 | 約30.8% |
| 6ヶ月以内 | 約35.8% |
| 1年以内 | 約22% |
| 2年以内 | 約4.6% |
| 3年以内 | 約0.1% |
分布のボリュームを見ると、3ヶ月〜6ヶ月以内が最も多くなっています。
調停が実施される間隔は1ヶ月に1回ほどが一般的であるため、回数にすると3回〜6回程度となり、実施回数のデータと照らし合わせても辻褄が合います。
したがって、調停にかかる期間の目安として、回数が3回程度、期間が3ヶ月から6ヶ月と捉えておくと分かりやすいかもしれません。
1年以上かかるケースもある
離婚の調停に関しては1年以上かかるケースもあります。
事案によって理由は様々考えられるところですが、後に述べるような親権や養育費、財産分与など離婚するにあたって検討することが避けられない事項について夫婦の間で、お互いの考えに大きく隔たりがあり争いが激化している場合には特に調停が長くなるケースが多くなります。
離婚調停の流れ
離婚調停の流れについて説明していきます。
まずは、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行うことから始まっていくことになります。
その後、1か月程度の期間を経て第1回目の調停が開かれ、当事者双方が調停委員へ離婚に関する事情を説明します。
調停では、離婚の可否だけでなく、離婚に伴い双方の間で定めるべき財産分与、養育費、親権などの条件について話し合いが行われることになります。
それぞれ調停1回につき1時間から2時間前後の時間を要することが多いようです。
また事例にもよりますが早いと3回から5回程度で合意に至るケースがあり、期間としては3か月から半年程度かかることが多いようです。
離婚成立までの離婚調停の回数は?
平成27年の司法統計によると、離婚調停の実施回数の分布は、以下です。
| 離婚調停回数 | 統計 |
|---|---|
| 0回 | 約7.0% |
| 1回 | 約14.6% |
| 2回 | 約22.4% |
| 3回 | 約19.5% |
| 4回 | 約13.3% |
| 5回 | 約8.5% |
| 6〜10回 | 約13.1% |
| 11〜15回 | 約1.2% |
| 16〜20回 | 約0.09% |
| 21回以上 | 約0.02% |
データによると、2回〜4回がボリュームゾーンであり、中央値は3回です。
多くても10回以内に収まる場合が多く、10回以上かかるのは約2%と非常にレアケースです。
離婚調停が長引くケース
では、離婚調停が長引くケースはどういったものがあるのでしょうか。
いずれかが離婚を拒否しており、離婚自体を争っている場合
例えば、離婚調停が長引くケースとして、そもそも相手方が離婚に同意していない場合が考えられます。
調停の中で相手方に離婚することそのものを拒否される場合、そもそもの話し合いの前提を欠くことになり、双方の話を聞く調停委員も歩み寄りの提案をすることが難しくなるでしょう。
特に「婚姻関係は破綻していない」「再構築できる」等と強く主張されると、お互いに同じ議論を繰り返すことになります。
その結果、お互いの意見が揃わず、離婚すること自体について膠着状態となり、長い時間をかけて調停の中で相手の説得を試みたとしても、最終的には不成立に至る可能性があります。
子供の親権や養育費で争っている場合
離婚調停が長引くケースとしては、子供の親権や養育費で争っている場合も考えられます。
夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、その子どもの親権をどうするか、養育費の金額はどうするかといった条件は、子どものこれからの生活や成長に直結する要素となるため離婚調停の中でも特に重要な事項となり、当事者の対立が激しくなりやすい他、双方の間で合意を交わすことが特に難しい争点となります。
また親権をめぐる争いでは調査官の関与や調査が必要となるケースも多く、その手続のために時間を要することになります。
その結果、なかなか話し合いがまとまらず、調停が長期化する原因となりやすいと言えます。
争点が多い場合
離婚調停が長引くケースとしては、双方の間で離婚に関する争点が多い場合も考えられます。
離婚にあたって決めるべき条件は、養育費、親権、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など多岐にわたることになります。
また争点が多ければ多いほど、それぞれについて調停委員による事情の確認のため時間を要する他、双方の意見を聞き調整する必要が生じることになります。
これらの争点ごとに十分な話し合いを行うため、やはり調停の回数は何度も重ねることになります。
そのため特に双方の主張が大きく異なる場合には、合意に至るまでに長期間を要する傾向にあると言えます。
当事者が強硬な姿勢を崩さない場合
離婚調停が長引くケースとしては、当事者が強硬な姿勢を崩さない場合も考えられます。
離婚調停では、調停を重ねる中で、当事者のどちらかまたは双方が譲歩しなければ合意に至ることはありません。
しかし、どちらかが強硬な姿勢を貫き、他方当事者の説得や調停委員の提案にも耳を貸さない場合には、話し合いは停滞することになります。
またお互いの感情的な対立が激しい場合にも同様です。
相手の主張を聞かず自分の主張ばかり行ったり全く認めない態度では合意には程遠く、調停委員から粘り強く説得を試みたとしても話し合いがまとまらず、結果的に調停が長期化する傾向にあると言えます。
離婚調停を短期間で終わらせるには?
早く資料の準備をする
財産分与や養育費の金額について調停をする場合、自分や相手の所得証明書や、預金通帳を調停委員に提出し、それに基づいて適切な額を話し合うのが一般的です。
このため、離婚調停の回数を減らすためにはこうした資料を第一回の調停期日までに準備しておくことが重要です。
離婚条件の優先順位を明確にしておく
離婚調停は時間を要することが多いものですが、できるかぎり離婚調停をスムーズに進めるにあたって、まずできることの一つとして、自分の希望条件に優先順位をつけておくことが考えられます。
上で見てきたように離婚にあたってはいくつもの条件について調整を図る必要があります。
この条件の全てについて自分の意見を通すのではなく、離婚の条件の中で、自分が譲歩できる部分と譲歩できない部分を明確に整理しておくことで、実際に調停を進めていく中で、調停委員との話し合いが効率的に進むことが期待できます。
調停委員との良好な関係性を構築する
また調停について滞りなく進めるにあたって当事者ができることとしては、調停委員との良好な関係性を構築することも考えられます。
調停委員は調停において中立的な立場で双方の意見を聞き、合意形成を支援する立場にあるといえます。
当事者としては調停委員に効率的に自らの意見や立場を示すため落ち着いて誠実な態度を示し、相手の意見が伝えられる際にもその話に耳を傾ける姿勢を持つことで、調停委員の信頼を得るとともに、調停についても建設的な話し合いを重ねることができるといえます。
冷静さを欠き無用に調停委員に対して感情的に振る舞うと最終的には自分にとって不利に働く可能性も考えられます。
陳述書の記載内容に注意する
その他、離婚調停を短期間で終わらせるためにできることとして、陳述書の記載内容に注意することも考えられます。
離婚調停の中では、当事者の目線で事情等を説明する陳述書を提出することがあります。
その陳述書の内容については、事案にもよりますが、例えば極力感情的な表現は避けたり、努めて客観的に事実のみを伝えたり、具体的な要望について明確に記載すること等気をつけることがいくつか挙げられるでしょう。
反対に、記載があまりに不十分であったり、相手の非難に終始して自らの主張が感情的なものになっていると、調停委員の理解を得ることは期待できず、調停が長引く要因となる可能性があります。
弁護士を雇う
資料の準備をして、自らの言いたいことを整理し、調停委員を通じて相手方に伝えるためには、弁護士を雇うという選択肢も有効です。
自らの思いを弁護士に法的な観点から整理してもらうことで、調停委員や裁判官に伝わりやすい形で、適切に自分の要求を主張できます。
弁護士を雇っているという事実だけでも、解決に向けて努力しているという姿勢を調停委員に伝えることができます。
調停期間を気にせず離婚調停を進めるべき状況とは?
離婚調停の中でも、例えば以下のような離婚条件が生活に直結する重要事項を含むケースでは、あまり調停の期間の長さのみを重視すべきでないと考えることができるでしょう。
ケース①子どもの親権や養育費に関する調停
まずひとつ考えられることとして、子どもの親権や養育費に関する調停は、時間をかけて慎重に進める必要があるといえるでしょう。
あまり急いで形成した合意は、これから先の大事な子どもの将来に大きな影響を及ぼす可能性が高く、短期間で終わらせることを考えるよりも、子どもの利益を優先的に考えて調停の中で調整を図るべきです。
調停の中ではその必要に応じて家庭裁判所の調査官による調査を受けたり、相手と子どもの将来を見据えて十分な議論を経て結論を出すことが望まれると言えます。
ケース②離婚した後の自分の生活の基盤を左右する
また、財産分与や年金分割というようなお互いの経済的条件に関わりその問題が複雑に絡む場合、調停に時間がかかることは避けられないといえます。
特に財産分与については、例えば結婚後に購入した不動産や株式、お互いの退職金などが関わる場合には、その正確な評価額や、そのための資料収集が必要となります。
これら財産について短期間で解決すると自分にとって不公平な結果になる恐れがあります。
離婚した後の自分の生活の基盤を左右する重要な条件であるため、これらについては時間をかけてでも慎重に話し合うべきです。
ケース③当事者間の対立について深刻な問題が背景にある
さらに、DVやモラハラなど、当事者間の対立について深刻な問題が背景にある場合にも、双方の関係性の調整のため時間を要するといえます。
このようなケースでは当事者の安全確保がまずは第一優先であり、調停を時間短縮のため急いで進めることは適切ではありません。
当事者の心理的負担を軽減しながら慎重に話を進めることで、後悔のない解決につながり、調停委員や専門家の支援を受けつつ進めることが重要だといえます。
離婚調停が長期化した場合の生活費の負担はどうなる?
もし離婚調停が長期化した場合、そのあいだの生活費の負担については、離婚調停の間も未だ夫婦であることに変わりなく、法律上まだ婚姻関係にあるため、原則として収入が多い方から収入が少ない方に対して生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。
婚姻費用の中には子どもの養育費も含まれ、離婚調停の最中であっても相手に対して自分や子どもの生活費の負担を求めることが可能となります。
婚姻費用は当事者の生活の基盤を維持するために重要な制度であり、その支払が必要となる場合には家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることも可能です。
離婚調停の期間に関してよくある質問
ここからは離婚調停の期間に関して多く寄せられる質問についてみていきましょう。
離婚調停は長くて何年ほどかかりますか?
一概には言えませんが半年程度で終わることもある一方で、複数の争点がある場合や双方が強硬な姿勢を崩さない場合には、1年以上かかることも珍しくありません。
離婚調停中にやってはいけないことは?
例えば離婚調停の最中であったとしても、裁判所内外を問わず相手への嫌がらせは禁物だといえるでしょう。
これをやってしまうと調停委員や裁判所からの信頼を失うことが考えられますし、最終的には調停が自分にとって不利に進む原因となります。
離婚調停が不成立とされるまでの回数は?
こちらも一概には言えませんが、3回から5回程度で結論に至ることがある一方で、調停が長引き10回程度行われることもあり、回数に関わらず合意に至る見込みがない場合には不成立となり終了することもあります。
離婚調停を長引かせるメリットはありますか?
事案にもよりますが、基本的には調停が長引くことでのメリットは多くないと言えるでしょう。
ただ相手の態度や状況の変化を待つことで何かしら有利な条件を引き出せる場合もあるため慎重な判断が必要だといえるでしょう。
調停が不成立になった際、裁判開始の期限はあるのか?
離婚調停が不成立となった後、直ちに離婚訴訟を提起することが可能となります。
この離婚訴訟の提起にあたって特に期限は設けられていませんが、早期に訴訟提起するのが多いといえます。
離婚調停で相手が期日に出席しない場合、終了までの期間は延びるのか?
相手が欠席を繰り返す場合、相手が出席するまで調停は進行せず長期化することになります。
ただし、相手の出席の見込みもなく家庭裁判所が不成立と判断すれば、調停はその時点で打ち切られることもあります。
離婚調停を短期間で終わらせたい人は弁護士に相談
話し合いだけで離婚がまとまらない場合は、裁判所に離婚調停を申立てるのが有効です。
裁判所の調停委員という第三者立会いの下で話し合いを進めることができます。
しかし、調停は一般的に回数としては3回以上、期間としては3ヶ月以上かかってしまいます。
調停が長引けば長引くほど仕事を休む回数が増え、精神的にもすり減ってしまうでしょう。
このため、調停を申立てる際には「いかに短期間で調停を終わらせるか」を考えなければなりません。
そこで有効なのが、弁護士への依頼です。
弁護士に調停を依頼することで法的な根拠のある主張ができるようになり、説得力が増します。
また、「弁護士を雇ってでも離婚調停を成立させたい」という熱意が調停委員に伝わり、調停委員が味方をしてくれる場面もあるかもしれません。
「離婚調停をしたいが長引くと面倒臭そう…」と感じている方は、ぜひ一度弁護士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設








