離婚時に財産分与しない方法とは?したくない場合の対処法や注意点を徹底解説

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記事目次
離婚の際、配偶者に財産を分与したくないと考える方は少なくありません。
共働きや婚姻期間の短さ、あるいは相手の浪費癖など、理由はさまざまです。
しかし、離婚時の財産分与は法律上認められた権利であり、
ただ「分けたくない」と考えるだけでは通用しません。
では、財産分与を回避することは可能なのでしょうか。
また、どのような方法で対応すればトラブルを避けられるのでしょうか。
本記事では、離婚時に財産分与をしたくない場合の具体的な対処法や注意点について、法律の観点からわかりやすく解説します。
離婚時に財産分与したくない場合は拒否できる?
財産分与請求権は、離婚時に夫婦それぞれが持つ権利であるため、
財産分与の請求をされた場合には、拒否はできません。
ただし、財産分与請求権を行使しないことも自由なので、
夫婦間で財産分与をしないとの合意がされた場合には、財産分与をする必要はなくなります。
財産分与をしないとの夫婦間の決定は、
あくまで話し合いによってするもので、強制することはできません。
合意ができたら、離婚協議書の内容として記載することになります。
離婚協議書を作成する際には、夫婦それぞれの署名押印をしっかり残しておくことをおすすめします。
そうすることで、後にやはり財産分与をしたいとの蒸し返しを防ぐことができます。
離婚時に財産分与をしない場合、財産隠しは有効?
財産隠しはしてはいけません。
財産隠しが疑われている状態では、財産分与の話し合いは全く進まず、調査の手続きをする必要も生じるため、紛争が非常に長期化します。
また、弁護士としても、財産隠しの手伝いはできませんから、弁護士に依頼することもできなくなります。
また、財産隠しが事後的に明らかになれば、損害賠償請求がされる可能性もあります。
相手方が財産隠しをしていそうな場合はどうする?
相手方が財産隠しをしていそうな場合、相手方の財産を調査するためにどのような手段があるでしょうか。
調査嘱託
財産分与調停を申し立てた場合、裁判所を通じて金融機関等に財産状況を照会する「調査嘱託」という制度があります。
調査嘱託を用いれば、相手方の許諾がなくとも、金融機関等から財産状況等が開示される可能性があります。
弁護士会照会
財産分与の話し合いについて弁護士に依頼している場合には、「弁護士会照会」を使うこともできます。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、
事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。
この場合も、相手方の許諾がなくとも、弁護士会照会を受けた団体は、財産状況等を開示する可能性があります。
実際に情報を開示してくれるかどうかは、照会先の団体の運用により異なります。
少しでも多く財産獲得する方法
財産分与で少しでも多くの財産を獲得するには、どうすればよいでしょうか。
・相手の財産を事前に把握しておく
相手方配偶者の財産を把握しないことには、財産分与の主張もしようがありません。
どのような財産がどれだけあるのか、正確に把握する必要があります。
その財産の存在を裏付ける証拠となる資料(預金通帳、不動産登記簿の写し等)も用意しておくことが重要です。
特有財産を主張する
財産分与の対象は、当事者双方がその協力によって得た財産である「共有財産」です。
ある財産が共有財産ではない「特有財産」であることが認められれば、財産分与の対象になることはありません。
特有財産の例
- 婚姻前から有していた財産
婚姻前から有していた財産は、夫婦の協力により得た財産とはいえないため、
特有財産となります。 - 相続・贈与によって取得した財産
婚姻中に取得した財産であっても、相続や贈与によって取得したものは、
夫婦の協力により得た財産とはいえないため、特有財産に含まれます。 - 専用財産
夫婦の一方のみが使用している物(例:妻だけが用いるアクセサリーなど)や、
個人の趣味で収集した物(ワイン、カメラ、絵画など)は、
特有財産として主張できる場合があります。
ただし、専用財産を主張するには、夫婦で共有していないことや
一方配偶者のみの専用目的で購入・使用されていた事実を、
証拠をもって説明する必要があります。 - 共有財産の分与割合の主張
財産分与の割合は、理論上は共有財産の形成に対する寄与や貢献度によって、
2分の1ずつではない割合で決定される場合もあります。
しかし実務上は、多くのケースで2分の1ずつとされています。
離婚時、財産分与をしないための方法(夫婦財産契約)と注意点
婚姻前に、夫婦間で、夫婦財産の所有関係(各財産がどちらに帰属するのか、共有とするのか等)、管理処分関係(各財産の管理処分権はどちらにあるのか、共同で行使するのか等)などを取り決めておく夫婦財産契約というものがあります。
夫婦財産契約の中で、離婚の際に財産分与をどのようにするかを予め決めておくことも可能です。
著しく男女同権の理念に反しない限り、その決め方は自由です。
契約すると取消しができない
民法上、夫婦財産契約は、婚姻成立後はその内容を変更することができないことになっています。
趣旨としては、第三者の取引安全を保護することや、婚姻成立後は愛情と威圧とによって夫婦の
自由意思による夫婦財産契約の締結が保障できないことが挙げられています。
婚姻届の提出前に締結し登記なければならない
民法上、夫婦財産契約は婚姻の届出前になされなければならないとされています。
また、夫婦財産契約の内容を第三者に及ぼすには、
夫婦財産契約について登記をしておかなければなりません。
離婚時の財産分与をしない方法に関するよくある質問
Q1. 財産分与をしなくていいケースはある?
上記した通り、財産分与の請求をされた場合、拒否することは法律上できません。
Q2. 財産分与をしたくないことを理由に離婚を拒むことはできますか?
法定離婚事由がない場合、財産分与について納得できないので離婚には応じられないとの主張がされ、離婚がいつまでも成立しないということはよくあります。
しかし、財産分与に対してこのような戦い方をすると
離婚についての紛争が非常に長期化する危険があります。
また、手続きの進め方として、財産分与は後に詳細に決定するとして一旦置いておき、
財産分与以外の部分を決めて離婚自体を成立させるという方法もあります。
Q3. 婚姻中にした「財産分与をしない」という取り決めは有効ですか?
婚姻中に、「離婚時に財産分与をしない」との取り決めをしていた場合、その取り決めは有効で、離婚協議の際それを根拠に財産分与をしないとの主張は可能になるでしょう。
ただし、口頭で主張するだけでは争いになるので、必ず書面に残しておくことをおすすめします。
また、騙したり脅したりして取り決めをした場合には、詐欺や強迫等を原因としてその取り決めは取り消されたり無効になります。話し合いは冷静に、公正に行いましょう。
まとめ
離婚に伴う財産分与は感情だけで判断できない複雑な問題です。
無理に避けようとすると、かえって大きなトラブルにつながる可能性もあります。
不安なことや不明な点があれば、ひとりで抱え込まずに弁護士へ相談してみましょう。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設