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更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

不倫で慰謝料請求された!対処法ややってはいけないことは?

不倫で慰謝料請求された!対処法ややってはいけないことは?
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記事目次

不倫相手の配偶者や弁護士から突然慰謝料を請求されると、「本当に支払わなければならないのか」「請求された金額は妥当なのか」と不安に感じる方も多いでしょう。

しかし、慰謝料を請求されたからといって、必ずしも相手の要求どおりに支払う必要があるとは限りません。不貞行為の有無や既婚者であることの認識、相手夫婦の婚姻状況などによっては、支払い義務がない場合や、請求額を減額できる可能性があります。

一方で、請求を無視したり、慌てて全額を支払うと約束したりすると、交渉や裁判で不利になるおそれがあるため注意が必要です。

この記事では、不倫の慰謝料を請求されたときに確認すべきこと、支払わなくてもよいケース、減額できる事情、交渉から解決までの流れ、弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。

慰謝料請求されたときに確認すべき4つのこと

慰謝料請求されたときに確認すべきこと4つ

急に慰謝料を請求されて、慌ててしまい相手方や浮気相手に連絡をとってしまうと、後に別のトラブルに発展する可能性もあります。

内容証明郵便で慰謝料請求の文書を受け取ったら、まずは落ち着いて、文書の内容を確認しましょう。

具体的には、以下の4つを確認しましょう。

  • 慰謝料の支払い義務があるか
  • 請求内容と事実に相違がないか
  • 請求された慰謝料額が妥当か
  • 誰から請求が届いているか

慌てて重要な点を見落とさないためにも、まずは請求書面と事実関係を整理することが大切です。

①慰謝料の支払義務があるのか

受け取った慰謝料請求を確認したけれど、「本当に慰謝料を支払わなければいけないの?」と疑問に思っている方もいるかと思います。

一定の条件を満たしている場合は、慰謝料を請求されていても、そもそも支払う必要がない可能性も残されています。

以下のフローチャートの質問に答えながら、慰謝料の支払い義務の有無について、確認してみましょう。

フローチャート

不貞行為による慰謝料請求では、肉体関係の有無が重要な判断要素となります。肉体関係がなければ原則として不貞行為とは認められませんが、交際の内容や親密さなどによっては、慰謝料請求が問題となる場合もあります。

また、相手が既婚者であることを知らなかっただけで、必ず慰謝料の支払い義務がなくなるわけではありません。

相手が既婚者であることを知らず、かつ知らなかったことについて過失もないと判断される場合には、慰謝料の支払い義務が認められない可能性があります。民法上の不法行為責任には、原則として故意または過失が必要です。

相手夫婦の婚姻関係が不貞行為の前からすでに破綻していた場合も、慰謝料の支払い義務が認められない可能性があります。

②請求内容と事実の相違がないか

まずは、送られてきた慰謝料請求の文書に記載されている内容と、実際にあなたが考える事実に、相違がないかを確認する必要があります。

慰謝料請求の文書には、以下の内容が記載されているのが一般的です。

慰謝料請求に記載されている内容の例
  • 浮気や不倫の事実(関係がはじまった時期・期間・回数・場所)
  • 浮気や不倫によって相手が受けた被害
  • 浮気や不倫の違法性
  • 請求する慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い方法・振込先・振り込み期限
  • 慰謝料を支払わない場合の措置
  • 請求者の名義と連絡先

内容を確認していくと、以下のような事実の相違があるかもしれません。

  • 肉体関係があったのは6回と書かれているが、実際は1回のみである
  • 関係が始まった時期や期間が違う
  • 慰謝料請求が届くまで既婚者だと知らなかった
  • そもそもメッセージのやり取りしかしておらず、会ったこともない

あなたが把握している事実と相違がある場合は、言いがかりの可能性もあります。

事実に相違がない場合でも、言われるがままに慰謝料を支払う必要はありません。

少しでもあなたが支払いを回避できるように、慰謝料支払い義務や減額の可能性について、しっかり確認しましょう。

③請求された慰謝料請求額が妥当か

請求されている慰謝料が適切な金額か、確認することも重要です。

慰謝料は、「不貞行為1回につき、50万円追加」などと、明確な基準があるものではありません。金額は、相手が自由に決めることができます。

「とれる慰謝料は最大限請求したい」と考えた相手が、法外な慰謝料を請求している可能性があります。

一般的な、浮気や不倫に対する慰謝料の相場は、以下のとおりです。

離婚しない場合 50〜100万円
浮気が原因で別居に至った場合 100〜150万円
浮気が原因で離婚に至った場合 100〜300万円

出典:【39の判例付】浮気の慰謝料相場と損する未来を回避する完全ガイド

浮気や不倫行為に対する一般的な慰謝料請求の相場は、50〜300万円の範囲内に収まります。個別の状況によって金額は変わりますが、極端に高額になるケースは少ないのです。

また、相場の価格帯だったとしても、交渉によっては減額できる可能性もあります。慰謝料は、個別の状況で幅があるため、謝罪や反省している様子を伝えることでも、金額が下がることもあるのです。

もっと具体的に慰謝料の相場について知りたい方は、「【39の判例付】浮気の慰謝料相場と損する未来を回避する完全ガイド」の記事を参考にしてみてください。

④慰謝料請求をしてきた請求者が誰か

慰謝料の請求書面が誰から届いているのかも確認しましょう。

不倫相手の配偶者本人から直接請求される場合もあれば、代理人である弁護士から通知が届く場合もあります。また、行政書士が作成した内容証明郵便などが届くケースもあります。

ただし、行政書士は示談書や内容証明などの書類を作成することはできますが、紛争について本人に代わって相手方と交渉することはできません。そのため、行政書士が作成した書面であっても、原則として交渉相手は請求者本人となります。日本行政書士会連合会も、トラブル解決のための代理交渉は行政書士の業務範囲を超えると説明しています。

一方、弁護士が代理人として慰謝料を請求している場合は、原則として弁護士を窓口として交渉を進めます。自分だけでの対応に不安がある場合は、こちらも弁護士への相談を検討しましょう。

請求者 交渉相手 対応
被害にあった
配偶者の場合
相手の配偶者
  • 法外な高額慰謝料を請求してくる場合がある
  • すぐに法的処置を取らない可能性がある
  • 誠心誠意謝罪をしたうえで、減額交渉するべき
行政書士の場合 相手の配偶者
  • 行政書士が書類作成している為、妥当な額になっている場合が多い
  • すぐに法的処置を取らない可能性がある
  • 誠心誠意謝罪をしたうえで、減額交渉するべき
弁護士の場合 弁護士
  • 慰謝料額や条件は妥当な場合がほとんど
  • 相手には裁判に持ち込む覚悟がある
  • 交渉で減額できる金額は低くなる可能性がある
  • 弁護士に相談するのが得策である

請求者が配偶者本人もしくは行政書士の場合は、すぐに裁判に持ち込まれる可能性は低くなります。

しっかりと謝罪したうえで、減額交渉ができれば、当人同士で合意できる慰謝料額で解決できる可能性があるのです。

請求者が弁護士になっている場合は、相手が「確実に慰謝料をとる」という覚悟でいることが多いでしょう。

この場合は、依頼費用を払ったうえで行動していることも踏まえ、相手があなたの明確な不倫の証拠を集めて、動いている可能性が高いです。

慰謝料は基本的に、揃った証拠と事実の相違、証言などを基に、最終的な金額が決定されます。

減額交渉や、内容証明から裁判に発展するリスクの低減を行うには、こちらも弁護士に依頼することが得策です。

不倫の慰謝料を請求されてから解決までの流れは?

不倫の慰謝料を請求されてから解決までの流れは?

条件を確認し、支払いに応じる必要がある方は、今できる対処法を行っていきましょう。慰謝料請求された段階で、あなたができる対処法は、下記のようなものがあります。

慰謝料請求された段階であなたができる対処法
  • まずは請求されている慰謝料の内容を確認する
  • 交渉方法や交渉内容を決める
  • 慰謝料について交渉する
  • 示談書を作成する

「慰謝料請求されても支払えない場合の対処法2つ」で後ほど解説しますが、慰謝料を請求された段階では、お互いが納得できる内容で合意できれば、減額交渉できる可能性が上がります。

「今すぐには支払えないけれど、支払う意志はある」というあなたの誠意を伝えることができれば、慰謝料を減額交渉もしくは分割払いなどで対応してくれる可能性は残っているのです。

感情的になってしまい「慰謝料なんて払わない!」と連絡してしまったり、慰謝料請求を無視してしまうと、減額交渉の余地がなくなってしまうかもしれません。

これから、少しでもあなたにとって最善の方向に進むために、最適な対処法を解説していきます。

まずは請求されている慰謝料の内容を確認する

まずは、受け取った慰謝料請求内容の確認が第一ステップです。

請求は、一般的には内容証明郵便による通知として受け取ることが多いです。

不倫相手の配偶者や弁護士からの通知が届いた場合、その詳細と請求されている慰謝料の総額を特定することが重要です。

次に、慰謝料請求の事実関係を理解します。

不倫相手の配偶者が状況をどの程度理解しているか、また決定的な証拠が存在するかどうかを検証します。

確固とした証拠が存在する、または不倫相手が全てを認める状況であれば、慰謝料の支払いに向けて交渉を進めるべきです。

しかし、事実誤認の可能性があれば、慰謝料支払いの否定を目指した交渉も考慮に入れるべきです。

請求されている慰謝料の金額も確認しましょう。

当事者間の合意があれば任意の額でも構いませんが、”不倫の慰謝料相場”として一般的な範囲が存在します。

極端に高額な慰謝料が請求されている場合は、その額の減額交渉を検討すべきです。

慰謝料の支払い期限に関しては法的な制約はなく、書面に記載の期限を厳守する必要は必ずしもありません。

期限後すぐに裁判に進行するとは限りませんが、弁護士が関与する場合は裁判への移行が迅速に行われる可能性があります。

支払い期限までに何らかの反応を示し、無駄な手間を省きながら円滑に問題を解決することをおすすめします。

最後に、慰謝料請求の書面を発行した者を特定します。

不倫相手の配偶者や行政書士からの場合は直接交渉、弁護士からの場合は弁護士を介して交渉を行うこととなります。

交渉方法や交渉内容を決める

不倫事件で慰謝料請求されるという事態に直面した場合、具体的な交渉方法を決めることが大切となります。

最初に、自己対応か、それとも専門家(弁護士)の助けを求めるかを決定することが必要となります。

弁護士への依頼を選択すれば、その利点は数多くあります。

まず、交渉の全過程を弁護士が担当するため、あなた自身の手間やストレスを大幅に軽減することが可能です。

さらに、弁護士はクライアントに最も有利な結果を引き出すために専門的な知識と経験を活かし、細部に至るまで丁寧に対応します。

このため、法的な問題に対する理解が浅い人でも安心して交渉を進めることができます。

一方で、自分で交渉する道を選ぶ場合、その方法と戦略をしっかりと考えておくことが重要となります。

交渉手段として、面会、電話、メール、手紙などが考えられますが、面会や電話は避けることを強く推奨します。

これらの方法は、即時の回答を求められるため、必要な情報を取り違えたり、確認や検討の時間を確保できない可能性があります。

これらのリスクを避けるためにも、メールや手紙を通じて、慎重に情報を整理し、自身の立場を明確に伝える方法を選択することを推奨します。

加えて、交渉の準備として、慰謝料の具体的な金額、支払い期限などについて自身の希望や提案を明確に固めておくことが不可欠です。

自分が何を望んでいるのか、どの程度の妥協が可能なのかを明らかにすることで、交渉の際に自己の立場を強化し、効果的な対話を展開することができます。

戦略的な準備と自己の利益を最優先に考える姿勢が、交渉の成功には必要となります。

慰謝料について交渉する

慰謝料の交渉は、慰謝料の支払いを受け入れるか否かによって取り組み方が大きく変わります。

■慰謝料の支払いを受け入れる場合:
慰謝料の支払いに応じる場合、主な交渉内容は慰謝料の金額の減額や支払い期限の延長などになります。請求者が最初から減額交渉を見越して高額な慰謝料を求めることもありますので、安易に請求に応じるのではなく、自己が支払える、あるいは公正と思える金額を提案しましょう。
もし、双方の主張が激突し交渉が難航する場合、弁護士の支援を受けるとスムーズな解決につながることがあります。自分だけでの交渉が困難と感じた際は、弁護士に相談を行いましょう。

■慰謝料の支払いを拒否する場合:
一方、慰謝料の支払いを拒否する場合は、不倫行為の存在、故意や過失の有無などを明確に説明することが重要となります。不貞行為が実際になく、相手方も不貞行為があったことを立証できない場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。
ただし、「明確な証拠がないこと」と「慰謝料の支払い義務がないこと」は同じではありません。相手方がどのような証拠を持っているのか分からない段階で、証拠がないことだけを理由に支払いを拒否するのは注意が必要です。
不貞行為の有無や、相手が既婚者であることについて故意・過失があったかなど、事実関係を整理したうえで対応しましょう。

示談書を作成する

慰謝料についての交渉が成立した場合、その結果を示談書という形式で正式に証拠化することが重要です。

示談書は、当事者間の合意内容を文書化し、互いの権利と義務を明確にするものです。

不倫をした側、またはされた側のどちらが作成しても問題ありませんが、自分の意向を正確に反映させるために自身で作成することを推奨します。

一般的な示談書の内容は以下のような要素を含みます。

  1. タイトル(「示談書」、「合意書」、「覚書」など)
  2. 謝罪に関する記述
  3. 支払い義務に関する記述
  4. 支払い方法に関する記述
  5. 不倫相手との接触禁止条項
  6. 不倫事実に関する口外禁止条項
  7. 違約金に関する記述
  8. 清算条項(これは示談書の内容に基づき、双方がこれ以上の請求や要求をしないことを確認するものです)

それぞれの具体的な内容は個々のケースや状況によって異なります。

自分で示談書を作成することが難しい、または自信がない場合は、専門家である弁護士に助けを求めることが最善の選択となります。

弁護士に依頼すれば、交渉や裁判の手続きだけでなく、法律的な観点からの示談書の作成なども行ってもらえます。

不倫で請求された慰謝料が払えない場合の対処法

不倫で請求された慰謝料が払えない場合の対処法

浮気や不倫の慰謝料は、場合によっては数百万円になる可能性もあります。

「そんな高額な慰謝料は払えない」と感じる方がほとんどでしょう。

ですが、相手と落ち着いて交渉ができれば、慰謝料の減額もしくは分割払いができる可能性があるのです。

この章では、減額交渉・分割払い交渉をした場合の、メリットとデメリットを解説します。

減額交渉

ほとんどの慰謝料請求において、相手は、「請求できる最大限の額」を提示してくるのが一般的です。

そのため、仮に「500万円支払ってほしい」と来ていたとしても、交渉次第で慰謝料が減額できる可能性はあります。

まずは、慰謝料を支払う意志を見せたうえで、請求された慰謝料額が減額できないかを交渉してみましょう。

メリット
  • 交渉次第で大幅な慰謝料の減額ができる
デメリット
  • 減額交渉のために証拠を集めなければいけない
  • 双方が合意できるまで交渉が長引く可能性がある
  • 交渉次第で減額できない可能性もある

減額交渉が上手くいけば、支払う慰謝料額を大幅に減らすことができます。諦めずに、実践しましょう。

慰謝料の減額交渉を成功させるためには、以下の点が重要です。

  • 減額できる要素(証拠)を提示する
  • 誠心誠意謝罪の意志を伝える
  • 「なんとか支払える金額」であれば、慰謝料支払いの意志があることを伝える

何よりもまず大切なのが、相手に対して謝罪の意志を伝えることです。

不倫をしたことに対し、嘘をついたり認めないのではなく、誠心誠意、謝罪を伝えることをしましょう。

慰謝料を請求してきた相手も、トラブルを長引かせてしまったことで、結果的に慰謝料を受け取れない事態は避けたいというのが本音です。

不倫をされた相手は、交渉段階で感情的になってしまうことも考えられます。相手の気持ちを受け止めて、心からの謝罪を伝えることを、優先しましょう。

減額交渉では、不貞行為を認める場合、事実関係を正確に整理したうえで、謝罪の意思や支払可能額、減額を求める理由を伝えることが大切です。

交渉では、謝罪の姿勢を示すことで相手方との話し合いが進み、減額につながることもあります。ただし、謝罪をすれば必ず慰謝料が減額されるわけではありません。

注意!不倫の証拠を集めるために相手が謝罪文を要求してくることも

不倫の証拠がないため、相手があなたに謝罪文を要求してくるケースもあります。証拠の中でも、当事者本人が不倫を認めた直筆の念書や、録音データは、強力な証拠として認められる傾向にあります。

不倫の証拠が十分にそろっていない段階で、相手から謝罪文や念書への署名を求められることもあります。

謝罪文や念書に、不貞行為を認める内容や慰謝料額、支払期限などを記載すると、その後の交渉や訴訟で証拠として扱われる可能性があります。

そのため、内容を十分に確認しないまま作成・署名することは避けましょう。特に、慰謝料額や支払義務を認める書面への署名を求められた場合は、事前に弁護士へ相談することをおすすめします。

分割払い交渉

減額交渉が上手くいかない場合は、分割払いに切り替えて交渉するという方法もあります。

一般的に、慰謝料請求に対する支払いは、一括払いが原則です。

しかし、訴訟を起こされる前であれば、慰謝料の分割払いが認められる可能性があります。

分割払いをする場合は、支払いが滞ったときの条件についても確認しておく必要があります。

合意内容によっては、支払いを滞納した場合に残額を一括で請求される条項や、違約金に関する条項が設けられることがあります。

また、判決や和解調書、強制執行認諾文言付きの公正証書など、強制執行の根拠となる債務名義がある場合には、支払いを怠ると給与や預貯金などの差押えを受ける可能性があります。強制執行は「処罰」ではなく、債権を回収するための民事上の手続きです。

メリット
  • 一度に高額の支払いをしなくてすむ
  • お金が足りずに借金をしなくてすむ
デメリット
  • 支払い完了するまで、当事者との縁を切ることができない
  • 分割払いの途中で収入が減り、支払えなくなる
  • 支払えなくなると、強制執行で財産を差し押さえられてしまう

分割払いにすることで、支払いが滞ってしまった場合の処罰(強制執行)が設けられてしまう点は、注意が必要です。

しかし、請求された慰謝料を「分割払いなら支払える」という意志を伝えることで、相手も納得して交渉に応じてくれる可能性があるので、最終手段として覚えておきましょう。

不倫の慰謝料を請求されたときにやってはいけないことは?

不倫の慰謝料を請求されたときにやってはいけないことは?

不当な要求に応じてはいけない

まず、不貞行為が発覚してしまった場合、相手方に対する負い目や不安から、「請求された金額を支払わなければならない。」、「相手方から提示された条件を飲まなければならない。」と思われる方もいます。

確かに、相手方に精神的苦痛を与えたことに謝罪し、誠実な対応をとることが望ましいです。

しかしながら、決して相手方の要求にすべて応じる必要があるわけではありません。

法外な金額の慰謝料請求、土下座などによる謝罪、配偶者と接触しないよう職場からの退職や転居の強要といった不当な条件を受け入れる必要はありません。

また、相手方があまりに過激な行動(SNSや動画投稿サイトで不貞行為の事実を拡散する、勤務先に乗り込んでくる等)をした場合には、毅然とした対応が必要になります。

不当な要求をされて悩んでいる場合には、弁護士にご相談ください。

不貞の事実がある・認める場合にしてはいけない行動

次に、不貞行為を認めて慰謝料を支払うと考えている場合にやってはいけないことを説明します。

全額支払うと約束しない

慰謝料を支払うことには納得している場合でも、「全額を支払う。」との回答は差し控えることが望ましいです。

例えば、弁護士が相手方の代理人として慰謝料を請求する場合、請求後に金額交渉となることを想定して、相場よりも高額な慰謝料を請求するケースも見受けられます。

しかしながら、口頭であっても「全額支払う。」と約束してしまえば、原則として後から反故にすることはできません。

また、合意書や念書といった書面に署名してしまった場合、電話や面談でのやり取りを録音されてしまった場合、これらは裁判上でも証拠となる可能性があります。

さらに、当事者同士の合意でも同様であり、一旦合意した内容は後から納得できないとなっても、覆らない可能性があります。

実現困難な約束をしない

例えば、不貞相手と勤務先、コミュニティーが同じ場合、「今後一切の接触をしない。」といった実現困難な約束をすることは避けましょう。

相手方と約束をした上で破ってしまうと、再度トラブルが生じるおそれがあり、追加の慰謝料を請求される可能性もあります。

相手方の感情を激化させない

適切な主張はすべきですが、相手方を不必要に批判したり、感情を激化させるするような主張はしないようにしましょう。

本来なら示談での解決が見込まれるケースであっても、感情の激化を理由に示談が成立しない可能性があります。

慰謝料請求されても支払わなくてもいいケース7つ

慰謝料請求されても支払わなくてもいいケース7つ

「 【フローチャートで分かる】慰謝料請求に対する支払い義務」でも少し紹介しましたが、慰謝料を請求されて、支払わなくてもいいケースは、主に以下の7つです。

慰謝料を請求された場合でも、事実関係によっては支払い義務が認められないことがあります。主に、以下のようなケースが考えられます。

  • 相手との関係が法律上保護される婚姻関係や内縁関係に当たらない
  • 不貞行為に及んでいない
  • 相手が既婚者であることを知らず、知らなかったことについて過失もない
  • 不貞行為の前から相手夫婦の婚姻関係が破綻していた
  • 相手方が不貞行為を立証できない
  • 慰謝料請求権の消滅時効が完成している
  • 性的な行為を強要され、自らの意思で関係を持ったとはいえない

「法律上の夫婦ではない=慰謝料が発生しない」とは限らず、内縁関係など法律上保護される関係では慰謝料が問題となる場合があります。裁判所でも、内縁関係の解消に伴う慰謝料を取り扱う手続が設けられています。

また、単に「明確な証拠がない」というだけで支払い義務そのものがなくなるわけではないため、「相手方が不貞行為を立証できない」という表現に変更しています。

不倫で請求された慰謝料を減額できるケース6つ

請求された慰謝料を減額できるケース6つ

慰謝料を請求されても、請求された金額から減額できる可能性は残っています。

具体的には、以下の6つのケースにあてはまる場合に慰謝料の減額が可能です。

  • 相手が離婚しない
  • 関係を持つ以前から夫婦関係が破綻していた
  • 不貞行為の期間が短い・回数が少ない
  • 既婚者側がすでに慰謝料を支払っている
  • 自分だけに慰謝料を請求されている
  • 支払えるだけの資産がない

これらの事情があるからといって、必ず減額されるわけではありません。婚姻関係に与えた影響や不貞行為の期間・回数、当事者の対応などを踏まえて、具体的な減額額が決められます。

不倫の慰謝料請求を減額するための手順

実際に慰謝料請求を減額するための手順

慰謝料を請求額よりも低くするためには、以下の手順で交渉を進めていかなければいけません。

減額交渉の手順

STEP1. 慰謝料請求に対する回答書を送付する
STEP2. 慰謝料の金額交渉をする
STEP3. 合意できたら示談書を作成する

受け取った慰謝料請求に対して、どのような対処をしていくか決まったら、適切な手順で減額交渉を進めていきましょう。

ここでは、自分で交渉を進めていく場合の手順について解説していきます。

STEP1|慰謝料請求に対する回答書を送付する

慰謝料請求が届いたら、その請求内容に対してあなたの意見を伝えなければいけません。

送付されてきた慰謝料請求の文書に対する返答のことを、一般的に「回答書」と呼びます。

回答書は、相手が送付してきた方法で返送するのが一般的です。

郵便で受け取った場合は郵送で返送し、メールで受け取った場合はメールでの回答書返信できます。

回答書に記載すべき内容は、以下の通りです。

回答書に記載すべき内容
  • 書かれている内容を事実として認めるか否か
  • 不貞行為に対する謝罪の意思
  • 請求されている慰謝料額が妥当であるかどうか
  • 慰謝料の減額交渉
  • 慰謝料の支払い期限交渉
  • 交渉のための期日・場所・時間などの相談

相手に謝罪して減額交渉をする場合と、不貞行為の事実はないので支払わないと回答する場合では、回答書の内容も違うので注意が必要です。

回答書の返答次第でトラブルが悪化する可能性もある!

慰謝料請求に対する回答書は自分で作成も可能です。しかし、減額交渉や支払い拒否を伝える場合は、回答書を慎重に作成しなければいけません。

回答書に記載されている内容や、文章の強気な雰囲気が原因で、トラブルが悪化する可能性もあるのです。

余計なトラブルを引き起こさないために、適切に対処したい方は、弁護士に相談してみましょう。

STEP2|慰謝料の金額交渉をする

慰謝料請求に対する回答書を送付したら、双方が合意できる慰謝料額や条件を決めるための交渉がはじまります。

慰謝料の金額について交渉する場合は、「払えないから・不当だから減額して欲しい」という、一方的な主張だけでは逆効果になってしまうかもしれません。

より効率よく交渉を進めるためにも、以下の点を意識したうえで交渉をすすめていきましょう。

交渉する際の注意点
  • 必ず謝罪の意思を示す
  • 事前に慰謝料相場を把握しておく
  • 自分の主張は整理してわかりやすく伝える
  • 相手の辛い気持ちを理解する努力をする

あなた自身が感情的になってしまうと、交渉が難航してしまう可能性が高いです。

当事者同士だけの交渉では、「言った」「言っていない」の押し問答になってしまうかもしれません。

冷静に話し合える自信がない場合や、不安な場合は、以下の方法で交渉していきましょう。

書面で交渉する
  • 送付内容をコピーして保管しておくことで、いざという時の証拠になる
電話で交渉する
  • 会話を録音しておくこと、合意に至ったことを証明できる
  • 相手が録音している可能性もあるので注意がいる
弁護士に
交渉を任せる
  • 弁護士がすべての交渉を代理人としておこなってくれるので、直接当事者と対面する必要がない

慰謝料の減額交渉は、お金が絡んでくる問題のため、すぐに合意に至らない場合がほとんどです。なかなか交渉がまとまらずに、ストレスを抱えてしまう人も少なく有りません。

慰謝料トラブルを解決するためには、減額交渉を自力で行うべきなのか、専門家に相談するべきなのかを適切に見極める判断力も必要です。

STEP3|合意できた場合は示談書を作成する

慰謝料の減額交渉で、双方が合意できる金額が決まったら、すぐに示談書を作成します。

相手が作成してきた示談書にサインする場合は、あなたの不利になる内容や、条件が含まれていないかを確認しておかなければいけません。

示談書には、主に以下の内容を記載するようにしましょう。

示談書に記載すべき内容

  • 不貞行為に対する謝罪
  • 慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い方法・振込先・期日
  • 清算条項(示談後は金銭を請求しない)
  • 守秘義務(第三者にトラブルについて吹聴しない)
  • 個別の条項(接近禁止や不倫関係の解消など)
  • 示談内容に違反した場合の処罰
  • 両者の名前・住所・連絡先

慰謝料の金額はもちろんですが、清算条項の記載を忘れてはいけません。

示談書に記載していれば「後日、精神科に通院したから費用を負担しろ」というような、関連性のない金銭の請求を防げます。

また、守秘義務を設けていれば、会社や近所の人にトラブル内容をばらされずにすむのです。

示談書作成の注意点
  • 清算条項や守秘義務が記載されているか確認する
  • 示談書に署名捺印する時は、第三者がいるカフェやファミレスなどを利用する
  • 作成した示談書は必ず双方で一部ずつ保管しておく

適切な方法で示談書を作成して、交渉をまとめることができれば、後日トラブルになった場合でも心配ありません。

双方が示談書にサインしたら、あとは決められた方法・期日・金額で慰謝料を支払うだけです。万が一、示談交渉がまとまらない場合は、裁判に持ち込むために弁護士に相談してみましょう。

不倫で慰謝料請求された際に弁護士に依頼するメリット

慰謝料を請求されてからの流れや注意点を理解できるようになったことで、自力で慰謝料請求に対応するのは不安だと感じている方もいることでしょう。

そんなあなたを助けてくれるのが、法律のプロである弁護士という存在です。慰謝料請求の交渉を弁護士に任せることで、以下のメリットを受け取れます。

弁護士に相談するメリット
  • 適切な慰謝料額で示談締結できる
  • 周囲にばれるリスクを回避できる
  • 精神的負担が軽減される

それぞれについて解説していきます。

慰謝料を減額して示談締結できる

この記事を通して、請求された慰謝料は減額できる可能性があるとお話してきました。

あなたが本来支払うべき慰謝料額を算定するためには、法律の知識をもとに、減額交渉を有利に進められる弁護士の手助けが必要です。

「請求されてしまったから慰謝料を払わなければいけない」と考えていた方も、弁護士の減額交渉によって、大幅な減額だけでなく支払う必要がなくなる可能性もあるかもしれません。

実際に慰謝料を減額できた実例には、以下のようなケースがあります。

謝料400万円から100万円まで減額成功したケース

謝料400万円から100万円まで減額成功したケース

職場内で既婚女性と不倫関係になり、相手の配偶者から400万円の慰謝料を請求されたため、弁護士に相談しました。

出典:弁護士法人東京スタートアップ法律事務所|不貞慰謝料を減額した解決事例

どんなに高額な慰謝料を請求されたとしても、減額交渉が得意な弁護士に相談できれば、大幅な減額ができる可能性が残っています。

慰謝料の支払いで後悔しないためにも、減額交渉を弁護士に任せることで、高額すぎる不当な慰謝料での示談締結を回避できるのです。

周囲に知られるリスクを抑えやすい

弁護士に交渉を任せることで、不倫の慰謝料トラブルを周囲に知られるリスクを抑えやすくなります。

たとえば、自分で対応する場合には、以下のような場面から周囲に知られる可能性があります。

  • 相手方の配偶者や弁護士との電話を聞かれる
  • 相手方と直接交渉しているところを見られる
  • 感情的なやり取りからトラブルが拡大する

弁護士を窓口にすれば、相手方との直接の連絡を減らすことができるため、こうしたリスクの軽減につながります。

ただし、弁護士に依頼したからといって、周囲に知られる可能性を完全になくせるわけではありません。周囲に知られるリスクをできるだけ抑えながら対応したい場合は、弁護士への相談を検討するとよいでしょう。

※「確実に回避できる」という断定を避けるとともに、「弁護士がいれば回避できる例」と本文の内容が逆になっていた点も修正しています。

あなたの精神的負担を軽減できる

慰謝料請求のやりとりのすべてを弁護士に一任することで、あなたが相手方の配偶者と直接顔を合わせる必要がなくなります。

直接顔を合わせることで、「あなたのせいで」と責められてしまい、ストレスや不安を感じながら、交渉や手続きを進めなければいけないのです。

このようなストレスを抱え続けるのが嫌で、少しでも早くトラブルを解決するために、言われたままの慰謝料を支払ってしまう人も少なくありません。

誰にも相談できない中、あなたの精神的負担を少しでも軽減するためにも、すべてのやりとりを任せられる弁護士に相談するべきです。

東京スタートアップ法律事務所による不倫や浮気の慰謝料を減額した事例

東京スタートアップ法律事務所が不倫慰謝料の請求を受けた方からご依頼を受け、慰謝料を減額して解決した事例をご紹介します。

慰謝料300万円→50万円に減額できた事例(職場の同僚との一度の不貞)

職場の同僚と不貞行為を行ったことを不貞相手の夫に知られ、300万円の慰謝料請求を受けました。

これに対し、不貞行為の回数が1回だけであったこと、相手方夫婦は離婚をしておらず夫婦関係に与えた影響が大きくないこと等の事情を前提とすると請求された慰謝料の額は高額に過ぎることを主張し、粘り強く交渉した結果、慰謝料を50万円まで減額して和解をすることができました。

慰謝料300万円→100万円に減額できた事例(不貞が原因で相手夫婦が離婚)

依頼者と不貞相手の不貞行為が原因で不貞相手の夫婦が離婚し、不貞相手の配偶者から300万円の慰謝料請求を受けた事案です。

相手方夫婦が離婚している場合は、一般的に相手方の精神的苦痛の程度も高いものと評価され、認められる慰謝料の額も高額になりますが、相手方夫婦の婚姻関係が円満ではなかったことや不貞回数が少なかったこと等の事情を主張して交渉を重ねた結果、100万円の慰謝料を支払うことで和解が成立しました。

不倫で慰謝料請求された場合によくある質問

以下では、不倫による慰謝料請求をされた方からよくお受けする質問にお答えします。

裁判となった場合、裁判費用は負けた側が支払うのですか? 

訴訟で原告の請求が認められた際、判決文に「訴訟費用は被告の負担とする」と書かれることがあります。

ここでいう「訴訟費用」とは印紙代や切手代などの実費のことであり、弁護士費用は含まれません。

ただし、不貞行為が不法行為に当たるとして慰謝料請求が認められた場合には、慰謝料とは別に、弁護士費用相当額の一部が損害として認められることがあります。

弁護士費用相当額は必ず慰謝料の10%になるわけではなく、事案の難易度や請求額、実際に認められた金額など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。最高裁も、不法行為と相当因果関係のある弁護士費用について、諸事情を考慮して相当な範囲で認められるとしています。

慰謝料は不倫相手と折半可能ですか?

不貞行為は不倫相手との共同不法行為であり、当事者2人が責任を負うことになります。

しかし、不貞をされた側は不倫の当事者のどちらかに全額を請求することもできるため、当然に半分だけ払えば良いというわけではありません。

ただし、請求された慰謝料全額を支払った後に、不倫相手に対して負担割合分を請求することは可能です。

慰謝料を不倫相手に支払ってもらうことは可能ですか?

原則として、不貞行為の自分の責任分は自身で負担する必要があります。

ただし、不倫相手との話し合いにより、不倫相手が全額負担することを承諾すれば全額を負担してもらうことも可能です。

また、不倫相手から「独身だと騙されていた」「関係を強要された」などの特殊な事情があれば、自分には責任がないことを主張できる場合があります。

まとめ

まとめ

今回は、浮気・不倫をして相手方の配偶者から慰謝料を請求されてしまった際にすべきことと、あなたの負担を軽減できる可能性について解説してきました。

慰謝料請求を受け取ったら、まずは落ち着いて適切な手順で対処できるようにしましょう。

慰謝料を請求されたらすべきTO DO LIST
  1. 内容証明郵便で届いた慰謝料請求の文書をしっかり確認
  2. 慰謝料の支払い義務があるのかフローチャートで確認
  3. 慰謝料を減額できる可能性があるのか調査
  4. 相手に回答書を返送
  5. 慰謝料の減額交渉
  6. 慰謝料額に合意できたら示談書を作成
  7. 双方で決めた慰謝料の支払い

慰謝料を請求されたけれどどうしようと悩んでいる方は、慰謝料請求にどのように対処するべきなのかを、法律のプロである弁護士に相談してみるところからはじめましょう。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士として、男女問題などの一般民事事件や刑事事件を解決してきました。「ForClient」の理念を基に、個人の依頼者に対して、親身かつ迅速な法的サポートを提供しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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