婚約解消におけるトラブルの対処法やマナーを紹介

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記事目次
婚約は結婚への大切な約束ですが、様々な理由により解消せざるを得ない状況が生じることがあります。
お互いの合意で円満に解消できれば良いのですが、話し合いがこじれてトラブルに発展するケースも少なくありません。
一方的な婚約破棄は慰謝料請求の対象となる可能性があるため、適切な手続きと配慮が必要です。
今回は、婚約解消時に起こりうるトラブルの対処法や守るべきマナーについて詳しく解説いたします。
婚約が成立する条件
婚約とは、男女が将来結婚するという約束を交わすことをいい、婚姻予約という一種の契約です。
婚姻届のような法的な手続きは不要ですが、婚約の成立には当事者双方に結婚する意思があることが前提となります。
具体的には、婚約指輪の授受、結婚式場の予約、両家の顔合わせ、結納の儀式、知人・友人への報告などの事実の有無により判断されます。
これらの行為は婚約の意思を客観的に示すものとして重要な意味を持ちます。
婚約が成立するには、単なる恋人関係とは異なり、社会的にも結婚への具体的なステップとして認識される状況が必要です。
婚約解消と婚約破棄は何が違うのか
婚約解消と婚約破棄は、どちらも婚約をなかったものにするという点では共通していますが、重要な違いがあります。
婚約解消とは、婚約をした男女がお互いの合意により婚約を白紙に戻すことを意味します。
一方、婚約破棄とは、婚約をした男女のうちどちらかが一方的に婚約をなかったものにすることを指します。
この違いは法的な責任の有無に大きく影響します。
婚約解消は双方の合意に基づくため、一般的にトラブルは少なく、慰謝料などの問題も生じにくいとされています。
しかし、婚約破棄の場合は一方的な行為であるため、正当な理由がない限り、慰謝料などの損害賠償責任を負う可能性があります。
婚約破棄にならないケースとは?
婚約も一種の契約であるため、一方的な破棄は原則として損害賠償の対象となりますが、正当な理由がある場合には損害賠償請求は認められません。
正当な理由として認められる可能性があるものには、不貞行為、DVやモラハラ、多額の借金の発覚、健康状態の悪化、過去の重大な犯罪歴の発覚、性的不能などがあります。
これらの事情がある場合は、一方的な婚約破棄であっても違法性が否定される可能性があります。
婚約解消をしようとする際に起こる可能性のあるトラブル
婚約解消を進める際には、様々なトラブルが発生する可能性があります。
主なトラブルとして、話し合いの平行線、家族を巻き込んだ問題の複雑化、慰謝料請求などが挙げられます。
話し合いの平行線
婚約解消は双方の合意が必要ですので、一方が解消を望んでいるのに対し、他方がそれを拒否する場合、2人の話し合いが平行線をたどることがあります。
このような状況では、感情的な対立が生じやすく、建設的な議論が困難になります。
特に、婚約期間が長い場合や結婚準備が進んでいる場合には、相手方の抵抗も強くなる傾向があります。
解決までに長期間を要することも珍しくなく、その間のストレスは当事者双方にとって大きな負担となります。
家族などを巻き込んだ問題の複雑化
既に両家の顔合わせや結納の儀式が済んでいる場合、婚約解消は2人だけの問題に止まらず、その家族にとっても問題となることがあります。
結婚式やハネムーンのキャンセル費用の負担、結納金の返還について家族間で意見が対立することも多く、家族を巻き込み、問題がより複雑化する傾向があります。
家族の面子や世間体を気にする声も加わり、感情的な対立がエスカレートする可能性があります。
婚約破棄として慰謝料請求される可能性
相手から婚約解消の合意が得られなければ、それは婚約解消ではなく、一方的な婚約破棄であるとして、相手から慰謝料請求を受ける可能性があります。
特に、婚約を解消したい理由が、他に好きな人ができたであったり、性格が合わないなどの理由の場合、正当な理由があるとは認められず、違法な婚約破棄として慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
慰謝料の額は事案により異なりますが、精神的苦痛に対する賠償として相当額の支払いを求められることになります。
婚約解消する際に発生したトラブルの対処法
婚約解消に関するトラブルが発生した場合、適切な対処法を講じることが重要です。
主な対処法として、弁護士への相談、代理交渉の依頼、慰謝料請求への対応などがあります。
正当な理由の有無について弁護士に相談する
婚約解消の合意が得られず婚約破棄とされる場合、まず自分のケースが正当な理由のある婚約破棄に該当するかを確認することが重要です。
弁護士に相談することで、婚約破棄の正当性について法的観点から判断を受けることができます。
正当な理由がない場合でも、慰謝料の減額交渉や適切な解決方法についてアドバイスを受けることが可能です。
また、相手が婚約解消に応じない場合の対応策についても具体的な指導を受けることができ、トラブルの予防や早期解決につながります。
話し合いが進まない場合は弁護士に交渉を依頼する
当事者同士の話し合いでは感情的になりがちで、建設的な解決が困難な場合があります。
家族が介入することで問題が複雑化することもあります。
このような状況では、弁護士に代理交渉を依頼することが効果的です。
弁護士は法的観点から婚約解消の正当性を説明し、相手方の理解を得やすくします。
また、将来のトラブル防止のための合意書作成についてもサポートを受けることができ、円満な解決に向けた道筋を示してくれます。
慰謝料請求された場合の対応
婚約相手から慰謝料請求を受けた場合は、速やかに弁護士に相談することが重要です。
弁護士は請求の妥当性を検討し、適切な対処方法をアドバイスします。
慰謝料の支払い義務がある場合でも、請求額が適正かどうかを精査し、減額交渉を行うことが可能です。
弁護士による交渉は説得力があり、ご自身で直接交渉するよりも有利な結果を得られる可能性が高くなります。
また、将来の再請求を防ぐための合意書作成も重要な要素です。
婚約破棄の際に支払が必要な金銭
正当な理由のない婚約破棄の場合、相手方に対して様々な金銭的負担が生じる可能性があります。
主なものとして、慰謝料、結婚準備費用、減収分の損害、結納金などがあります。
婚約破棄の慰謝料
正当な理由のない婚約破棄の場合、相手方の精神的苦痛に対する慰謝料の支払いが必要となります。
慰謝料の金額は事案により異なりますが、婚約破棄の理由・経緯、婚約期間の長さ、妊娠・出産の有無、結婚に伴う退職の有無などが考慮されます。
一般的には数十万円から数百万円の範囲で決定されることが多く、特に悪質な破棄の場合はより高額になる可能性があります。
結婚に向けての準備費用
婚約後に結婚に向けて様々な準備が進められている場合、それらの費用負担が問題となります。
結婚式やハネムーンの予約キャンセル料、新居の契約に関する初期費用、家具・家電の購入費用、引っ越し費用などが該当します。
これらの結婚準備費用は、違法な婚約破棄をした側が負担するよう求められることが多いです。
特に結婚式のキャンセル料は高額になることが多く、時期が近づくほど負担額が増加する傾向にあります。
新居関連の費用についても、既に契約が成立している場合は相当額の負担が生じる可能性があります。
転職や退職による減収分の損害
婚約を機に家庭に入るために退職したり、正社員からパートに転職したりした場合、婚約破棄により本来得られるはずだった収入を失うことになります。
このような転職や退職による減収分については、婚約破棄をした側が損害賠償責任を負う場合があります。
特に、結婚を前提として安定した職を離れた場合の損失は大きく、将来にわたる逸失利益として算定されることもあります。
ただし、転職や退職の経緯や必然性、再就職の可能性なども考慮されるため、個別の事情により判断が分かれるところです。
結納金の返還
結納金は一般的に男性の家から女性の家に対して贈られるお金で、結婚を前提として贈与されるものです。
婚約が破棄された場合、結納金を贈る前提がなくなるため、返還することが一般的です。
もっとも、結納金を贈った男性側に婚約破棄の原因がある場合には、信義則上、結納金の返還を求めることはできないと考えられています。
結納金の額は地域や家庭により大きく異なりますが、数十万円から数百万円に及ぶことも珍しくありません。
返還の可否は破棄の原因や経緯により判断されます。
婚約を解消したくなったらするべきこと
婚約解消を検討する際は、適切な手順を踏むことでトラブルを最小限に抑えることができます。
一方的な婚約の解消を避け、早期の相談、誠実な対応、冷静な判断が求められます。
一方的に婚約を解消しないこと
自身の「婚約を解消したい」という思いを一方的にぶつけるだけでは、トラブルに発展する事態となりがちです。
婚約者に対しては、誠実に向き合い、自身がなぜ婚約を解消したくなったのか、その理由について、正直に説明し、婚約者にしっかりと理解してもらう必要があります。
婚約解消の理由の説明がなければ、婚約者から、一方的な婚約の解消だとして、損害賠償請求の訴訟を提起される可能性が高まります。
相手の立場に立って考え、相互理解に基づく解決を目指すことが重要です。
早期の相談
婚約破棄の話は確かに話しづらいものですが、躊躇している間にも相手の家での結納や挙式に向けての準備が進んでいる場合があります。
ある程度準備が済んだ後に婚約解消の話を持ちかけると、せっかくの準備が無駄になってしまいます。
できるだけ早めに相談することで、相手方の損失を最小限に抑えることができ、円満な解決につながりやすくなります。
時間が経過するほど解決は困難になる傾向があるため、決断したら速やかに行動することが重要です。
挙式・結納後の婚約解消
挙式や結納を行った後に、婚約を解消したいという思いに至るケースもあります。
挙式や結納を行なったことで、もはや婚約は解消できないと思われがちですが、このような場合でも、婚約の解消自体は可能です。
ただし、この段階での解消は相手方により大きな精神的・経済的負担をかけることになるため、より慎重な対応が必要です。
既に多くの準備が進んでいる分、解消に伴う費用負担も大きくなる可能性があります。
それでも、無理に結婚を続けるよりは、誠実に話し合うことが双方のためになるといえます。
無理に結婚しないこと
「結婚の準備がかなり進んでしまっているから」、「挙式のスケジュールが迫っているから」、「いまさら結婚できないなんて言えない」などと、婚約の解消を相手に切り出せないというケースも少なくありません。
しかしながら、自分の正直な気持ちを伝えないまま結婚して、子供が生まれた後に、結局、離婚することになった場合は、相手や子供、親族の方々をより一層傷つけてしまうことになります。
できるだけ早期に自分の正直な気持ちを伝え、2人で十分に話し合うことが望ましいです。
婚約解消する際のマナー
婚約解消が決定した後は、関係者への適切な対応と清算を行うことが重要です。
社会的な責任を果たし、相手方への配慮を示すことで、円満な解決を図ることができます。
仲人への報告
仲人がいる場合は、仲人の元へ報告に伺います。可能であれば、二人揃って伺うことが望ましいです。
婚約解消した場合でも、仲人へのお礼を用意することを忘れないようにしてください。
仲人は婚約成立に重要な役割を果たしており、解消に至った場合でもその労に対する感謝の気持ちを示すことが礼儀です。
婚約を知らせた人への通知
婚約解消前に婚約を知らせていた人々や婚約披露パーティなどに招待していた方々に対しては、「婚約解消通知状」を送付して、婚約解消したことを正直に伝える必要があります。
通知の中で婚約解消の理由を詳細に伝える必要まではありません。
簡潔で礼儀正しい文面で、事実のみを伝えることが適切です。
お祝いをいただいた方々へのお返し
婚約のお祝いをいただいた方々へお返しをします。
いただいたお祝いに対して同程度の金額の現金、または商品券を送ります。
お祝いを受け取った以上、解消に至った場合でもその好意に対する感謝の気持ちを形で示すことが重要です。
迅速な対応により、今後の人間関係への影響を最小限に抑えることができます。
予約のキャンセル
婚約解消が決まった時点で、結婚式場やハネムーンの予約など、既にしていた予約をできるだけ早めにキャンセルする必要があります。
予約をキャンセルした場合、キャンセル料が発生することがありますので、キャンセル料は、2人で折半とするのか、婚約解消の原因を作った側が払うことにするのかなど、事前に十分に話し合って決めることが重要です。
贈り合った品の返還
結納品や結納金など、既に贈り合っていた品などは、送り主に対して返還する必要があります。
中には、そのまま返還できないものや消費期限が切れている食品などがありますが、この場合は、同額の現金にして返還する必要があります。
返還は婚約解消の基本的なマナーであり、相手方への誠意を示す重要な行為です。速やかで丁寧な対応を心がけましょう。
費用の清算
婚約・婚姻に関連し、既にかかった費用を清算する必要があります。
清算の方法は、2人での折半か、婚約解消の原因を作った側が負担することにするかなど、公平性に配慮して、双方が納得できる方法で清算することが重要です。
明確な取り決めにより、後日のトラブルを防ぐことができます。
購入済み物品の処理
家具、家電製品など、新婚生活に向けて既に買っていたものは買った側が引き取ります。
共同で購入したものについては、話し合いによりどのように分配するか決定します。
実用性や価値を考慮し、合理的な配分を行うことが望ましいです。
感情的にならず、冷静に判断することが重要です。
婚約指輪の処理
婚約を解消した場合、婚約指輪を既に購入しているケースがほとんどですが、婚約指輪の処理については、「捨てる」か「質屋などに買い取ってもらう」といったケースが多いです。
「次の結婚のためにとっておく」という選択肢も思いつくかもしれませんが、次の婚約者への配慮のため、自身が次の恋に進むためにも、手放すことが推奨されます。
心理的な区切りをつける意味でも重要な決断です。
まとめ
婚約解消は人生の重要な決断であり、適切な手続きとマナーを守ることが不可欠です。
一方的な解消は避け、相手の理解を得るための誠実な話し合いを心がけることが重要です。
トラブルが発生した場合は早期に弁護士に相談し、法的観点からの適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
また、解消後の各種手続きや清算を丁寧に行うことで、関係者への配慮を示し、円満な解決を図ることができます。
無理な結婚よりも、誠実な解消の方が双方の将来のためになることを理解し、勇気を持って適切な判断を下すことが大切です。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務