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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

私選弁護人の費用の内訳と相場・分割払いは可能?

私選弁護人の費用の内訳と相場・分割払いは可能?
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「身内が逮捕されてしまい、私選弁護人を選任したいが費用相場がわからない」
「事件に巻き込まれた大切な人を助けたいが、私選弁護人に支払える費用がない」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、私選弁護人と国選弁護人・当番弁護士との違い、刑事事件の弁護を私選弁護人に依頼するメリット、私選弁護人に依頼する場合の費用の相場と内訳、弁護士費用は比較的安く済む 高額になる可能性が高いケース、私選弁護士の費用を分割払いすることは可能かなどについて解説します。

刑事事件における私選弁護人とは

1.私選弁護人とは

刑事事件において被疑者や被告人の弁護活動を行う弁護士のことを弁護人といいます。弁護人のうち、被疑者や被告人やその家族により選任された弁護人のことを私選弁護人といいます。

2.国選弁護人との違い

国選弁護人は、現金や預貯金などの資力が50万円に満たず、私選弁護人に依頼することができない場合に依頼できる弁護士のことです。弁護士費用は自分で負担する必要はありません。ただし、私選弁護人と違い、依頼する弁護士を自分で選ぶことはできません
また、国選弁護人が選任されるのは、勾留後に限られるため、弁護活動の開始が遅くなります。

3.当番弁護士との違い

当番弁護士とは、逮捕・勾留後に一度だけ派遣を要請できる弁護士のことです。当番弁護士からは保障されている権利等、今後の捜査の流れについての説明やアドバイスを受けることができます。当番弁護士に私選弁護の依頼をすることもできますし、資力に関する条件を満たす場合は国選弁護人として選任することも可能です。

刑事事件の弁護を私選弁護人に依頼するメリット

私選弁護人に依頼する場合にかかる費用は決して安いとはいえません。しかし、刑事事件の結果は今後の人生に大きな影響を及ぼすため、私選弁護人に依頼するメリットは費用を上回る場合も多いです。

1.逮捕・勾留・起訴を回避できる可能性が高まる

私選弁護人に依頼する最大のメリットは、早期に弁護活動を開始することで、逮捕や勾留、起訴を回避できる可能性が高まることです。国選弁護人は勾留後または起訴後にしか選任されませんが、私選弁護人はいつでも委任することができます。
被害届の提出や告訴・告発があったことを知った時点など、逮捕前の段階で早急に弁護士に相談すれば、捜査への対応方法等のアドバイスを受けることができます。
さらに、起訴前に私選弁護人に依頼すれば、速やかに示談交渉を成立させることで不起訴処分となる可能性も高まります。私選弁護人への依頼は、早ければ早いほど有利だといえるでしょう。

2.刑事事件に精通した弁護士に依頼できる

私選弁護人は、刑事事件に精通した弁護士を自分で選んで依頼することができます。刑事事件において被害者との示談交渉や、保釈請求、検察官との交渉などを円滑に進めるためには、高い能力が必要です。したがって、刑事事件を専門に扱っている「刑事事件に強い弁護士」に依頼することは、最善の結果を得るために非常に重要なことだといえるでしょう。

3.弁護士との綿密な連携が可能

私選弁護人に依頼すれば、国選弁護人を選任した場合よりも綿密に状況を共有できます。国選弁護人の場合は、刑事事件が専門ではない場合や、通常業務に追われ、家族との連絡という付随業務については意識が向かないことも多いです。

私選弁護人に依頼する場合の費用の相場と内訳

2004年3月までは、日本弁護士連合会が定めた報酬等基準規程(旧日弁連規程)に従って報酬額を定めることが求められていましたが、弁護士法の改正に伴い、2004年4月からは原則として各弁護士が自由に報酬を設定できるようになりました。そのため、私選弁護しに依頼する際の弁護士費用は法律事務所によって異なります。また、事件の内容や難易度、依頼のタイミング等によっても費用は大きく異なります。弁護士費用の内訳と相場について説明します。

1.相談料

弁護士に法律相談をする場合にかかる費用のことです。1時間1万円程度が相場です。

2.着手金

着手金とは、弁護士に委任する際に支払う費用のことで、相場は20万円から50万円程度です。弁護士に依頼したことにより期待する結果が得られなかった場合でも、返金されることはありません。
刑事事件の着手金は一般的に起訴前と起訴後の二つの段階で必要となることが多いです。この場合、起訴前に解決できた場合は起訴前の着手金の支払いのみで済みますが、起訴された場合は追加で着手金を支払う必要があります。
また、事実関係を争い無実を主張する事件の場合は難易度が高いため、着手金が50万円以上という高額になる場合もあります。

3.報酬金

事件終了時に弁護活動による成果の程度に応じて請求される成功報酬のことで、各法律事務所の報酬規程に基づいて決められます。報酬規程の内容は法律事務所によって異なりますが、主な成果ごとの成功報酬の相場は以下のとおりです。

  • 不起訴処分:30~40万円程度
  • 執行猶予判決:30~40万円程度
  • 2割以上の減刑:10~40万円程度
  • 無罪:50万円~100万円程度
  • 勾留阻止:20万~30万円程度

報酬金の金額は、成果の程度や事件の難易度に応じて決まります。冤罪や正当防衛等により無罪を主張し、無罪判決を得た場合は、報奨金は高額になる傾向があり、100万円を超えることもあります。

4.接見費用

弁護士が接見に行く度に発生する費用です。相場は接見1回あたり3万円程度です。
接見の回数は、事件内容や担当する弁護士によっても異なりますが、平均的な回数は3回ほどです。着手金に数回分の接見費用を含めている法律事務所も存在します。

5.日当

弁護士が裁判所へ出廷する際や、示談や調査のために出張する際にかかる費用のことです。1日1~3万円が相場ですが、往復所要時間に応じた料金を設定している法律事務所もあります。

6.実費

事件解決のために実際にかかった費用のことです。通常は、事件終了後に報酬と併せて請求されます。

7.示談金

示談交渉が成立した際に相手に支払う、弁護士費用とは別に必要になるお金です。相場は事件の内容によって異なります。

不起訴処分となれば弁護士費用は比較的安く済む

刑事事件の私選弁護人の費用は、依頼のタイミングが早いほど安く済む可能性が高いです。特に示談を成立させて不起訴処分となった場合は、弁護士費用を安く抑えることができるでしょう。
相手方が示談交渉に応じてくれるかどうかわからない場合でも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が交渉することにより、示談に応じてもらえる場合も少なくありません。

弁護士費用が高額になる可能性が高いケース

否認事件や、公判が裁判員裁判になった場合など、難易度が高く、弁護士の力量にかかるところが大きい事件はどうしても弁護士費用は高額になります。

1.否認事件の場合

本人が嫌疑を否認している場合、解決のための弁護士費用は高額になる傾向にあります。特に、起訴された場合は、無罪判決を取ることが非常に難しいため、成功した場合の報酬は高額になることが多く、前述した通り100万円以上の報酬を請求されるケースも珍しくありません。
ただし、冤罪であると認められた場合には、国から補償を受けることができます。日本国憲法第40条において以下のように定められているからです。
”何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる“
補償内容については、刑事補償法において一日あたり1,000円から12,500円の範囲で補償を受けることができると定められています。

2.裁判員裁判になった場合

裁判員裁判対象事件は、重大かつ弁護人の負担が大きいため、弁護士費用は高額になる傾向があります。裁判員裁判は、集中審理のため、通常の刑事事件よりもかなり短い準備時間で公判に臨まなくてはなりません。また、裁判員裁判では、裁判員の印象に残る尋問や弁論を行うことが判決の行方に大きく影響するため、通常以上の高い能力が要求されます。

私選弁護士の費用を分割払いすることは可能か

私選弁護人を依頼する場合、ある程度の弁護士費用がかかることを覚悟しなければなりません。しかし、高額な弁護士費用を一括で支払えないという方は多くいらっしゃるかと思います。弁護士費用の分割払いの可否と注意点について説明します。

1.分割払いに対応している法律事務所もある

刑事事件を得意としている法律事務所の多くは、依頼者の経済的な事情を考慮して、分割払いに対応しています。法律事務所に相談に行った際に、分割払いに対応しているか確認してみるとよいでしょう。

2.分割払いの条件等を確認することが大切

分割払いに対応しているというだけではなく、全額分割払いが可能か、分割払いを利用するための条件がないかなども確認することをおすすめします。

まとめ

私選弁護人を選任する場合、刑事事件に精通した事務所を選ぶことは何より重要です。刑事事件に精通した弁護士に早期に依頼することで、逮捕や起訴を回避できるなど、最善の結果を得られることが期待でき、その結果、費用を抑えることもできます。大切な人が事件に巻き込まれてしまったら、できる限り早めに刑事事件に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されて不安を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。検察官や捜査機関の考え方や動き方を熟知している元検事の弁護士を中心とした刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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