離婚における公正証書とは?内容や必要書類、費用、作成の流れを徹底解説

全国20拠点以上!安心の全国対応
60分3,300円(税込)
※
※
記事目次
離婚をする際、その条件を定めた離婚協議書を作成することは多いでしょう。一方で、その離婚協議書を公正証書にすべきか悩む方は多いのではないでしょうか。公正証書は馴染み深い書面ではないので、そのような悩みがあったとしても心配ありません。今回の記事では、どのような場合に公正証書を作成すべきか、また、どのような公正証書を作成すべきかを解説していきます。
離婚における公正証書とは?
離婚にあたって夫婦が取り決めた内容を文書にまとめた「離婚協議書」を、公証役場において公証人の関与のもとで作成したものが「公正証書」です。公証人という第三者が作成することから、高い信用性があるものといえます。特に、養育費や慰謝料、財産分与など金銭に関する取り決めについて「強制執行認諾文言」を付すことで、相手が支払いを怠った場合には裁判を経ることなく、ただちに給料や預貯金などを差し押さえる強制執行が可能になります。この点が単なる離婚協議書との大きな違いです。たとえば、養育費の未払いがあった場合、公正証書があれば家庭裁判所で調停や審判を経ずに、いきなり強制執行の申立てが可能です。このように、公正証書は後の紛争を防ぎ、履行を確保する強力な法的手段となります。お金に絡む条件があれば公正証書の作成を検討するようにするとよいでしょう。公正証書にするための離婚協議書の作成は難しいですので、弁護士に相談することが望ましいといえます。
離婚における公正証書の内容
上記において、「強制執行認諾文言」を付すべきということは述べましたが、実際にどのような内容を公正証書に盛り込むべきか、そして、どのような事項は書くべきではないのかを説明していきます。
一般的な内容
離婚における公正証書に記載すべき一般的な内容としては、子に関する事項として、①親権者、②養育費、③面会交流の3つが挙げられます。次に、お金に関する事項として、④財産分与、⑤年金分割、⑥慰謝料の3つが挙げられるでしょう。また、その他として⑦清算条項や、上記で説明した⑩強制執行認諾文言も一般的に不可欠な条項といえるでしょう。
公正証書に書くべきこと
上記で記載した中で、特に公正証書に記載すべき内容は、「お金に関する事項」です。これは、強制執行認諾文言をなぜ付けるのかという点に戻ってしまいますが、そもそも何のお金について強制執行できるのかを記載しておかないと無意味な条項となってしまうからです。
公正証書に書けないこと
公正証書に記載できないことは、一般的な契約書で記載できない事項と重なります。すなわち、法令違反となる事項や法律上無効となってしまう事項を記載することはできません。公証人が最終的に判断してくれるケースは多いですが、後になって揉めないように、基本的には当事者間で調整すべきといえます。
離婚における公正証書作成の流れや費用・必要な書類
どのようにして公正証書を作成するのか、どのくらいの費用がかかり、必要書類は何かという点についても説明していきます。
公正証書の作成場所
公正証書の作成場所は全国各地にある公証役場です。基本的にはどこの公証役場でも可能ですが、相手方の都合もあるので、どこの公証役場にするのかについては協議しておく必要があるでしょう。
公正証書作成の流れ
まず、離婚における公正証書を作成したいと公証役場へ問い合わせることから始まります。その後、公証人と条項案をすり合わせ、公正証書作成日に調印する公正証書案を確定させます。そして、公正証書作成日に当事者(代理人でも可能)が公証役場にて調印を行うことで、公正証書が完成します。
公正証書作成にかかる費用
公正証書作成にかかる費用は、以下のように目的価額によって定められます。
目的価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
なお、財産分与と慰謝料はそれらを合算した額によって、養育費はこれとは別個に手数料を算定することになります。また、年金分割合意は、原則として11000円となります。
公正証書作成に必要な書類
基本的に、本人確認書類(運転免許証等)、戸籍謄本、財産分与する不動産に関する書類として登記簿謄本や固定資産評価証明、年金分割情報通知書等が必要になります。不安であれば公証人に問い合わせるとよいでしょう。
代理人による調印は可能?
代理人による調印も可能です。その場合、代理人の本人確認書類、本人の実印による委任状、本人の印鑑証明が必要です。この点についても、不安であれば公証人に問い合わせるとよいでしょう。
離婚届と公正証書、どちらを先に作成する?
絶対というわけではないですが、離婚成立前に公正証書を作成することをお勧めします。財産分与などは離婚後に請求することも可能ですが、離婚が成立してしまうと所在地が明らかでなくなったり、交渉になかなか応じてくれないというケースが多数見受けられます。そのため、離婚をする際にこれらについてもすべて解決しておくべきといえます。
離婚の公正証書作成を弁護士に相談するメリット
離婚の公正証書を作成する際に弁護士へ相談するメリットは、大きく分けて3つあります。まず、1つ目は「法律的に有効な内容になること」です。公正証書は、養育費や財産分与などをきちんと決めるための文書ですが、内容が曖昧だと後でトラブルになったり、法的効力を持たないこともあります。弁護士に相談すれば、法律に沿って正しく、抜けのない内容で作成できます。2つ目は「精神的な安心」です。法律に詳しくない人が一人で相手と交渉するのは不安ですが、弁護士が間に入ることで、冷静に進めることができ、感情的な対立も避けられます。そして、3つ目は「将来のトラブル予防」です。弁護士は過去のトラブル例を知っているので、起こりやすい問題を事前に防ぐ工夫ができます。将来の不安を減らせることも大きなメリットです。上記で説明した通り、公正証書は複雑になることが多いので、無理せず弁護士に相談しましょう。
離婚の公正証書に関するよくある質問
以下ではよくある質問をいくつか紹介させていただきますので、ご参考にしてください。
Q1 公正証書は必ず作成するものですか?
離婚時に公正証書を作成することは法律上の義務ではありません。しかし、養育費や財産分与、慰謝料などを確実に支払ってもらいたい場合、公正証書を作っておくべきということは上記で説明したとおりです。公正証書に強制執行認諾文言が入っている場合には大きな効果をもたらすことができます。つまり、将来的な支払いトラブルを防ぐ役割を果たします。仮に相手との関係が悪くない場合であっても、公正証書でしっかり取り決めておくことが新たな生活の安心材料となります。
Q2 公正証書の内容を作成後に変更できますか?
公正証書は、あくまで当事者間の合意を示したものにすぎません。そのため、一度作成した公正証書でも、当事者同士が合意すれば、あとから内容を変更することは可能です。たとえば養育費の金額を見直したい、支払い期間を変えたいといった事情が出てきた場合などです。ただし、その変更は必ず双方が納得している必要があり、一方的な変更はできません。後々のトラブルを防ぐためにも、合意内容は口頭で済ませず、書面で残しておくべきです。また、場合によっては、新たな公正証書として作成しておくべきともいえるでしょう。
Q3 相手が公正証書の作成に応じてくれない場合はどうすればよいですか?
公正証書は、両者の同意・協力があって初めて作成されるものです。そのため、相手が拒否すれば、残念ながら公証役場での作成はできません。そのような場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法があります。調停では調停委員という専門家であり第三者を交えて話し合いを行い、合意に至ると「調停調書」が作成されます。この調書には法的拘束力があります。そのため、相手の理解や協力が得られないときは、法的な場での対応が現実的で、かつ安全といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。これまで説明してきたように、公正証書には強力な効果が期待できます。一方で、それを一から作成するとなると、かなりの労力と知識が必要になります。離婚をするけど公正証書を作成するべきか悩んでいる方や、自分たちのケースで公正証書が必要なのか迷われる方は、弁護士にお気軽にご相談ください。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設