不同意性交等罪の示談方法について|示談金相場と示談書の書き方を解説

全国20拠点以上!安心の全国対応
初回相談0円
記事目次
不同意性交等罪は、被害者の同意がないまま性交等を行った場合に成立する重大な犯罪です。起訴されれば重い刑罰が科される可能性があるため、示談の成立は極めて重要です。被害者との信頼関係の構築や、誠意ある対応を通じて示談を成立させることで、不起訴処分や量刑の軽減といった有利な結果が期待できます。
不同意性交等罪の概要
2023年7月の刑法改正により新設された不同意性交等罪は、被害者の同意がない性交やそれに準じる行為を処罰対象とするものです。従来のような暴行・脅迫の有無を問わず、被害者の意思表示ができない状態や誤認等も対象に含まれます。示談は、被害者の処罰感情を緩和し、刑事手続きの進行に大きな影響を与える重要な手段です。
罪の構成要件
不同意性交等罪の成立には、「同意のない性交等」という要件があり、暴行・脅迫の有無を問いません。被害者が泥酔や意識障害、威圧的状況により拒否が困難である場合、同意がないと評価されます。旧法では暴行・脅迫を要件とした強制性交等罪であったのに対し、現行法はより広範囲の状況を想定しています。たとえば、医療行為と誤信させて性交に至った場合も対象となります。
刑事罰の内容
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑であり、従来の懲役刑と異なり上限が撤廃されています。これは、被害の重大性に応じて長期刑が課される可能性を意味します。近年の量刑傾向では、示談の有無が執行猶予付判決や量刑軽減の要因として重視されています。
親告罪と非親告罪の違い
同罪は非親告罪とされており、被害者の告訴なしでも起訴が可能です。しかし、被害者の処罰感情は検察の起訴判断において極めて重要な要素です。示談により「処罰を望まない」との意思が明確に示されると、不起訴に繋がる可能性が高まります。
不同意性交等罪における示談のメリット
不同意性交等罪における当事者双方の主なメリットは以下の通りです。
・被害者側:精神的負担の軽減、迅速な解決
・加害者側:不起訴の可能性、刑の軽減、身柄解放
①不起訴処分の可能性
示談が成立し、被害者の処罰意思がないと判断された場合、検察は情状を考慮し不起訴処分とすることがあります。特に初犯や反省の態度が見られるケースでは、不起訴率が高まる傾向にあります。検察は、被害感情、事件の悪質性、社会的影響などを総合的に判断し、示談の内容や誠意ある対応が評価されます。
②量刑軽減への影響
示談成立は裁判所においても量刑判断において大きな情状となります。特に高額な示談金や、被害者の許しが得られている場合には、執行猶予付き判決となる可能性が高まります。例えば、200万円の示談金を支払ったケースで実刑を回避した事例も存在します。
③刑事裁判の回避
示談が成立した場合、検察が不起訴処分とすることで刑事裁判自体が回避されることがあります。刑事裁判が開かれなければ、加害者側は身体拘束が続くことはなく、被害者側も証人として出廷すること等による精神的負担がなくなります。
不同意性交等罪における示談の重要性
非親告罪化された現在でも、示談は被害者の救済手段の一つともいえるものであり、加害者の社会的更生にも資するものです。感情的対立を解消し、事件の円満な解決を図るために不可欠です。検察や裁判所に対する情状酌量の材料としても重視され、実務上も大きな意味を持ちます。
不同意性交等罪における示談金の相場と変動要因
一般的な金額帯
示談金の相場は、一般的には100万円~300万円とされていますが、以下のような変動要因を踏まえて決まります。
•被害の程度(精神的苦痛や身体的損傷)
•加害者の反省の程度や謝罪の姿勢
•示談の有無
•加害者の社会的地位・経済力
このように、示談金は個別事情により大きく変動し、交渉次第で額が上下します。
示談金の支払方法の選択肢
示談金の支払い方法は原則として一括払いとするべきです。被害者が承諾すれば分割払いとすることは可能ですが、あまりお勧めできません。
•一括払い:示談の早期成立が期待できるが、負担が大きい
•分割払い:負担が軽減されるが、示談交渉の成立可能性や成立までの期間に影響する可能性がある。一括払いの示談よりも効力が弱いと判断される可能性がある。
不同意性交等罪の示談を弁護士に依頼する理由
示談を弁護士に依頼すべき理由は以下の3つです。
専門知識の活用
弁護士は法律知識に加え、示談交渉の経験を持っており、被害者側にとって納得感のある条件提示や説得力のある説明が可能です。
感情的対立の緩和
示談交渉では、被害者と加害者の感情的対立が障害となることが多々あります。弁護士が中立的な立場で間に入ることで、直接のやりとりによる不和を避け、円滑な交渉が可能となります。たとえば、被害者が強く処罰感情を示していた事案において、弁護士を介した交渉により誠意ある謝罪が伝わり、結果として示談成立に至った例があります。
適切な条件での交渉が期待できる
弁護士は、判例や相場に精通しているため、妥当かつ有利な示談金額の提示や文言調整を行うことが可能です。実際の交渉では、被害者が求める金額に対して適正な反証資料を示すなどして、条件の緩和を成功させた事例もあります。冷静かつ戦略的な対応が、有利な結果に結びつきます。
不同意性交等罪における示談書作成のポイント
示談書作成のポイントは以下の通りです。
・必要事項の記載を漏らさないこと
・被害者が刑事処分を求めない旨の文言を記載すること
・今後の請求をしない旨の合意(清算条項)を記載すること
示談書の必要記載事項
示談書には、当事者の氏名・住所、事件の内容、支払金額、支払方法、支払期限、清算条項、日付と署名捺印が必要です。特に清算条項は、後のトラブルを避ける上で不可欠です。記載例として「本示談により、当事者間に一切の債権債務が存在しないことを確認する」といった文言が有効です。また、必要事項ではありませんが、被害者が刑事処罰を求めない旨の文言は可能な限り入れるべきです。この文言があるか否かで示談の刑事処罰に対する影響が大きく変化します。
法的効力を持たせる工夫
不同意性交等罪における示談成立後の流れ
示談書締結後、弁護士がその写しと状況報告書を検察に提出します。検察は示談内容を評価し、不起訴または起訴判断を下します。その後、事件が不起訴となれば終結、起訴された場合も量刑に示談内容が反映されます。
検察の判断プロセス
検察は、示談書の内容、被害者の処罰意思、加害者の反省度合いなどを総合的に判断します。示談報告は、弁護士が正式な報告書と共に行い、誠実な対応をアピールする文言を含めることが効果的です。不起訴を狙う場合は、早期かつ誠実な対応が重要視されます。
不起訴となるケース
初犯で示談が成立し、被害者が処罰を望まない意思を明確にした場合、不起訴となることが多いです。事件の軽重や反省の態度も影響します。例えば、初犯で300万円の示談金を支払ったケースでは、不起訴処分となった事例が存在します。
起訴後の示談効果
起訴後に示談が成立した場合でも、量刑において大きな影響があります。判例では、実刑が避けられた例や刑期が短縮された例が多数あります。示談が成立したことで、懲役5年の求刑に対し執行猶予付き判決となったケースもあります。
まとめ
不同意性交等罪における示談は、不起訴や量刑軽減、裁判回避といった多面的メリットをもたらします。被害者の処罰感情を和らげ、検察・裁判所の判断にも好影響を及ぼすため、被害・加害双方にとって極めて重要です。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設