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肉体関係なしでも慰謝料請求は可能?相場や裁判例、どこから肉体関係か徹底解説
監修弁護士
中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。男女問題・不倫慰謝料に関する相談を多数解決。
パートナーが不倫をしたのは確実でも、肉体関係があったことの証拠がない場合、不貞行為の慰謝料を請求することはできないのでしょうか。
肉体関係があったことの証拠を集めるのは簡単なことではないですし、もし厳密な意味での肉体関係がなければ不倫の慰謝料を請求できないとすると、不倫をされた側にとって納得のできない結果になってしまうことが多くあるでしょう。
この記事では、どこからが不貞行為にあたるのか、肉体関係がない場合に慰謝料を請求できるケースや少しでも慰謝料を増額するためのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
慰謝料請求するための「不貞行為」とは?

不貞行為とは、一般的に、配偶者以外の相手と自由な意思に基づいて性的関係を持つことを指します。
不貞行為に該当するかどうかは、性交の有無だけでなく、性交類似行為の内容なども踏まえて判断されます。
また、不貞行為は異性との性的関係に限られるわけではありません。
実際に、東京地方裁判所令和3年2月16日判決では、妻と不倫相手の女性との間で行われた同性間の性的行為について、不貞行為に該当すると判断されました。
このように、配偶者以外の相手との性的関係が婚姻共同生活の平穏を侵害した場合には、相手が同性であっても慰謝料請求が認められる可能性があります。
さらに、性交や性交類似行為が認められない場合でも、親密な交際の態様によっては、婚姻共同生活の平穏を侵害する不法行為として慰謝料請求が認められることがあります。
そのため、慰謝料請求の可否については、性的関係の有無や内容、交際の状況、夫婦関係への影響などを総合的に確認することが重要です。
参考:国立国会図書館「同性の第三者による配偶者との性的行為について不貞行為に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を認めた事例」
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どこからが不貞行為にあたる?
不貞行為は、配偶者以外の第三者と肉体関係にあることを指しますが、具体的にはどのような行為を指すのでしょうか。
法律上の不貞行為にあたるケースとあたらないケースについて解説していきます。
なお、不倫で慰謝料を請求できるケースの詳しい解説については、以下の記事もご参照ください。
不貞行為にあたるケース
不貞行為にあたるケースは、大きく分けて【肉体関係があった場合】と【性交類似行為があった場合】の2つに分けることができます。
肉体関係があった場合
配偶者以外の相手と性的関係を持った場合には、不貞行為に該当する可能性があります。
不貞行為は、一般的に性交を伴う関係を指しますが、性交に準じる性的行為についても、不貞行為と判断される場合があります。
また、同性間の性的行為であっても、婚姻共同生活の平穏を侵害する態様のものであれば、不貞行為に該当すると判断した裁判例があります。
そのため、不貞行為の有無を判断する際には、異性間か同性間かという点だけでなく、具体的な性的行為の内容を確認する必要があります。
性交類似行為があった場合
性交類似行為とは、実質的にみて性交と同視できるような性的交渉のことを指します。
たとえば、以下のような行為は性交類似行為として不貞行為にあたるといえるでしょう。
| 【性交類似行為にあたる行為】 ・不倫相手に、性交を連想させるような態様で手淫(しゅいん)をしてもらう ・口腔性交(オーラルセックス) ・肛門性交(アナルセックス) |
不貞行為にはあたらないケース
不貞行為に該当しないケースは、おもに【肉体関係がない場合】と【夫婦関係が破綻している場合】の2つに分けることができます。
肉体関係がない場合
性交もしくは性交類似行為がない場合には、不貞行為には該当せず、慰謝料の請求が認められないのが原則です。
たとえば、以下のような行為だけでは、慰謝料の請求は認められないのが原則です。
| 【不貞行為があったとはいえないケース】 ・パートナーに内緒でLINEをする ・2人きりで手を繋いでデートをする ・街中でキスをする |
これらの行為は、他の不貞行為の証拠とあいまって、間接的に不倫の事実を証明する証拠にはなりますが、直接不貞行為の証拠にはなりません。
夫婦関係が破綻している場合
配偶者が第三者と性的関係を持った場合でも、その時点ですでに婚姻関係が破綻していたと認められる場合には、原則として、不倫相手への慰謝料請求は認められません。
婚姻関係の破綻とは、夫婦関係が実質的に失われ、修復が困難な状態を指します。
ただし、別居期間が5年以上であれば必ず婚姻関係が破綻しているという法律上の基準はありません。
婚姻関係が破綻していたかどうかは、以下のような事情を総合的に考慮して判断されます。
- 別居に至った経緯や別居期間
- 別居中の連絡や交流の状況
- 夫婦関係を修復する意思や行動の有無
- 離婚に向けた話し合いや調停の状況
- 婚姻期間や夫婦の生活実態
たとえば、長期間別居していた場合でも、夫婦がお互いに関係修復を望み、継続的に交流していた事情などによっては、婚姻関係が破綻していないと判断される可能性があります。
一方、比較的短期間の別居でも、別居に至った経緯や夫婦関係の状況によっては、婚姻関係の破綻が認められる場合があります。
また、離婚調停中であるという理由だけで、必ず婚姻関係が破綻していると判断されるわけではありません。
そのため、不倫相手への慰謝料請求では、不貞行為が始まった時点で婚姻関係がどのような状態だったのかを確認することが重要です。
不貞行為(肉体関係)なしでも精神的苦痛で慰謝料を請求できるケース

肉体関係や性交類似行為の証拠がなかったとしても、配偶者と不倫相手との間で親密な交際があり、これによって夫婦の平穏な婚姻生活が侵害されてあなたが精神的苦痛を負ったといえれば、配偶者及び不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
このような夫婦の婚姻生活を侵害する行為を「準不貞行為」といいます。
ケース1
配偶者と第三者が、「愛している」「一緒になりたい」など、恋愛感情を明確に示すメッセージを継続的に送り合っていたケースです。
将来の同居や結婚について具体的に話していた場合や、配偶者に隠れて頻繁に連絡を取っていた場合は、単なる友人関係を超えた親密な交際と判断される可能性があります。
ただし、親しげなメッセージが数回あっただけで、直ちに慰謝料請求が認められるわけではありません。
やり取りの内容や頻度、交際期間、婚姻関係に与えた影響などを総合的に判断する必要があります。
ケース2
配偶者と第三者が、二人きりで頻繁に食事や旅行へ出かけたり、深夜まで密会を重ねたりしていたケースです。
特に、配偶者にうそをついて会っていた、宿泊を伴う旅行へ行っていた、長期間にわたり定期的に会っていたなどの事情があれば、婚姻生活の平穏を害する行為と評価される可能性があります。
食事を一度した程度では慰謝料請求は難しいものの、密会の回数や時間帯、場所、二人の関係性などによって判断が変わります。
写真やメッセージ、交通・宿泊記録などの証拠を確保することも重要です。
ケース3
性交渉には至っていなくても、配偶者と第三者がキスや抱擁を繰り返すなど、恋人同士のような身体的接触をしていたケースです。
こうした行為は法律上の不貞行為に該当しない可能性がある一方、社会通念上許容される交友関係を超え、配偶者に強い精神的苦痛を与える行為と判断されることがあります。
慰謝料請求が認められるかどうかは、接触の内容や回数、交際期間、当事者の言動などによって異なります。
キスをしている写真や動画、本人が関係を認めたメッセージなどが重要な証拠となる可能性があります。
ケース4
第三者が配偶者に対して、「早く離婚してほしい」「配偶者とは別れて自分と暮らしてほしい」などと繰り返し求め、夫婦関係を積極的に悪化させたケースです。
肉体関係がなくても、第三者が婚姻関係を壊す意図を持って働きかけ、実際に別居や離婚につながった場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。
しかし、夫婦関係が交際前からすでに破綻していた場合は、第三者の行為による損害が否定されることがあります。交際前の夫婦関係や、第三者の働きかけと別居・離婚との因果関係が重要です。
ケース5
配偶者が第三者の自宅へ頻繁に泊まり、家事や生活費を分担するなど、夫婦同然の関係を続けていたケースです。
第三者の家を生活拠点としていた、毎月まとまった金銭を渡していた、二人で将来の生活設計を立てていたなどの事情があれば、肉体関係を立証できなくても、婚姻共同生活を侵害したと判断される可能性があります。
慰謝料請求では、滞在頻度や交際期間、金銭のやり取り、夫婦の別居や離婚への影響などが考慮されます。送金履歴や郵便物、写真、メッセージなど複数の証拠を組み合わせることが大切です。
肉体関係が認められなくても慰謝料請求が認められた裁判例

性交や性交類似行為が認められない場合でも、婚姻共同生活の平穏を侵害する行為があれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。
ここでは、性的・肉体的交渉が認定されなかったものの、親密な交際や夫婦関係への不当な干渉などが問題となった裁判例を紹介します。
ただし、不貞行為そのものが認定された事例と、不貞行為は認定されなかったものの別の不法行為が成立した事例は、区別して紹介する必要があります。
元の表で口淫を不貞行為と認定した旨を紹介している事例については、この見出しから除外し、「性交類似行為があった場合」の見出しに移すのが適切です。ただし、掲載する判決日・裁判内容は原典確認後に確定してください。
肉体関係なしで慰謝料が認められた4つの裁判例を確認してみましょう。
| 準不貞行為を認め、慰謝料が認められた4つの裁判例 | ||
|---|---|---|
| 裁判の日付 | 事案の概要 | 認められた慰謝料額 |
| 東京地裁判決 平成20年12月5日 | いわゆるデリバリーヘルスを利用し、ホテルにて口淫(こういん)などの性的サービスを受けた➡︎当該行為は「不貞行為」に該当し、夫婦関係の破綻に少なからず影響を与えた | 30万円 |
| 東京地裁判決 平成24年11月28日 | 身体的に性的不能である夫が、パートナー以外の女性と下着姿で抱き合い、お互いの身体に触れ合い、愛撫するなどの行為を行った➡︎性的不能な身体状況を考慮すると、不倫相手との間に性的関係があったとは認められないが、これらの行為は民法上の「不法行為」にあたる | 150万円 |
| 東京地裁判決 平成25年5月14日 | 不倫相手は、夫に対して妻との別居と離婚を要求し、少なくともキスをしたことが認められる。結局、その不倫が原因で夫婦は別居し、離婚するに至った。➡︎不倫相手との肉体関係こそ認められないが、不倫相手の積極性などを考慮すると、これらの行為は離婚の原因を発生させた行為であると判断できるため、民法上の「不法行為」にあたる | 250万円 |
| 福岡地裁判決 平成27年12月22日 | 不倫相手から「会いたい」「大好きだよ」という愛情表現を含むメールや、不倫相手と身体的な接触を持っているような印象を与えるメールも多数送られてきていた➡︎これらのメールから肉体関係があるとまでは推認できず、「不貞行為」にあたるとは言えない。しかし、これらのメールを不倫をされたパートナーが読んだ場合、婚姻生活の平穏を害する可能性があるため、慰謝料の請求を認める | 30万円 |
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不倫の慰謝料の相場とは?
不倫の慰謝料を請求する場合の相場を、【肉体関係があった場合】および【肉体関係がなかった場合】の2つに分けてご紹介していきます。
肉体関係がある場合
不倫相手との肉体関係が認められる場合、慰謝料の相場は離婚をするかしないかで大きく変わります。
【肉体関係がある場合の慰謝料の相場】
| 不倫が原因で離婚する場合 | 150万~300万円 |
|---|---|
| 離婚せずに婚姻関係を継続する場合 | 数十万~100万円程度 |
肉体関係がない場合
配偶者以外の相手とLINEで連絡を取ったり、二人きりでデートをしたりするだけでは、通常、不貞行為には該当しません。
また、手をつないだり、キスをしたりする行為も、それだけで直ちに法律上の不貞行為と判断されるわけではありません。
ただし、不貞行為に該当しないからといって、慰謝料請求が一切認められないわけではありません。
たとえば、配偶者以外の相手とキスや抱擁を繰り返したり、親密な交際を長期間続けたりすることで、婚姻共同生活の平穏を侵害した場合には、不法行為として慰謝料請求が認められる可能性があります。
実際に、性的・肉体的交渉が認定されなくても、キスや離婚を求める働きかけなどを理由に、不法行為の成立を認めた裁判例があります。
一方、単に食事をしたり、一度手をつないだりしたという事情だけでは、慰謝料請求が認められない場合もあります。
そのため、慰謝料請求の可否については、個々の行為だけで判断するのではなく、交際の内容や期間、夫婦関係への影響などを総合的に確認する必要があります。
不貞行為なしの場合の慰謝料請求の流れ
まず、性交類似行為や準不貞行為に関する証拠集めが重要です。
次に、十分な証拠が集まれば、配偶者又は不倫相手に対し、慰謝料を請求して話し合いでの解決を模索することとなります。
話し合いで解決しない場合には、(離婚)調停又は裁判を提起することとなります。
証拠収集や話し合いを円滑かつ有利に進めるためにも、請求前の段階で弁護士にご相談ください。
不貞行為がない場合に不倫の慰謝料を請求するポイント
肉体関係がない不倫について慰謝料を請求する重要なポイントは、【できるだけ証拠を集めること】と【調停や裁判ではなく示談で話をまとめること】の2つです。
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
できるだけ証拠を集めること
肉体関係がない場合に、裁判所で慰謝料請求が認められるためには、不倫相手との行為が夫婦婚姻生活の平穏を害する態様のものである必要があります。
そのためには、配偶者と不倫相手の間の行為に関する証拠をできる限り集めておく必要があります。
肉体関係がない場合に集めておくべき証拠
- 不倫相手との関係性がわかるようなLINEやメール
- ラブホテルや旅館の領収書
- クレジットカードの明細書
- 不貞相手とやましい関係にあったことを認める念書や録音データ
- 探偵事務所や興信所の調査報告書
- 不貞行為を匂わすようなブログ・SNS・日記・手帳・手紙・メモ
- 不倫相手からもらったと思われるプレゼント
- 共通の友人など第三者からの証言 など
但し、証拠集めの方法によっては違法行為となる場合もありますので注意が必要です。
例えば、配偶者のスマートフォンのパスワードを勝手に解読してデータを見たり、LI NEに不正ログインすることやスマートフォンのデータを抜き取ることは、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。
また、証拠集めが配偶者にバレてしまうと証拠を消されてしまう可能性も考えられます。
どのような証拠が裁判で有効か、証拠集めの方法が違法行為に該当しないかは、法的な判断が必要になります。
自己判断で有効な証拠を処分してしまったり、思いがけず違法行為を行わないよう、専門家である弁護士に確認することをおすすめします。
調停や裁判ではなく示談で話をまとめること
肉体関係が認められない場合に少しでも慰謝料を獲得するためには、裁判ではなく示談交渉で話をまとめるのが重要です。
不倫をしたパートナーや不倫相手に対して請求する慰謝料の金額は、法律で具体的な金額が定められているわけではありません。
したがって、お互いが納得する金額であれば、いくらで交渉をまとめても問題ないのです。
この点、肉体関係が認められない場合、裁判で認められる慰謝料の相場は数十万円程度ですが、示談で慰謝料額を決める場合には、慰謝料の金額が相場よりも高額になるケースも少なくありません。
不倫をしたパートナーや不倫相手は、「裁判にまでして話をおおごとにしたくないので、とにかくお金を払ってこの話をなかったことにして欲しい」と考えていることも多く、適切な交渉を行うことで、高額な慰謝料を獲得できる可能性が高くなります。
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不倫の慰謝料請求に関するご相談は東京スタートアップ法律事務所へ

不倫の慰謝料を請求するには、不貞行為を裏付ける証拠の収集や請求金額の検討、相手方との交渉など、専門的な対応が必要です。
東京スタートアップ法律事務所では、男女問題に関する豊富な相談実績をもとに、依頼者の事情や希望に合わせた解決方法を提案しています。
相手と直接やり取りしたくない場合は、弁護士が代理人として交渉することも可能です。
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不倫問題を一人で抱え込まず、まずは東京スタートアップ法律事務所へ相談してみてください。
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東京スタートアップ法律事務所では、不倫慰謝料の請求や減額交渉など、不倫に関する法律問題について相談を受け付けています。
肉体関係を裏付ける証拠がない場合でも、交際の内容や夫婦関係への影響によっては、慰謝料請求が認められる可能性があります。
ただし、肉体関係が認められない場合の慰謝料請求は、具体的な交際状況や証拠の内容によって判断が異なるため、過去の裁判例や解決事例を参考にしながら、個別に検討することが重要です。
実際に慰謝料が認められた裁判例については、前述の「肉体関係が認められなくても慰謝料請求が認められた裁判例」で紹介しています。
不倫相手との親密な交際や夫婦関係への影響についてお悩みの方は、弁護士に相談し、慰謝料請求の見通しや必要な証拠を確認しましょう。
まとめ

不貞行為の慰謝料を請求するためには、肉体関係があったこと、つまり性交や性交類似行為に該当する行為があることが必要です。
しかし、これらの行為がなかったとしても、平穏な夫婦生活を維持する権利を侵害した場合には、不貞行為に準ずる行為として、不倫をしたパートナーや不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
ただし、肉体関係が認められない場合により多くの慰謝料を獲得するためには、できる限り不倫の証拠を集め、裁判ではなく示談交渉で話をまとめることを心がけてください。
もし、自分1人で対応するのが難しいようであれば、不貞行為の慰謝料請求の経験豊富な弁護士が多く所属している、東京スタートアップ法律事務所にぜひ1度ご相談ください。
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