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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

刑事裁判の流れ|刑事事件の判決が出るまでの動きや期間を簡単に解説

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犯罪行為が発覚すると、警察や検察による捜査を受け、場合によっては逮捕・勾留を経て、その後裁判所に起訴されて刑事裁判を受けます。

自分や身近な方が刑事事件を起こしてしまった場合、捜査でどのような扱いをされるのか、刑事裁判はどのような流れで進むのかは気になるところでしょう。

逮捕・勾留されている間は会社や学校に行けなくなるため、捜査が終わるまでの期間や刑事裁判で判決が出るまでの期間も気になることと思います。

今回の記事では、刑事事件で逮捕されてから判決が出るまでの流れと期間について分かりやすく簡単に解説していきます。

刑事事件の流れ

刑事事件で逮捕されてから刑事裁判の判決が言い渡されるまでの全体の流れが以下です。

1. 逮捕される
2. 警察の取調べ
微罪処分
釈放
3. 検察の取調べ
勾留なし
釈放
4. 勾留される
不起訴処分
釈放
5. 起訴
勾留なしでも刑事裁判になる場合
6. 刑事裁判
有罪 無罪

それでは、逮捕後の流れを、順を追って説明していきます。

逮捕

1. 逮捕される
2. 警察の取調べ
微罪処分
釈放
3. 検察の取調べ

逮捕

逮捕は通常、警察によって行われます。

警察の取調べ

逮捕されると、被疑者として警察官から取調べなどの捜査を受けます。

警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に検察官に送致しなければならないため、制限時間内にできる限りの事情を被疑者から聞き出そうとします。

この段階でそれなりに容疑を固めなければ後の勾留手続ができなくなってしまうため、被疑者の自白を得ようとして厳しい取調べが行われることもよくあります。

その後、警察は逮捕してから48時間以内に、それまでの捜査資料と共に被疑者の身柄を検察に送致します。

検察からの取調べ

送致を受けた検察官はさらに取調べなどの捜査を行い、身柄の拘束を続ける必要がある場合は24時間以内に裁判所へ勾留請求をします。

時間が限られていることもあり、警察同様、引き続き検察官から厳しい取調べを受けることもあります。

ここまでの最大合計72時間が「逮捕」に当たります。

逮捕中の注意点

この間は家族との面会は原則として認められません。

しかし、逮捕中でも弁護士は面会ができるのが特徴です。

捜査の初期の段階で半ば強引に自白を取られることは十分に考えられます。

不起訴処分や無罪を獲得するためには、少しでも早く弁護士に面会し、アドバイスを受けることが大切です。

勾留

3. 検察の取調べ
勾留なし
釈放
4. 勾留される

検察官が被疑者の身柄拘束の継続が必要と判断した場合は、裁判所へ勾留請求をします。

勾留請求がされない場合は、そのまま釈放されます。

検察からの勾留請求がされた場合には、裁判官からの質問を受けます。

これを「勾留質問」と言います。

一時的に裁判所へ行き、本当に勾留が必要かどうか、裁判官に判断してもらうのです。

勾留が決まると10日間、身柄の拘束が続きます。

警察署の留置場で勾留されることが一般的です。

10日間で捜査が終わらない場合はさらに最大10日間まで勾留が延長されることがあります。

合計で最大20日間、身柄を拘束された状態で警察や検察による取調べなどの捜査を受けなければなりません。

勾留中の注意点

  • 自白を得るために厳しい追及を受けるようなことはありません。
  • 勾留が決まると10日間、身柄の拘束が続き、10日間で捜査が終わらない場合はさらに最大10日間まで勾留が延長されることがあります。
  • 逮捕段階で弁護人がついていない場合は、勾留後は1日でも早く弁護士のサポートを受けなければ不本意な自白を取られてしまい、不当に重い判決を受けてしまうおそれもあります。
  • 勾留中は家族との面会も認められますが、「接見禁止」がついた場合は弁護士以外との面会は禁止されます。
  • 共犯者がいる場合や被疑者が容疑を否認している場合に「接見禁止」がつきやすい傾向にあります。このような場合は弁護士によるサポートの必要性が高いので、できる限り早期に弁護人を選任することが重要です。
    ※軽微な事件の場合は微罪処分として勾留されずに釈放されることもあります。
  • 交通事故で刑事事件になった場合のように悪質性が低く、逃亡や証拠隠滅の可能性が低い時は勾留されず、在宅のまま捜査を受けて起訴される場合もあります。

勾留中に不起訴を目指す場合

起訴される前に被害者と示談が成立したような場合には、不起訴となって釈放されることもあります。

勾留されていると自分では示談交渉ができないため、弁護人を選任して示談交渉をしてもらう必要があります。

起訴

4. 勾留される
不起訴処分
釈放
5. 起訴

被疑者が勾留された場合、検察官は最大で20日以内に捜査を終えた上、刑事裁判を起こさなければなりません。

検察官が刑事裁判を起こすために裁判所に訴えることを公訴提起、「起訴」とも呼びます。

起訴と同時に釈放されて在宅で刑事裁判が始まるのを待つケースもありますが、起訴後も勾留が続く場合もあります。

起訴後の最初の勾留は2ヶ月、それ以降1ヶ月ずつ更新されて刑事裁判が終わるまで身柄拘束が続くのが通常です。

保釈請求について

ただ、起訴後の勾留中には保釈の請求が可能です。

保釈とは、保釈保証金を国に預けることによって一時的に身柄拘束を解いてもらう制度のことです。

保釈保証金の金額は被告人の経済力等に依存しますので、有名人やお金持ちの場合は数千万円~数億円といった高額であることもありますが、一般的な相場としては100万円~300万円程度です。

保釈保証金は、刑事裁判が終わった後に返還されます。

たとえ、有罪判決を受けてしまっても返還されます。

ただし、保釈中は決まった住所に住まなければならなかったり、旅行する場合は裁判所の許可を得なければならなかったりなどの様々な条件がつけられるのが通常です。

これらの条件を違反せずに過ごすことが保釈の条件です。

保釈の条件に違反してしまった場合や逃亡した場合、罪の証拠を隠滅しようとする行動が見られた場合などは、保釈保証金を没収されることがあるので注意が必要です。

起訴中の注意点

  • 起訴後の最初の勾留は2ヶ月、それ以降1ヶ月ずつ更新されて刑事裁判が終わるまで身柄拘束が続くのが通常です。
  • 起訴後の勾留中には保釈の請求が可能であり、一般的な相場として、100万円~300万円程度を支払う。
  • 有罪であっても無罪であっても返金される
  • ただし、保釈中は決まった住所に住まなければならないなどの様々な条件がつけられ、違反した場合は、保釈保証金は没収される。

刑事裁判

6. 刑事裁判
有罪 無罪

起訴されると、刑事裁判を受けることになります。

裁判の種類や流れに関しては、次段落以降で説明していきます。

日本においては、起訴されると99%以上の確率で有罪判決を受けます

したがって、前科や刑罰を避けるためには起訴されるまでの捜査段階で弁護士のサポートを受けることが非常に重要です。

刑事裁判前の注意点

前科や刑罰を避けるためには起訴されるまでの捜査段階で弁護士のサポートを受けることが非常に重要です。

【図解付き】裁判の種類

刑事裁判には大きく分けて略式起訴による「略式裁判」と公判請求(正式起訴)による「公判」の2種類があります。

略式起訴

比較的軽微な事件で罰金刑が相当であり、被疑者も罪を認めている場合は略式起訴によって略式裁判が行われます。

略式裁判では法廷で裁判が開かれることはなく、検察官が裁判所に提出する書類だけで審理が行われ、罰金刑が言い渡される裁判手続です。

交通法規に違反して裁判所に呼び出されるケースが典型的ですが、勾留されて捜査を受けた場合でも略式起訴されるケースがあります。

略式起訴されると、起訴当日に罰金を納めて釈放されるのが通常です。

公判請求されると長期間の勾留が続くことが多いので、略式起訴に同意して刑事事件の手続を終了させるのもひとつの解決方法といえます。

公判請求

多くの場合は公判請求(正式起訴)されて、法廷で正式な刑事裁判(公判)が開かれるのを待つことになります。

起訴されてから刑事裁判が始まるまでには1~2ヶ月の期間があります。

少しでも刑を軽くするためにはこの間に被害者と示談をしたり、仕事や学業の環境を整えておいたりするなどが重要です。

国選弁護人が来るのを待っていると裁判までにこれらの活動が間に合わないおそれもあります。

したがって、捜査が終了した後も弁護士による早期のサポートは重要です。

なお、重大事件や被告人が容疑を否認している場合は裁判が長期化することもありますが、多くの場合は1~2回の公判で刑事裁判は結審します。

起訴されてから判決の言い渡しまでの期間は3ヶ月程度となるケースが大半です。

無罪判決や有罪の場合でも執行猶予つき判決が言い渡されると勾留の効力は消滅し、その場で身柄が釈放されます。

実刑判決が言い渡された場合は、引き続き勾留されたり、裁判所の裁量で保釈されたりします。

略式起訴 公判請求
該当する場合 ・比較的軽微な犯罪である場合
・罰金刑が相当である場合
・被疑者も罪を認めている場合
その他ほとんどの場合
裁判後の流れ 起訴当日に罰金を納めて釈放されるのが通常。 1〜2回の公判がある。長期間の勾留が続くことが多い。

刑事裁判の流れ

ほとんどの方は今までに刑事裁判を受けた経験はないでしょう。

刑事裁判の様子はテレビドラマなどで描写されることもありますが、実際の裁判は少し異なります。

まず、刑事裁判の全体的な流れを図で示すと以下です。

冒頭手続き ・人的質問
・起訴状の読み上げ
・黙秘権の説明
・罪状認可について確認
証拠調べの手続き ・検察官からの冒頭陳述
・弁護士からの冒頭陳述
・公判前整理手続きの結果、朗読
・証拠しの取調べ
・証人尋問、被告人質問
検察による論告 ・検察による論告と求刑
弁論手続き ・弁論側による最終弁論
被告人からの発言 ・被告人からの最終意見の陳述
結審 ・結審後、判決が出る

刑事裁判の流れを時系列に沿ってご紹介します。

冒頭手続

人定質問

公判が開廷されると、まずは被告人が人違いでないかを確認するために人定質問が行われます。

裁判官から氏名・生年月日・住所・本籍・職業を質問されるので、1つ1つ答えます。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 本籍
  • 職業

起訴状の読み上げ

人定質問が終わると検察官が起訴状を読み上げます。

起訴状には公判で審理される犯罪事実と罪名、適用される罰条が簡潔に記載されています。

検察官が読み上げるのをその場で聴くだけでは理解しづらいかもしれません。

起訴状は被告人にも起訴された数日後には送付されるので、あらかじめよく読んでおきましょう

黙秘権の説明

審理が始まる前に、裁判官から黙秘権の説明があります。

言いたくないことは言わなくても良いこと、言わないことで不利に扱われることはないことなどが説明されます。

黙秘権を行使せずに発言した内容は有利・不利を問わず判決を言い渡すための証拠として採用されることがあることも説明されます。

罪状認可について確認

罪状について、被告人の意見を問われます。

罪を認めるのか、認めないのか、反省の意思があるのかはここで裁判官に伝えます。

証拠調べの手続

以上の手続で審理する内容が確定され、次に検察官・弁護人それぞれの主張を証拠で証明する手続に入ります。

検察官からの冒頭陳述

検察官がどのような事実を証拠で証明するのか、その事実をストーリー仕立てで説明します

この時は、起訴状に記載された犯罪事実よりも詳細に、様々な関連事実も述べられるので、よく聞いておく必要があります。

弁護人からの冒頭陳述

弁護人も冒頭陳述を行います。

ですが、検察官が主張した事実を覆すだけになってしまうため、冒頭陳述を行わないケースも多くあります。

一定の重大事件では弁護人も冒頭陳述を行います

公判前整理手続の結果、朗読

裁判員裁判などでは、公判が行われるのに先立って、裁判官・検察官・弁護人との間で「公判前整理手続」という争点や証拠の整理手続を行うことがあります。

これが行われていた場合には、その結果の確認を行います。

証拠調べ

検察官は冒頭陳述を行った後、裁判所に証拠調べの請求をします。

検察官が証拠調べの請求をした証拠のうち、弁護人が同意したものがその場で裁判所に提出され、その証拠の内容が調べられます。

弁護人が同意しなかった証拠はその場で提出されず、別の方法で証拠調べが行われます。

例えば、被告人が捜査段階で作成された供述調書の内容に異議がある場合、まずは法廷で被告人質問が行われます。

その結果によって供述調書を証拠として採用するかどうかを裁判所が判断します。

検察官が提出した証拠を一通り調べ終わったら、弁護人も証拠調べ請求をします

無罪を主張する場合は、そのことを裏付ける証拠が必要になりますが、被告人が罪を認めている場合は、主に情状のための証拠が提出されます。

多くの場合は示談書や示談金を支払った際の領収書・振込明細書などが中心です。

証人尋問・被告人質問

証拠書類や証拠物を調べ終わった後、証人尋問や被告人質問が行われます。

証人としては目撃者や事件の関係者が出廷することもありますが、被告人が罪を認めている場合は家族や知人、仕事や学校の関係者の中から1~2名出廷する場合が多いです。

このような証人のことを「情状証人」と呼び、被告人の人となりや反省状況、今後の監督体制など被告人にとってプラスとなる情状を証言してもらいます。

その後に被告人本人も尋問を受けますが、刑事裁判では本人の尋問のことを「被告人質問」と呼びます。

被告人質問では自分で自由に話すのではなく、弁護人・検察官・裁判官からの質問に回答する形になります。

言いたいことがある場合はあらかじめ質問内容を弁護人と打ち合わせておくことが大切です。

検察による論告と求刑

検察官が証拠によって証明できたと考える事実を述べます。

これを論告と言います。

そして、その犯罪事実に適用すべきと考える量刑を述べます。

これを求刑と言います。

弁論手続

検察による求刑があった後、弁護側による最終弁論の機会が与えられます。

ここでは、証拠調べの手続きで述べた内容ではなく、検察側の求刑を踏まえての発言が求められます。

被告人からの発言

検察官が読み上げた起訴状の犯罪事実のなかで間違っている点があるかどうかを裁判官から質問されます。

間違いがある場合は、どこがどう間違っているのかを具体的に説明することになります。

ただ、その後に弁護人が起訴状の犯罪事実が間違っている点や法律的な主張を述べてくれるので、自分でうまく説明できなくても気にする必要はありません。

起訴状の犯罪事実に間違いがなければ、被告人も弁護人も「間違いありません」とひと言答えるだけで足ります。

結審

一連の流れが終わると、被告人が最後に意見を述べます

その後、弁護人からも証拠調べの結果をまとめて量刑に関する意見を述べます(弁論)。

開廷からここまでの手続が、犯罪事実に争いのない場合は1期日で終了するのが通常です。

時間にすると40分~1時間程度です。

判決言い渡し

以上の審理に引き続いてその場で判決が言い渡される場合もありますが、通常は1~2週間後に判決言渡しのための期日が開かれます。

無罪判決や執行猶予つき判決が言い渡された場合は、その場で釈放されます

実刑判決が言い渡された場合は引き続き身柄を拘束されます。

保釈されていた場合も改めて身柄が拘束されます。

判決は言い渡された日の翌日から2週間で確定します。

控訴する場合はその期間内に控訴状を判決言い渡しの裁判所へ提出する必要があります。

刑事裁判が終わるまでの期間は?

起訴 2〜3ヶ月
第一回公判
第二回公判

「第1回公判」で先ほどご説明した人定質問~論告・求刑までが行われ、「第2回公判」で判決が言い渡されるケースが大半です。

この場合、長くても起訴から2~3ヶ月で刑事裁判が終わるのが通常です。

ただし、検察官が主張する犯罪事実に争いがある場合は証拠調べ手続に手間がかかるため、公判の回数が増えます。

その場合、おおむね月に1回のペースで公判が開かれるため、6ヶ月~1年以上かかるケースもあります。

早く刑事裁判を終わらせたいからといって罪を認めるのは禁物ですが、長期間勾留されると精神的・身体的にも経済的にも負担が大きくなってしまいます。

弁護士のサポートによって保釈を勝ち取ることも大切です。

まとめ

刑事事件では、逮捕されてから刑事裁判が終わるまで警察や検察といった国家権力から追及を受けることになります。

一人で国家権力に立ち向かうことは非常に難しいと言えます。

起訴を避けたり、刑罰を軽くしたりするためには弁護士によるサポートは必要不可欠と言えるでしょう。

特に、逮捕された当初の取調べで厳しい追及を受けて不本意な自白をしてしまうと、後でそれを覆すことは極めて困難です。

自分が刑事事件の加害者になってしまった際は勿論、身近な方が逮捕されてしまった時には、少しでも早く弁護士に相談することをおすすめします。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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