強制わいせつ罪の慰謝料|示談金とは違うの?損害賠償の方法を解説
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記事目次
強制わいせつ事件を起こした場合、被害者の方から慰謝料を請求されることが少なくありません。
また、現状被害者の方から慰謝料を請求されていないからといって放置していると、後々損害賠償請求訴訟を提起される、刑事事件においては起訴される可能性が高まるなどのリスクが増大します。
そこで本記事は強制わいせつ事件を起こした加害者が、被害者から慰謝料を請求されたケースを想定して、慰謝料の概要や相場、慰謝料の支払い方法などを解説します。
強制わいせつ罪の慰謝料とは?示談金とは違うの?
そもそも、慰謝料とは何かというと、「被害者への損害賠償金」の一部です。
強制わいせつ行為は、刑法に定められた犯罪行為であると同時に、民事上も損害賠償請求の対象となる違法行為です。
したがって、違法行為を行った加害者は、被害者に発生した損害を賠償する義務を負います。
損害賠償は主に金銭を支払うことで行われ、支払われる金銭を損害賠償金と言います。
損害賠償金は刑事事件の示談の際に支払われるときには、「示談金」と呼ばれることもあります。示談の必要性についてはこちらの記事をご確認ください。
損害賠償金には、壊れた物の原状回復費用や、怪我や病気が生じた場合には治療費、会社を休んだ場合の休業損害費用、そして、慰謝料が含まれています。
慰謝料とは、事件等で傷ついた心を金銭によって償う趣旨のお金です。
強制わいせつ事件では、身体を傷つけたり物を壊すということは含まれないため、損害賠償金のほとんどが慰謝料ということになります。
強制わいせつ罪に問われている場合の慰謝料の相場
では、強制わいせつ罪では、どの程度の慰謝料が相場となっているのでしょうか。
実務の中では数十万円から100万円の間で収まるケースが多いですが、100万円を超える場合もあります。
強制わいせつの慰謝料請求を拒否できるケースはある?
強制わいせつ罪に問われている方が、慰謝料を請求された場合に慰謝料の支払いを拒否できるケースはあるのでしょうか。
強制わいせつの被害者が慰謝料を請求してきたら、以下の項目を確認しておきましょう。
1. 時効が到来している場合
強制わいせつの慰謝料請求には「消滅時効」があります。
消滅時効とは、その行為から一定期間が経過し、その主張を行う(「援用」と言います。)することによって金銭的な請求権が消滅することを言います。
強制わいせつは民事上の不法行為にも該当しますから、慰謝料の請求権は、事件が発生してから20年の経過、もしくは損害と加害者を知ったときから3年の経過で消滅時効の援用が可能な状態となります。
強制わいせつの被害者が、無意識の間に被害に遭ったという場合をのそけば損害自体は認識していることがほとんどであるため、加害者の氏名を知っている場合は、ほとんどのケースで時効は3年になるでしょう。
つまり、犯行から3年が経過していれば慰謝料請求の時効が到来している可能性があります。
ただし、被害者が加害者の氏名を知らず、警察の捜査によって氏名を知った場合にはその時点から時効のカウントが開始しますので、犯行から3年以上経過していても時効が到来していないということはあります。
過去の強制わいせつ事件について、被害者から慰謝料を請求された場合は、時効の起点についてや、すでに到来しているかどうかを弁護士に相談してみることをおすすめします。
すでに時効が到来している場合は、被害者から慰謝料を請求された際に時効の援用を行う必要があります。
「時効の援用」とは、「時効が到来していますよ」と相手に通知する行為です。時効は、援用することで初めて成立します。
2. 強制わいせつ事件の成立要件を満たさない場合
強制わいせつ行為があったとして被害者から慰謝料を請求された場合、それが路上で見知らぬ女性の胸部を触った、電車の中で見知らぬ女性の下着の中に手を入れた、などの行為が原因であれば、強制わいせつ罪が成立する可能性は大いにあると考えます。
しかし、そもそもそれが強制わいせつ罪に該当する行為であったかを検討する必要なケースがあります。
特に線引きが難しいのが、「交際相手」や「配偶者」、「交際の見込みがある方」からの被害の訴えです。
交際相手や配偶者、これから交際する見込みがある方との行為については、被害者の同意があったのではないかという点が問題となりやすく、同意があったと評価される場合には強制わいせつ罪に該当するとは言えない可能性もあります。
ただ、相手が警察に被害を届けている場合は、逮捕されるおそれがありますので、弁護士に相談のうえ慰謝料を支払うべき事案かどうかの判断を仰ぎましょう。
慰謝料が支払えない場合の対処法
強制わいせつに問われている場合に、被害者に支払う慰謝料の相場は,数樹万円から,100万円、場合によっては100万円超ですので、一括支払いが難しい場合は少なくありません。
かといって、「お金がないから支払えない」というのでは、被害者との示談の成立は難しく、後の損害賠償請求の提起や、刑事事件での逮捕や起訴を招来するおそれがあります。
そこで、慰謝料が支払えない場合の対処法を解説します。
減額してもらう
慰謝料の減額を申し出るのも一つの手です。慰謝料の金額の決定要素の中には、加害者の支払い能力があります。
加害者に経済力がない場合、被害者としても支払を受けられる範囲で支払を受けて諦めざるを得ない可能性が高まります。
法的には請求できるものであってもお金を持っていない人からは回収できないということは残念ながら存在します。
このため、支払い能力がない理由があるのであれば、相手方としても請求を諦めざるを得ない場合もあります。
支払い能力がないと判断できる場合
- 学生である
- 社会人になって日が浅く、奨学金などの借金がある
- 子育てがあり十分に稼ぐことができていない
- 失業中である
お金を借りる
ご家族や親族等からお金を借りるなどして用立てて、慰謝料を一括払いする方法も考えられます。
被害者の方からしたら、分割での支払いは、「送金」という形で加害者との関係を持ち続けることになりますし、最後まで支払ってもらえるか不安なことは事実ですので、難色を示されがちです。
であれば、借入等で用立てたお金で被害者の方には慰謝料を一括で支払いを行い、用立ててくれた方(場合によっては金融機関等の企業かもしれません。)に対して少しずつ返済をしていくというのは、悪手ではないように思います。
ただし、個人間の借金は人間関係に悪影響を与えることも多いことから、借用書や金銭消費貸借契約書等を取り交わし、必ず返済するようにしましょう。
消費者金融や銀行のカードローン等を利用するという手段もありますが、その場合は、収入と支出のバランスを考えて無理のない範囲にしておきましょう。
慰謝料について困ったら弁護士に相談を
強制わいせつ事件を起こして慰謝料を請求された場合、まずは弁護士に相談してください。
なぜならば、強制わいせつ事件においては、示談を成立させて慰謝料を支払うことで前科がつくことを防ぐ、身柄の拘束の回避や早期解放など様々なメリットがあるからです。
すでに、警察等の捜査機関が事件を認知している場合は、速やかな行動が必要です。
逮捕されている、在宅事件として捜査が始まっているなどの場合は、検察官が起訴・不起訴を判断するまでに、慰謝料を決定して示談を成立させなければなりません。
そもそも、強制わいせつ自体が濡れ衣や言いがかりである場合も、被害者への毅然とした対応が必要です。
弁護士に依頼することで、弁護士が現状をきちんと把握した上で、その状況で最適な対応が可能となります。
強制わいせつ事件においては、被害者との示談交渉だけでなく、検察官や裁判官への働きかけ、逮捕、勾留を避けるための弁護活動、など様々な対処が必要で、すべてを同時並行で速やかに行う必要があります。
被害者から慰謝料を請求されている場合は、状況は逼迫していると考えられますので、刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士になるべく早くご相談ください。
まとめ
強制わいせつ事件において、被害者から被害届を出された場合や、被害者から慰謝料を請求された場合には、まずは落ち着いて弁護士に相談しましょう。
適切に対処し、場合によっては慰謝料の支払いを行い、示談を成立させる必要があるかもしれません。
強制わいせつ事件において、刑事事件化している場合には、慰謝料の支払いだけでなく、警察や検察、裁判所への働きかけ等の様々な手続、弁護活動が必要です。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設