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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

逮捕後の勾留期間は?留置期間との違いや早期釈放に向けたポイントを解説

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「刑事事件で逮捕された後はどうなるのか」
「勾留期間はどのくらいなのだろうか」
「早期に釈放されるためにはどうすればよいのか」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犯罪事件の被疑者として逮捕された場合、どこに移送されるのか、取調べはいつまで続くのか、施設からいつ釈放されるのかなどの時間・期間を把握しておくことが大切です。

どの程度勾留されるのかを理解していると、「いつまで拘束が続くのかわからない」という不安から解放されます。

通常、警察や検察は勾留期間について説明してくれないため、自身で知識を得ることが大切です。

今回は、逮捕後の手続き、勾留期間や留置期間、早期釈放のための対応方法などを詳しく解説します。

逮捕された後の勾留期間

逮捕後の勾留期間や、延長される可能性について理解しておくことが大切です。

最初に逮捕後の具体的な勾留期間、延長されるケースについて解説します。

1.勾留期間は原則として10日間

逮捕後の勾留期間は、原則10日間です。

検察官が10日以内に勾留請求をしなければ、被疑者を直ちに釈放しなければならないと定めているからです(刑事訴訟法第208条1項)。

2.延長が認められると最長20日間

検察官は、10日を限度として勾留延長を請求できます。また、裁判官が「やむを得ない事由がある」と判断した場合は、勾留延長が可能です(刑事訴訟法第208条1項)。

そのため、延長が認められると、最長20日間勾留されます。

また、次の罪に該当する場合は、裁判官は検察官の請求により、5日まで再延長が可能です。

  • 刑法第2編第2章(内乱に関する罪)
  • 第3章(外患に関する罪)
  • 第4章(外交関係に関する罪)
  • 第8章(騒擾に関する罪)

再延長は、「やむを得ない事由がある場合に限りできる」と規定されています(刑事訴訟規則第150条の2)。

具体的には、国家権力の転覆や社会秩序の維持に重大な危険を及ぼす犯罪が疑われる場合に、再延長が認められます。

3.起訴前と起訴後の勾留期間

起訴前と起訴後では、勾留期間が異なります。

起訴前の勾留機関は10~20日ですが、起訴後は2ヶ月以上です。

なお、呼び方も変わり、起訴前は被疑者と呼ばれますが、起訴後は被告人と呼ばれます。

勾留と留置の違い

勾留と留置は混同されやすいですが、言葉の意味が異なります。それぞれの意味や、期間の違いを解説します。

1.期間の違い

留置期間は、最長で72時間です。

送致後、24時間以内に検察官の取り調べを受けます。

起訴か不起訴かは72時間以内に決定されます。

原則として捜査した警察が送検しますが、誤認逮捕などの事情があれば送検されません。

つまり、留置される期間は最短でも48時間です。

2.それぞれの目的と意味

勾留とは、被疑者・被告人を捕らえ、裁判の時まで一定の場所に留めておくことを意味します。

留置は、最初に被疑者を捕まえ、逃げないように特定の場所に留まらせることです。

「留置所」と勘違いされがちですが、実際は「留置場」です。

3.留置場や拘置所とは

留置場・拘置所とは、警察署内に設置され、被疑者が逮捕・勾留されるまでの勾留期間、留置される施設のことです。

拘置所は法務省の施設であり、起訴後に被告人が勾留された場合は、留置場に収容されます。

起訴されていない被疑者の状態での勾留も、法律上は拘置所に拘束されます。

そのため、勾留された被疑者は、原則として留置場から拘置所に移送されます。

しかし、実際は留置場で拘束されることが多く、この場合の留置場は「代用監獄」と呼びます。

留置場で拘束が続く主な理由は、留置場が警察署内にあり、捜査機関が留置場で取調べを行いやすいためです。

また、拘置所よりも留置場の数が圧倒的に多いことも理由として挙げられます。

4.勾留期間は留置場に入れられるのか?

勾留期間は、留置場に入れられます。

拘置所は、起訴された後も身体拘束が続くような場合に収容される施設です。

逮捕・勾留期間中は、原則として起訴されるまで警察署内の留置場に収容されます。

5.留置場での生活は?

拘束され、行動の自由が制限されるため、快適とはいえません。

しかし、留置場は、健康状態を保つため、勾留された方が最低限の生活ができるように配慮された施設です。

都道府県や拘置所によって違いはありますが、基本的には以下のような生活を送ります。

食事は1日3回、朝、昼、夜ですが、入浴は季節によって異なり、冬は週1回、夏は週2回とされています。また、就寝時間は早いですが、電気は消されません。

逮捕から勾留までの流れ

警察による逮捕から、勾留までの流れは以下のとおりです。

  1. 逮捕・送致
  2. 勾留請求
  3. 起訴・不起訴の決定

勾留されずに釈放されるケースもありますが、まずは全体の流れを理解しておきましょう。

1.逮捕・送致

刑事事件の被疑者(容疑者)として逮捕されると、まず警察署の留置場(代用監獄)に収容されます。

逮捕された後に警察の取調べを受けますが、罪が重くなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されると、すぐに釈放されることもあります。

ただし、釈放されても顔写真は撮影され、指紋や足型も採取されるため、前科がなくても前歴は残るという点に注意が必要です。

また、逮捕時に携帯電話やスマートフォンは没収され、外部と連絡が取れなくなります。

そのため、家族や会社、学校関係者が混乱するケースも少なくありません。

なお、留置場での拘束時間は48時間以内であり、逮捕後の捜査が終了した後は検察に送致されます。

2.勾留請求

警察が被疑者を検察官に引き渡すことを送致と呼び、送致後、検察官が捜査を行います。

取り調べが終わると、検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか、起訴(刑事裁判を開始)するかを決定しなければなりません。

十分な証拠や判断材料がなく、勾留を続ける必要がある場合は、検察官が勾留を請求します。

弁護人が勾留前から勾留阻止に動いているケースを除けば、請求が却下されるケースはほとんどありません。勾留が決まれば、10日間勾留されます。

被疑者勾留

被疑者が勾留されると、原則として10日間身柄を拘束され、留置場での生活が続きます。

逮捕されている間は外部との連絡が取れませんが、勾留に切り替わると面会禁止ではない限り家族や友人との面会が可能です。

勾留中も取調べは続きますが、10日以内に起訴するかどうかが決まらなければ、最大20日間まで勾留が延長されることがあります。

勾留延長

勾留延長は最長10日間で、検察官が裁判所に勾留延長を請求し、裁判官がやむを得ないと認めた場合に勾留期間が延長されます。

ただし、勾留延長請求が却下されるケースは少ないため、検察官に送致された場合は、10日以上勾留されるといえるでしょう。

勾留延長をすると、逮捕後最大23日間勾留されることになるため、会社や学校を無断欠勤する状態になります。

起訴が決まれば勾留期間はさらに延長され、3ヶ月以上(基礎固めから公判まで約2ヶ月)一般社会と遮断されます。

よほど寛大な会社や学校ではない限り、解雇や退学は避けられないでしょう。

3.起訴・不起訴の決定

延長された勾留期間が満了すると、検察官が起訴するか否かを決定します。

起訴とは、訴訟を提起することです。

起訴には、公判請求、略式命令請求、略式判決請求などがあります。

一般にイメージされる刑事裁判は、刑事訴訟法上、公判と呼ばれています。

起訴されると、被疑者は「被告人」となり、起訴後も身体拘束が続くことも少なくありません。

被告人勾留と呼ばれる期間は、原則として公訴提起の日から2ヶ月間です。

被告人の勾留は、特に継続の必要がある場合には、月単位で更新されます。

更新は原則として1回限りですが、証拠隠滅の疑いがある場合や住居が定まっていない場合は1回限りとはならず、長期間勾留されることもあります。

 逮捕後に勾留された際の注意点

逮捕後は、すぐに国選弁護士を専任できず保釈請求も行えません。

2つの注意点について、それぞれ確認しておきましょう。

1.国選弁護士はすぐに選任できない

刑事事件の場合、経済的な理由から国選弁護人への依頼を検討する方もいるでしょう。

しかし、国選弁護人は勾留が許可されて初めて選任されます。

つまり、国選弁護人は、勾留を阻止するために検察官に勾留請求しないよう働きかけたり、裁判官に検察官の勾留請求を認めないよう働きかけたりするような活動を依頼できません。

2.保釈請求は起訴後でなければできない

早期釈放というと、保釈を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、保釈は検察官が起訴してからでなければと申請できません。

勾留後の早期釈放に向けた対応

逮捕された場合、一刻も早い釈放を実現するために、状況に合わせた対応をしなければなりません。

ただし、いずれの場合も基本的には弁護活動が必要になるため、早めに弁護士に相談しましょう。

次に、勾留後の早期釈放に向けた具体的な対応について解説します。

1.罪を認め深く反省の意を示す

まずは、本人が素直に罪を認め、十分に反省していることを示します。

事案によっては、検察官や裁判官が、「身体拘束のない自宅での取調べであっても、捜査の目的は十分に達成される」と判断する可能性があるでしょう。

逮捕された場合、48時間以内に検察庁に送致されます。

検察官は、その後24時間以内に、被疑者の身柄を拘束したまま捜査を継続する必要があるかどうかを判断し、勾留請求をします。

裁判官が勾留を許可すれば、さらに勾留が続くのです。

ただし、検察官が勾留請求をしない場合や、勾留請求をしても裁判所が勾留を認めない場合は、逮捕から72時間以内に釈放されます。

そのため、反省の意を示し、72時間以内の釈放を目指しましょう。

2.準抗告の申立て

準抗告が認められれば、被疑者は釈放されます。

準抗告とは、裁判官がした勾留決定に対して、勾留の必要性がないことや勾留決定の誤りを主張して不服を申し立てる制度です。

準抗告をすれば、勾留を決定した裁判官以外の裁判官が再審査を行います。

主張が通れば勾留が取り消されたり、期間が短縮されたりするため、弁護士に申し立てを依頼しましょう。

なお、勾留に対する準抗告は2回(最初の勾留と勾留延長)しかできませんが、不成立の場合は特別抗告で違憲を主張することも可能です。

3.勾留取消請求

勾留された後に情状に変化があり、勾留が必要ないと判断された場合には、勾留取消し請求ができます。

被害者と示談が成立している場合や、事件の証拠がすべて揃い、証拠隠滅のおそれがなくなった場合などは、弁護士に勾留取消請求を依頼しましょう。

勾留取消し申立が認められれば、被疑者は釈放され、自宅に戻ることができます。

4.弁護士に相談する

被害者と示談が成立すれば、検察官が「勾留や起訴の必要はない」と考え、早期に釈放される可能性が高まります。

私選弁護人に依頼すれば示談がまとまりやすくなるため、勾留期間中は代理人として動いてもらいましょう。

弁護士を通じて被害者に謝罪の手紙を渡すことで、許してもらえるケースもあります。

逮捕・留置について相談する弁護士の選び方

逮捕・留置された場合、釈放のためにも可能な限り早く弁護士に依頼する必要があります。

ここでは、相談する弁護士を選ぶ際のチェックポイントを紹介します。

1.刑事事件に精通した弁護士かを確認

刑事事件の弁護を希望するのであれば、刑事事件に精通した弁護士を選ぶ必要があります。

弁護士の仕事は多岐にわたります。

刑事事件の弁護を希望するのであれば、刑事事件を専門に扱う弁護士を選びましょう。

刑事事件に強い弁護士を選ぶためには、弁護士や法律事務所の経験や実績を確認することが大切です。

法律事務所の公式サイトで過去の事例などを確認しましょう。

2.信頼関係を築けるか

依頼する弁護士との相性も重要なポイントです。

十分に話を聞いてくれるか、信頼関係を築けそうかどうかもしっかりチェックしましょう。

刑事事件はスピード勝負であり、弁護士が主導する部分も多々ありますが、スピード感を持った対応のなかでも、丁寧に話を聞きながら進めてくれる弁護士を選ぶことが大切です。

3.対応がスピーディー

刑事事件は、示談できるかどうかで釈放までの期間が1週間変わることもあり得ます。

複数の弁護士が在籍している法律事務所であれば、チームワークを活かして効率的な弁護活動を行ってくれるでしょう。

例えば、検察官、裁判官と対応しながら、被害者との示談交渉も可能です。

早期釈放を目指すのであれば数人で弁護活動をしてくれる、もしくはスピード感を強みにしている事務所に依頼をしましょう。

4.対応エリア

弁護士を選ぶ際に注意したいことは、全国対応可能な法律事務所かどうかという点です。通常、逮捕されるのは事件が発生した場所や被害届を提出した地域を管轄する警察です。そのため、地元以外でも逮捕される可能性があります。

例えば、大阪府に住んでいる方が、東京都に旅行中に事件に巻き込まれるなどです。

全国にネットワークがある法律事務所であれば、逮捕された場所と現地の弁護士が連携して弁護活動を行えます。

5.料金体系が明瞭

依頼費用は弁護士によって異なり、弁護活動によって早期釈放や不起訴処分を勝ち取ったとしても、予想以上に高額な請求を受ける場合があります。

想定以上に高額な費用がかかり、経済的な負担が大きくならないように、事前に料金体系を明確にしている事務所に依頼しましょう。

料金表を参考にすれば、弁護士費用の金額をある程度見積もることができます。

刑事事件は時間との勝負となるので、費用の確認は後回しになりがちですが、料金体系もしっかり確認して依頼前に説明を受け、請求後のトラブルを防ぎましょう。

釈放後の生活や前科について

釈放された後、元通りの日常生活を送れるのか、前科はつくのか不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

最後に、釈放後の生活や、前科がつくか否かについて説明します。

1.釈放された後の対応

釈放後は、通常の生活に戻り、仕事や学校に通えます。

家宅捜索が続く場合は、警察から呼び出しがあった際に出頭しなければなりません。

軽犯罪処分や不起訴処分で釈放されると事件は終了するため、元の日常生活に戻れます。

在宅調査の場合、調査期間が決まっていないため、対応が後回しになりがちです。調査に1年以上かかるケースもあるでしょう。

2.釈放と前科の関連性

釈放されたからといって、前科がつかないわけではありません。

釈放されても前科がつかないのは、微罪処分や不起訴処分のケースです。

釈放後も在宅捜査が進み、起訴された場合は、刑事裁判に発展する可能性があります。

起訴された場合は、上記の略式手続または正式裁判に移行します。

起訴された場合は、無罪を勝ち取るのは統計的に見ても非常に困難であり、前科がつく可能性が高いでしょう。

前科がつかないようにするには、軽微な刑事処分か不起訴処分を得るしかありません。

まとめ

今回は、逮捕後の手続き、勾留期間や留置期間、早期釈放のための対応方法などについて解説しました。

刑事事件の被疑者は、逮捕で72時間、勾留で20日間、最大23日間勾留されます。

「捜査に時間がかかる」、「罪を認めていないから」という理由だけで、長期間の勾留が行われると、釈放された後の生活に支障が出るケースもあります。

弁護士に相談し、準抗告、勾留理由開示請求、勾留取消し請求などの手段で身柄の解放を求めましょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されたなどの問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

検察官や捜査機関の考え方を熟知している刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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