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慰謝料の支払いでローンを組む前に確認すべきこととは?支払えない時はどうすればいい?
監修弁護士
中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。男女問題・不倫慰謝料に関する相談を多数解決。
不倫の慰謝料を請求され、高額な慰謝料を一括で払えない時、あなたはローンを組んでなんとかお金を捻出しようと考えるかもしれません。
しかし、ローンには高い利息がついてしまうことが大半です。
そこで、示談に合意する前であれば、まずは次の点を検討すべきといえます。
- 慰謝料の支払いを拒否できないか
- 慰謝料の金額を減額できないか
- 分割払いに応じてもらえないか
- 不倫相手に求償権を行使できないか
そこで、この記事では、慰謝料を支払うためにローンを組むことを検討する際の注意点を解説していきます。
不倫の慰謝料は支払いの目途が立たないうちに示談を成立してはいけない?

不倫の慰謝料に関する示談は、不倫をした側と不倫をされた側の契約です(民法695条参照)。そのため、示談が成立した後は、原則として合意を撤回したり、示談の内容を一方的に変更することはできません。
示談が成立した後、あなたが慰謝料を約束した期限どおりに支払わない場合、相手方は、あなたからの任意の支払いを期待できない以上裁判を起こすこととなるでしょう。
仮に、相手方が裁判を起こして相手方の請求を認める判決が下れば、相手方は、あなたの財産から強制的に慰謝料を回収するために、強制執行という手続きを利用する可能性があります。
その場合には、あなたの財産や給料が差し押さえられることとなります。
また、不倫の慰謝料の示談では、公正証書を作成することがあります。
この公正証書に、「強制執行認諾文言」が付されている場合には、相手方は裁判を経ることなく強制執行を申し立てることが可能となります。
そのため、慰謝料を支払える目途が立っていないうちに示談を成立させることはリスクが大きく、避けた方が良いといえます。
不倫慰謝料の示談が成立する前に確認すべきこと
示談が成立する前であれば、ローンを組まずに対応できる可能性があります。
以下では、示談を成立させる前に確認すべき点についてそれぞれ解説します。
- 慰謝料の支払いを拒否できないか
- 慰謝料の金額を減額できないか
- 分割払いに応じてもらえないか
- 不倫相手に求償権を行使できないか
1. 慰謝料の支払いを拒否できないか
不倫の慰謝料は、不貞行為があったからといって、必ず支払義務が生じるわけではありません。
不貞行為とは、原則として、既婚者が配偶者以外の相手と自由な意思に基づいて性的関係を持つことを指します。
そのため、単に2人きりで会ったり、手をつないだり、食事をしたりしただけでは、通常、不貞行為には該当しません。
ただし、肉体関係がなくても、婚姻共同生活の平穏を侵害するような親密な交際があった場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。
また、不倫相手が既婚者であることを知らず、知らなかったことについて過失もない場合には、原則として慰謝料の支払義務は生じません。
たとえば、交際相手が一貫して独身だと説明しており、既婚者であることを疑う事情もなかった場合には、故意・過失が否定される可能性があります。
さらに、不倫慰謝料の請求権には消滅時効があります。
民法724条では、原則として以下の期間が定められています。
| 消滅時効の期間 | 起算点 |
|---|---|
| 3年間 | 被害者が損害および加害者を知った時 |
| 20年間 | 不法行為があった時 |
不倫慰謝料については、単に配偶者の不倫が発覚しただけで、必ずしも3年間の時効が進行するわけではありません。
被害者が不倫による損害を認識し、慰謝料を請求する不倫相手を特定できる程度に知った時点が重要になります。
たとえば、配偶者が不倫していることを知っていても、不倫相手が誰なのかわからなかった場合には、不倫相手に対する慰謝料請求権の時効が進行していない可能性があります。
一方、不倫相手の氏名や住所をすべて把握していなくても、損害賠償請求が事実上可能な程度に相手を認識していれば、時効が進行する場合があります。
また、不法行為があった時から20年が経過した場合にも、原則として消滅時効が問題になります。
ただし、裁判上の請求や催告、債務の承認などによって、時効の完成が猶予・更新されている場合もあります。
さらに、消滅時効が完成していても、その効果を主張するには、原則として時効の援用が必要です。
そのため、不倫慰謝料を請求された場合には、不倫が発覚した時期だけでなく、被害者が不倫相手を知った時期や、過去の交渉状況なども確認することが重要です。
2. 慰謝料の金額を減額できないか
あなたが不倫の慰謝料を請求された場合、相手方の請求する金額は一応の希望金額にすぎません。
そのため、相手方が請求する慰謝料金額によっては、過去の裁判例に照らした法的な見地から減額を基礎づける事情があることを説得的に主張して、減額交渉を進めていく余地があることになります。
減額を基礎づける事情としては、不倫していた期間が短い場合等があげられます。
たとえば、減額交渉できる場合として、次の事情が考えられます。
- 請求金額が相場よりも高額である
- 婚姻関係が破綻していた
- 相手方が早期の解決を求めている
- あなたに支払困難な事情がある
こういった事情がある場合には、慰謝料の減額交渉を行うことができる可能性がありますので、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
3. 分割払いに応じてもらえないか
慰謝料の支払いは原則として一括払いとなりますが、当事者の合意さえあれば、分割払いとすることも可能です。
そのため、一括で支払えない場合には、分割払いに応じてもらえないか交渉することとなります。
請求する側としても、相手方に慰謝料を一括で支払える経済的余裕がない場合には、一括払いで合意したとしても結局は支払いを受けることができないこととなりますので、交渉に応じる可能性はあるでしょう。
もっとも、分割払いは、請求する側からすると全額の支払いが済むまでは支払いが滞るリスクもあるため、応じてもらえない可能性もあります。
その場合には、慰謝料の一部でも頭金として準備して支払い、残りの金額を分割払いとする内容で交渉することにより、分割払いに応じてもらえる可能性が高まります。
また、分割払いには上記のとおり支払いが滞るリスクがありますが、執行認諾文言付きの公正証書を作成することにより、万が一支払いが滞った場合のリスクに対処しやすくなることから、分割払いに応じてもらえる可能性は高まるといえるでしょう。
4.不倫相手に求償権を行使できないか
求償権とは、誰かの代わりに借金返済や慰謝料の支払いを行ったときに、その当事者に対して「お金を返して」と請求できる権利を指します。
不倫は、法律上共同不法行為とされており、不倫の慰謝料は、不倫関係にあった当事者双方が共同で支払う必要があります。
そして、不倫慰謝料は、不倫関係にあった当事者のどちらに対しても相当額の慰謝料全額を請求することが可能で、不倫関係にあった当事者の一方が相当額の慰謝料全額を支払った場合には、もう一方の当事者の慰謝料支払い義務は無くなることとなります。
そうすると、慰謝料の全額を一人で支払った不倫当事者は、自分が負担するべき金額を超えてもう一方の不倫当事者が負担するべき慰謝料も支払ったことになり、求償権を取得することとなります。
例えば、慰謝料の金額が200万円の場合に、責任の大きさにより負担割合が変わりますが、100万円をもう一方の不倫当事者に請求することができます。
また、請求する側が離婚しない場合には、不倫を働いた配偶者に対して求償権を行使しないことを約束してほしいといった交渉を持ち掛けてくる場合があります。
そういった場合には、請求された側としては、不倫を働いた配偶者への求償権を放棄する代わりに、慰謝料の減額に応じてもらうことができる場合があります。
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慰謝料の支払いはローンを組んだほうがいい?

慰謝料を支払うにあたって手元に十分なお金が無い場合、ローンを組んだ方がいいのでしょうか。
もちろん、慰謝料を一括で支払えない場合に、ローンを組んで支払うことはできます。
しかし、慰謝料の支払いのためにローンを組むという方法は、他の方法がない場合の最終手段とするべきでしょう。
慰謝料支払いで利用できるローンの種類
慰謝料の支払いのために利用できるローンについては、銀行のローン、カードローン、消費者金融などがあります。
消費者金融のローンについては、貸金業法という法律で、「総量規制」が定められており(貸金業法13条の2)、借り入れできる金額は、年収の3分の1と制限されている点に注意が必要です。
たとえば、年収が300万円の方であれば、100万円までしか借りることができません。
一方で、銀行のローンについては総量規制を受けないため、年収の3分の1を超える借入れが可能となります。
また、銀行のローンは、消費者金融等と比較して金利が低い傾向にあります。
もっとも、銀行のローンは、カードローンや消費者金融等と異なり、審査に時間がかかることがあり、即日の借り入れができないことがあります。
ローンを組むメリットとデメリット
慰謝料を一括で支払うことができるだけの余裕がなかったとしても、ローンを組むことにより、慰謝料を一括で支払うことができる可能性は高くなります。
そして、不倫の理由や態様は様々なため一概にはいえませんが、慰謝料を一括で支払うことができれば、多くの場合は相手方との関係をすぐに断ち切ることができるでしょう。
また、慰謝料を捻出するために親や知人を頼らずに済む、自己破産を避けることができるといったメリットが考えられます。
他方で、ローンを組むことによるデメリットもあります。
たとえば、ローンを組んだ以上は、金利分を余分に支払う必要があります。
また、ローンを組む場合には、借入金額や返済遅延等の情報が信用情報として記録されるため、場合によっては、他のローン審査に影響が出ることも考えられます。
さらに、ローンを組んだ場合には、毎月返済を続けていかなければならないため、慰謝料の支払いが終わった後の自身の生活も考えなければならないといえるでしょう。
ローンを組む選択肢は最終手段にすべき
ローンを組むことで慰謝料を一括払いすることが可能になるとはいえ、上記のようにローンには様々なデメリットもあります。
そのため、慰謝料を一括で支払うためにローンを組むという選択は、最終手段として考えるべきでしょう。
まずは、慰謝料金額の減額や分割払いを受けてもらえるように交渉していくべきといえるでしょう。
慰謝料の支払いやローンに関するよくある疑問

不倫慰謝料の支払いや慰謝料の捻出のためにローンを組むことに関するよくある質問は以下のとおりです。
慰謝料を一括で支払えないことに対して、親や金融機関から借りてでも支払ってほしいと言われたらどうすればいい?
親や金融機関から借りるかどうかは、あなた自身が決めることであり、請求する側が強制できるものではありません。
もっとも、請求する側から強く迫られた場合に断ることは簡単ではありません。
慰謝料の支払い方法に関する交渉についても専門的な知識や経験が必要な場合がありますので、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。
不倫の慰謝料を親族が代わりに支払う義務はある?
原則として、本人以外が慰謝料の支払義務を負うことはありません。
そのため、請求する側から、あなたが払えないのであれば代わりに親に請求すると言われても、親には支払義務はないことをしっかり伝えましょう。
例外的に、あなたの親族が、不倫の慰謝料の保証人となった場合には、その親族も不倫の慰謝料の支払義務を負うこととなりますので注意が必要です。
お金がないことを理由に不倫慰謝料の請求を無視したらどうなる?
裁判になった場合には、時間やお金がかかりますし、あなたが慰謝料請求を無視したことが裁判で不利に働く可能性もあります。
また、裁判に出席せずに判決が出ている場合には、強制執行される可能性もあります。
不倫の慰謝料を請求された場合には、無視せずに専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ

今回は、不倫の慰謝料でローンを組む前に確認すべき点について解説しました。
慰謝料を請求する側は、あなたに対して激怒していることが多く、相場以上の金額を請求することが多く、また、当事者同士での話し合いが困難なことが多いのが実情です。
そして、慰謝料の支払い自体を拒絶できるケースや減額が可能なケースも多々あります。
そのため、まずはローンを組む前に、不倫慰謝料の取り扱い経験が豊富な弁護士に相談してみると良いでしょう。
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