暴行事件で被害届を出されたらどうすればいい?被害届を提出された場合の流れや対処法を解説
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記事目次
暴行罪とは、刑法208条によって「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と規定されている犯罪です。
要するに、暴行罪は暴力を振るった相手が怪我をしなかった場合に成立します。
怪我をした場合は傷害罪が成立します。
最近ではあおり運転をした上に、止まった車のボンネットをたたくなどした男性が暴行罪の疑いで逮捕されたことが話題となりました。
暴行罪は相手が怪我をしていないため、自分が罪を犯したという自覚がなく被害届を出された後で驚いてしまうという方が少なくありません。
そこで今回は、暴行事件で被害届を出された後の流れや対処法を解説します。
被害届とは?告訴との違いは?
まずは、被害届の意味や告訴との違いについて解説します。
被害届とは?
被害届とは、犯罪の被害者が犯罪の被害に遭ったことを警察などの捜査機関に申告する書類のことを指します。
原則として、被害者本人が提出しますが、被害者が未成年や成年後見人の場合は、親権者や後見人の付き添いが求められることもあります。
被害者の代理人となった弁護士が提出することもできます。
被害届には以下のような項目が記載されています。
- 被害者の氏名、住所、年齢、職業
- 被害の日時
- 被害に遭った場所
- 被害の模様
- 被害金品
- 犯人の住居、氏名、人相や着衣、特徴など
- 遺留品 など
被害届を受け取った捜査機関が捜査をするかどうかを決める
警察は、被害届を受け取ったからといって必ず捜査するとは限りません。
警察官が被害届や本人の申告を精査した結果、立証が難しい、違法性がないと判断すると捜査が開始されないことがあります。
告訴とは?被害届との違いは?
告訴は、犯罪の被害者が捜査機関に、犯罪の被害に遭ったことを申告して処罰を求めることです。
告訴は「犯人の処罰を求めている点」が被害届とは異なります。
また、捜査機関は告訴を受理すれば、事件を検察官に送致する義務を負います。
被害届を提出された後ろの流れは?
では、被害者が警察に被害届を提出したあとはどのような流れで手続が進められるのでしょうか。
確認しておきましょう。
警察が捜査を行う
警察は、被害者から話を聞いたり、目撃者を探したりするなどの捜査を行います。
犯人の氏名が判明していなければ、犯人を特定する作業も行わなければなりません。
暴行罪の捜査は概ね1か月から1ヶ月半と言われていますが、事件によっては犯行から逮捕までに長い時間を要することもあります。
逮捕が必要かどうかを判断
警察が捜査の結果、犯人を特定して暴行罪が成立すると判断しても、必ずしも逮捕されるわけではありません。
逮捕が必要と判断されるのは、「逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合」などですので、罪を認めて反省している、住所が定まっている、働いているなどの場合は逮捕されない可能性があります。
逮捕されない場合は「在宅事件」として捜査が行われます。
警察が、逮捕が必要と判断した場合は、現行犯逮捕や緊急逮捕でない限り、警察が裁判官に「逮捕状」の発布を求めて裁判官が逮捕状を発布した場合のみ、逮捕が行われます。
逮捕後は最長73時間の身柄拘束
逮捕されると、被疑者は警察によって最長48時間、身柄が拘束されて取調べを受けます。
警察では、事件に関する取調べを受け、その際に話した内容は供述調書にまとめられます。
供述調書は、その後の捜査や裁判などの重要な証拠となりますので、取調べは慎重に受けなければなりません。
その後、検察官に事件が送致されると逮捕の状態でさらに最長24時間の身柄拘束が続きます。
勾留請求と勾留の決定
検察官は、事件の送致を受けたら被疑者に勾留の必要があるかどうかを判断します。
勾留とは通常は10日間、必要があればさらに10日間、身柄を拘束する措置です。
逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に、勾留が必要と判断されます。
検察官が、勾留が必要と判断すると、裁判官に勾留請求を行います。
裁判官も同様に判断すると勾留が決定します。
勾留されると、逮捕から合計すると最長で23日間の身柄拘束が続き、通勤や通学ができませんので、社会生活への影響は甚大です。
勤務先や学校によっては退職や退学を余儀なくされるおそれもあります。
検察官による起訴・不起訴の判断
検察官は、捜査や取調べなどの結果を鑑みて、起訴するかどうかを判断します。
勾留されている場合は勾留開始から10日、必要に応じてさらに10日の合計20日以内に判断されます。
在宅事件扱いの場合は、厳格な時間制限があるわけではありませんが、送致から1ヶ月半前後で、起訴するかどうかが判断されます。
起訴されると、刑事裁判が開かれ、有罪か無罪かを判断し、有罪の場合には刑罰が言い渡されることになります。
日本での刑事裁判の有罪率は99%を超えており、起訴されれば有罪になる可能性が非常に高いといえます。
ただし、平成30年の刑法犯の起訴率は37.5%と低い水準です。
不起訴処分になれば、刑事裁判が開かれず、刑罰は科されることはありません。
無罪そのものとは違いますが、前科が付かないので結果的に無罪と同様の効果を得ることができます。
暴行事件は、親告罪ではないものの、被害者が被害届を取り下げる、告訴を取り消すなどの手続を行えば、高い確率で不起訴処分になります。
被害届を取り下げてもらうためには
暴行罪で前科をつけないためには、被害届を取り下げてもらうことが有効であるとお話ししました。
では、被害届はどのようにして取り下げてもらえるのでしょうか。
被害者に被害届を取り下げてもらうために有効な手立てが、示談です。
被害者に慰謝料等の損害賠償金を支払うことなどを条件に、被害届を取り下げることを認めてもらいます。
暴行事件では、被害者は怪我をしていませんので支払う損害賠償金のほとんどが慰謝料です。
示談交渉では、被害者と加害者が話し合い、慰謝料の金額や今後の接近禁止などの条項、そして被害届の取下げなどの諸条件を取り決めます。
被害者と加害者が直接行うこともできますが、顔見知りへの暴行以外は、加害者が被害者の連絡先を知ることは難しく、示談交渉自体に着手できないのが現実です。
なぜならば、被害者は加害者に連絡先を知られたくないと考えるからです。
加害者が被害者の連絡先を知らなければ、警察等の捜査機関に問い合わせるほかありません。
加害者が警察等に問い合わせると、警察は被害者に「加害者が示談のために連絡を取りたいと言っているが、連絡先を知らせても問題ないか」と確認します。
ほとんどの犯罪被害者は、加害者側に住所や連絡先などを知られることを嫌がりますので、加害者は連絡先を知ることすらできないのです。
しかし、弁護士からの示談交渉の申入れであれば、連絡先を知らせることを了承する加害者が多いです。
弁護士には守秘義務がありますので、被害者の了承なしに加害者本人に被害者の連絡先を教えることはないからです。
ですので、被害者に被害届の取下げをお願いしたい場合は弁護士に示談交渉を一任しましょう。
先ほどもお話ししたように勾留されていれば最長20日間、在宅事件であっても1か月半程度で、起訴・不起訴が決まってしまいます。
それまでに被害届を取り下げてもらわなければ、起訴される可能性が高まりますので、早急に示談交渉に着手しなければなりません。
暴行事件の弁護実績が豊富で高い交渉力を有する弁護士であれば、素早く示談交渉に着手して、示談が成立するまで粘り強く交渉可能ですので、なるべく早い段階で弁護士に連絡を取りましょう。
また、弁護士に弁護を依頼することは示談の成立によって不起訴処分が望めること以外にも以下のような、メリットがあります。
- 逮捕前に示談を成立させることで、逮捕や取調べを受ける可能性が低くなる
- 逮捕されていない場合は、弁護士が逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張することで在宅事件扱いになる可能性が高まる
- 逮捕後は、勾留阻止(身柄解放)のための弁護活動が行える
弁護士に依頼することで、身柄拘束を阻止できる、また示談の成立によって早期の身柄の解放が望めます。
まとめ
暴行罪で被害者に被害届の提出をされた場合は、身柄拘束や起訴を回避するために被害者との示談の成立が急がれます。
示談交渉は、当事者同士でも可能ですが迅速に示談を成立させることが求められる刑事事件においては、弁護士に依頼するのがベストです。
暴行事件の示談交渉を弁護士に依頼する場合は、暴行事件の弁護実績が豊富かつ、コミュニケーション能力が高い弁護士を選びましょう。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設