傷害事件の慰謝料相場!支払わないとどうなる?未成年の場合も解説
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記事目次
傷害事件を起こした加害者が、刑事裁判によって有罪判決を言い渡されると刑事罰を受けることになりますが、それとは別に被害者から損害賠償を請求されることがあります。
そこで、今回は被害者に支払う損害賠償金の内訳や慰謝料の相場などを解説します。
また、どのような場合に傷害事件で逮捕されるのか、逮捕されてからの具体的な流れなどを知りたい方はぜひこちらの記事を参考にしてください。
傷害事件とは
傷害事件とは、「他人の身体に傷害を与えた事件」を言います。
暴力などによって他人に怪我をさせたり、病気を発症させたりするようなケースです。
- 殴って怪我をさせた
- 刃物で切りつけた
- 首を絞めた
- 毒物を飲ませた
このような暴力行為で、相手に怪我をさせた場合に傷害罪に問われる可能性があります。
傷害罪の法定刑は、刑法204条において「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定められております。
日本での刑事事件の有罪率は99%を超えているため、傷害罪の疑いで起訴された場合は、有罪判決を受ける可能性は極めて高いと言えます。
起訴を回避するためには、被害者との示談が有効です。
早急に被害者と示談を成立させると、被害者が被害届や告訴状を取り下げることにより、不起訴処分になる可能性が高まります。
傷害事件を起こした場合の慰謝料の決まり方
傷害罪で起訴されないために重要なのは、被害者との示談の成立です。
被害者と示談するためには、被害者に謝罪をしたうえで、示談金を支払う必要があります。
ここでは、慰謝料を含めた示談金の決め方について解説します。
示談金の一部が慰謝料
そもそも、傷害事件の示談交渉においては、加害者から被害者に損害賠償金額を提示する必要があります。
傷害事件の損害賠償とは、その名の通り、傷害事件で被害者が負った損害を賠償することです。
怪我の治療費や通院にかかる費用、仕事を休んだ場合の休業費用、破損した衣服などの費用、慰謝料などの合計が損害賠償金となります。
よくいう示談金とは、損害賠償金の合計額のことです。
慰謝料を決める基準
慰謝料は、被害者が負った精神的苦痛を金銭で賠償するものです。
精神的苦痛の度合いは人それぞれで一律に決めることはできません。
ですので、治療期間や後遺障害の有無が基準となります。
「全治1週間」のような軽微な怪我であれば10万円~数十万円の慰謝料になることが多いですが、「失明」などの重大な後遺障害が残った場合は数千万円の慰謝料が請求されることもあります。
損害賠償請求権の時効
被害者の損害賠償請求権には時効が存在します。
通常、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから三年もしくは行為の時から20年で時効が成立しますので、被害者がその期間慰謝料を請求しないまま三年もしくは20年が経過すれば、加害者は慰謝料を支払わずに済みます。
ただし、時効は「援用」しなければ成立しません。
時効の援用とは、「時効だから支払わない」という意思表示をすることです。
被害者が、損害と加害者を知ったときから三年が経過したのちに慰謝料を請求してきた場合は「時効だから支払いません」と通知しましょう。
時効を知らずに慰謝料を支払った場合は、取り戻すことができませんのでご注意ください。
慰謝料の相場とは
先ほどもお話しましたように、傷害事件の慰謝料は相手の怪我や病気の度合いによって増減します。
傷害の重さによって慰謝料は異なる
怪我や病気が完治した場合は「傷害慰謝料」のみを支払うことになりますが、完治せず後遺障害が残った場合は「後遺障害慰謝料」も支払わなければなりません。
後遺障害が残らない怪我の場合でも、怪我の重症度によって慰謝料は異なります。
【事例】慰謝料相場一覧
全治1週間の怪我の場合
全治1週間程度の軽微な怪我であれば10万円程度の慰謝料で済むこともあります。
例えば擦り傷を負わせた場合や、相手を突き飛ばして軽い打撲を負わせた場合など傷害が比較的軽微な場合は10万円程度の慰謝料で済むケースが多いです。
ただし、相手を線路に突き落とし全治1週間の頭部挫創を負わせたケースでは慰謝料100万円、相手の後頭部を凶器で殴打して全治1週間程度の左後頭部挫創を負わせたケースでは慰謝料150万円が認められています。
このように行為の悪質性も慰謝料金額を決定する際に考慮される場合があることを頭に入れておきましょう。
全治1ヶ月の怪我の場合
治療期間が長期間にわたる怪我の場合は、慰謝料が数十万円から数百万円になる場合もあります。
例えば暴行により相手に全治4週間の頭部打撲、頚椎捻挫などを負わせたケースでは慰謝料15万円が支払われました。
また、交際相手の顔面を殴り頬骨骨折等全治4週間の重症を負わせた事件では慰謝料59万円が認められています。
傷害事件の慰謝料算定の参考となるもの
傷害事件の慰謝料を算定する際に参考されるのが、交通事故の慰謝料です。
交通事故で怪我をした場合の慰謝料は、入院の有無や治療期間などによって算定されます。
例えば、弁護士が交通事故の被害者の代理人となって慰謝料を請求する場合に参考にする、「裁判基準」では、3か月通院した場合の慰謝料は72万円です。
通院が6か月に及んだ場合は116万円となっております。
交通事故は、過失によって相手に怪我をさせており、故意に怪我をさせた傷害事件とは同一にはできません。
実際には同じ治療期間であっても、交通事故の慰謝料請求よりも傷害事件の慰謝料の方が高額になると考えられます。
さらに、ここに実際に治療にかかった費用や、通院するための交通費、会社を休んだ場合は休業損害費用なども加算されます。
慰謝料が支払えない場合
慰謝料を支払わない場合のデメリット
被害者に慰謝料を含む損害賠償金が支払えない場合には以下のような不利益が生じます。
- 慰謝料が支払えないことで示談が成立しなければ、起訴される可能性が高まる
- 損害賠償請求の民事訴訟を提起される可能性がある
- 示談成立後に慰謝料が支払えなくなると、財産や給与を差し押さえられることがある
起訴される可能性が高まる
傷害事件においては、被害者と示談を成立させると、起訴を回避できる可能性が高くなります。
傷害事件だけにとどまらず、各種犯罪や交通事故の加害者と被害者の示談交渉では、損害賠償金の支払いが前提となります。
それが支払えないのであれば、示談を成立させることができません。
示談ができなければ、被害者が被害届を取り下げることはほぼありませんので、起訴される可能性が高くなります。
民事訴訟を提起される可能性がある
また、損害賠償を求めて民事訴訟を提起される可能性もあります。
すでに示談が成立しているにも関わらず損害賠償金を支払わずにいると、給与や財産が差し押さえられるおそれがあります。
損害賠償は、それが悪意で加えた不法行為によるものであれば、自己破産しても支払いを免れることはできません。
したがって、破産することによって支払いを損害賠償金の支払いを免れるというのは、基本的には難しいです。
未成年の方が傷害事件を起こした場合の慰謝料
未成年の方が起こした傷害事件であっても、相手に損害賠償を行わなければなりません。
未成年だからと慰謝料等が軽減されることはありません。
ただし、本人が未成年の場合には、本人に支払能力のないことがほとんどですので、親が代わりに支払うことになります。
未成年の方が傷害事件を起こした場合は、原則として「少年事件」という扱いになります。
少年事件は成人が起こした事件とは異なる扱いになるのです。
処分等が決まる手続も大きく異なり、成人が起こした事件のように「示談が成立したから不起訴になる可能性が高い」とは言えません。
全件送致主義といって、全ての事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所は、事件の悪質性だけでなく本人の反省の度合い、更生の可能性などを総合的に判断して、処分を決定します。
重大な犯罪ではなくても、本人が反省していない、再び罪を犯す可能性がある環境などの場合は、少年院に送致されるおそれもあります。
ですので、未成年の方が傷害事件で逮捕された場合は、再犯を行わない環境を構築すべく弁護士と連携をとって、身柄の拘束を伴わない処分を目指すことが重要です。
まとめ
傷害事件で前科をつけないためには、被害者との示談の成立が有効です。
被害者と示談を成立させるためには、慰謝料を含めた損害賠償金を支払わなければなりません。
傷害事件の慰謝料は怪我の程度や治療期間などによって増減します。
手元にまとまったお金がないからと諦めずに弁護士に相談してみましょう。
弁護士費用自体も分割に応じてくれることがあります。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設