強制わいせつで執行猶予をつけるためには?刑罰や示談について解説
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記事目次
「酔っ払って相手の同意なく身体を触ってしまった」などの事例で、強制わいせつの疑いをかけられている方にとって、「刑務所で服役しなければならないかどうか」は大きな問題です。
日本の刑事裁判の有罪率は高く、刑事裁判が開かれれば高い確率で有罪判決が言い渡されます。
他方、執行猶予付き判決が言い渡されれば、刑務所に服役する必要はありません。
そこで今回は、強制わいせつで疑われている方が執行猶予付き判決を獲得するためにできることについて解説します。
強制わいせつ罪とは?罪の重さはどれくらい?
まずは強制わいせつ罪の概要や法定刑について理解しておきましょう。
強制わいせつ罪とは?
強制わいせつ罪は、刑法によって以下のように規定されている犯罪です。
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」(刑法第178条)
刑法では、「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為」と規定されていますが、一般的に考えられるような、殴る蹴る、暴言を吐くなどの行為がなくても暴行脅迫があったとして強制わいせつ罪に問われるおそれがあります。
相手の意思に反してわいせつな行為をすれば、強制わいせつが成立する可能性があるのです。
13歳未満の児童に対しては、暴行脅迫がなかったとしても強制わいせつが成立します。
「わいせつな行為」とは、例えば、以下のような行為です。
- キスをする
- 身体を触る
- 裸にして写真を撮る
- 抱きつく
強制わいせつ罪の法定刑
強制わいせつ罪の法定刑は、「六月以上十年以下の懲役」です。
罰金刑がありませんので、有罪判決が言い渡され、執行猶予がつかなければ刑務所に服役しなければなりません。
強制わいせつ罪で執行猶予をつけるには?
強制わいせつ罪で起訴されてしまった場合に、執行猶予をつけるためにはどうすればよいかを解説します。
執行猶予がつくかどうかの分岐点とは
強制わいせつ罪においては、行為態様の悪質性、行為後の慰謝の措置の有無、前科前歴の有無などを総合的に考慮して執行猶予判決が言い渡されるかどうかが判断されます。
一般的には、わいせつ行為の悪質度が高い場合は、初犯であっても実刑判決が言い渡される可能性があります。
また、「被害者との示談の締結」がなされているかどうかも、執行猶予付き判決がでるかどうかに影響します。
被害者と示談を成立させる方法
執行猶予付き判決を獲得するためには、被害者と示談を成立させることが有効です。
被害者との示談を成立させるためには、弁護士に示談交渉を一任するのが得策といえます。
弁護士であれば、自身が被害者と直接連絡を取る場合と比べて被害者の連絡先を入手できる可能性がありますし、被害者が冷静になって交渉のテーブルにつくことができる可能性もあるからです。
強制わいせつ罪のような性犯罪の被害者は、加害者側に連絡先を知られることを嫌がり、通常ですと加害者は被害者の連絡先すら入手できないことが多いです。
しかし、「示談のために弁護士が連絡を取りたがっている」と言われれば、連絡先を開示することに了承する可能性もあります。
既に起訴されている場合は、裁判所に提出する書類の作成という面でも弁護士による手続が必要です。
刑事裁判で、被害者との示談が成立していることを主張して執行猶予付き判決を目指す場合は、被害者との示談の締結を書類にまとめ、「証拠」として裁判所に提出することが有用となるのです。
示談書を作成する際には、事件名を特定すること、支払義務や宥恕文言を入れることを入れておくべきことなど、ポイントを押さえておかなければなりません。
被害者に謝罪文を作成している場合は、謝罪文も証拠として裁判所に提出します。
このように、書類上の手続だけではなく、被害者と示談交渉を行う必要がありますので、加害者本人ではなく弁護士に対応を依頼することを強くお勧めします。
- 被害者の連絡先を入手
- 被害者との示談交渉
- 示談書の作成・示談金の支払い
- 裁判所に示談書を提出
強制わいせつ罪の刑期
では、被害者との示談を成立させることができなかった、犯行が悪質で示談が成立していても施行猶予がつかなかった場合の強制わいせつ罪の刑期はどうなるのでしょうか。
執行猶予がつかなかった場合の量刑は?
執行猶予がつかなかった場合は、言い渡された刑期を上限に刑務所で服役しなければなりません。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上、10年以下の懲役です。
わいせつ行為の悪質度や前科の有無等様々な要素を考慮した上で量刑が判断されますので、6か月から10年と大きな開きがあります。
初犯の場合は刑が減軽される?
強制わいせつ罪では、初犯であり、かつ行為態様が悪質でない限り執行猶予付き判決が言い渡される可能性があります。
しかし、被害者が児童であって加害者の優越的地位を利用した犯行であると判断される場合や、犯行態様が悪質な場合等は、初犯であっても実刑判決が言い渡されることもあります。
強制わいせつ罪で執行猶予がついた事例
強制わいせつ罪で実際に執行猶予付き判決が言い渡された事例を確認してみましょう。
部下にセクハラをして懲役6か月執行猶予3年
部下の女性にセクハラ行為をした50代男性に対して懲役6か月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。
男性は、飲み会の席で女性の背後から腕の下に手を入れて胸を持ち上げたとのことです。
男性には前科前歴がなく、被害者との示談も成立していたことから、執行猶予付き判決となりました。
8歳児童にわいせつな行為を行い懲役2年6か月執行猶予4年
帰宅途中の児童の服の中に手を入れて、胸や陰部を触った男性に対して、懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。
行為態様につきわいせつ性の程度が高いと考えられたこと、男性は過去にも女性の臀部を触り罰金刑に処されていること等から、その刑事責任は重いと判断されました。
しかし、被害者との示談が成立していることや、専門機関でカウンセリングを受け再犯防止に努めていることなどが考慮されて執行猶予判決が下される結果となっています。
ただし、公的機関による助言と指導を継続的に受けるために保護観察処分が付されています。
飲み会で女性の服を脱がすなどして懲役1年6か月、執行猶予3年
女性に酒を飲ませてわいせつな行為をする目的でサークルを結成した男子大学生が、4人の友人とともに女性を全裸にして女性の身体を触る、キスをするなどのわいせつな行為をしたという事件において、被害女性の臀部を触った男性に対して懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。
男性に前科前歴がなかったことや更生の可能性があること等が考慮されて執行猶予付き判決が言い渡されたとのことです。
強制わいせつ罪で執行猶予を獲得したい方は弁護士に相談
既に述べたとおり、強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役です。
罰金刑がありませんので、起訴されれば有罪判決が言い渡されて刑務所に服役しなければならない可能性があります。
執行猶予付き判決を獲得するために有効な手段の一つとしては、被害者と示談を成立させることが挙げられます。
強制わいせつ罪の被害者と示談を成立させるためには、弁護士に交渉を一任することが得策ですので、まずは弁護士にご相談ください。
強制わいせつのような性犯罪の被害者は被害意識が強いことが多く、加害者に連絡先を教えることを嫌がることがあるため、加害者が示談交渉を行うことは実質的に困難な場合が多いといえます。
弁護士であれば被害者と連絡をとることができる可能性もありますので、弁護士に依頼して弁護士から被害者に対して連絡をとってもらい、示談交渉を進めることをお勧めします。
すでに起訴されている場合は、1回目の期日までにあまり時間がありませんので、なるべく早く弁護士を探しましょう。
その際は、強制わいせつ事件の取扱実績が豊富というだけではなく、示談交渉力に欠かせないコミュニケーション能力が高い弁護士を選んでください。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設