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同性不倫だった場合、不貞行為に該当する?慰謝料請求や離婚が可能かどうか解説
監修弁護士
中川 浩秀 東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。男女問題・不倫慰謝料に関する相談を多数解決。
「配偶者が同性の相手と不倫をしていた…」このような事態に直面したとき、大きなショックを受けると共に、「同性との不倫でも、離婚や慰謝料請求はできるのだろうか?」という疑問を抱かれる方は少なくありません。
法律上の「不貞行為」は、伝統的に異性間の肉体関係を指すものとされてきました。
しかし、価値観が多様化する現代において、裁判所の判断も変化しつつあります。
この記事では、同性間の不倫が法律上どのように扱われるのか、離婚や慰謝料請求が認められるための条件、そして具体的な手続の流れについて、法律の専門家が分かりやすく解説します。
同性と不倫されたのを理由に離婚できる?

配偶者が同性と不倫をした場合、それを理由に離婚することは可能なのでしょうか。
離婚の方法によって、その可否や考え方が異なります。ここでは、離婚の基本的な手続と、同性不倫が法律上どのように位置づけられるかを解説します。
夫婦の同意があれば認められる
離婚には、主に協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの手続があります。
この協議離婚や調停離婚の場合、夫婦双方が離婚に同意さえすれば、その理由が何であれ離婚は成立します。
したがって、配偶者の同性不倫が原因で離婚を決意し、相手もそれに同意すれば、問題なく離婚することができます。
裁判離婚の場合には法定離婚事由が必要
夫婦の一方が離婚に同意しない場合、最終的には裁判で離婚を認めてもらう必要があり、これを「裁判離婚」といいます。
裁判離婚が認められるためには、法律で定められた離婚理由(法定離婚事由)が必要です。
民法770条1項では、以下の4つが定められています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
2026年4月1日に施行された改正民法により、従来の4号「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」は削除され、旧5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が4号に繰り上げられました。
配偶者の同性不倫を理由に裁判離婚を求める場合、主に1号の「不貞な行為」または4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが問題となります。
同性間の性的関係が不貞行為に該当するかについては、具体的な行為の内容や夫婦関係への影響などを踏まえて判断されます。
また、不貞行為として認められない場合でも、その行為によって夫婦の信頼関係が失われ、婚姻生活を継続することが困難になった場合には、4号の離婚事由に該当する可能性があります。
そのため、同性不倫を理由に裁判離婚を求める際には、性的関係の内容だけでなく、夫婦関係がどのように変化したかについても整理することが重要です。
同性との不倫は不貞行為に該当するのか
同性間の性的関係が不貞行為として認められなかった場合でも、その行為によって夫婦関係が著しく悪化し、婚姻生活を継続することが困難になったときには、民法770条1項4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
配偶者の不倫相手が同性だった場合の慰謝料請求は可能?

離婚問題と並行して、または離婚はせずに、配偶者やその不倫相手に対して慰謝料を請求したいと考える方も多いでしょう。
ここでは、同性不倫における慰謝料請求の可否について解説します。
慰謝料とは
そもそも慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。
不倫における慰謝料は、配偶者や不倫相手の行為によって「夫婦の婚姻共同生活の平和」という権利が侵害され、多大な精神的ダメージを被ったことに対して支払われるものです。
慰謝料を請求することは可能?
配偶者の不倫相手が同性であった場合でも、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料請求の根拠となるのは、民法709条に定められた不法行為責任です。
不倫によって夫婦の婚姻共同生活の平穏が侵害され、精神的苦痛を受けた場合には、同性間の性的関係であっても慰謝料請求が認められる可能性があります。
実際に、同性間の性的行為を不貞行為と認め、不倫相手に対する慰謝料請求を認めた裁判例があります。
東京地方裁判所令和3年2月16日判決
この裁判例は、妻が別の女性と性的関係を持ったことについて、夫が妻の不倫相手である女性に慰謝料などの支払いを求めた事案です。
妻と不倫相手の女性は、インターネット上で知り合い、交際する中で、身体への性的な接触などの行為に及んでいました。
裁判では、同性間の性的行為が法律上の不貞行為に該当するかどうかが争点となりました。
裁判所は、不貞行為について、異性間の性交渉に限定されるものではなく、夫婦の婚姻共同生活の平穏を害するような性的類似行為も含まれるとの判断を示しました。
そのうえで、妻と不倫相手の女性との間に行われた性的行為について、不貞行為に該当すると判断しています。
この事案では、夫婦が離婚には至っていなかったことや、夫が妻と相手女性との親しい交際自体は許容していたことなども考慮されました。
その結果、裁判所は慰謝料10万円と弁護士費用相当額1万円の合計11万円の損害賠償を認めています。
この裁判例からも、同性間の性的関係であるという理由だけで、不貞行為や慰謝料請求の対象から除外されるわけではないことがわかります。
ただし、同性の相手と親しくしていたことだけで、必ず慰謝料請求が認められるわけではありません。
性的関係の具体的な内容や、夫婦関係への影響、不倫相手の故意・過失などを踏まえて、個別に判断されます。
そのため、同性不倫による慰謝料請求を検討する場合には、客観的な証拠を確保し、弁護士に相談することをおすすめします。
参考:国立国会図書館「同性の第三者による配偶者との性的行為について不貞行為に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を認めた事例[東京地裁令和3年2月16日判決]」
参考:弁護士法人ALG「不倫相手が同性だった場合の離婚や慰謝料について」
不貞慰謝料(請求された方)について弁護士に相談する
不貞慰謝料(請求したい方)について弁護士に相談する
同性不倫の慰謝料請求の流れ・注意点

同性不倫で慰謝料を請求する場合、異性間の不倫とは異なる注意点もあります。
ここでは、請求の基本的な流れと、各段階でのポイントを解説します。
Step1:証拠を集める
慰謝料を請求するためには、配偶者とその相手との間に肉体関係またはそれに準ずる親密な関係があったことを示す証拠が不可欠です。
同性間の場合は、異性間よりも関係性の立証が難しいケースがあるため、客観的な証拠を慎重に集めることが重要です。
<有効な証拠の例>
- SNSやメールのやり取り: 「愛している」などの愛情表現や、性的な関係をうかがわせる内容
- 写真や動画: 二人が親密そうにしている写真、二人で旅行した際の写真など
- ラブホテルへの出入りがわかる写真や領収書
- 探偵事務所の調査報告書
- 配偶者や不倫相手が関係を認めた音声データや念書
Step2:内容証明郵便で請求し、交渉する
証拠が集まったら、まずは内容証明郵便を利用して、不倫相手に慰謝料を請求する書面を送付するのが一般的です。
内容証明郵便には、誰が、いつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる効力があり、相手に心理的なプレッシャーを与え、本気度を示すことができます。
書面を送付した後は、相手との間で慰謝料の金額や支払方法について交渉(話し合い)を行います。
Step3:裁判(訴訟)を申し立てる
交渉で合意に至らない場合や、相手が請求を無視する場合には、裁判所に慰謝料請求訴訟を申し立てることになります。
訴訟では、集めた証拠をもとに、同性間の不倫が不法行為に該当することを主張・立証していくことになります。
裁判は専門的な知識が必要となり、精神的な負担も大きいため、弁護士に依頼して手続を進めるのが通常です。
慰謝料以外に決めておきたい離婚条件

同性不倫を理由に離婚する場合、慰謝料の問題だけでなく、今後の生活のために決めておくべき重要な条件がいくつかあります。
後々のトラブルを防ぐためにも、離婚届を提出する前に、これらの条件について夫婦でしっかりと話し合い、合意した内容は離婚協議書などの書面に残しておくことが大切です。
- 親権: 未成年の子どもがいる場合、父母のどちらが親権者となるか。
- 養育費: 子どもが成人するまでにかかる生活費や教育費などを、親権者でない親が分担する金額や支払方法。
- 財産分与: 婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産(預貯金、不動産、保険など)をどのように分けるか。
- 年金分割: 婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する割合。
- 面会交流: 親権者とならない親が、子どもと定期的・継続的に会って交流する方法。
支払いが遅延している場合の対処法
慰謝料や養育費など、離婚時に取り決めた金銭の支払いが滞ってしまった場合、いくつかの対処法があります。
まず、離婚協議書を公正証書として作成しておくことが非常に重要です。
「強制執行認諾文言」を付けておけば、支払いが滞った際に、裁判を経ずに直ちに相手の給与や預貯金などの財産を差し押さえる「強制執行」の手続をとることが可能になります。
公正証書がない場合は、家庭裁判所に支払いを求める調停を申し立てたり、訴訟を起こしたりして、支払いを命じる判決などを得た上で強制執行の手続に進むことになります。
よくある質問
同性不倫を立証するには、どのような証拠が必要ですか?
肉体関係を直接証明できる証拠がなくても、社会通念上、夫婦の貞操義務に違反するような親密な関係であることを示す証拠を積み重ねることが重要です。
具体的には、愛情表現を含むSNSやメールのやり取り、二人きりで頻繁に会っていたことがわかるスケジュール帳やGPSの記録、二人で旅行した際の写真や領収書、探偵の調査報告書などが有効です。
同性不倫の慰謝料の相場はいくらくらいですか?
異性間の不倫の場合と同様、ケースバイケースですが、数十万円から300万円程度がひとつの目安となります。
慰謝料の金額は、婚姻期間の長さ、不倫の期間や頻度、不倫が原因で離婚に至ったかどうか、未成年の子どもの有無など、様々な事情を総合的に考慮して決められます。
特に、不倫によって婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合は、慰謝料が高額になる傾向があります。
不貞慰謝料(請求された方)について弁護士に相談する
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まとめ

同性間の不倫も、裁判上の離婚理由や慰謝料請求の原因となる可能性があります。
同性間の性的行為であっても、夫婦の婚姻共同生活の平穏を害する行為であれば、不貞行為として認められる場合があります。
また、不貞行為に該当しない場合でも、夫婦関係が修復困難な状態になっていれば、民法770条1項4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚が認められる可能性があります。
離婚や慰謝料請求を検討する場合には、性的関係の内容や夫婦関係への影響を示す客観的な証拠を確保することが重要です。
配偶者の同性不倫という問題は、法律的に複雑な側面を持つだけでなく、精神的にも大きな苦痛を伴うことがあります。
一人で抱え込まず、早い段階で離婚や不倫問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
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