刑事事件CATEGORY
刑事事件
投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

痴漢の証拠になるものは?DNA・繊維鑑定や逮捕の可能性について解説

東京スタートアップ法律事務所は
全国14拠点!安心の全国対応
東京スタートアップ法律事務所は
初回相談0

「痴漢をしたけれど、証拠は残っていないのではないだろうか」
「DNA・繊維鑑定で逮捕されることはあるのだろうか」
「痴漢が冤罪の場合に逮捕を免れる方法はあるのだろうか」

痴漢をした場合、または冤罪事件に巻き込まれた場合、このように考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

殺人事件であれば凶器、窃盗事件であれば盗品など、物として証拠が存在する犯罪もありますが、痴漢には物としての証拠は存在しません。

そのため、痴漢という行為は、明確な証拠がないと考える方も多いでしょう。

しかし、証拠がないように見える痴漢容疑の事件でも、実際には多くの方が加害者として処罰されています。

痴漢行為を証明し、処罰の対象となる証拠とはどのようなものが挙げられるのでしょうか。

今回は、痴漢行為で問われる可能性のある罪、痴漢の証拠、痴漢で起訴されて逮捕される可能性などについて解説します。

痴漢で逮捕される場合の主な証拠

痴漢で逮捕される場合、どのような物、出来事が証拠になるのでしょうか。

DNA・繊維鑑定以外にも、被害者の証言、目撃者の証言などが挙げられます。

ここでは、痴漢の証拠として有効な主な証拠と、収集方法、逮捕に至る理由について解説します。

1.被害者の証言

現行犯逮捕された被害者の証言は、痴漢の重要な証拠となる点を十分に理解しておきましょう。

犯人を現行犯逮捕するのは被害者本人であり、重要な証拠は被害者の供述です。

痴漢で現行犯逮捕された場合、被害者の供述が信用できるかどうかによって、起訴されるのか、有罪か無罪かが決まるといっても過言ではありません。

被害者の供述が信用できるのかどうかは、主に以下の基準で判断されます。

  • 実際に痴漢に遭った方しか語れないほど具体的かつ現実的であるか
  • 重要な事項についての供述が、痴漢を受けた直後から一貫しているか
  • 電車内の混雑度合いや位置関係などから、容疑者が犯人であると特定できる状況に被害者がいたか
  • 目撃証言など他の証拠と整合性があるか

痴漢を受けた直後の供述(初期供述)は、特に重要な証拠となります。

痴漢を含めた性犯罪は、密かに行われます。電車という公共の場で行われる痴漢行為でも、人知れず行われると証拠が十分に残らないことが一般的です。

そのため、痴漢事件では被害者の証言だけが証拠となるケースが多いですが、それでも有罪となるケースは少なくありません。

被害者の証言が信用できるのかどうかが重要なポイントになります。

被疑者や被告人の自白だけでは有罪にはできませんが、被害者の証言だけなら有罪にできるのです。

2.目撃証言

目撃証言も痴漢行為の重要な証拠になります。

第三者の目撃者がいる場合、証言は被害者の証言と同様、場合によっては被害者の目撃証言以上に重要な証拠です。

もちろん、痴漢容疑者と第三者の目撃者の間に利害関係はなく、容疑者と被害者の間に関係もありません。

3.DNA鑑定

被疑者が被害者の衣服に痴漢行為をした場合、被害者の衣服に被疑者のDNAが付着しています。

また、被害者が直接身体に触れて痴漢行為を受けたのであれば、被害者のDNAが容疑者の身体に付着しています。

DNA鑑定は、繊維鑑定と同様、被疑者が痴漢行為を行ったことを示す客観的な証拠です。

ただし、繊維鑑定と同様、混雑した車内で意図せず他人の衣服に触れてしまう可能性もあるでしょう。

痴漢と誤認された場合は、容疑者と被害者の位置関係を再現することで、DNAが付着していないことを主張・立証する必要があります。

4.繊維鑑定

「痴漢をされた」と被害届を出したものの逮捕されなかったケースもあります。

しかし、被害届を受けて現場に急行した警察は、容疑者の指や服にテープを貼り、被害者の服の繊維が付着していないか、繊維鑑定を行います。

服の上から痴漢をされた場合、容疑者の指に被害者の服の繊維が付着している可能性が高いでしょう。

そのため、繊維が付着していれば、客観的な証拠になります。

しかし、混雑した車内では、被害者の衣服の繊維が宙に浮き、他の人に付着する可能性も捨てきれません。

冤罪の場合、電車内の混雑状況を再現して、繊維が痴漢によって付着したものではないことを証明する必要があります。

5.防犯カメラ映像

被害者や目撃者の証言、または被害者や目撃者の事情聴取と並行して容疑者がある程度絞り込めれば、電車や駅のホームなどに設置された防犯カメラの映像を収集します。

防犯カメラの映像に痴漢の現場そのものが映っていれば、直接証拠となります。

痴漢の現場そのものが映っていなくても、映像に容疑者が映っているのかどうか、容疑者が被害者の近くにいたかどうか、痴漢の可能性があったかどうかを確認できます。

また、被害者や目撃者に確認してもらうことも可能です。

なお、防犯カメラの映像は、7~10日程度で消去されます。

そのため、痴漢の疑いをかけられたら、すぐに弁護士に防犯カメラの映像の保存を依頼することが大切です。

6.改札の入退場記録

容疑者がある程度絞られると、警察は鉄道会社に捜査の照会を行い(刑事訴訟法第197条2項)、ICカードによる改札の出入りの記録を受け取ります。

結果、被疑者が痴漢の被害に遭った電車を実際に利用したのかどうかの裏付け捜査が行われます。

痴漢行為で問われる可能性のある罪

痴漢行為を行った場合、次のいずれかの罪に問われる可能性があります。

・都道府県の迷惑防止条例違反
・不同意わいせつ罪

どのような罪なのか、刑罰の内容から確認しておきましょう。

1.都道府県の迷惑防止条例違反

痴漢をした際に挙げられる罪としてイメージする方が多いものは、各都道府県の迷惑防止条例違反です。

例えば東京都の場合、迷惑防止条例第5条で「公共の場所又は公共の乗物において、人の身体に直接又は着衣等を通じて触れることを禁止」としています。

迷惑防止条例違反をした場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

また、常習痴漢の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金であり、刑が加重されるため注意が必要です。

常習痴漢に該当するか否かは、前科の有無、犯行の手口・態様等を考慮して判断されます。

2.不同意わいせつ罪

痴漢行為が不同意わいせつ罪に該当するケースがあります。

不同意わいせつ罪は、刑法176条に以下のように定められています。

第百七十六条
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意わいせつ罪は、被害者が行為に同意していない状況でのわいせつ行為が処罰対象となるため、暴行や脅迫を用いていないケースも該当します。

例として、衣服の中に手を入れて無理やりに触るような暴行の度合いが強いケースは、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いと言えます。

刑法改正に伴い、2023年7月13日以降に発生した事件に対して適用されます。

現行犯逮捕は被害者が行う

痴漢の現場で被害の訴えがあれば、駅事務室に連行され、鉄道警察に引き渡されます。

鉄道会社では、駅員が事情を聞かずに鉄道警察に通報し、引き渡しをすることがマニュアル化されているためです。

現行犯逮捕は、警察に引き渡された時点で逮捕されるとイメージする方が多いかもしれませんが、警察へ引き渡された時点ではありません。

現行犯逮捕は、犯罪の実行中または実行直後に行われるものです。

被疑者(犯人)として確保する人物を間違える可能性は低いため、逮捕状がなくても誰でも逮捕できます。

そのため、法的には、被害者を痴漢の被疑者として扱った時点で現行犯逮捕です。

駐在所で警察に引き渡されるという行為は、すでに現行犯逮捕が行われた後の手続きにほかなりません。

一般人が現行犯逮捕した場合には、被疑者を引き渡さなければならないということです(刑事訴訟法第214条)。

痴漢を疑われた際には証拠集めが重要

痴漢を疑われた場合、証拠収集が特に重要です。

なお、証拠を集めることの重要性は、痴漢をした場合も、痴漢をしていない場合(痴漢冤罪)も同じです。

1.痴漢をした場合

痴漢をした際は、逮捕されないように行動することが大切です。

加えて、被害者と示談交渉をして不起訴を目指したり、起訴されても執行猶予などの軽い判決を目指したりすることが最善の弁護方針です。

示談交渉を誠実に進める前提として、証拠によって行為態様を明らかにしましょう。

また、痴漢をしたことを認めても、服に触ったか、下着に手を入れたかなどで処分の重さが変わります。

そのため、疑惑には反論しなければなりません。

2.痴漢が冤罪の場合

実際には痴漢をしていない場合、裁判で争って無罪を勝ち取るためには証拠が非常に重要です。

捜査機関は罰するために証拠を集めているのであって、無罪にするために証拠を集めているのではありません。

そのため、痴漢を冤罪と主張する場合には、被疑者(または弁護士)が積極的に証拠を集める必要があります。

  • 逃げずに否定し続ける
  • 会話を録音する
  • DNA・繊維鑑定を積極的に求める
  • 自白の強要に屈しない

弁護士は裁判まで痴漢の証拠を閲覧できない

痴漢の重要な証拠の多くは、捜査機関である警察・検察が収集し、保管しています。

警察は様々な証拠をもとに逮捕の可否を判断し、検察は勾留請求や起訴の可否を判断します。

起訴され裁判になるまでは、どのような物証があるのかを示すことはできません。

被害者の証言を具体的に聞くこともできないのです。

例えば、痴漢冤罪の場合、被疑者が無罪を主張しているのであれば、弁護士は被疑者の言い分のみを信じるしかありません。

ほかの証拠もないまま弁護をするしかない状況です。痴漢を疑われた方は、覚えている事実や警察・検察の取り調べの内容を、できるだけ具体的かつ詳細に弁護士に話すことが重要です。

また、痴漢冤罪で無罪を主張する際に、弁護士から「余計な情報を与えないため黙秘するように」アドバイスされ、準備を進めるケースもあります。

痴漢で逮捕の可能性があるときは弁護士に相談

痴漢を疑われた場合、迷惑防止条例違反や刑法上の不同意わいせつ罪などで厳しい処罰を受ける可能性があります。

刑罰を回避し、穏便に解決するためには、弁護士のサポートが不可欠です。

1.示談交渉を依頼できる

弁護士に依頼をすれば、痴漢事件の被害者と裁判外の示談交渉を進めることが可能です。

痴漢をしたと疑われている被疑者に代わり、真摯に謝罪します。

また、深い反省の気持ちを伝え、被害者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料など、可能な限りの賠償をすることで、許しを得るための交渉です。

示談が成立し、被害者が被害届や刑事告訴を取り下げれば、検察官も不起訴という判断をしやすくなります。

不起訴になれば刑事裁判が開かれず、処罰を受けなければ前科もつきません。

処罰を回避するためには、弁護士のサポートを得て、不起訴を目指すことが最も現実的な方法であるといえるでしょう。

2.早期釈放が見込める

弁護士は、被疑者の身柄を一刻も早く解放するために必要な活動を行います。

勾留を長引かせないためには、逮捕後に勾留などの刑事手続きを取らないことが重要です。

逮捕後に勾留が認められた場合、勾留期間は原則10日間、最長20日間と定められています。

被疑者を勾留するのかどうかは裁判官が決めますが、裁判官に勾留請求をするのは検察官です。

弁護士は、身柄の解放のために以下のことを行います。

  • 勾留請求しないよう検察官に意見書を提出する
  • 勾留請求を却下する意見書を裁判官に提出する
  • 勾留が許可された場合、勾留決定の取消しを求める準抗告を行う

弁護士の主張が認められるためには、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりするおそれが少ないと判断されなければなりません。

そのためには、身元引受人を選任する、釈放後に被疑者が逃亡や証拠隠滅をしないように監督するなどの措置を講じる必要があります。

3.刑を軽くするためのサポートを受ける

弁護士に依頼をすれば、刑罰が軽くなるサポートを受けられます。

痴漢をしたことが事実であっても、「重い法定刑が確定する」などと諦めてはいけません。

弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉や有利な証拠の提出によって、刑罰を軽くしてもらえる可能性があります。

また、実際に痴漢行為をしていないのであれば、潔白を主張すべきです。

しかし、1人で捜査当局に立ち向かうのは困難だといえるでしょう。

無実を証明する証拠の収集や刑事裁判の対応は、痴漢事件の解決経験が豊富な弁護士に任せるべきです。

まとめ

今回は、痴漢の証拠になるもの、逮捕の可能性、被疑者となった場合の対応方法などについて解説しました。

犯罪の証拠といえば「物」というイメージがあるかもしれませんが、痴漢事件の証拠の概念は物だけではありません。

明確な物的証拠がなくても、痴漢行為が立証できないわけではなく、被害者の供述や目撃証言も重要な証拠となります。

また、DNA・繊維鑑定などの科学捜査で証拠が出ることもあります。

厳しい処罰を避けるためには、証拠を正しく理解した弁護士のサポートが必要です。

痴漢事件の解決を目指すなら、痴漢事件の解決実績が豊富な弁護士に相談しましょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件を起こしてしまった、または疑いをかけられているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

検察官や捜査機関の考え方を熟知している元検事の弁護士を中心とした刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

画像準備中
執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

\ 初回相談0円!お気軽にお問い合わせください /