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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

暴行罪の慰謝料・示談金の相場とは?弁護士がわかりやすく解説

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「暴行罪の慰謝料・示談金はいくらくらいなのか」
「慰謝料や示談金を少しでも減額する方法は?」

慰謝料・示談金を請求され、このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

慰謝料・示談金は、民事上の損害賠償として支払われるものですが、暴行事件では被害者の被害意識が強いため、暴行罪の慰謝料・示談金と、民事上の損害賠償額として裁判所に認められる金額とは異なります。

今回は、暴行罪の慰謝料・示談金の相場、金額を決める要因などについて解説します。

暴行罪の定義

最初に、暴行罪の定義について説明します。混同されやすい傷害罪との違いもあわせて確認しておきましょう。

1.暴行罪の定義と具体例

「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」と定義されています。

殴る、蹴るなどの暴力行為を想像する方も多いですが、有形力の行使とは殴る、蹴るではありません。

例えば、物理的な力を使用して動くことも指します。

相手を突き飛ばしたり、襟首をつかんだりするだけでも、相手に物理的な力を及ぼしていることになります。

暴行罪の典型的な例だけではなく、水をかけたり唾を吐きかけたりする行為も、物理的な力の行使です。

程度問題という側面もあるため、殴る、蹴る、水をかけるなどの行為が必ず検挙されるわけではありませんが、刑法上、物理的な力が行使されれば「暴行」とみなされます。

また、相手に石を投げつけても当たらなかった場合や、攻撃を避けられた場合でも、暴行罪が成立します

相手が直接物理的な力を受けていなくても、力が相手に対して行使されたことに変わりはないためです。

2.暴行罪の法定刑

暴行の刑罰は、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金、拘留又は科料」です。

拘留と科料は、それぞれ刑罰としての懲役と罰金を指すため、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」と考えて良いでしょう。

3.傷害罪との違い

刑法第208条では、暴行罪は「人を傷害する行為でないこと」という要件を定めています。

人に怪我を負わせた場合は、より重い傷害罪(刑法第204条)で処罰されるためです。

傷害とは、「人の生理的機能の侵害」と定義され、怪我だけではなく病気も含まれます。

例えば、川に突き落とした結果、怪我はなくても細菌に感染していれば、生理機能を侵害したと判断でき、傷害罪となるのです。

傷害罪は、相手に「障害」を負わせた場合のみ適用されるものではありません。

後遺障害が残るような重傷だけを指すわけではない点に注意しましょう。

軽傷の場合は傷害罪に至らないという理由で暴行罪になる余地があるといえます。

しかし、実際には、被害者が怪我をすれば非常に軽いものでも傷害罪に問われるケースが多く、基本的には程度が軽い場合でも傷害罪に該当すると考えた方がよいでしょう。

暴行罪の慰謝料・示談金とは

暴行罪での起訴を避けたいのであれば、被害者と示談を成立させ、被害届を取り下げてもらう必要があります。

また、被害届が取り下げられなかったとしても、示談が成立しているということは、示談によって被害者が納得しているということです。

つまり、事件として立件される可能性は低いといえます。

また、示談を成立させるためのポイントとして「慰謝料」「示談金」があります。

いずれも加害者から被害者に支払われるお金であり、意味は同じだと考えている方もいるでしょう。

しかし、実は、慰謝料と示談金とは意味合いが異なります。

慰謝料は、加害されたことによって被害者が受けた精神的苦痛を補償するお金です。

一方、示談金とは次のようなものを指します。

  • 暴行を受けたために通院するために支払った治療費や診察料
  • 暴行時に破壊された持ち物の賠償金
  • 営業上の損失

示談金は、実損害に対する賠償金ですが、慰謝料も示談金の内訳に含まれます。

慰謝料も示談金の項目の一つである点が混同されやすい理由だといえるでしょう。

示談では誠意ある謝罪が示されますが、同時に慰謝料や示談金の額も話し合われます。

示談金のうち実損額は明確にしやすいものの、慰謝料は明確な基準がないため、争点になりやすい部分です。

慰謝料と示談金は意味が異なるお金ですが、別々に支払いが行われることは稀です。

通常、示談交渉の場で、示談金を一括で支払うことで和解が成立します。

暴行罪の慰謝料・示談金の相場

暴行罪の慰謝料・示談金はいくら必要なのでしょうか。

また、請求された場合、支払うことが難しく減額したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、暴行罪の慰謝料・示談金の相場、減額の可否について説明します。

1.相場は10~30万円

暴行罪の慰謝料・示談金の相場は、10~30万円程度です。

ただし、金額はあくまで目安であり、絶対的なものではありません。

示談は加害者・被害者双方の合意に基づいて成立するものであり、事件の内容によっては相場よりも高額になる可能性があります。

2.減額できるのか

刑事事件に強い弁護士に示談交渉を任せることで、示談金を相場より減額することも可能です。

一般的に、暴行罪の示談金は、被害者と加害者の交渉によって決まります。

しかし、被害者側が「示談できなくても問題ない」「この金額でなければ示談しない」というケースも珍しくありません。

被害者の意見を尊重しつつ、慎重に示談交渉を進める必要があります。

一方、被害者の提示した示談金が反映されやすいという側面もある点も理解しておく必要があるでしょう。

暴行罪の慰謝料・示談金を決める要因

慰謝料・示談金の相場を紹介しましたが、金額に影響を与える要因は事案の種類だけではありません。示談金に影響を与える主な要因は3つあります。

  • 損害の程度
  • 被害者の処罰感情
  • 加害者の事情

ここでは、それぞれの要素が示談金にどのような影響を与えるのか、詳しく解説していきます。

1.損害の程度

最も重要な要素は、損害の程度です。

暴行事件の傷害が重くなったり、詐欺や窃盗による被害額が大きくなったりすれば、それに応じて示談金も増額します。

被害の大きさは、お金に換算しやすい要素といえます。

2.被害者の感情

被害者の処罰感情は、同じ種類の事件の被害者でも個人差が大きいです。

重大犯罪の被害者でも処罰感情が薄い方もいらっしゃいますし、軽微な犯罪の被害者でも処罰感情が大きい方もいらっしゃいます。

被害者ごとに感じ方が異なるため、加害者側が示談金を提示することが非常に難しいといえます。

被害者個人の性格、被害者と加害者の関係、事件の背景、被害の程度などによって処罰感情は変わります。

加害者としては、処罰感情の程度に応じた金額を提示するだけではなく、真摯な反省の態度を示し、被害者の処罰感情をできるだけ和らげることが重要です。

3.加害者の事情

加害者の社会的地位や前科の有無など、加害者の事情も示談金の額を決める要素の一つです。

例えば、加害者が経済的に余裕のある社会人と学生では、同じ金額でもお金の重みが違ってくるでしょう。

会社経営者や公務員など社会的地位のある方、前科がある方などは、反省の意を示すために通常より高額な示談金の支払いを求められるケースもあります。

暴行事件の解決には示談が重要

実際に暴行事件を起こしてしまった場合、相手方と示談ができるかどうかが重要です。

逮捕された場合、相手に直接謝って示談はできません。まずは弁護士に依頼し、相手方と話し合いましょう。

1.起訴を回避する

暴行罪では、被害者と示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高くなります。

なお、示談が成立したからといって、必ずしも不起訴になるとは限りません。

起訴を回避するためには、少なくとも検察官が起訴決定を出す前に、示談を成立させる必要があります。

2.交渉できない場合

暴行罪について示談が成立しなければ、起訴されて有罪判決を受ける可能性があります。

また、示談が成立しないからといって、金銭的な補償が免除されるわけではありません。

被害者が裁判外で示談に応じない場合、加害者に対して損害賠償や慰謝料を請求する民事裁判を起こすことができます。

つまり、暴行罪で相手方と示談が成立しない場合、刑事事件として処罰されるだけでなく、民事事件として損害賠償責任を負う可能性があります。

書類送検

被疑者が逃亡・罪証隠滅のおそれがない場合、検察庁でさらに捜査が必要な場合でも、「書類送検」として身柄が釈放されることがあります。

その後、検察から呼び出しがあると、指定された自宅から出頭して取り調べを受けます。

ただし、身柄が釈放されたからといって無罪になったわけではなく、取調べは続行されることを理解しておきましょう。

また、書類送検は起訴・不起訴の判断には影響しません。

そのため、書類送検されたとしても、起訴されて有罪になれば前科がつきます。

書類送検によって身柄が解放されると、弁護士と直接話をする機会がたくさんあるため、今後の対応や被害者への謝罪の仕方などについてアドバイスをもらいましょう。

略式起訴

暴行罪の場合、悪質ではない限り、起訴されても略式裁判がなされるケースが多くあります。

簡易裁判とは、裁判を開かずに書類だけを調べ、法定刑の範囲内で罰金額などを決める手続きです。

起訴時に、本人の拘束が解かれるというメリットがあります。

ただし、罰金刑であっても、有罪となれば前科として記録されます。

3.起訴されると99%有罪になる

日本の裁判所では、一度起訴されるとほぼ100%の確率で有罪になります。

令和4年に発表された政府統計によれば、確定判決を受けた213,315人のうち、無罪となったのは94人と有罪率は100%に近く、起訴されると検察側の主張を覆して無罪を勝ち取ることはほぼ不可能といえるでしょう。

起訴されないためには、告訴前に弁護士に依頼して被害者と示談交渉を行うべきです。

参照:令和4年版犯罪白書|法務省

4.有罪判決で前科がつく

有罪が確定すれば、たとえ実刑を回避できたとしても前科がつき、前科がつけば将来の就職にも影響します。

また、事案によっては、有罪確認によって実名報道されることもあります。

実名報道をされると、報道された情報がSNSで拡散され、インターネット上に一生残る危険性があるでしょう。

また、本人がSNSを利用している場合、本人だけではなく家族まで誹謗中傷をされる可能性があります。

暴行罪の慰謝料・示談金交渉を弁護士に依頼するメリット

暴行罪の慰謝料・示談金は、弁護士に交渉を依頼する方法が一般的です。

当事者間で話し合うことも可能ですが、逮捕されてしまうと、そもそも自分で交渉することができません。

また、逮捕されていなくても、相場を大きく超える慰謝料を請求される、話し合いができないなどで示談交渉がまとまらない可能性もあります。

適切な慰謝料で示談を成立させ、事件の再発を防ぐためにも、暴行の示談交渉は弁護士に任せるべきだといえるでしょう。

1.暴行で逮捕されても慰謝・示談金の交渉は可能

逮捕後72時間中は、家族であっても面会できません。

面会できるのは弁護士だけです。

そこで、弁護士を留置場に派遣して面会させ、被害者との示談交渉を依頼することで、逮捕中でも示談を進めることができます。

また、家族も弁護士に出頭の依頼が可能です。

逮捕中、弁護士が被害者と慰謝料交渉を含めた示談交渉を依頼します。

示談は早ければ早いほど効果的なため、逮捕されたら早めに弁護士に相談しましょう。

2.暴行罪でも適正な慰謝・示談金で終結できる

弁護士に示談交渉を依頼すれば、適正な慰謝料額で示談がまとまる可能性が高いです。

暴行罪の被害者のなかには、不当に高額な慰謝料や辞職など、過大な要求をするケースも少なくありません。

弁護士であれば、暴行罪の刑罰内容や過去の判例を踏まえ、適切な金額で示談交渉を進めることが可能です。

また、裁判外で示談を成立させた場合、多額の示談金を請求して支払ったにもかかわらず、後日再度示談金を請求されるケースもあります。

経験豊富な弁護士が裁判外交渉を行えば、適正な慰謝料額の交渉を行い、一回で解決できる可能性があります。

まとめ

今回は、暴行罪の慰謝料・示談金の相場、金額を決める要因などについて解説しました。

暴行罪の示談金の相場は、10~30万円程度です。ただし、さまざまな要因で変動するため、あくまでも相場として捉えておきましょう。

暴行罪で起訴され、有罪判決を受けると、刑が軽くても前科がついてしまいます。

前科をつけないためには、示談を成立させ、不起訴を目指す必要があります。

示談をより確実にするためには、暴行事件の解決実績が豊富な弁護士を選び、サポートを受ける方法が有効です。

弁護士であれば、被害者との示談交渉も冷静に行うことができます。

また、多くの暴行事件を扱ってきた弁護士は、相手方から多額の慰謝料を請求されたとしても、過去の経験や判例に照らし、慰謝料を相当額まで減額することが可能です。

暴行罪の慰謝料の支払い、示談交渉については弁護士に相談しましょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されたなどの問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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