暴行罪とは?傷害罪との違いは?成立要件や逮捕された場合など
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記事目次
「暴行罪って何?」
「どんな行為が暴行罪になるの?」
誰かに暴行してしまった心当たりがある方は、暴行罪について詳しく知りたいとお考えのことと思います。
暴行罪とは、人に対して暴行をしたときに裁かれる罪のことです。
暴行罪が成立するケースは、以下の2つがあります。
暴行罪が成立するケース
① 相手を直接攻撃する | ・殴る ・蹴る ・叩く ・押す ・羽交い絞めにする ・石を投げつける ・刃物を振り回す ・勝手に髪の毛を切る |
② 相手を間接的に攻撃する | ・太鼓を連打する ・拡声器を耳元で用いる ・大声で怒鳴る ・水をかける ・唾をかける ・砂をかける ・農薬を散布する ・食塩を振りかける |
暴行罪に該当する場合、刑法第208条によって2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれかが科されます。
ただし、相手が怪我をしていると傷害罪に該当し、暴行罪よりも厳しい15年以下の懲役、または50万円以下の罰金が適用されかねません。
暴行罪は現行犯逮捕のケースが多いですが、被害者に被害届を出されて証拠があると後日逮捕の可能性も出てきます。
また、逮捕後に暴行罪で起訴されると、99.9%の確率で有罪になります。
前科が付けば、その後の人生に大きな影響を与えることになるので、前科を付けないために、できるだけ早く弁護士に依頼することが非常に重要です。
そこで、この記事では暴行罪について詳しく知りたい方に向けて、以下のポイントをご紹介します。
- 暴行罪に該当する行為や刑罰、時効、成立要件を解説
- 暴行罪と傷害罪の違いを紹介
- 暴行罪で逮捕されるときは「現行犯逮捕」か「後日逮捕」であることを解説
- 暴行罪を犯してしまった時の示談金相場を紹介
- 暴行罪で逮捕されそうなときに弁護士に相談するメリット3つを解説
上記のポイントを押さえると、暴行罪について理解が深まり、万一逮捕されても不起訴処分を勝ち取れる確率が高くなる方法が分かります。
あなたの将来のために、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。
暴行罪とは
冒頭でもご説明したように、暴行罪とは人に対して暴行をしたときに裁かれる罪のことです。
暴行罪について理解を深められるように、以下の5つの観点から詳しくご紹介します。
- 暴行罪として成立するための要件
- 暴行罪が成立するケース2つ
- 暴行罪の刑罰
- 暴行罪の時効
暴行罪として成立するための要件
暴行罪として成立するためには、以下の2つの要件を満たしていることが必要です。
- 相手に対してわざと攻撃した
- 暴行が起きた証拠がある
相手に対してわざと攻撃した
暴行罪が成立するためには、まず相手に対してわざと攻撃したと見なされなければなりません。
他人を怪我させる危険性があると分かっていながら攻撃しているため、暴行罪が成立する可能性が高くなるのです。
なお、相手に怪我を負わせた場合は暴行罪ではなく、刑法204条の傷害罪が成立します。
暴行が起きた証拠がある
暴行罪が成立するためには、暴行が起きた証拠がなければなりません。
なぜなら、被害者が「暴行された!」と声を上げるだけで加害者とされる人が逮捕されては、冤罪が生まれてしまうからです。
暴行があった事実を立証するためには、以下のような物的・人的証拠があることが望ましくなります。
- 診断書
- 被害部位の写真
- 暴行時の音声記録
- 暴行に使用された凶器
- 第三者による目撃証言
- 防犯カメラや監視カメラの映像記録
暴行罪が成立するケースとは
暴行罪が成立するケースを分類すると、主に以下の2つがあります。
「自分がしたことは暴行罪になるのだろうか」と不安に思っている方に向けて、判例を用いながら詳しくご説明します。
暴行罪が成立するケース
① 相手を直接攻撃する | ・殴る ・蹴る ・叩く ・押す ・羽交い絞めにする ・石を投げつける ・刃物を振り回す ・勝手に髪の毛を切る |
② 相手を間接的に攻撃する | ・太鼓を連打する ・拡声器を耳元で用いる ・大声で怒鳴る ・水をかける ・唾をかける ・砂をかける ・農薬を散布する ・食塩を振りかける |
相手を直接攻撃する
以下のように相手を直接攻撃すると、暴行罪が成立します。
- 殴る
- 蹴る
- 叩く
- 押す
- 羽交い絞めにする
- 石を投げつける
- 刃物を振り回す
- 勝手に髪の毛を切る
暴行罪と聞いて真っ先に思い浮かべられることが多いこのような暴力行為は、確実に暴行罪として問われます。
肩をぶつけた行為については、わざとなら暴行罪に該当しますが、わざとかどうかを判断するのは非常に難しいため、暴行罪に問えないことがほとんどです。
また、以下の判例にあるように、相手の身体に接触しなくても、暴行罪が認められています。
- 身体ではなく衣服を掴んで引っ張る行為
(大判明治45年6月20日刑録18輯896頁) - 相手を驚かせる目的で数歩手前を狙って石を投げつけた行為
(東京高判昭和25年6月10日高刑3巻2号222頁) - 相手を脅す目的で狭い室内で日本刀を振り回す行為
(最決昭和39年1月28日刑集18巻1号31頁) - 相手の毛髪を勝手に根元から切る行為
(大判明治45年6月20日刑録18輯896頁)
相手を間接的に攻撃する
以下のように間接的に相手を攻撃した場合も、暴行罪は成立します。
- 太鼓を連打する
- 拡声器を耳元で用いる
- 大声で怒鳴る
- 水をかける
- 唾をかける
- 砂をかける
- 農薬を散布する
- 食塩を振りかける
以下の判例にあるように、直接相手を攻撃していなくても暴行罪が認められています。
- 太鼓を連打して相手を意識もうろうとした気分にさせ、息を詰まらせた行為
(最判昭和29年8月20日刑集8巻8号1277頁) - 人に対して農薬を散布する行為
(東京高判昭和34年9月30日東高刑時報10巻9号372頁) - お清めと言って相手の顔や胸に食塩を振りかける行為
(福岡高判昭和46年10月11日刑月3巻10号1311頁)
大声で怒鳴ったり、机を叩いたりする場合、暴行罪として認められるには以下のことを踏まえて判断されます。1回程度では、暴行罪にならない可能性が高いでしょう。
- 状況
- 回数
- 時間
- 場所
耳元で長時間にわたって怒鳴られ続けて聴力に影響が出た場合は、暴行罪に問える可能性が高くなります。
ただし、暴行罪として認められなくても、以下のように別の罪に問われる可能性があります。
- 殺すぞ」など、相手を怖がらせることを言う
→刑法第222条の脅迫罪 - たくさんの人が見ている中で、相手の社会的信用をおとしめることを言う
→刑法第230条の名誉毀損(きそん)罪 - 真実であるかは関係なく「仕事ができない」など、相手を見下すようなことを言う
→刑法231条の侮辱罪
怒鳴り声に驚いて転倒してけがをしたり、繰り返し怒鳴られて精神的に病んでしまったりした場合は、暴行罪ではなく、傷害罪に該当する可能性があります。
暴行罪が成立しないケースはある?
暴行罪が成立するかどうかの境界線は、実際はケースバイケースで判断されます。
以下の2つのようなケースでは、成立しない可能性が高くなります。
- 暴言を吐いた
- 正当な理由があって暴行した
①暴言を吐いた
暴言は言葉の暴力ではありますが、ただ単に暴言を吐いただけでは、暴行罪は成立しません。
以下のように故意に力を行使したと見なされなければ、暴行罪は成立しないのです。
- 相手の耳元に口を近づけて大声で連呼する
- 拡声器を用いて暴言を吐く
ただし、繰り返し暴言を吐かれて精神的に病んでしまった場合は、暴行罪ではなく、傷害罪に該当する可能性があります。
②正当な理由があって暴行した
正当な理由があって暴行した場合は、暴行罪は成立しません。
例えば、犯行現場を目撃して、犯人を捕まえようとした際に暴行してしまったケースでは、犯人を捕まえて警察に突き出すという正当な理由があるため、暴行罪は成立しません。
岡山地裁津山支部平成24年2月2日判決(判例タイムズ1383号379頁)によると、Aさんは自分の家にエアガンを発射して、そのまま立ち去ろうとする犯人を見て、犯人の胸ぐらを掴み、壁に押し付けました。
しかし、Aさんの行為は犯人を捕まえるという正当な理由があったので、罰されることはなかったのです。
暴行罪の刑罰
暴行に該当する場合、刑法第208条によって2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれかが科されることになります。
法務省の『犯罪白書』によると、以下のように暴行罪の起訴率は約30%(不起訴の場合は前科が付かない)です。
そして、起訴された約30%のうちの大半を占める24%は罰金刑のみの起訴となる略式起訴となっています。
参考:法務省「犯罪白書」
略式起訴とは、正式起訴よりも起訴手続きが簡略化されたものです。被疑者に対して、裁判が開かれることはありません。
それまでの捜査結果を元に、裁判所が金額を決めて、罰金・科料の支払いを命令します。
暴行罪に適用される刑罰は「2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれか」ですが、以下のように初犯の場合は一般的には処罰は軽くなる傾向があります。
略式起訴の場合 | 罰金10万円程度 |
正式起訴の場合 | 懲役の場合、4か月~1年 執行猶予の場合、2年~3年 |
ただし、暴行の頻度が多い、長期間にわたって暴行したなど、事件の内容によっては初犯でも厳しい量刑が科されることもあります。
暴行罪の時効
暴行罪の時効は、以下の表にあるように、刑事と民事の観点から2種類の期間が設定されています。
刑事 | 3年 →海外滞在期間は時効が停止する |
民事 | 5年 →海外滞在期間も時効が停止しない |
暴行罪の刑事事件の時効は、3年です。
事件が発生した日から数えて3年が過ぎると、検察官は起訴できなくなり、刑罰に科されることはありません。ただし、刑事の場合は、海外滞在期間は時効が停止されます。
暴行罪を犯してから国外に逃げても時効のカウントは止まり、3年経過した時点では時効は成立していないことになるのです。
また、暴行罪には、民事の時効も適用されます。
被害者が暴行による損害と加害者が誰であるかの両方を知った時から5年(民法724条の2)は、加害者が被害者に対して暴行による損害賠償金を支払う義務があります。
暴行罪と傷害罪の違いは一体何?
自分がやってしまった行為は暴行罪に該当すると思っていても、場合によっては傷害罪になる可能性があります。
傷害罪に該当するとより処罰が重くなります。ここからは暴行罪と傷害罪の違いについてご紹介します。
- 相手の怪我の有無
- 刑罰の重さ
- 逮捕される可能性
相手の怪我の有無
相手の怪我がなければ暴行罪、あれば傷害罪になります。
つまり、同じ行為をしたとしても、結果次第で罪が区別されるのです。
怪我の程度について具体的な基準は明示されていませんが、以下のように内出血などの軽微な負傷であっても傷害罪が成立する可能性があります。
- 出血を伴う怪我
- 骨折
- 打撲
- 内出血などのごく軽微な負傷
人に対して暴行をしてしまった場合、少なくとも暴行罪が成立し、相手が怪我をしたら傷害罪が成立します。
なお、暴行によって相手が精神的な病気を発症してしまった場合は、傷害罪の可能性が高くなります。
刑罰の重さ
刑罰の重さは、以下のように暴行罪よりも傷害罪の方が重くなります。
暴行罪 | 2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれか |
傷害罪 | 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金 |
参考:刑法第208条・刑法第204条
行為や怪我の程度、動機などによって実際に下される量刑は変わりますが、相手に重症や後遺症を負わせるような結果になれば、より厳しくなるでしょう。
逮捕される可能性
逮捕される可能性は、暴行罪の方が低く、傷害罪は高くなります。
法務省「令和4年版 犯罪白書」によると、傷害罪よりも暴行罪で検挙された人の方が少なくなっています。
法務省「令和4年版 犯罪白書」
暴行罪であっても目撃証言や映像記録があれば逮捕されますが、相手に怪我を負わせていない分、証拠がない場合が多いです。
傷害罪の方が相手に怪我を負わせている分、苦痛を強いられたとして被害届を出される可能性が高まります。
そうすると、警察が捜査に乗り出して逮捕されやすくなるのです。
ただし、複数の相手に暴行を働き、そのうちの何名かに怪我を負わせた場合には、暴行罪と傷害罪の両方で逮捕されることもあります。
未成年が暴力事件を起こした場合はどうなる?
未成年が暴行罪に該当する行為を行った場合、警察に逮捕される可能性のある点は成人の場合と同様ですが、その後は成人と異なる流れとなります。
未成年が犯罪行為を行った場合、基本的には検察から家庭裁判所に案件が送致され、家庭裁判所の方でその処分等を決めることとなります。
そして、裁判官が犯罪行為を行った未成年の話を直接聞いた上で処分を決める必要があるとなった場合、成人のような刑事裁判ではなく、家庭裁判所において少年審判という手続きがとられることが原則となります。
少年審判は、刑事裁判とは異なり非公開の法廷で行われることとなります。
また、未成年については、仮に刑事裁判となり、裁判官が有期懲役等を言い渡す場合であっても、例えば「懲役3年以上5年以下」といった幅のある刑期(不定期刑)となることが一般的です。
暴行罪で逮捕されるときのパターン
暴行罪で逮捕されるときには、以下のように「現行犯逮捕」か「後日逮捕」のどちらかになります。
それぞれの場合について、詳しくご紹介します。
暴行罪は基本的に「現行犯逮捕」が多い
暴行罪は、基本的には「現行犯逮捕」となります。
現行犯逮捕とは、暴行が起こったその場で被害者や目撃者に警察に突き出されたり、駆けつけた警察官によって逮捕されたりすることです。
現行犯逮捕されると、そのまま勾留されてしまう可能性があります。
被害届を出されて証拠があると「後日逮捕」の可能性もある
暴行罪では基本的には「現行犯逮捕」となりますが、被害届を出されて証拠があると「後日逮捕」の可能性も出てきます。
後日逮捕とは、犯行後に警察官が訪ねてきて逮捕されることです。
後日逮捕の場合は、「逮捕状」が必要となります。逮捕状が出されるまでの流れは、以下の通りです。
警察官は被疑者を自由に逮捕できるのではなく、警察官が裁判官に逮捕状を請求して発布されて初めて後日逮捕が可能になります。
裁判官が納得できる以下のような具体的な証拠がなければ、逮捕状は発布されません。
- 診断書
- 被害部位の写真
- 暴行時の音声記録
- 暴行に使用された凶器
- 第三者による目撃証言
- 防犯カメラや監視カメラの映像記録
反対に言えば、後日逮捕される場合は、具体的な証拠が揃っているということです。
特にあなたの顔がはっきりと写った暴行時の映像記録が残っていると、後日逮捕を避けるのは難しいでしょう。
警察官が逮捕状を請求するきっかけになるのが、被害者による被害届の提出です。
暴行罪は、被害者本人が告訴しなくても起訴できる罪(非親告罪)です。
警察は常にさまざまな事件の捜査に追われているため、被害届が提出されていない出来事にまで気を配る暇はありません。
しかし、被害届が提出されると捜査をしない訳にはいきません。捜査の結果として、下記のような具体的な証拠が見つかると、後日逮捕に繋がるのです。
・暴行してしまった相手に「被害届を出した」と言われた
・暴行してしまった瞬間に目撃者がいた
・防犯カメラや監視カメラが設置された場所(路上、商業施設など)で暴行してしまった
被害届が出されたかどうかはわからない
後日逮捕のきっかけとなる、被害届が出されたかどうかを知るすべはありません。
警察に直接確認しても、捜査上の秘密のため、はっきりとした回答をしてもらえないことがほとんどです。
弁護士を通して警察に確認しても、同様です。
暴行してしまった相手に確認すれば、被害届を出したかどうかがわかります。しかし、以下の2つのリスクがあるため、絶対におすすめできません。
被害者 | ・加害者に強い不快感や恐怖心を抱いている ・連絡を取ることで、さらに印象が悪化し、示談が成立しにくくなる |
警察・検察 | ・被害届をすでに提出済みの場合、被害者に直接連絡を取ることは許されない ・連絡を取ると、被害者を脅しているように見なされる ・逮捕や勾留決定、起訴になる可能性を高める |
暴行してしまったら、被害届の提出状況が気になると思いますが、知ることはできないのです。
だからこそ、被害届が出されそうな心当たりがあるなら、警察の捜査が始まる前に弁護士に相談することをおすすめします。
【ケース別】暴行罪で逮捕されたら取るべき手順
「逮捕されたらその後はどうしたらいいの?」「逮捕されると考えただけで、怖くてたまらない」と、不安でいっぱいな方も多いと思います。
そこで、現行犯逮捕と後日逮捕の場合に分けて、取るべき手順について詳しくご紹介します。
- 現行犯逮捕の場合
- 後日逮捕の場合
1.現行犯逮捕の場合
暴行罪の現行犯逮捕の場合、暴行現場の目撃者が警察に突き出すケースがほとんどです。
暴行事件で現行犯逮捕されてしまったら、以下の4ステップの手順を踏むことが重要です。
- 慌てずに身分を明かす
- 弁護士に依頼する
- 弁護士を通して謝罪し、示談交渉に持ち込む
- 取調べを受ける
①慌てずに身分を明かす
現行犯逮捕されても決して慌てず、身分証明書を提示するなどして名前と住所を明かし、逃げる意志がないことを示しましょう。
絶対にやってはいけないのは、以下の2つです。
- 逃走する
- 罪を免れようと嘘を付く
被害者や警察の印象が悪くなり、身柄を拘束される可能性が高まります。
②弁護士に依頼する
その後は、できるだけ早く弁護士に依頼しましょう。
しかし、逮捕後に身柄を拘束されてしまうと、本人は外部との連絡が一切絶たれるため、弁護士に依頼できません。
そこで、家族の出番です。本人に代わって、弁護士に依頼しましょう。
弁護士だけは、本人との接見が認められています。
また、起訴・不起訴の判断が下されるまでに弁護士を通して被害者と示談交渉を進めると、不起訴になる確率が上がります。
③弁護士を通して謝罪し、示談交渉に持ち込む
弁護士に依頼したら、弁護士を通して被害者に謝罪し、示談交渉に持ち込みましょう。
自分の立場や正当性を主張しながらも、相手が抱いた不快感や恐怖感に配慮することが大切です。
弁護士を通して謝罪の手紙を送り、示談を成立させて、示談金を支払いましょう。
そうすることで、不起訴処分になる可能性が高くなり、前科が付くことを回避できます。
「暴行なんてしていない!」「事実無根なのに!」など、暴行した覚えがないのに逮捕されてしまうケースも、実際にはあります。
警察や検察の主張と違って、本当は暴行罪が成立しないなら、警察・検察の取調べにおいては、以下の権利を有効に活用しましょう。
・調書への署名押印を拒否する
・供述を拒否する(黙秘権の行使)
暴行していない場合も弁護士に依頼すると、相手に確認したり、目撃証言や映像記録を集めたりして、暴行があったかどうか事実を明らかにしてくれます。
④取調べを受ける
弁護士を通して示談交渉を進める一方で、取調べを受ける際には注意が必要です。
特に逮捕直後の3日間は、警察も検察も、被疑者の身柄を拘束した以上、厳しい制限時間の中で手続きを行わなければなりません。
そのため、早期に自白を得ようとして、強引な取り調べが行われることもあります。
誰とも面会できない寂しさや、この先どうなるんだろうという不安でいっぱいになると思います。
しかし、暴行をした事実を認めていたとしても、取調べを受けていて以下のようなことがあったら、しっかりと訂正を求めなくてはなりません。
- 供述調書に事実とは違う記載がある
- 事実よりも不利な前提で供述が進められる
依頼している弁護士に相談すれば、取調べに対するアドバイスももらうことができます。
2.後日逮捕の場合
暴行罪の後日逮捕の場合、平日でも休日でも、時間帯を問わず逮捕される可能性があります。
被害者に被害届を出されているか、いつ逮捕されるかはわからないので、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、以下の対応をしてくれます。
- 逮捕される可能性があるか、話を整理する
- 被害者の氏名や連絡先がわかる場合は、本人に代わって謝罪
- 逮捕されてしまったときに備えて、取調べに対するアドバイス
逮捕状が必要となる後日逮捕は、暴行に関する証拠が揃っている状況であることがほとんどです。
被害者との示談交渉を成立させることができれば、すでに被害届が提出済みでも取り下げてもらえます。
起訴される可能性が高い後日逮捕であっても、事前に弁護士に示談交渉を相談しておいて、不起訴を勝ち取りましょう。
暴力事件の加害者になってしまった場合は示談成立を目指す
暴行罪を犯してしまったときには、示談交渉を進めて解決するのが非常に重要です。
なぜなら、示談が成立した事件の場合、加害者と被害者の当事者間では解決しているとみなされるため、警察・検察はそれ以上追及しなくなるケースが多いです。
暴行罪の示談金相場は、以下の通りです。
示談金には、被害者に対する慰謝料以外に、以下の実際に被った損害額も含みます。
- 暴行によって病院で支払った診察料・検査料といった治療費
- 暴行時に壊してしまった持ち物などの弁償費
- 休業損害費(会社員なら仕事を休んだ間の給与、自営業なら休んだ間の売り上げ額)
実際に被った損害額は金額を決めやすいですが、慰謝料の金額についてはよく争点になります。
慰謝料が高くなりやすいのは、以下のようなケースです。
- 1回だけの暴行ではなく、長時間にわたって複数回暴行した
- 加害者と被害者の間に著しい体格差があった
- 被害者が女性や未成年者だった
なお、示談交渉を本人が行うのは、絶対にいけません。
なぜなら、以下の2つの理由によって、示談が成功するどころか事態を悪化させてしまうからです。
被害者 | ・加害者に強い不快感や恐怖心を抱いている ・連絡を取ることで、さらに印象が悪化し、示談が成立しにくくなる |
警察・検察 | ・被害届をすでに提出済みの場合、被害者に直接連絡を取ることは許されない ・連絡を取ると、被害届を取り下げるように被害者を脅しているように見なされる →逮捕や勾留決定、起訴になる可能性を高める |
被害者の連絡先がわからない場合、警察に聞いても被害者のプライバシー保護のため、個人情報は一切教えてもらえません。
弁護士なら連絡先を入手できる可能性が高く、その後は相場程度の示談金額に話がまとまるように示談交渉を進めてくれます。
示談交渉を成立させられるように、弁護士に依頼することをおすすめします。
示談金は分割ではなく、一括で支払うのが一般的です。
しかし、すぐに全額を用意できない場合は、被害者に同意してもらえれば示談書に条件を盛り込み、分割払いにすることが可能です。
ただし、分割払いの場合、これから本当に全額支払われるのかがわかりません。
そのため、早期釈放や不起訴処分に対する効果が弱くなってしまいます。
どうしても分割払いにしたい場合は、以下のポイントを守ることで、示談の効果を保つことができるので、取り入れましょう。
・最初にまとまった金額を支払う
・支払えない金額だけ分割払いにする
・分割払いの支払い期間を短くする(何年もかけて支払うのではなく、数か月で支払い終えるようにする)
暴行罪で逮捕された場合はとにかくスピード対応が重要!
実は、ほとんどの方が知らないのですが、暴行罪で逮捕された場合は、とにかく早く手を打たなければ、どんどん状況は悪化していきます。
なぜなら、以下の2つの理由があるからです。
- 逮捕後72時間以内に勾留が決定すると、外部と一切連絡が取れなくなる
- 一定期間内に示談交渉が成立しないと起訴され、前科が付く可能性が高い
逮捕後72時間以内に勾留が決定すると、外部と一切連絡が取れなくなる
暴行罪で逮捕され、72時間以内に勾留が決定すると、外部とは一切連絡が取れなくなってしまいます。
しかも、72時間というのは手続き上の最大の時間です。実際は、逮捕後24時間〜48時間以内に勾留されるケースがほとんどです。
携帯電話は取り上げられ、捜査関係者以外は誰とも会うことができません。
疑いの目を向けられてただでさえ心細いのに、生活環境が激変する中で誰にも頼ることができず、心が折れそうになることでしょう。
それまでの間に逮捕されている本人に代わって家族が弁護士に相談すれば、弁護士の活動によって勾留されずに済み、釈放される可能性があります。
一定期間内に示談交渉が成立しないと起訴され、前科が付く可能性が高い
暴行罪で逮捕された場合、一定期間内に示談交渉が成立しないと起訴され、前科が付いてしまいます。
暴行罪で起訴されて前科が付くと、以下のようなリスクがあります。
暴行罪で起訴されて前科が付くリスク
- 勤め先の就業規則の解雇事由に「有罪判決を受けること」と規定されていると、解雇される
- 就職活動や転職活動で、申告が求められることがある
- 就くことができない職業がある(国家資格が必要な職業、金融業、警備員など)
- 婚約破棄・離婚の原因になることがある
- インターネット上に情報が残る
- 海外旅行の渡航先で、申告を求められることがある
日本の刑事事件では、証拠が揃っていて初めて起訴する流れとなっているため、起訴されると99.9%で有罪判決が下されます。
前科が付けば、その後の人生に大きな影響を与えることになるので、絶対に回避したいですよね。
前科が付かないようにするためには、起訴されるまでの間に依頼した弁護士を通して被害者に謝意を伝え、示談交渉を成立させることが非常に重要です。
被害届が出ていても取り下げてもらうことができ、不起訴処分となって前科を付けなくてすむ可能性が高まります。
法務省「令和4年版 犯罪白書」によると、全体の起訴率が40.6%であるのに対して、暴行罪での起訴率は27.9%と低い水準となっています。
暴行罪の場合は、示談交渉によって不起訴処分を勝ち取れる可能性が残されているのです。
暴行罪で逮捕されそうなときに弁護士に相談するメリット
暴行罪で逮捕されたら、とにかくスピードが重要であることがわかったことと思います。
そんなときに弁護士に相談するメリットは、以下の3つなので、詳しくご紹介します。
- 刑事事件化を防いで逮捕を回避できる
- 適正な条件で示談を締結できる
- 万が一逮捕されてもその後の弁護活動を依頼できる
1.刑事事件化を防いで逮捕を回避できる
弁護士に相談すると、刑事事件化を防いで逮捕を回避できます。
そもそも被害者の連絡先がわからない場合、警察に聞いても被害者のプライバシー保護のため、個人情報は一切教えてもらえません。
また、被害者が「被害届を出した」と言ってこない限り、被害届の提出状況もわかりません。
弁護士なら警察を通して被害者の連絡先を入手できるため、あなたに代わって被害者にまずは謝意を伝えてから、被害届の提出状況を探ることができます。
その上で、以下のように被害届の提出状況に合わせて示談交渉を進めて、逮捕を回避できる状況を作り出すのです。
被害届 | 弁護士の対応 |
---|---|
未提出 | ・交渉を進めて、示談書を締結する ・被害届を出さないように依頼する |
提出済 | ・交渉を進めて、示談書を締結する ・被害届の取り下げを依頼し、被害届取下げ書を作成する |
2.適正な条件で示談を締結できる
刑事事件を専門としている弁護士は知識や経験が豊富なため、適正な条件で示談を締結できます。
示談交渉においては、以下のようなトラブルが起きることがあります。
- 相場よりも高い示談金を要求される
- 示談書を締結して示談金を支払った後も、何度も示談金を要求される
- 示談書を締結したにも関わらず、被害届を提出される
- 示談書を締結したにも関わらず、犯罪があった事実を言いふらされる
このようなトラブルがあなたの身に降りかからないようにするために、弁護士は冷静かつ粘り強い交渉を行います。
交渉が進み、示談書を締結する際に、弁護士は以下のような条項を盛り込むことを忘れません。
清算条項 | 示談金の支払で本件は解決し、被害者は今後示談金を請求しない |
接触禁止条項 | 加害者は、今後は一切被害者に接触しない 偶然見かけても、速やかに立ち去る |
宥恕(ゆうじょ)条項 | 被害者は加害者の罪を許し、刑事処罰を望まない 被害届も出さない |
守秘義務条項 | 暴行事件について、今後はお互いに一切口外しない |
弁護士なら、将来起こる可能性があるトラブルの芽まで摘み取ることができるのです。
3.万が一逮捕されてもその後の弁護活動を依頼できる
万が一逮捕されても、弁護士にはその後の弁護活動を依頼できます。
弁護士は被害者との示談交渉を進めるだけでなく、早期釈放や不起訴処分に繋がるアプローチができます。
しかるべき書類を作成して捜査機関に提出することで、勾留を解いたり、起訴を免れたりすることを可能にするのです。
弁護士の対応は、スピードが勝負です。
逮捕前から相談しておけば、万が一逮捕されても、すぐあなたの身を守るために動き始めてもらえます。
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ご連絡いただくと、あなたを守るために当日中に弁護士が接見に駆けつけます。
その後は、当事務所の刑事事件の担当弁護士とすぐに連絡できる体制を構築します。弁護士を筆頭にチーム一丸となってサポートし、刑事事件化を防止します。
相手に心から寄り添う「EQの高い弁護士」による1,000件以上の豊富な刑事事件解決実績がある
当事務所には、相手に心から寄り添う「EQの高い弁護士」が多数在籍していて、1,000件以上の豊富な刑事事件解決実績があります。
EQとは、心の知能指数のことです。
示談交渉の場で弁護士に必要となるのは、知識や経験だけはなく、いかに暴行を受けた被害者に寄り添えるかという精神的な部分も重要です。
ご依頼様のお役に立つため、被害者の方に誠実な対応をするために、当事務所では示談交渉の場において、まずはご依頼者様に代わって誠心誠意、謝罪させていただいております。
その結果として、高い確率で示談交渉を成立させて、不起訴獲得に繋がっているのです。
ただ知識や経験があるだけでなく、相手に寄り添うことができる本当の意味での質が高い弁護士が揃っているからこそだと自負しています。
暴行してしまったあなたの味方になり、徹底的に守る
当事務所の弁護士は、暴行してしまったあなたの味方になり、徹底的に守ることをお約束します。
以下のように、弁護士に依頼するのをためらう方は多いことと思います。
・暴行してしまった人間の話なんて、まともに聞いてくれないのでは?
・弁護士なんて、所詮金儲けのことしか考えていないのでは?
弁護士は、あなたを「弁護」するための存在です。
「For Client(あなたのために)」という信念を軸にいつでも全力で行動する当事務所の弁護士は、あなたのことを決して否定しないので、ご安心ください。
少しでも不安なことがあったら、ぜひご相談ください。
暴行してしまったあなたはもちろん、ご家族の方も、早朝でも深夜でもとことん向き合って問題を理解し、精一杯対応させていただきます。
まずはあなたの話を聞かせてください。
東京スタートアップ法律事務所の解決事例
EQの高い弁護士だからこそ、被害者との示談を成立させて不起訴処分を獲得できた事例を2つご紹介します。
1つ目は、バーで相手に平手打ちをしてしまった事例です。
バーで相手に平手打ちをしてしまった事例
加害者 | 30代男性 Aさん |
相談者 | Aさんの妻 |
事件内容・状況 | ・Aさんはバーで酔って他の客と口論になり、相手に平手打ちをしてしまった ・現行犯逮捕 ・相手から被害届を提出されている |
弁護士の活動 | Aさんの妻から連絡を受けて、当日に接見 警察・検察に意見書を提出し、Aさんの身柄を解放する → 早期釈放! 被害者との示談交渉を進め、示談金25万円の支払いで被害届を取下げてもらう → 不起訴処分を獲得! |
被害者が、急に平手打ちされて怒りが収まらない気持ちに寄り添って、担当弁護士は、まず誠心誠意謝罪し、25万円の示談金で示談を成立させることができました。
2つ目は、しつこい訪問販売員を追い返す際に髪を掴んでしまった事例です。
しつこい訪問販売員を追い返す際に髪を掴んでしまった事例
加害者・相談者 | 40代男性 Bさん |
事件内容・状況 | ・夜に訪ねてきたしつこい訪問販売員を玄関から押し出す際に、髪を掴んだ ・追い返したと思っていたら、警察に呼ばれて取調べを受けることになった ・身柄を拘束されることはなかったが、呼び出しに応じて取調べを受けることに |
弁護士の活動 | 被害者との示談交渉を進め、休業損害費を含めた30万円の示談金の支払いで合意 → 不起訴処分を獲得! |
被害者としては、熱心に仕事をしていただけなのに、という戸惑いと怒りの気持ちがありました。弁護士は加害者の立場からの主張だけではなく、被害者の気持ちに寄り添い交渉を続けたことで、30万円の示談金で示談を成立させました。
どちらの事例も、粘り強い交渉で早期に示談を成立させたからこそ、不起訴処分を勝ち取り、ご依頼者様は前科を付けずに済みました。
まとめ
この記事では、暴行罪について詳しくご説明させていただきました。
最後に記事の内容をまとめてみると、暴行罪として成立するためには、以下の2つの要件を満たさなくてはなりません。
- 相手に対してわざと攻撃した
- 暴行が起きた証拠がある
暴行罪が成立するケースは、以下の2つです。
暴行罪が成立するケース
相手を直接攻撃する | ・殴る ・蹴る ・叩く ・押す ・羽交い絞めにする ・石を投げつける ・刃物を振り回す ・勝手に髪の毛を切る |
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相手を間接的に攻撃する | ・太鼓を連打する ・拡声器を耳元で用いる ・大声で怒鳴る ・水をかける ・唾をかける ・砂をかける ・農薬を散布する ・食塩を振りかける |
暴行罪に該当すると、刑法第208条によって2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれかが科されます。
暴行罪の時効は、以下のように、刑事と民事の観点から2種類の期間が設定されています。
刑事 | 3年 →海外滞在期間は時効が停止する |
民事 | 5年 →海外滞在期間も時効が停止しない |
暴行罪と傷害罪は、以下の3点の違いがあります。
- 相手の怪我の有無
- 刑罰の重さ
- 逮捕される可能性
暴行罪で逮捕されるときは、「現行犯逮捕」か「後日逮捕」のどちらかですが、どちらにせよ、弁護士に依頼することが重要です。
暴行罪の示談金相場は、以下の通りです。
暴行罪で逮捕されたら、以下の2つの理由からスピード対応するのがおすすめです。
- 逮捕後72時間以内に勾留が決定すると、外部と一切連絡が取れなくなる
- 一定期間内に示談交渉が成立しないと起訴され、前科が付く可能性が高い
暴行罪で逮捕されそうなときに弁護士に相談するメリットは、以下の3つです。
- 刑事事件化を防いで逮捕を回避できる
- 適正な条件で示談を締結できる
- 万が一逮捕されてもその後の弁護活動を依頼できる
スピード対応を重視している東京スタートアップ法律事務所にご相談いただければ、当日接見でできる限り早くあなたが日常生活に戻れるようにサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
- 得意分野
- 企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務