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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

横領と着服の違いを解説!横領罪の成立と発覚後の流れについて

刑事事件の弁護士相談

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他人から預けられた金銭を着服した場合、横領罪が成立する可能性があります。

しかし、横領罪とはどのような罪で、横領の容疑をかけられてからどのような流れで刑罰が科されるのでしょうか。また、法定刑や時効はどの程度なのでしょうか。

今回は、

  • 「横領」の定義、「着服」との違い
  • 横領の種類と法定刑・時効
  • 着服行為が発覚した後の基本的な流れや取るべき行動
  • 横領事件の解決を弁護士に依頼するメリット

を解説します。

横領と着服との違いとは?

「着服」や「横領」という言葉は、報道番組や新聞でよく目にします。

しかし、具体的に犯罪になる行為の内容はわからないという人が多いのではないでしょうか。

そこで、着服や横領はどのような行為を指すのか、両者はどのように違うのかを解説します。

また、着服と横領との違いについても確認しておきましょう。

1.横領とは

横領とは、他人の財物を無断で自分の物にすることです。

例えば、以下のような行為が横領に当たります。

  • 会社から預かった金銭を使い込む
  • 会社の金銭を自分の口座に移動する
  • 会社に売上額を少なく申告し、差額分を私的に使う

着服とは、他人の財物を無断で自分の物にすることを指します。

2.着服とは

着服は横領とほとんど同じ意味であり、いずれも人の財物を自分のものにする行為を指します。

両者の違いは「横領」が刑法にも規定された法律用語であるのに対し、「着服」という言葉は刑法上存在せず、法律用語ではないという点です。

基本的には「着服=横領」であると考えて差支えありません。

●横領と着服の違いまとめ

  • 横領と着服はほとんど同じ意味であり、いずれも人の財物を自分のものにする行為を指す。
  • 「横領」は刑法にある法律用語だが、「着服」という言葉は刑法上存在しない一般的な用語である点が異なる。

3.窃盗や背任との違い

他にも横領とよく似た言葉に、「窃盗」や「背任」があります。それぞれ、どのように異なるのでしょうか。

①横領と窃盗の違い

横領と窃盗の違いは、無断で自分のものとしたそのものが、誰の管理下にあったかという点です。

横領とは、自分の管理下にあった他人のものを無断で自分のものにすることをいいます。例えば、会社から預かり、自分の管理下にあった金銭を勝手に私用の用途で使い込む、他人から借りていたものを返さずに自分のものにする等の行為が該当します。

一方、窃盗は、他人の管理下にあったものを自分のものにすることをいいます。例えば、店頭に並んでいた商品を無断で自分のものにする行為などが該当します。

②横領と背任の違い

横領と背任は、自分を信用して委託した相手に対して損害を与えるという点で共通しますが、相手に損害を与える方法が異なります。

横領は相手のものを勝手に自分のものとすることで損害を与える行為です。

一方、背任は相手から任された任務に背いたことで損害を与える行為を指します。相手に対して何をしたのかという点で異なるのです。

横領の種類と法定刑・時効

横領には以下の3つの種類があります。

横領の種類 法定刑 根拠条文 時効
単純横領罪 5年以下の懲役 刑法第252条 5年
遺失物等横領罪 1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料 刑法第254条 3年
業務上横領罪 10年以下の懲役 刑法第253条 7年

それぞれの概要、法定刑、時効について詳しく説明します。

1.単純横領罪(横領罪)

単純横領罪は、自分が預かっていたり管理していたりするなど、事故自己が占有する他人の物を横領する場合に成立します。

例えば、人から預かった物を許可なく転売した場合です。

他にも、レンタル店で借りた CD や DVD を中古品として販売した場合も横領罪に該当します。

単純横領罪の法定刑は、刑法第252条で以下のように定められています。

自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

単純横領罪で有罪が確定した場合、罰金刑ではなく、必ず懲役刑が科せられます。

2.遺失物等横領罪について

遺失物等横領罪は、遺失物や漂流物やなど、占有を離れた他人の物を横領する犯罪行為です。

例えば、道で拾った財布を警察へ届けずに自分の物にした場合などが該当します。

遺失物等横領罪として起訴されて有罪が確定した場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料が処せられます(刑法第254条)。

3.業務上横領罪

業務上横領罪は、名称の通り、業務中に他人から預かったものを勝手に自分のものとすることをいいます。
ここでいう「業務」とは、「人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う行為」を指し、営利、非営利を問いません。会社の業務だけではなく、ボランティア活動やサークル活動なども含まれます。

業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役です(刑法第253条)。

4.横領罪の公訴時効

横領罪の公訴時効は、横領罪の種類によって異なり、以下のように定められています(刑事訴訟法第250条2項)。

  • 単純横領罪:5年
  • 遺失物横領罪:3年
  • 業務上横領罪:7年

公訴時効が過ぎると、起訴されることはありません。

横領・着服が発覚した後の流れ

横領・着服が発覚した場合の、刑事処分が下るまでの基本的な流れや逮捕される可能性について解説します。

1基本的な流れ

①発覚

財物の所有者が着服されていたことに気付くことで発覚するケースが最も多いです。

②被害者と話合い

被害者としては実際に財物を横領されたわけですから、解決のために被害額の弁償について話し合うことになります。

また、会社の従業員や役員が会社のお金を横領した場合(業務上横領罪が成立し得る場面)では、その後の会社からの処分(退職や減給など)についても話し合います。

③被害弁償について合意→被害弁償→退職の可能性も

横領行為はその会社の懲戒事由に該当するケースがほとんどですから、被害弁償のほか、会社を懲戒解雇となる場合や、自主退職を促されることによって会社を退職せざるを得ないかもしれません。

多くの場合では、まず損害賠償を求められます。横領したお金を、一旦その金額分返済するということです。

④被害弁償についての合意ができなかった場合は被害届提出、告訴の可能性

合意ができなかった場合や被害額が大きい場合は被害届を提出されることもあるでしょう。

⑤警察による捜査の後、検察官のもとへ事件送致(逮捕・勾留の可能性も)

逮捕・勾留の可能性もあります。

しかし、業務上横領では、会社・法人が被害者で、加害者が内部の人間です。

社内トラブルであるため、会社側はこのトラブルを公にするのを嫌う傾向にあります。

このため、刑事事件化せずに示談で解決しようとする会社も多いです。

示談は加害者側にとってはメリットが大きいものです。詳しくは下記の記事をご覧ください。

⑥起訴・不起訴が決定

検察官が起訴・不起訴を決定します。

⑦起訴された場合は刑事裁判を経て判決による処分の決定

刑事裁判の判決で処分が決定します。

解雇されるかどうかは、会社によって異なります。

会社の懲戒事由に記載されている場合は、解雇を免れることはできません。

送致までの時間と勾留期間

横領・着服が発覚した後は、まず被害者と被害弁償に関して話し合い、被害弁償に関して折合いがついた場合は刑事事件に発展しない可能性が高いです。

ただし、横領・着服した金額や内容によっては被害届を出される、もしくは刑事告訴をされるという可能性があります。

これらが端緒となって横領の捜査が開始され、場合によっては逮捕されます。

その後、検察官のもとへ事件が送致されるという流れになります。

逮捕された場合、48時間以内に検察官に事件送致されます。

その後、検察官から取り調べを受け、検察官が勾留を請求したうえで裁判官が勾留を認めると、さらに長期間身柄を拘束されてしまいます。

勾留期間は最長で20日です。

勾留期間の終了までに、検察官が起訴・不起訴を決め、起訴された場合は刑事裁判で有罪もしくは無罪が決定します。

逮捕された場合、長期の身体拘束を受ける可能性が高いので、早期に弁護士に相談して、弁護人に選任し、勾留阻止等身柄解放のための手続をとることが肝要です。

すべての横領事件が逮捕・起訴に至るわけではありません。

逮捕されない場合でも身柄を拘束されない「在宅事件」として捜査をされ、起訴・不起訴が決定されます。

起訴されると、在宅事件でも刑事裁判となるため、有罪もしくは無罪の判決が下されます。

横領・着服を弁護士に相談するメリットとは

横領・着服をしてしまい、被害届を出されたり告訴されたりした場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、具体的にどのようなメリットが得られるか説明します。

1.示談交渉をしてもらえる

弁護士に依頼すれば、代理人として示談交渉をしてもらえます。

示談交渉が成立すれば、起訴前であれば不起訴処分を獲得できる可能性、起訴後であれば減刑となる可能性が高くなります。

示談交渉は自分でも行うことできますが、被害者が応じないケースも多く、応じたとしても容易には進まないことが多いです。

特に業務上横領で、会社のお金や物を着服した場合、弁護士がいなければ、自分一人で会社側と話し合うことになります。一般の方が会社の役員や顧問弁護士と被害弁償の交渉をすることは非常に困難です。

経験豊富な弁護士に依頼すれば、横領事件の露見による企業や団体のイメージ低下等のリスクを説明してもらうなど、上手に示談交渉を進めてもらえる可能性が高いです。

2.懲戒解雇等の処分を免れられる可能性もある

勾留されて無断欠勤をしてしまうと就業規則等の規定により懲戒解雇処分となる可能性がありますが、弁護士に依頼して、被害者と早急に示談を成立させることができれば、勾留を回避できるかもしれません。

また、弁護士に依頼すれば、不当な懲戒解雇などが行われないよう会社側を監視しながら示談交渉を進めてもらえます。

横領罪についてよくある質問と回答

横領罪について、よくある質問に回答します。

1.横領したお金を全額返せば解決しますか?

被害者が被害届や告訴状を提出していれば、刑事責任を問われる可能性があるため、解決したとはいえません。

ただし、被害者に横領した分のお金を全額返すことができれば、民事上の損害賠償責任は果たせます。また、刑事責任を問われても、返金していない場合と比較して量刑が軽くなる可能性が高いです。

2.横領罪で実刑判決になる確率はどの程度ですか?

被害額が多額になる程、実刑判決になる比率が高くなる傾向があります。

法務省が平成9年に実施した「犯罪被害の回復状況等に関する調査」によると、被害額10万円以下の事案では実刑判決の比率がわずか9.1%であるのに対し、被害額が1,000万円を超える事案では72.7%と大きな差が生じています。

3.知らない間に同僚が横領する手助けをした場合、罪に問われますか?

同僚が横領をする手助けをした場合、幇助犯として逮捕される可能性があります。

横領の手助けをしていることを全く知らなかった場合、その事実を証明し、無実を主張する必要があります。そのためには、可能な限り早急に刑事事件に精通した弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、逮捕される可能性を見極めた上で、罪に問われないよう、適切な対処をしてもらえるはずです。

4.上司の横領を黙認している場合は罪に問われますか?

上司が横領しているのを知りながら、報復などが怖くて黙認してしまうという方もいらっしゃるかと思います。横領を黙認した場合、幇助犯とされる可能性はありますが、実際は、「上司が横領する現場を目撃したけれど、見て見ぬふりをした」というだけで罪に問われることはほとんどないでしょう。

ただし、罪に問われる可能性が全くないわけではないので、心配な場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、着服・横領による横領罪の成立と発覚後の流れについて見てきました。

着服・横領に手を染めてしまった、その疑いをかけられているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

業務上横領は、その性質上、比較的公にされにくい傾向にありますが、会社によっては即日届出を出している場合もあります。

そのような場合には、一度逮捕されてしまう可能性や長期間勾留されてしまう可能性もあるわけです。

不当な不利益を被らないためにも一刻も早く弁護士に依頼し、自分に少しでも有利になる行動の判断を煽ぐことが重要です。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件に関する問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。検察官や捜査機関の考え方を熟知している刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。