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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

接見禁止とは・接見禁止を解除する方法や手紙を渡せない場合の対処法

接見禁止とは・接見禁止を解除する方法や手紙を渡せない場合の対処法
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「家族が逮捕された後、接見禁止されていて、面会どころか手紙さえも渡せない場合、どうやって本人と連絡を取ればいいのだろうか」

「接見禁止を解除する方法があるなら知りたい」

身近な家族が突然逮捕されて接見禁止とされた際、このような疑問をお持ちになる方は多いのではないでしょうか。

今回は、接見禁止の法律上の定義、接見禁止された場合に受ける制限の内容と期間、家族が逮捕されて接見ができない場合の対処法、接見禁止を解除する方法などについて解説します。

接見交通権と接見禁止

まずは、接見交通権と接見禁止という概念の法律上の定義について説明します。

1.接見交通権とは

犯罪容疑で逮捕された被疑者は、弁護人又は弁護人となろうとする者と、立会人なしで接見することや、書類や物の授受をすることができます

被疑者は、逮捕から送検・勾留までの最大72時間の間は弁護人以外との接見は認められませんが、勾留された場合は、法令の範囲内で弁護人以外の者でも接見が認められます。

したがって、勾留された場合は、勾留場所である警察署等を訪れた家族や友人等との面会や、書類・差し入れ等の受け渡しは可能になることが原則です。

2.接見禁止とは

接見禁止とは、勾留された被疑者・被告人が「逃亡し、又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に、検察官の請求または裁判官自身の職権により、勾留されている被疑者・被告人に認められた「弁護人以外の者との接見交通」や、書類やその他の物の授受を禁止する処分をいいます。

なお、この接見禁止の処分は、検察官・検察事務官又は警察官が起訴前に被疑者と弁護人との接見の日時・場所・時間を指定することができる「接見指定」(刑訴法第39条3項)とは異なります。

接見禁止がなされる場合の多くは、検察官が裁判所に対して勾留状請求を行う際に「接見禁止が相当である」旨の意見書を付して請求を行い、裁判所が「相当な理由」があると認めた場合に、勾留状発行とともに接見禁止処分が行われます。

接見禁止される主な理由

被疑者は、勾留されると起訴前に最大20日間に渡り身体拘束され、起訴された場合も再び勾留される可能性があります。

身体拘束が続く被疑者の人権保障上重要な「弁護人以外との接見交通」の権利を奪う接見禁止が認められるためには「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の理由」(刑訴法第81条)があることが必要です。

勾留されている被疑者・被告人は厳重な監視下に置かれているため「逃亡するおそれ」がある場合はかなり稀です。

「相当な理由」があると認められやすいのは、以下のような証拠隠滅のおそれが高い状況にある場合です。

1.共犯者がいる事件である場合

一般的に、組織犯罪や共犯者がいる事件では、逮捕されていない共犯者や組織の関係者と被疑者との間で、口裏合わせや証拠隠滅の指示等が行われるおそれが強いため、相当な理由があると認められる可能性が高いです。

特に、最近多発している振り込め詐欺事件ではほとんどの場合、接見禁止処分が出されます。

2.被害者や目撃者を威迫する可能性がある場合

被害者や目撃者を威迫する可能性がある場合も、相当な理由があると認められる可能性が高いです。

単独犯の事件でも、被疑事実や被疑者の素行などから、被疑者が友人や知人を利用して被害者や目撃者を威迫し、事実通りの証言をさせないように仕向けるおそれがある場合は相当な理由があると認められる可能性があります。

3.家族に家の中等の証拠物を捨てさせるおそれがある場合

家族に家の中等の証拠物を捨てさせるおそれがある場合も、相当な理由があると認められる可能性が高いです。

また、被疑者が家族と同居している等、面会に来た家族に命じて自宅にある証拠物を捨てさせるおそれがある場合も、相当な理由があると認められる可能性があります。

接見禁止された場合に受ける制限の内容と期間

接見禁止された場合、具体的にどのような制限を受けるのでしょうか。

また制限を受ける期間はいつまでなのでしょうか。具体的な制限の内容と期間について説明します。

1.弁護人以外との面会は一律禁止

勾留中の被疑者に対して接見禁止の処分がなされた場合、弁護人以外との面会は一律に禁止されることになります。

そのため、家族や勤務先等への連絡は全て弁護人に依頼することになります。

2.書類その他の授受は認められる場合もある

書類やその他の物の授受については、場合によって認められる可能性があります。

また、警察署や拘置所内で必要な買い物ができる程度の現金、衣類、書き込みのない書籍などの差し入れは認められる場合が多いです。

3.接見禁止処分の期間

「逃亡又は証拠隠滅のおそれ」は捜査の終了時まで続くとみなされるため、接見禁止処分が行われた場合の明確な期間制限は定められていません。

ただし、起訴前勾留の場合は起訴と同時に接見禁止が解除されることが多いです。

もっとも、共犯者がいる事件で被疑者本人が起訴された後も共犯者の捜査が継続している場合は、他の共犯者の捜査が終了するまで接見禁止処分が解除されない可能性があります。

家族が逮捕されて接見ができない場合の対処法

家族が逮捕されて勾留されると同時に接見禁止処分を受けた場合、親、兄弟、配偶者、子供などの近しい親族であっても本人との面会ができなくなります。

本人との連絡を途絶えさせないためには、以下のような手段を取ることができます。

1.接見禁止の制限内容を弁護人に確認する

被疑者の家族は、被疑者に対して出された接見禁止処分の内容を弁護人に確認することができます。

手紙が認められている場合は差し入れ品と手紙を渡してもらうことにより、被疑者本人に伝えたいことを伝えることができます。

また、手紙が認められていない場合でも、認められている差し入れ品がある場合は、弁護士を通して差し入れしてもらうことにより本人を支援することができます。

2.弁護人を通して可能な限りの意思伝達を行う

手紙が認められていない場合、家族からの意思伝達は専ら弁護人を通して行うことになります。

弁護人は被疑者との接見が原則として無制限に認められているので、弁護人を通して、連絡事項や励ましの言葉など、可能な限りの意思伝達を行うようにしましょう。

接見禁止を解除する方法

被疑者本人の家族が次にとりうる手段として、接見禁止の解除に向けた手続があります。

解除が認められない場合でも、以下の勾留理由開示請求を行うと公開法廷で被疑者と顔を合わせることができます。

1.準抗告・抗告

接見禁止処分への対応としては、裁判所に対して準抗告や抗告といった申し立てを行う方法が考えられます。

接見禁止処分に対して準抗告や抗告が認められるケースは多くはありませんが、被疑者が被疑事実を認めない場合(否認事件)で検察官が対抗手段のような形で接見禁止請求をしていたような場合に準抗告が認められることもあります。

2.接見禁止の一部解除申立て

接見禁止の一部解除申立ては法的に認められた制度ではなく、裁判所に対する非公式の要請として事実上認められている手段です。

同居している家族のみに対して接見禁止を解除してもらう旨の申立ては比較的認められやすいといえます。

3.準抗告・接見禁止の一部解除申立てが認められなかった場合

準抗告や接見禁止の一部解除申立てが認められなかった場合は、禁止処分そのものを解くことはできませんが、勾留理由開示請求を行うと裁判所は公開の法廷で勾留理由開示を行うことになります。

これにより、勾留理由開示請求者は法廷で意見陳述を行うことが可能になります。

弁護士に相談するメリット

家族が逮捕されてしまった場合、逮捕直後から勾留までの最大72時間は弁護士でなければ本人との面会ができません。

また、勾留された場合に接見禁止処分となる可能性も少なくないため、起訴前に限っても最大3週間余りの間、家族と顔を合わせることが困難になるおそれがあります。

唯一、身体を拘束された被疑者と面会し、法律面や精神面でサポートすることができるのは弁護士です。

1.弁護士は逮捕直後でも接見可能

弁護士は被疑者の関係者では唯一、逮捕直後でも接見することが可能です。

刑事事件を受任している多くの法律事務所は深夜・早朝でも相談に対応しているので、即時に接見に駆けつけることができます。

否認事件や、突発的な感情で暴行してしまった傷害事件等、逮捕されたことで強い不安を感じている被疑者にとっては逮捕直後に接見に来てくれる弁護士の存在は大きな心の支えとなります。

2.弁護士だけが制限なく面会可能

接見禁止処分が出されず家族等が面会可能な場合であっても、被疑者を勾留している警察署ごとに面会可能日時が決められています。

通常は平日の昼間に限定され、家族や関係者が動きやすい土日や祝日は面会できないことも多いです。

これに対して被疑者と弁護人との接見交通権は法的に保障されているので、資格を持つ弁護士は、平日祝祭日・時間帯を問わず何時でも、また何度でも被疑者と接見することが可能です。

まとめ

今回は、接見禁止の法律上の定義、接見禁止された場合に受ける制限の内容と期間、家族が逮捕されて接見ができない場合の対処法、接見禁止を解除する方法などについて解説しました。

被疑者が逮捕されて勾留され接見禁止処分が出た場合、被疑者の家族がまずとりうる手段として弁護士に連絡して面会以外の禁止内容を確認し、認められている範囲の差し入れ等を行うことがあります。

特に書類の授受が禁止されている場合は手紙をやり取りすることができなくなるので、弁護士を通して連絡事項や励ましの言葉等を伝えてもらうことは本人を精神的に支えるために非常に大切です。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されたなどの問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
人生で弁護士に相談するような機会は少なく、精神的にも相当な負担を抱えておられる状況だと思います。そういった方々が少しでも早期に負担を軽くできるよう、ご相談者様の立場に立って丁寧にサポートさせていただきます。
得意分野
企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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