離婚調停は弁護士なしでも大丈夫?自分で離婚調停を行う方法とポイント
全国20拠点以上!安心の全国対応
初回相談0円
記事目次
「離婚調停を申し立てたいけど弁護士への依頼はちょっと……」と躊躇してしまう方は多いのではないでしょうか。
確かに調停や訴訟は、弁護士を介さずに行うこともできます。ただし、弁護士なしで行うことにはデメリットもありますので、メリットとデメリットを比較した上で慎重に検討しましょう。
本記事では、離婚調停を弁護士なしで行おうと考えている方に知っておいていただきたい知識について解説します。
弁護士なしで離婚調停を申し立てることはできるのか?
弁護士なしで、離婚調停を申し立てることは、手続上は可能です。実際に行っている方も大勢いらっしゃいます。
まずは、弁護士なしで行われた離婚調停の件数、自分で行うメリット、デメリットを解説します。
離婚調停を弁護士なしで行う人の割合
離婚調停を弁護士なしで行う人の割合は、裁判所が公表しているデータで確認することができます。
平成30年の離婚調停における代理人の有無(弁護士の有無)は以下の通りです。
代理人有無 | 割合 |
---|---|
双方手続代理人なし | 43.30% |
申立人のみに手続代理人あり | 25.90% |
相手方にのみ手続代理人あり | 5.00% |
当事者双方に手続代理人あり | 25.80% |
引用:家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等
離婚調停を申し立てる際に弁護士に依頼する方は、全体の51.7%と半数以上です。
双方弁護士なしで行われた離婚関係の調停は、全体の43.3%とやや少数派となります。
また、離婚調停が不成立となると、訴訟に移行することになりますが、その場合は大多数の方が弁護士に依頼します。
平成28年の、財産分与の申し立てを含む離婚に関する訴訟全体における、弁護士なしで訴訟を提起した方の割合は1.6%でした。
離婚調停が不成立となり訴訟へと移行したときのことまで見据えるのであれば、調停の段階で弁護士に依頼するのが得策といえます。
自分で離婚調停を行うメリットとデメリット
弁護士なしで離婚調停を行うメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリット
弁護士に依頼せずに離婚調停を申し立てるメリットは、「費用が最低限で済むこと」、です。
後ほど詳しい費用については説明しますが、収入印紙費用や戸籍謄本取得費用、切手代等の3000円弱しかかかりませんので、とにかくお金をかけたくないという方には大きなメリットといえます。
ただし、相手が弁護士を入れている場合や、ご自身が慰謝料、財産分与等を請求する立場の場合は、弁護士費用を考慮しても弁護士に依頼した方が、金銭的にはプラスになることもあります。
「弁護士に依頼すると費用がかかるから」、と弁護士なしでの離婚調停を検討している方は、弁護士に相談の上、依頼する金銭的メリットがあるかどうかを判断してもらうことを強くお勧めします。
デメリット
弁護士なしでご自身が調停を申し立てるデメリットは以下の通りです。
- 相手が弁護士に依頼している場合は不利な状況に陥ることがある
- 事務手続に時間がかかる
- 適切な慰謝料等の請求金額がわからない
- 証拠の確保が難しい
- 調停の適切な進め方がわからない
ご自身で調停を申し立てる場合は、上記のデメリットを理解した上で、弁護士がいないことでの不利益を被らないように対策を講じておきましょう。
弁護士なしで離婚調停を申し立てる流れと手続き一覧
弁護士なしで離婚調停を申し立てる場合の必要書類、手続の流れ、やるべきことを簡潔にまとめてあります。
申立ての際に参考にしていただけると幸いです。
離婚調停を申し立てる際に必要な書類一覧
申立書と写し
申立書は、家庭裁判所に提出する書類です。申立人、相手方の氏名住所、生年月日、子どもが居るなら子どもの名前、申立ての内容や請求金額等を記載します。
申立書は、要望が無ければ相手方にも送付されますので、読まれることを念頭において必要事項を記入しましょう。
申立書は、何について話し合いたいかによって書式が異なりますので、適切なものを選択しましょう。
離婚するかどうかで揉めている場合、離婚にプラスして慰謝料や財産分与、養育費、年金分割等を請求する場合は、「夫婦関係等調整調停(離婚)」です。
ご自身が申し立てるべき調停が分からない方は、裁判所の窓口でご確認ください。弁護士への相談でも構いません。
離婚調停申立書一覧
「夫婦関係調整調停(離婚)」「夫婦関係調整調停(円満)」「内縁関係調整調停」
申立書のダウンロード
「婚姻費用の分担請求調停」
申立書のダウンロード
「財産分与請求調停」「慰謝料請求調停」
申立書のダウンロード
「年金分割の割合を定める調停」
申立書のダウンロード
「養育費請求調停」
申立書のダウンロード
申立書以外の必要書類
申立書以外にも、状況に応じて以下の書類が必要です。
- 非開示の希望に関する申出書
- 連絡先等の届出書
- 進行に関する照会回答書
- 事情説明書
- 子についての事情説明書
年金分割のための情報提供書
離婚の際に、年金分割を請求する場合は年金の支払い状況等を確認する必要があるため、年金機構や共済組合に、「年金分割のための情報提供書」を請求する必要があります。
年金機構の場合は、以下の「年金分割のための情報提供請求書」を提出することで、請求可能です。
夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
戸籍謄本は、本籍がある役所で取得できます。役所の窓口で請求すればその場で受け取ることができます。本籍地が遠い場合は、郵送での請求が可能です。
窓口で取得する場合に用意するもの
本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、写真付き住民基本台帳カード等)
郵送で請求する場合に用意するもの
- 請求書
- 本人確認書類の写し
- 為替証書(郵便局で入手可能)
- 返信用封筒(ご自身の住所氏名を記載の上切手を貼ること)
自分で離婚調停を行う際にかかる費用一覧
弁護士なしで離婚調停を申し立てる際に必要な費用は以下の通りです。
必要なもの | 費用 |
---|---|
収入印紙 | 1200円 |
戸籍謄本取得費用 | 450円 |
郵便切手 | 1022円(東京家庭裁判所の場合) |
自分で離婚調停を申し立てる際にやるべき手続一覧
離婚調停を弁護士なしでやる場合にやるべき手続をリストアップしておきます。最大の難関は、必要書類の作成です。
申立書以外にも様々な書類の提出が求められます。
- 必要書類の請求
- 必要書類の作成
- 必要書類を家庭裁判所に提出
- 離婚条件の作成
- 相手に不貞行為や暴力等がある場合は時系列等のまとめ
弁護士なしで離婚調停をおこなったほうが良い人、弁護士に依頼した方が良い人
離婚調停をご自身で行うことはメリットよりもデメリットの方が多いことはお話ししました。
では、一体どのような場合であれば、弁護士なしで離婚調停を行った方がよいのでしょうか。
また、弁護士に依頼した方が良いのはどのような場合でしょうか。具体例を交えて解説します。
弁護士なしでもデメリットが少ない:離婚するかどうか以外に争いがない
ご自身は離婚を望み、相手がそれを拒絶しているというケースで、それ以外に争う点がない場合は、ご自身で調停に臨んでもよいと考えます。
- 慰謝料を請求しない
- 子どもがいない
- 分割する財産がほとんどない
- 夫婦がそれぞれ働いていて年金を分割する必要がない
以上のすべてに該当する場合は、弁護士に依頼せずにご自身で離婚調停を申し立ててもそれほどデメリットが生じないと考えます。
ただし、ご自身が慰謝料を請求できるかどうか、分割すべき財産があるかどうかを判断できない場合は、調停を申し立てる前に弁護士にご相談ください。
弁護士なしだとデメリットが多い:何らかの費用を請求する場合
離婚するかどうかだけでなく以下のような費用を請求する場合は、弁護士に依頼することで有利な条件での離婚成立を期待できます。
弁護士に依頼をしなかった場合、相場より低い金額になってしまうおそれがあります。弁護士なしで調停に臨む場合は、以下の費用の相場を事前に確認しておきましょう。
弁護士なしだとデメリットが多い:相手が弁護士に依頼をしている
相手方が弁護士に依頼していない場合は、ご自身が弁護士に依頼しなければ不利な条件での調停が成立してしまうリスクがあります。
弁護士は、法律の専門家であると同時に交渉のプロでもあります。相手方の弁護士が、法的根拠を元に権利、費用等を主張した場合、法的知識がない方では太刀打ちすることは難しいです。
相手が弁護士に依頼している場合は、ご自身も弁護士に依頼の上、調停を申し立てることを強くお勧めします。
ちなみに、平成30年の、「申立人が弁護士に依頼せず、相手方のみ弁護士に依頼した」、という事件は全体の4.8%だけです。
引用元:「家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等」より
弁護士なしで離婚調停を行うのが不安な場合は?
弁護士なしで離婚調停を行う場合は、以下の点に注意しておかなければなりません。
- 適切な申立書を選択すること
- 正しく必要書類を作成すること
- 請求する費用がある場合は事前に相場を把握しておくこと
ご自身で離婚調停を行うことが不安な方は、事前に弁護士にご相談ください。弁護士は、適切な申立書の記載方法や、請求する費用の相場等を助言可能です。
個別の事情を確認した上で、弁護士に依頼すべきかどうかもアドバイスできます。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設