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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

準強制性交等罪とは?構成要件や刑罰、慰謝料について事例付きで解説

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自分や家族が準強制性交等罪に問われてしまった場合、どのように対処するべきなのでしょうか?
準強制性交等罪とはどのような場合に成立する罪であるのかを踏まえた上で、準強制性交等罪の刑罰や逮捕されてからの流れについて分かりやすく解説していきます。

準強制性交等罪とは?

1.準強制性交等罪の構成要件

準強制性交等罪について、刑法第178条には以下のような記載があります。

準強制わいせつ及び準強制性交等
第百七十八条
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

精神的な障害により被害者の正常な判断能力や意識が失われた場合を「心神喪失」、意識はあるが抵抗できない状態である場合を「抗拒不能」と言います。
つまり、被害者が何らかの理由で意識がない、もしくは抵抗できない状態において、性交等(性交、肛門性交又は口腔性交)を行った場合は、準強制性交等罪が成立するということです。

2.準強制性交等罪の刑罰

先ほど紹介した準強制性交等罪に関する刑法の条文(第178条2項)の中に、「前条の例による」とありますが、これは刑法第177条の「五年以上の有期懲役に処する」が適用されるという意味です。

つまり、準強制性交等罪で有罪判決を受けた場合は5年以上の有期懲役が科せられるということです。

準強制性交等罪と類似の性犯罪との違い

準強制性交等罪と混同されることが多い性犯罪との違いについて説明します。

1.準強制性交等罪と準強姦罪との違い

準強制性交等罪とは、平成29年の法改正により準強姦罪の名称が変更されたものです。改正により、以下の点が変更されました。

  • 男性が被害者である場合も成立するようになった
  • 対象となる行為が性交以外にも及ぶようになった
  • 懲役期間が変更となり厳罰化された
  • 非親告罪となった

それぞれの内容について説明します。

①男性が被害者である場合も成立するようになった

改正前の準強姦罪では女性のみが被害者として扱われていましたが、改正後の準強制性交等罪は被害者の性別に関係なく成立するようになりました。

  • 準強姦罪(改正前):女性が被害者の場合のみ成立
  • 準強制性交罪(改正後) :被害者の性別に関係なく成立

法改正により、男性が被害に遭った場合も罪に問うことができるようになりました。

②対象となる行為が性交以外にも及ぶようになった

準強姦罪では、女性に対する性交(膣性交)だけが対象でしたが、準強制性交等罪では肛門性交、口腔性交も対象となりました。

  • 準強姦罪(改正前):性交(膣性交)のみが対象
  • 準強制性交等罪(改正後) :性交(膣性交)のほか、肛門性交、口腔性交も対象

法改正前は、肛門性交や口腔性交などは、強制わいせつ罪の対象でしたが、準強制性交等罪の対象となったことで、より厳しく罰せられるようになりました。

③懲役期間が変更となり厳罰化された

準強制性交等罪に改正され、刑罰も厳しくなりました。
準強姦罪では3年以上の有期懲役でしたが、法改正後の準強制性交等罪での懲役期間は5年以上です。

④非親告罪となった

法改正前の準強姦罪は親告罪でしたが、法改正後、準強制性交罪は非親告罪となりました。

親告罪とは、被害者による告訴がなければ、検察は起訴すること(刑事裁判を求めること)ができない犯罪です。改正前の準強姦罪では、被害者の名誉権やプライバシー権に対する配慮から親告罪とされていたため、、被害者の告訴が無い場合には正式な刑事裁判が開かれないケースも少なくありませんでした。

しかし、法改正後の準強制性交等罪は非親告罪なので、被害者の告訴がなくても起訴することが可能です。

2.強制性交等(旧 強姦)罪との違い

『準』強制性交等罪と、強制性交等罪との違いについて取り上げます。
強制性交等罪については、刑法第177条に以下のように定められております。

強制性交等
第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪は、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行又は脅迫」行為を手段として(「用いて」)性交等が行われた場合に成立する犯罪です。
これに対して、『準』強制性交等罪は、心神喪失または抗拒不能となった人に対し(そのような被害者の抵抗困難な状態を利用する「乗じる」等して)、性交等を行った場合に成立する犯罪です。

罪名の頭に「準」と付いていることから準強制性交等罪は強制性交等罪よりも「軽い」行為であると捉えられたり、未遂行為のことを指すと勘違いされたりしますが、準強制性交等罪は、強制性交等罪と同様に、5年以上の有期懲役が科せられる重い罪であることに変わりはありません

準強制性交等罪で逮捕された場合

1.逮捕後の流れ

準強制性交等罪で逮捕された場合、警察での取調べが行われ、逮捕後48時間以内に検察庁に身柄が送致されます。
そこで検察官が取調べを行い、引き続き身柄を拘束する必要があると判断された場合は、検察官は、裁判官に対し、長期の身柄拘束である「勾留」を決定するように請求します。

例えば、捜査を進める上で被疑者の身柄拘束が必要であったり、被疑者に逃亡・証拠隠蔽の危険性があると判断されたりした場合は勾留されます。

勾留期間は、検察官が勾留の請求をした日から(勾留請求日を含めて)10日間ですが、勾留期間の満期前に、検察が勾留の延長を請求し、それが認められた場合はさらに(勾留満期日の翌日から)最大10日間勾留が延長されます。
結果、この場合は最長で20日間の勾留に服することになります。

勾留期間中に、検察官により起訴・不起訴の判断がなされ、起訴された場合は刑事裁判へと進みます。

2.逮捕中は弁護士以外との面会は難しい

逮捕中、つまり警察等で被疑者が身柄を拘束されており、未だ勾留されていない期間中は、家族が被疑者と面会することは極めて困難です。

そのため、逮捕中の段階では、被疑者のご家族が被疑者の意向等の確認のために連絡を取りたいと考える場合には、弁護士に接見を依頼して確認を試みる必要があるといえるでしょう。ご家族や身の回りの人が準強制性交等罪で逮捕された場合は、速やかに弁護士に依頼して接見してもらうことをおすすめします。

また、勾留中は、裁判官による接見禁止の決定がない場合は家族も面会することが可能です。

ただし時間制限や回数制限、人数制限等があり、さらに警察官が立ち会う必要もあるため、自由度は低いです。

場合によっては被疑者と外部の人間との接見禁止が決定されることもあり、その場合は被疑者と面会できるのは弁護士のみとなります。

判例】準強制性交等罪で起訴された事例

ここからは実際に準強制性交等罪で起訴された事例とその判決をいくつかご紹介していきます。

刑罰は犯行の悪質性や計画性など様々な事情によって異なりますが、懲役相場の参考としてぜひご覧ください。

1.飲酒により意識が朦朧としていた女性に対して性的暴行を行った事例│懲役4年

2017年5月、福岡市の飲食店における社会人サークルの飲み会で、飲酒して抵抗できない状態の女性(当時22歳)に対して店内で性的暴行を行った事件。

この事件では2019年3月の第一審では無罪判決が下されましたが、第二審は2020年2月その判決を破棄し、被告人に懲役4年を言い渡しました。

2.女性をナンパして酔わせた状態で性交に及ぶ行為を繰り返した事例│懲役5年〜7年

「ナンパ」やモテる方法を指南する団体について、準強制性交等罪に問われた団体のメンバー4人にそれぞれ5年〜7年の実刑判決が下されました。

女性をナンパして酔わせた状態で性交に及ぶ行為を繰り返したことが準強制性交等罪に該当するものと判断されており、団体のリーダーについては懲役14年が求刑されました。
「ナンパ」やモテる方法を指南する団体について、準強制性交等罪に問われた団体のメンバー4人にそれぞれ5年〜7年の実刑判決が下されました。

【裁判例】準強制性交等罪は成立しないとされた事例

反対に、準強制性交等罪が成立しないと判断された事例もご紹介します。

1.霊感による治療行為と称して姦淫した事例

最初にご紹介するのは、霊感治療のためと称して被害者2名を姦淫した事例です。
被害者が正常な判断力を有する状態の下で、被告人が自分の性器を被害者らの腟内に挿入してマッサージをするという異常な事態を、被害者が明確に認識しながら応じていることが明らかであることから、性行為の承諾があったとみなされ、準強制性交(強姦)罪は成立しないと判断されました(東京地方裁判所判決 昭和58年3月1日)。

2.被害者の明確な拒絶の意思が示されていなかった事例

次に紹介するのは、ゴルフレッスンの生徒であった被害者をメンタル面についての指導を理由としてラブホテルに連れ込み、行為に及んだ事例です。
被害者は信頼していた被告人に騙され、精神的混乱に陥っていたために抵抗できなかったものの、性交に際して、具体的に拒絶の意思を表明していませんでした。外形的には被害者の明確な拒絶の意思が示されていなかったことから、加害者側に被害者が抗拒不能の状態に陥っているとの認識がなかったため、準強制性交(強姦)罪は成立しないと判断されました(福岡高等裁判所宮崎支部判決 平成26年12月11日)。

準強制性交等罪に問われた際の対処法

自分や家族が準強制性交等罪に問われた場合、どのように対処するべきなのでしょうか?ここからは具体的に何を行うべきなのかを詳しく解説していきます。

1.準強制性交等罪が成立するか確認する

準強制性交等罪が成立するには、被害者が心神喪失や抗拒不能の状態であったことだけではなく、加害者が、被害者がそのような状態にあることを認識している必要があります。
被害者が心神喪失や抗拒不能の状態であることを認識できていなかった場合、または性行為への承諾があった場合は、上記の裁判例のように、準強制性交等罪は成立しないと判断される可能性があります。
このような場合は、刑事事件に精通した弁護士に相談して、加害者の訴えや捜査機関による取調べに対して正当な反論ができるよう準備しておきましょう。

2.被害者との示談交渉を行う

事実関係に争いはなく、事件の反省の気持ちを示したい場合には、早急に被害者への謝罪を行い、示談交渉を申し出ましょう。
準強制性交等罪は被害者の性的自由という重大な権利を侵害する重い犯罪です。
そのため、罪の重さを判断する際、検察や裁判官は被害者の処罰感情を重視すると考えられています。

つまり、被害者が被疑者を重く罰してほしいと強く望んでいる場合は、より重い罪に科せられる可能性が高くなると考えられるということです。

そのため、被疑者が、自らの反省の気持ちから、被害者との間で弁護人を通じる等して示談交渉を行い、その結果、被害弁償を含めた示談が成立した場合には、被害者の処罰感情を少しでも軽くして被害の回復を図ることができる(被疑者にとって有利な事情となる)という効果があります。

また、被害者が事件を公にすることを避けたいため起訴しないという場合もあります。

上記の解説のとおり、準強制性交等罪は非親告罪であるため、告訴等が取り下げられたとしても必ずしも不起訴になるとは限りませんが、被害者の協力がなければ事件を立証することも難しいため、告訴や被害届の取下げにより不起訴処分を得ることができる可能性は十分にあります。

3.謝罪文を書く

被害者との示談交渉が重要であると述べましたが、そもそも示談交渉に応じてくれない場合も少なくありません。

被害者が示談交渉に応じてくれない理由としては、被疑者への恐怖心や怒りからやり取りをしたくないというものが考えられます。

この様な状況に直面した場合、まずは被害者に対して反省の意を表明した謝罪文を書くという手段が考えられます。
被害者に謝罪文を読んでもらい、被疑者への恐怖心や怒りを少しでも和らげてもらうという効果が期待できる場合もあります。

また、被疑者本人や被疑者家族が示談を申し出ても、準強制性交等の被害者の方は、被害の性質上、被疑者と直接連絡することに強い恐怖心や抵抗心を持っている場合が多く、そもそも話し合い自体を断られてしまう可能性があります。もっとも、そのような被害者であっても、被疑者の弁護人(代理人弁護士)を通してであれば、連絡や示談交渉に応じて頂ける場合もありますので、被疑者ご本人等が直接連絡する場合に比較すると、示談の交渉に応じてもらえる可能性は高くなると考えられます。

まずは弁護士に相談・依頼し、謝罪文を書いたり、被害弁償や示談交渉を試みるなどの適切な被害者対応について検討されることをおすすめします。

準強制性交等罪に関するご相談は弁護士へ

ここまで準強制性交等罪について解説してきましたがいかがでしたか?
準強制性交等罪で身近な人が逮捕されてしまった場合、逮捕中のご本人の意向確認等のために、弁護士に接見を依頼すべき状況が起こり得ます。
また、被害者との示談交渉を行う際にも、弁護士が代理することでスムーズに交渉を開始できる場合が多いと言えるでしょう。

つまり、準強制性交等罪に問われた場合、まずは弁護士に相談・依頼することが重要であるということです。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕された等の問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。これまで多くの方々の刑事事件のサポート・弁護をさせて頂いた実績・経験を生かし、ご相談者様のご状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

参考サイト
法務省|刑法の一部を改正する法律の概要(平成29年7月13日施行)

法務省|準強姦罪・準強制わいせつ罪における抗拒不能に関する裁判例

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。