万引きで逮捕されるとどうなる?逮捕条件や逮捕後の流れを解説
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記事目次
万引きは窃盗罪に問われる
万引きは、刑法235条窃盗罪となり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
窃盗罪となるのは、以下の4つの要件を満たしたときです。
- 他人の財物であること(他人が占有する財物であること)
- 窃取すること(他人の意思に反して自己の占有下に移すこと)
- 窃盗の故意があること(盗もうという意思で行ったこと)
- 不法領得の意思があること(利用したり処分したりする意思があること)
子どもが万引きをした場合の処分
14歳未満の子供が犯罪を犯しても、逮捕・勾留されることはありませんし、法律上刑罰を課されることはありません。
もっとも、警察官の判断で、児童相談所への通告が行われたり、児童相談所の判断で家庭裁判所に送致される場合があります。
14歳以上の子供が犯罪を犯した場合は、逮捕される場合があります。
また、勾留や、勾留に代わる監護措置として、身体拘束を受ける場合があります。
万引きは逮捕されるのか?
万引きは、窃盗罪として逮捕される可能性があります。
万引きをした現場を目撃されるなどして、その場で逮捕されるのが現行犯逮捕(刑事訴訟法212条1項、213条)、捜査を経て令状の発布を受け逮捕するのが通常逮捕(刑事訴訟法199条1項)です。
万引きの検挙率は約70%といわれていますので、被害届の提出等により捜査機関が万引き事案を認知し、捜査を開始した場合には、現行犯ではなくとも、後々逮捕されることは十分に考えられます。
現行犯逮捕と後日逮捕
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、実際に犯行に及んでいる、または犯行直後の犯人を逮捕することです。
逮捕状は必要なく、一般人でも逮捕することができます。
第212条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。 ② 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。 一 犯人として追呼されているとき。 二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。 三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。 四 誰何されて逃走しようとするとき。第213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。 |
簡単にまとめると、犯罪を目の前で起こした犯人を逮捕することです。
犯行現場を目撃した警察官や、万引きGメン、店員の他、買い物客等一般人でも逮捕することができ、万引きでの逮捕は、現行犯逮捕の割合が高いです。
後日逮捕(通常逮捕)
万引きの多くは、現行犯で逮捕され発覚します。
しかし、現行犯ではなくとも、証拠がそろえば、後日逮捕されることも少なくありません。
防犯カメラの映像や万引きした商品を転売しようとしたこと等から犯行が発覚するケース等があります。
被害額や常習性によらずとも、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあれば、逮捕されることは十分に考えられます。
後日逮捕の場合は、裁判所から逮捕状が発付されており、警察または検察により逮捕されます。
第212条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。 |
万引きは初犯と再犯で何が異なる?
処罰される可能性や、処罰されたときの軽の重さが変わります。
初犯とは、同種の犯罪(万引きや空き巣といった窃盗など)の前科がない場合を言います。
初犯であれば、起訴猶予となる可能性もあり、処罰されても、罰金や執行猶予となる可能性もあります。
しかし、再犯の場合、起訴猶予となる可能性は低く、処罰される場合も、過去の罪を反省していない点や、常習性等が明らかとなっているため、初犯の場合よりも重く処罰される可能性は高まります。
万引きで逮捕されるとどうなる?その後の流れ
逮捕
現行犯逮捕の場合
現行犯逮捕は私人でもできるため、店員、警備員などが万引きを見つけて、現行犯逮捕することが考えられます。
その後、警察に通報され、犯人は警察官に引き渡され、警察署に連行されます。
後日逮捕の場合
防犯カメラ等の映像から万引き行為や犯人が特定された場合、裁判所が発布する令状にもとづいて、後日逮捕されることが考えられます。
ある日突然警察が家を訪れて、そのまま逮捕され警察署に連行されることが多いです。
弁護士を呼ぶタイミング
国選弁護人がつくのは、勾留されて以降です。
もっとも、逮捕された場合でも、弁護士を呼ぶことができます。
- 当番弁護士
逮捕段階でも、1回無料で弁護士を呼ぶことができる制度です。ただし、弁護士を選ぶことはできません。 - 私選弁護人
自分で弁護士を選任すれば、この段階から弁護人をつけることができます。ただし有料です。
逮捕後
逮捕された場合、逮捕から48時間以内に、検察官送致となるか、一旦釈放となるかが決まります。
その間は、留置場に入りながら、取調べ等を受けることになります。
被害額が小さい場合や、逃亡・罪証隠滅のおそれ等がない場合は、一旦釈放となり、在宅事件として捜査されることもあります。
その一方、身柄拘束の必要性が高い事件では、そのまま検察官送致されます。
検察官送致後
検察庁で、検事の取り調べを受け、検事が裁判所に対し、勾留請求するか否かを決定します。
勾留請求するか否かは、被疑者に罪証隠滅のおそれがあるか、逃亡のおそれがあるか、定まった住居があるか、という観点で判断されます。
勾留請求しない場合は、一旦釈放となり、在宅事件として捜査されます。
裁判所は、勾留の理由があるかを判断し、勾留するか否かを決めます。
裁判官が勾留決定をすると、10日間身柄が拘束され、捜査が継続します。
勾留延長
10日間の勾留期間では捜査が終わらなかった場合は、検察官は、裁判所に対し、勾留延長を請求します。
裁判官は、勾留延長理由があるかどうか判断し、その理由があると認める場合には、最大10日間の勾留延長の決定をします。
処分決定
検察官は、勾留満期までに、被疑者をどのような処分にするか決定します。
刑事裁判にする場合は、起訴されることになりますが、裁判にも、2種類存在します。
- 略式裁判
100万円以下の罰金を科すときに使われる、簡易的な裁判 - 正式裁判
法廷で行われる、正式な裁判
略式裁判にするか正式裁判にするかは、検察官が判断します。
略式裁判となった場合は、勾留終了と同時に釈放されますが、正式裁判となった場合、刑事裁判が終了するまで、身体拘束が続きます。
起訴された被疑者は、被告人と呼ばれ、刑事裁判が終了するまでの身体拘束は、被告人勾留と呼ばれます。
被告人勾留による身体拘束を解くためには、保釈請求をする必要があります。
刑事裁判
正式裁判が開かれ、裁判官が判決を下します。
被告人勾留が続いている状態で裁判が行われた場合、執行猶予判決となれば、その場で釈放となりますが、実刑判決となった場合は、そのまま刑務所にいくことになります。
万引きで逮捕されたらどんな影響があるか
逮捕され、勾留された場合、最長で23日間の身体拘束がなされる可能性があります。
この間、仕事や学校に行くことはできませんので、日常生活に支障をきたすおそれがあります。
会社や家族、親族、友人などから社会的な信頼を失うリスクは少なくありませんし、無断欠勤が続いてしまったり、逮捕されたことが発覚することで、解雇や退学といった結果に繋がる可能性も否定できません。
万引きしてしまった場合にすべきこと
盗んだものを返す・謝罪する
逮捕される前であれば、盗んだものをお店へ返したり、弁償するなどして、逮捕されるリスクを軽減することができます。
また、被害届を出す前であれば、弁償等により通報しないという選択をしてくれる可能性もあります。
示談する
被害届提出後であっても、被害者が、示談によって被害届を取り下げてくれたり、処罰を望まないという意見を出してくれることにより、不起訴処分となる可能性があります。
示談をするには、弁護人が被害者との間で、示談交渉を行う必要があります。
不起訴処分となった場合には、前科はつきません。
できる限り早く弁護士に相談する
相談が早いほど、取れる選択肢が多くなります。
先述の示談交渉も、弁護士が間に入ることでスムーズに進められる可能性が高まります。
万引きしてしまい、逮捕を回避したい場合には、早めに相談しましょう。
万引きで困った際は弁護士に相談すべき
「万引き」という言葉からは軽い印象を受けるかもしれませんが、窃盗罪という立派な犯罪です。
前科をつけず、日常生活に影響を及ぼさないためには、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
たとえ、罰金や科料などの軽微な処罰だったとしても、有罪判決を受けている以上、前科がついてしまい、今後の生活に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
今まで通りの日常生活を早く取り戻すためには、いち早く被害者と示談することで、不起訴処分を獲得する事が重要です。
弁護士は法律と交渉の専門家です。
刑事事件で不起訴処分を獲得するノウハウを熟知しているため、個人で交渉するよりも、被害者にとってメリットの大きい結果をもたらしてくれる可能性が高いです。
まとめ
万引きは窃盗罪として逮捕される可能性があります。
たとえその場で逮捕されなかったとしても、後日逮捕されることも十分にあり得ます。
逮捕されてしまうと、最長で23日間拘束されるため、日常生活に支障をきたしてしまいます。
逮捕や前科を回避するには、迅速かつ的確な対応を、早い段階で行う必要があります。
交渉能力が高く、刑事事件の示談交渉実績が豊富な弁護士であれば、社会的影響を最小限に抑えることができるでしょう。
万引きで困った際は、なるべく早く弁護士へご相談ください。
- 得意分野
- 刑事事件、一般民事
- プロフィール
- 慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
北海道大学法学研究科法律実務専攻 修了
検事任官、検察庁で執務
検事退官後弁護士登録、法律事務所にて執務
東京スタートアップ法律事務所入所