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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

離婚の慰謝料相場|請求が難しいケースとできるケースを具体例で紹介

離婚の慰謝料相場|請求が難しいケースとできるケースを具体例で紹介
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多くの方は「離婚の際は、慰謝料を請求できる」と考えていると思います。

「配偶者が不倫をしているから高額の慰謝料を請求しよう」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが、離婚の際の慰謝料請求は、全ての離婚で認められるわけではありません。

また、慰謝料には大体の相場がありますので、いくら相手の不貞行為が悪質だからといって、数千万円の慰謝料の請求は難しいでしょう。

離婚自体も、双方が話し合いで合意せず裁判で争うことになると、「法的離婚事由」に該当しなければ認められないケースがほとんどです。

そこで今回は、離婚の慰謝料の相場や、法的に離婚が認められる理由、慰謝料を請求できるケース、できないケースについて解説します。

離婚した際の慰謝料の相場はいくら?

離婚の慰謝料の相場は、離婚の理由や夫婦の収入、未成年の子どもなどの有無によって算定されます。

裁判ではなく協議(話合い)で離婚する場合は、双方が合意すれば慰謝料の金額は自由に決められます。

極端なことを言えば1億円の慰謝料を支払う旨の合意もあり得ます。

しかし、当事者間での合意に至らず訴訟という法的手続によって慰謝料額を争う場合は、過去の裁判例などをもとに決められますので、1000万円を超えるような慰謝料の請求が認められることは稀です。

実際に認められた慰謝料の金額の中央値は200万円から300万円となっております。

例えば、配偶者の不貞行為による慰謝料を請求する場合は、「不貞行為が原因で別居するのか」、「不貞行為が原因で離婚するのか」、若しくは「夫婦関係を継続するのか」などによって、慰謝料が異なります。

裁判で離婚が認められる理由は5つ

そもそも、離婚は、当事者同士で話合い双方が合意するのであれば、理由は問われません。

「寝相が悪いから」などの合理的とは言えない理由でも、双方が合意すれば離婚できます。

ところが、片方が離婚に応じず、調停を起こした末それでも妥結せず、訴訟によって離婚が認められるためには、民法で定められた離婚事由が必要です。

具体的には以下の5つのいずれかに該当すれば、裁判でも離婚が認められます。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病で回復の見込みがないとき
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由

この中で、特に多いのは「不貞行為」や「婚姻を継続しがたい重大な事由」です。

不貞行為とは、俗にいう「不倫」や「浮気」ですが、裁判で「不貞行為」として認められるためには、性行為やそれに類する行為が行われている証拠が必要となります。

証拠を用意するのは、離婚を請求している側です。

ちなみに、セックスレスは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に分類されます

セックスをしないことに合理的な理由がないにも関わらずどちらかが拒んでいる場合は、離婚できる可能性があるでしょう。

性格の不一致は、状況によっては「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる場合もありますが、全ての性格の不一致で認められるわけではありません。

「自己中心的な性格が気に入らない」、「ネガティブだから嫌だ」などの理由では、裁判での離婚は難しいと考えます。

慰謝料の請求ができるケースとは

全ての離婚事由で慰謝料が請求できるわけではありません。

慰謝料が請求できる代表的なケースがこちらです。

  • 配偶者の不貞行為が原因で離婚する場合
  • 配偶者によるDVが原因で離婚する場合
  • 配偶者によるモラハラで離婚する場合
  • 配偶者の借金が原因で離婚する場合
  • セックスレスが原因で離婚する場合
  • 配偶者に悪意の遺棄があった場合

これらのケースであれば、慰謝料の請求が認められる可能性があります。

どのケースでも、それらの行為を立証する証拠が必要となります

証拠は、慰謝料を請求する側が集めなければなりません。

不貞行為の証拠であれば、性交渉をしていることが明らかな画像や動画、音声データなどが証拠となり得ます。

性交渉自体の画像や動画の確保は現実的に難しいですので、ラブホテルに二人で出入りする画像や動画などが一般的な証拠です。

本人の自白音声も証拠として認められます。

DVやモラハラでの慰謝料を請求する場合も、それらの行為を証明できる証拠が必要です。

DVやモラハラによって、病気になってしまった場合は医師に診断書を作成しておくとよいでしょう。

セックスレスが原因で離婚する場合の慰謝料は必ずしも認められるとは限りませんし、認められても100万円が上限になるケースがほとんどです。

慰謝料の請求が難しいケース

次に、慰謝料の請求が難しいケースを解説します。

性格の不一致で離婚するケース

性格の不一致で離婚する場合、慰謝料の請求は不可能ではありませんが非常に難しいものとなります。

性格の不一致に至った理由が、過去の不貞行為や暴力などにある場合は、慰謝料請求が認められる可能性はありますが、単純に「性格が合わない」だけでは慰謝料の請求は難しいと考えられています。

配偶者が浮気をしているが不貞行為の証拠がないケース

配偶者が、性交渉を伴う浮気をしていることが確かであっても、その行為の証拠が用意できなければ慰謝料請求は認められません

また、性交渉はしていないけれどもキスをしている、メールやLINEのやり取りだけだけど気持ちが相手に移っているなどのケースでは、慰謝料の請求は困難です。

配偶者の親族との不仲や配偶者の宗教を理由に離婚するケース

配偶者の親族との不仲や、配偶者の宗教などを理由に離婚をすることは可能ですが、それによる慰謝料の請求は難しいと考えます。

状況によっては可能になるケースもありますが、認められても不貞行為ほどの慰謝料金額は望めません。

慰謝料請求が難しいケースでも慰謝料を請求する方法

これまでお話ししたように、離婚で慰謝料を請求できるケースは限られています。

ただし、これは裁判上で請求した場合であり、裁判以外での双方の話合いによる請求であれば、どんな理由でも慰謝料請求自体は可能です。

認められるかどうかは交渉次第となります。

ですので、相手より先に弁護士に相談して、慰謝料請求を交渉してもらうのも1つの手段です。

また、相手配偶者から金銭を受け取る方法は、何も一つではありません。

家計を担っている(自身より収入が多い)相手配偶者と別居をすることで、理由を問わず「婚姻費用」は請求可能です。

性格の不一致で離婚を考えているが、慰謝料請求は難しいというような事例でも、別居した場合の婚姻費用は受け取れます。

婚姻費用とは、生活を維持するために必要なお金です。

別居していても離婚が成立するまでは、家計を担う側が支払わなければなりません。

婚姻費用は慰謝料ではありませんが、毎月まとまった金額を受け取ることができますので、別居期間が長引けば、慰謝料よりも高額になるケースもあります。

婚姻費用の金額は、双方の収入の相関及び子供の人数や年齢によって決定します。

慰謝料請求のように事実の立証等が不要であるのが特徴です。

ただし、自身が不貞を行い別居状態に至った場合は、婚姻費用の請求が制限される可能性がありますのでご注意ください

詳しくは弁護士に相談してみることをお勧めします。

また、別居を続けることで結婚の実態がないからと性格の不一致でも離婚が認められる可能性があります。

婚姻費用を支払い続けることに疲弊した配偶者が、離婚に応じる可能性も高まりますので、慰謝料を受け取れない、離婚が認められるケースではないが離婚をしたいと考えている方は、配偶者との別居も検討してみましょう。

まとめ

離婚の際に慰謝料を請求できるケースは限られています。

また、相手に不貞行為やDVなどがあった場合の慰謝料も、200万円から300万円というのが相場ですので、例えば500万円など、高額の慰謝料請求は難しいと言えるでしょう。

離婚の場合は、慰謝料よりも財産分与や、婚姻費用の請求、子どもがいる場合は養育費の請求などが高額になる傾向にあります。

離婚時の取り決めは、今後のご自身の人生を左右する一大事です

慰謝料を含めて、離婚時のお金のやり取りをしっかりしておきたい方は、離婚を検討している段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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