刑事事件の流れを解説 捜査・逮捕・手続きの流れを詳しくご紹介
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記事目次
刑事事件とは
刑事事件とは、刑法等の法律によって禁止された行為に対し、刑事罰が科される事件を指します。
具体的には、万引き(窃盗)、詐欺、暴行などがあります。
民事事件は、個人や企業間の紛争や損害賠償請求などの民事的権利・義務に関する争いであるのに対し、刑事事件は、法律によって禁止された行為に対して国家が介入し、犯罪者に対して刑罰を科すことを目的としているため、被疑者ないし被告人の相手方当事者は国家である点で大きな違いがあります。
刑事事件の流れ(事件発生〜第一審判決言渡しまで)
ここでは、刑事事件の流れについて、事件発生から第一審判決の言い渡しまでの流れを説明します。
1. 事件発生
事件が発生し、それが警察に感知されると必要に応じて警察による捜査が開始されます。
警察が事件を感知する方法にはさまざまなものがあり、例えば、被害者や目撃者からの通報により事件の発生が警察に伝わる場合などがあります。
警察は事件の発生を感知すると、必要に応じて現場に急行し、現場の安全確保や状況の確認、目撃者の証言について調書を作成する等の必要な対応を行います。
2. 警察による捜査・事件処理
次に警察は事件について、捜査が必要であると判断した場合には、事件について物証の収集や証人への聞き取り等の捜査を行います。
警察の捜査手法は、さまざまであり、科学的な手法や専門家の協力が活用されることもあります。
警察による被疑者への取り調べも捜査の一つであり、警察がその後の捜査の見立てを立てる上で重要な手掛かりとなります。
3. 検察官による捜査・終局処分
逮捕された場合、警察署で警察官からの取り調べを受けた後、警察署から検察庁へ移送され、検察官による取調べが行われます。
検察官は、勾留請求(身柄拘束)をするかどうか、どのような事実を被疑事実にするかどうかについて裁量を有しており、検察官が勾留請求をすると裁判所で裁判官から勾留質問がなされ、裁判所が勾留を認めると、被疑者はそこから一般的には10日間(重大な事件では20日間)身柄を拘束されます。
そして、検察官は被疑者への取り調べ等の捜査を行い、被疑者に対してどのような処分を行うかを判断します。
検察官における最終決定を終局処分といいます。
4. 略式起訴・略式命令
略式起訴は、軽微な刑事犯罪に対して、検察官が犯罪の事実と罪状を指摘し、被疑者に対して略式手続で起訴することです。
略式命令は、軽微な違法行為に対して、警察官や検察官が裁判所に罰金の判決を求める場合の手続です。
いずれの場合も、法廷での審理を経ずに手続が進められ、速やかな解決を目指します。
ただし、一部の重大な犯罪や被疑者の希望によっては、略式起訴や略式命令は適用されません。
5. 公判請求・正式裁判
検察官は、被疑者取り調べをした上で被疑者を起訴するかどうかを決定します。
検察官が、罰金よりも重い刑事罰である懲役刑を課すべきであると考えた場合には、検察官は被疑者に対して懲役刑を求刑します。
懲役刑については、略式命令で行うことはできないため、この場合には検察官は公判請求を行うことになります。
検察官が公判請求をした場合には、被疑者に対する刑事裁判が裁判所で開かれることとなります。
6. 判決言渡し
裁判所は、検察官からの主張立証が終わり、弁護人からの弁論も終わると弁論を終結し、被疑者に対して判決を言い渡します。
判決の内容は、有罪か無罪かの判断に加え、有罪の場合には刑事罰が言い渡されます。
事件の難易にもよりますが、1回目の裁判期日で弁論まで終了し、次の期日で判決を言い渡されるケースが多いようです。
刑事裁判の流れ
ここでは、検察官が終局処分として起訴を選択した場合に開かれる刑事裁判の流れについて説明していきます。
手続きの概要
検察官が公判請求(起訴)をすると、刑事裁判が開かれることとなります。
1回目の裁判期日は、裁判所にもよりますが、検察官が起訴をしてから、3週間後程度の日程を指定されることが多く、次の期日はそれからまた3週間程度先の日程で指定されます。
刑事裁判は、原則として、誰でも傍聴することができる公開の法廷で行われるため、社会的関心の高い事件ではたくさんの傍聴人やマスコミが来ることもあります。
裁判所は、公開の法廷で検察官の主張と求刑を確認し、弁護側の弁論を聞いた上で、被告人本人や証人の尋問を行い、被告人に対する判決をすることとなります。
①冒頭手続き
1回目の刑事裁判を開く際に、裁判所は被告人の氏名や生年月日、職業、住所、本籍等を尋ね、出頭した者が被告人本人であることを確認します。
出頭した者が被告人本人であることが確認できると、次に検察官による起訴状の朗読が行われます。
そして、裁判所から被告人に対する黙秘権などについての告知がされます。
次に被告人及び弁護人が起訴状にある罪について認否すなわち起訴状にある罪について認めるのか争うのかを明らかにします。
②証拠調べ手続き
冒頭手続きが終わると、証拠調べ手続きに移ります。
証拠調べ手続きでは、通常は検察側から冒頭陳述が行われます。
検察側は冒頭陳述で立証しようとする事実を明らかにします。
次に弁護側の冒頭陳述が行われ、弁護側はこれにより立証しようとする事実を明らかにします。
刑事裁判では犯罪事実については、検察官が証明する必要があり、弁護側は検察官の証明を覆す事実や被告人に有利な別の事実の立証を行います。
証拠調べの対象は、被告人の取調調書や防犯カメラ等の客観証拠の他、証人への尋問があります。
③最終弁論
証拠調べ手続きが終わると、証拠調べによって明らかになった事実から検察官は量刑についての意見(求刑)を述べ、弁護側からも犯罪の成否及び量刑等について意見を述べます。
そして、最後に被告人が事件についての意見を述べます。
例えば、被告人は罪について認めて、量刑のみを争う場合には、この場面で被害者に対する謝罪や反省の意を述べ更生を裁判官に約束することなどが考えららます。
裁判所は、検察側の論告及び弁護側の意見、被告人の発言や態度を踏まえて、後日判決を言渡します。
刑事事件の流れ(被疑者・容疑者の逮捕〜勾留)
ここでは、刑事事件の流れについて、被疑者または容疑者段階から逮捕、その後の勾留について説明いたします。
1. 被疑者・容疑者の逮捕
警察は、犯罪の発生を感知した場合、被疑者を特定します。
従前の捜査の状況や、被疑者発見時の状況から、身柄を確保しておく必要性が高いと判断する場合には、被疑者を逮捕します。
警察は被疑者を逮捕した場合には、48時間以内に検察官に送致しなければならず、その間に必要な取り調べ等を行います。
2. 被疑者の勾留
警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に検察官に送致し、検察官は送致を受けてから24時間以内に被疑者の勾留請求を行うか、釈放するかを決定する必要があります。
被疑者の勾留は、検察からの勾留請求を受けて裁判所が勾留質問を行った上でする決定であり、通常は10日間の勾留決定が出されます。
そして、この期間満了後も検察は必要と判断した場合には、さらに10日間の勾留請求をすることができます。
そのため、被疑者勾留は基本的には最大で20日間ということになります。
実務上は、最初の勾留の段階と状況に変化がない場合や否認事件については、10日間の勾留延長がなされることが通例となっています。
弁護人は勾留について必要性を欠く事情がある場合には勾留取消しの申立てを行うことができ、これにより被疑者の身柄解放が実現される場合があります。
被疑者が罪を認めていて被害者と示談が成立している場合には、勾留取り消しが認められる可能性が高いといえます。
3. 被告人の勾留
前述の通り、検察官は、被疑者勾留の満期までに、被疑者に対する終局処分を行うのが通常です。
そして、検察官が被疑者勾留の満期・期限までに、起訴(公判請求)をした場合には、被疑者勾留は被告人勾留に変わり身柄の拘束が継続します。
被告人勾留は、被疑者勾留と異なり2ヶ月間が最初の満期となっており、その後一ヶ月ごとに延長をすることが可能です。
そして、被告人勾留については、保釈の制度があるため、被告人は一定額の保釈金を裁判所に納付し、一定の条件のもと身柄を解放される場合があります。
否認事件の場合、被疑者勾留で勾留取り消しが認められる可能性は極めて低いですが、被告人勾留では証拠調べ手続き(通常は第一回目の裁判期日)の終了後には保釈が認められる場合が多いといえます。
なお、被疑者勾留の満期までに検察官が起訴(公判請求)をしない場合には、被疑者勾留はその効力を失い、被疑者は釈放されます。
まとめ
この記事では、刑事事件の発生から警察の初動、警察や検察官による捜査、検察官による終局処分、その後の刑事裁判について、概要を説明してまいりました。
刑事事件に携わる警察、検察官は日頃から刑事事件を扱っており、豊富な経験を有していることから、警察や検察官の認定が自身の認識と異なる場合、それを主張していくためには、専門家である弁護人のサポートが必要不可欠であると考えられます。
当事務所では刑事事件に知見のある弁護士が親身に相談に乗りながら最善の結果を目指してご対応させていただいております。
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- ガバナンス関連、各種業法対応、社内セミナーなど企業法務
- プロフィール
- 埼玉県出身 明治大学法学部 卒業 早稲田大学大学院法務研究科 修了 弁護士登録 都内法律事務所 入所 東京スタートアップ法律事務所 入所