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不貞行為に対する慰謝料の相場|高額になる場合、減額される場合の具体例は?
監修弁護士
中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。男女問題・不倫慰謝料に関する相談を多数解決。
「配偶者の不貞行為が発覚し、慰謝料を請求したいが、慰謝料の相場がどの程度なのか知りたい」
「できる限り高額な慰謝料を請求したいが、どの程度が限度なのか知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不貞行為による慰謝料請求に関する問題は他人に相談しづらいこともあり、一人で悩みを抱えてしまう方も多くいらっしゃるかと思います。
今回は、不貞行為による慰謝料の相場、高額な慰謝料を請求できる可能性が高い場合、慰謝料が請求できない可能性がある場合、慰謝料が相場よりも低額となる可能性がある場合、配偶者の不倫相手に慰謝料を請求する方法、配偶者の不倫相手への慰謝料請求の際のトラブル事例などについて解説します。
不貞行為に対する慰謝料に関する基礎知識

不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料の金額について説明する前に、まずは不貞行為に対する慰謝料請求が発生する法的根拠、慰謝料を請求できる相手など、基本的な内容について説明します。
1.不貞行為による慰謝料の法的根拠
慰謝料とは、不法行為によって被った精神的苦痛を金銭に換算したものです。不貞行為による慰謝料請求は、民法第709条,第710条を根拠とするとされています。
民法第709条は、不法行為による損害賠償に関する条文で、以下のように定められています。
“故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う”
また、民法第710条は、財産以外の損害の賠償に関する条文で、以下のように定められています。
“他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない”
不貞行為(不倫)は、不貞をされた配偶者が有する婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するものとして、不法行為に該当すると解釈されており、不貞行為をした者は、財産以外の損害、すなわち、精神的苦痛に対しても損害賠償をしなければならないとされています。
2.慰謝料の請求相手と求償権
不貞行為は、不貞行為をした配偶者と不貞相手による共同不法行為と解されており、不貞行為に対する慰謝料は、不貞行為をした配偶者と不貞相手の二人で負担すべきものです。そのため、不貞相手のみに慰謝料を請求して、不貞相手が慰謝料を支払った場合、不貞相手は、本来、不貞をした配偶者が負担すべき分まで慰謝料を支払ったとして、不貞をした配偶者に対し、余分に支払った金額を請求する権利があります。これを求償権といいます。
離婚せず、配偶者の不貞相手のみに慰謝料を請求した場合は、後になって不貞相手が求償権を行使すると、夫婦の財産が減ることになるため注意が必要です。示談交渉や和解交渉の段階で、不貞相手に求償権を放棄してもらうことにより、そのような事態を避けることは可能です。
不貞行為に対する慰謝料の相場

不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料の相場は、どの程度の金額なのでしょうか。慰謝料の算定方法や不貞行為による慰謝料の相場について説明します。
1.慰謝料の算定方法
慰謝料の金額について、法律で定められた一律の計算方法や上限額はありません。
ただし、請求した金額がそのまま認められるわけではなく、裁判では婚姻期間や不貞行為の内容、精神的苦痛の程度などを総合的に考慮して判断されます。
そのため、慰謝料を請求する際には、過去の裁判例や一般的な相場を参考にしながら、個別の事情に応じた適切な金額を検討することが重要です。
2.不貞行為による慰謝料の相場
不貞行為による慰謝料の相場は、一般的に50万円〜300万円程度が一つの目安とされています。
ただし、慰謝料の金額は法律で一律に定められているわけではなく、婚姻期間や不貞行為の期間・回数、夫婦関係への影響などによって異なります。
特に、不貞行為が原因で離婚や別居に至った場合には、精神的苦痛が大きいと判断され、慰謝料が高額になる可能性があります。
一般的な慰謝料相場の目安は、以下のとおりです。
| 夫婦関係の状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 離婚も別居もしない場合 | 50万円〜100万円程度 |
| 不貞行為が原因で別居した場合 | 100万円〜200万円程度 |
| 不貞行為が原因で離婚した場合 | 150万円〜300万円程度 |
ただし、上記はあくまで目安であり、実際の慰謝料額は個別の事情によって異なります。
たとえば、不貞行為が長期間続いていた場合や、不倫相手との間に子どもが生まれた場合などには、慰謝料が増額される可能性があります。
一方、不貞行為の期間が短い場合や、不貞行為が始まる前から夫婦関係が悪化していた場合には、慰謝料が低額になることもあります。
なお、特に悪質な事情がある場合には300万円を超える慰謝料が認められる可能性もありますが、一般的な相場とは区別して考える必要があります。
そのため、慰謝料を請求する際には、相場だけで判断するのではなく、個別の事情を整理したうえで適切な請求金額を検討することが重要です。
高額な慰謝料を請求できる可能性が高い場合
配偶者の不貞行為により、大きな精神的苦痛を受けた場合は、相場よりも高額な慰謝料を請求できる可能性があります。具体的にどのような場合に、高額な慰謝料を請求できる可能性が高いのか説明します。
1.不貞発覚によって離婚・別居に至った場合
不貞発覚後に離婚や別居に至った場合は、高額な慰謝料が認められることが多いでしょう。ただし、以下のような事情がある場合は減額される可能性もあります。
- 不貞発覚以前から夫婦関係が悪く、別居していた
- 被害者側が過去に不倫をしていた
- 被害者側が配偶者に対してモラハラやDVを行っていた
2.婚姻期間が長く夫婦関係は円満だった場合
婚姻期間が長く、不貞発覚以前は夫婦関係が円満だった場合は、婚姻関係がより強固なものとなっていると解されるため、配偶者の不貞により大きなショックを受けると考えられます。そのため、精神的苦痛が大きいと判断され、高額になることが多いでしょう。
3.幼い子供がいる場合
夫婦の間に幼い子供がいる場合も、上記と同様に婚姻関係がより強固になっているものと解されることから、慰謝料金額は高額になる傾向があります。
4.不貞相手の悪質性が認められる場合
不貞相手の悪質性が認められる場合も、相場よりも高額な慰謝料が認められることが多いでしょう。不貞相手の悪質性が認められる場合とは、不貞発覚後も関係を続ける、反省の様子が見られない、不当な弁解といった場合が挙げられます。そのような場合、被害者が受ける精神的苦痛が大きいと考えられるため、慰謝料も高額になる可能性があります。
5.不貞行為により妊娠をさせた場合
不貞行為により妊娠をさせた場合も慰謝料の増額が認められる場合が考えられます。不貞行為により妊娠した者の配偶者が受ける精神的苦痛は相当に大きいことが考慮されているものと考えられます。
なお、不貞相手が出産した場合、男性が認知を拒否したいと考えても、不貞相手が強制認知の訴えを提起し、強制的に認知させられる可能性があるため注意が必要です。
慰謝料が請求できない可能性がある場合

不貞行為が発覚しても、慰謝料を請求できない場合もあります。既に時効が成立している場合、不貞相手に故意や過失が認められない場合、肉体関係がなかった場合は慰謝料を請求することはできません。それぞれの場合について具体的に説明します。
1.時効が成立している場合
不貞行為による慰謝料請求には、消滅時効があります。
民法724条では、不法行為による損害賠償請求権について、以下の期間が定められています。
| 時効期間 | 起算点 |
|---|---|
| 3年間 | 被害者が損害および加害者を知った時 |
| 20年間 | 不法行為があった時 |
そのため、不貞行為の事実を知ってから3年以上経過した場合でも、必ず慰謝料請求ができなくなるわけではありません。
たとえば、配偶者の不倫を知っていても、不倫相手を特定できていなかった場合には、不倫相手に対する3年間の時効が進行していない可能性があります。
ただし、加害者を知ったかどうかは、氏名や住所を完全に把握していたかだけではなく、損害賠償請求が可能な程度に相手を認識していたかによって判断されます。
また、不法行為があった時から20年間が経過した場合にも、原則として消滅時効が問題になります。
なお、裁判上の請求や催告などによって時効の完成が猶予されたり、更新されたりする場合があります。また、時効の利益を受けるには、原則として相手方による援用が必要です。
そのため、慰謝料を請求する際には、不倫が発覚した時期だけでなく、不倫相手を特定した時期や不貞行為が行われた時期などを確認することが重要です。
2.不貞相手に故意・過失がない場合
不貞相手に故意・過失がない、すなわち、配偶者が不貞相手に独身であると告げるなどして、不貞相手を騙して行為に及んだような場合、慰謝料を請求できない可能性があります。
慰謝料を支払う必要があるのは、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」場合です(民法第709条)。たとえば、婚活パーティーや婚活サイトなど、参加者が独身であることを前提とした場で知り合った場合や、配偶者が独身であると巧みに嘘をついて、相手に近づいた場合などは、故意・過失が認められない場合があります。このような場合、不貞相手に対して慰謝料請求をできない可能性があります。
3.肉体関係がなかった場合
肉体関係がなく、プラトニックな関係だった場合も、慰謝料の請求は難しいでしょう。民法第709条が定める不法行為とは、「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害」行為であることです。保護されるべき権利又は法律上保護される利益にあたる婚姻共同生活に対し、相手による侵害があったことを認められる行為とは、一般的には肉体関係のことを指します。肉体関係があったことが証明されず、精神的な恋愛関係や、2人で何度か遊びに行ったことがあるという程度のことでは、慰謝料の請求が認められることは、ほとんどないでしょう。
慰謝料が減額される可能性がある場合
慰謝料は減額されることもあります。相手に支払い能力がない、悪質性が低い、不倫発覚以前から夫婦関係が破綻していた場合などは、慰謝料は低く算定されることが多いでしょう。それぞれの場合について具体的に説明します。
1.請求相手が若年の場合、資産がない場合
相手方が若年、資産がない場合、減額される場合があります。特に、相手が未成年であった場合などは、相手の判断能力の低さも加味されて減額される場合があります。
2.不貞行為が始まる前から夫婦関係が悪化していた場合
不貞行為が始まる前から夫婦関係が悪化していた場合には、慰謝料が減額される可能性があります。
不貞慰謝料の金額は、不貞行為の期間や回数だけでなく、不貞行為が始まった時点での夫婦関係の状況なども考慮して判断されます。
たとえば、不貞行為が始まる前から夫婦の交流が減少していた場合や、関係修復に向けた話し合いが難航していた場合には、慰謝料の金額に影響することがあります。
ただし、夫婦仲が悪かったという理由だけで、必ず慰謝料が減額されるわけではありません。
また、不貞行為が始まった時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合には、原則として、不倫相手に対する慰謝料請求は認められません。
最高裁判所平成8年3月26日判決でも、婚姻関係がすでに破綻していた場合には、特段の事情がない限り、不倫相手は不法行為責任を負わないと判断されています。
最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む
そのため、慰謝料請求を検討する際には、不倫が発覚した時点ではなく、不貞行為が始まった時点の夫婦関係を確認することが重要です。
3.不貞期間が短く、回数が少ない場合
不貞期間が短く、回数が少ない場合は、悪質性が低いとみなされ、減額される可能性があります。具体的な期間については、一般的に、1年以上不貞関係が続いている場合は長い、数カ月程度なら短いとみなされます。また、回数については、20回を超える場合は多い、2~3回程度なら少ないとみなされ、減額されることが多いでしょう。
4.相手が反省している場合
相手が真摯に反省していることが客観的に認められる場合も減額されやすいでしょう。たとえば、発覚後、すぐに別れた場合、相手による謝罪があった場合などは、減額される傾向にあります。
配偶者の不貞相手に慰謝料を請求する方法

配偶者の不貞相手に慰謝料を請求するためには、どのようなことを行えばよいのでしょうか。具体的な手順について説明します。
1.まずは不貞の証拠を準備
相手に慰謝料を請求する際は、相手が言い逃れできないよう、事前に証拠を用意しておく必要があります。不貞関係を立証するために有効な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
- 肉体関係があったことが推測されるメールやSNSなどの文面
- ホテルなどに出入りしている写真や動画
- 不倫関係があったことが認められる配偶者や不倫相手の会話の録音
- ラブホテルや旅行の宿泊先の領収書
- 相手と会う予定が書かれたスケジュール帳
もし、上記のような証拠がない場合は、弁護士への相談を検討してもよいでしょう。弁護士であれば、情報開示請求により、新たな証拠を入手できる可能性があります。また、他に有効な証拠として使えるものに関するアドバイスを受けることもできます。
2.相手に慰謝料を請求する旨を通知
証拠が用意できたら、相手に慰謝料を請求する旨を通知します。相手とのやり取りは、基本的に、手紙やメールなどがよいでしょう。やり取りの内容が残るため、後からトラブルに発展した際に、証拠として役立つからです。
また、慰謝料を請求する際は、内容証明郵便を利用することをおすすめします。内容証明郵便は、郵便局が、いつ、だれが、だれに、どのような内容の書面を差し出したか証明してくれるサービスです。内容証明郵便を利用することにより、相手が「受け取っていない」などと主張してトラブルになることを防げます。内容証明郵便の利用には、いくつかのルールがありますので、実際に送る際は下記の郵便局の公式サイトでご確認下さい。
また、インターネット上で利用できる電子内容証明サービスを利用して送ることもできます。
3.交渉が成立したら示談書を作成
相手との交渉が成立したら、示談書を作成します。示談書には、契約を結ぶ双方の名前、住所、慰謝料の金額、振り込み期日、振込先、その他の条件を記載します。そして、双方署名、押印のうえ2通を作成し、1通ずつ保有して完了です。
後からトラブルにならないか心配な場合や、内容に不安がある場合は弁護士に相談して、適切なアドバイスを受けるとよいでしょう。
配偶者の不貞相手への慰謝料請求の際のトラブル事例

相手方へ慰謝料請求をしても、期待通りの結果を得られないことも多いでしょう。配偶者の不貞相手への慰謝料請求の際に起こる典型的なトラブルの事例について説明します。
1.相手が無視する
配偶者の不貞相手に慰謝料を請求しても、こちらからの連絡を相手が無視して、交渉が進まない場合も多いです。その場合は、もう一度、慰謝料請求の連絡をしてみましょう。再度請求する際は、支払期限を決めることが大切です。具体的には、「●月●日までに●●●万円を支払ってください」、「本書面到達後、●日以内に支払ってください」等の文言を記載します。期限を設けることで、相手に請求に応じる意思があるのかどうかを判断することも可能となります。
再度、期限を設けて書面を送っても、相手が無視する場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士が連絡することで、相手が驚いて応じることも少なくありません。
2.相手ともめる
当事者同士の話し合いは、感情的になりやすいこともあり、もめてしまうことも多いでしょう。相手ともめて、余計に不快な思いをして苦しい場合は、弁護士への依頼を検討することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、弁護士が代理で交渉するので、相手と直接対峙する必要がなくなり、精神的な負担は大幅に軽減されるはずです。また、弁護士が法律の専門知識と交渉術を駆使して交渉することにより、相場よりも高い慰謝料の支払いを相手に認めさせることができる可能性もあります。
3.交渉が進まない
相手が不倫の事実を認めない、慰謝料の支払いに同意しないなど、交渉が進まない場合もあります。そのような場合も、弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士に相談すれば、有効な証拠を示すことで、相手に不倫の事実を認めさせて慰謝料の支払いに応じさせるなど、交渉をスムーズに進めてもらえます。
まとめ

今回は、不貞行為による慰謝料の相場、高額な慰謝料を請求できる可能性が高い場合、慰謝料が請求できない可能性がある場合、慰謝料が相場よりも減額される可能性がある場合、配偶者の不貞相手に慰謝料を請求する方法、配偶者の不貞相手への慰謝料請求の際のトラブル事例などについて解説しました。
不貞行為による慰謝料は、裁判で争うより、交渉段階で示談を成立させた方が、多く支払ってもらえる可能性があります。問題がこじれる前に、早めに不倫問題に精通した弁護士に相談をして、交渉による早期解決を図ることをおすすめします。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、配偶者の不貞行為による精神的な苦痛に悩まされている方々を全力でサポートしております。慰謝料の交渉実績を豊富に持つ弁護士が、早期解決に向けて、法律の専門知識と交渉術を駆使して相手との交渉にあたります。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。
東京スタートアップ法律事務所は 初回相談 0円※ です。
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