傷害罪の証拠となるものとは?傷害で逮捕されないための方法や弁護士に相談するメリット
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記事目次
令和元年版の犯罪白書によると、平成30年に捜査機関が認知した傷害事件の件数は2万2523件、そのうち検挙された件数は1万8747件でした。
認知とは、捜査機関が通報等によって事件の存在を知ることで、検挙とは犯罪の被疑者を特定して、逮捕や取り調べを行うことをいいます。
傷害事件は、非常に多く発生している犯罪の1つですが、その分、検挙されない事件も一定数存在します。
そこで本記事では、傷害罪に問われている方に向けて、傷害罪で逮捕されないための方法について解説します。
傷害罪で逮捕されるケース
まずは、傷害罪に問われている場合で、逮捕されるケースについて知っておきましょう。
傷害罪で現行犯逮捕される場合
現行犯逮捕とは、罪を犯している最中やその直後に、目撃者や被害者、捜査官等によってなされる逮捕のことをさします。
現行犯逮捕には、逮捕状の請求などの手続は必要ありません。
傷害罪の現行犯逮捕で多いのが、「相手を殴っていたら警察官に通報された」というケースや、「相手を殴っていたら、目撃者に取り押さえられた」というケースなどです。
また、「被害者に暴力を加えて怪我をさせて、逃亡している最中に目撃者や捜査官によって取り押さえられた」という場合も、現行犯逮捕となります。
犯行の瞬間は誰にも目撃されていなかったものの、刺し傷がある被害者の横で、血がついた包丁を持ってたたずんでいたというケースも、事件の被疑者である疑いが濃厚として、現行犯逮捕される可能性があります。
傷害事件を起こしてから1日以上が経過しても逮捕されていない場合は、現行犯逮捕される可能性はないといえます。
傷害罪で後日逮捕される場合
後日逮捕とは、警察官や検察官などの捜査官が、裁判官に対して逮捕状を請求して、逮捕状が発布された場合に行うことができる逮捕のことをさします。
現行犯のように、今まさに罪が犯されている現場で取り押さえる訳ではありません。
逮捕状の発布が認められるためには、罪を犯したことが確かであるという客観的な証拠が必要です。
また客観的な証拠があり、罪を犯したことが確かであったとしても、必ずしも逮捕される訳ではありません。
逮捕をするためには、「逃亡のおそれがある」、「証拠隠滅のおそれがある」などの条件を満たしておく必要があります。
罪を犯してから後日逮捕されるまでの経過日数はまちまちですので、「事件から○日たったら安心できる」という基準はありません。
強いていうならば、傷害事件の公訴時効(検察官が起訴をする権限を消滅させる時効のこと)は10年ですので、犯行から10年が経過すれば安心です。
傷害罪の証拠となるもの
傷害事件を起こしたものの、まだ逮捕されていないという方は、被害者が警察等の捜査機関に通報しているのか、また、どのような証拠を確保しているのかが気になる点だと思います。
客観的な証拠があれば、逮捕されるおそれがあります。
逮捕されなかったとしても、被疑者として捜査対象となり、刑事裁判を起こされる可能性があります。
ここでは、傷害罪の証拠となり得るものについて解説します。
怪我の診断書
傷害事件においては、相手方の怪我の状況がわかる診断書が重要な証拠となります。
怪我の程度が軽微である、もしくは怪我をしていないという場合は、暴力行為が事実であれば、傷害罪ではなく暴行罪が成立する可能性があります。
怪我をしていれば、傷害罪です。
被害者が怪我をしている場合は、病院を受診して診断書を入手している可能性は大いにあります。
傷害事件当時の音声データや動画
傷害事件の最中に被害者や目撃者が録音、もしくは録画していた場合はそのデータが証拠となることもあります。
昨今は誰しもスマートフォンを持っていますので、どこで誰に録音、録画されているかわかりません。
多くの人の目がある場所で、殴る蹴るなどの暴力を振るった場合は、第三者が録音録画したデータが警察に提出されている可能性があります。
防犯カメラの映像
客観性が高く、有力な証拠となり得るのが防犯カメラの映像です。
ただし、時間帯や角度によっては必ずしも顔が判別できるとは限りません。
供述証拠
被害者の供述、第三者の証言、加害者の自白なども証拠となり得ます。
ただし、被害者の供述だけで目撃者や防犯カメラの映像等の客観的な証拠がなければ、証拠としては乏しいです。
被害者の供述と、目撃者の供述が一致している場合は、供述証拠だけでも有効な証拠だと判断される可能性があります。
傷害罪で逮捕・起訴されない方法とは?
「罪を犯したことは確かだけど逮捕はされたくない」
「傷害罪で裁判にかけられたくない」
このように考えるのは当然です。
具体的にどうすれば、逮捕されるリスクが軽減し、起訴を避けられるのかを解説します。
そもそも「逮捕」は必ずされるとは限らない
「警察に傷害事件がバレる=逮捕」と考えがちですが、実は警察は、事件の被疑者を特定したとしても必ず逮捕するわけではありません。
逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれがない場合は、逮捕せずに、「在宅事件」として、捜査を続けます。
逮捕されないからといって、罪に問われないわけではありませんが、身柄は拘束されませんので、日常生活に大きな打撃は与えません。
在宅事件になった場合は数か月から1年程度の捜査期間を経て、検察官によって起訴するかどうかが判断されます。
起訴されれば、刑事裁判が開かれ、不起訴処分になればそれ以降は罪に問われることはありません。
傷害事件で逮捕を避けるためにできること
傷害事件では、罪に問われたとしても、後日逮捕を回避することができます。
後日逮捕の要件を満たしていなければ、逮捕することはできません。
したがって、「逃亡しないこと」や、「証拠隠滅をしないこと」などを捜査機関に理解してもらえれば逮捕されない可能性が高まります。
任意での取調べに応じること、罪を認めること
具体的には、「任意での取調べの要請があれば素直に応じること」、「罪を認めること」など、捜査に協力をする姿勢を見せれば、逮捕は回避できる可能性が高まります。
逆に、任意の取調べに出頭しなかったり、罪を認めなかったりした場合は、証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕されてしまうおそれがあります。
家族に身元引受人になってもらう
家族に身元引受人となってもらうことで、逃亡のおそれがないことを主張することも有効な手立ての1つです。
弁護士に対応を依頼する
任意での取調べの段階で弁護士に対応を依頼しておくことも、逮捕の回避には役立ちます。
弁護士は、捜査機関に対して、逮捕の必要性がないことを主張可能です。
被害者との示談によって、逮捕・起訴を回避する
これまで説明した方法は、「逮捕されないため」の方法でした。
逮捕されないだけでは、起訴されて有罪判決が言い渡されれば前科がついてしまいます。
それを回避するためには、「起訴」されることを回避しなければなりません。
逮捕と起訴の両方を回避するために有効なのが、「被害者との示談の締結」です。
傷害事件は、親告罪ではありませんので、被害者が告訴を取り消しても、検察は起訴することができます。
しかし実務上は、被害者が告訴を取り消せば不起訴処分になる可能性が非常に高いです。
したがって、傷害事件を起こした場合は、なるべく早い段階で被害者との示談を成立させる必要があります。
被害者に損害賠償金を支払うことや二度と接触しないことを約束した上で、被害届の取下げ、告訴状の取り消しについて同意してもらわなければなりません。
そのためには、事件を起こしてからできるだけ早く弁護士に依頼して示談交渉に着手してもらいましょう。
傷害罪に問われている方は弁護士に相談を
今現在、逮捕されていないものの警察に通報されている、警察から任意での取調べを受けているという方が傷害事件について弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
- 逮捕されないための方法がわかる
- 被害者と示談を成立させて逮捕・起訴を回避できる
- 被害者対応を一任できる
弁護士に相談する場合は、刑事事件の取扱い実績が豊富な弁護士を選択しましょう。
また、被害者との示談交渉が必要になりますので、弁護士の人柄にも着目しておきます。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設