名誉毀損の慰謝料相場はいくら?成立要件や侮辱罪との違いを徹底解説

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記事目次
事件が起こった時、ニュースでも目にする「保釈」について、似たような言葉で「釈放」という言葉もあることから、実際その意味を正確に理解している人は少ないのではないのでしょうか。
このため、実際に、家族や親族が逮捕されたり勾留された場面に遭遇した場合、すこしでも早く出てきてもらうため、どのように保釈の手続きを踏めば良いのかわからない方は多いと思います。
今回の記事では、
保釈の概念(釈放との違い)
保釈金の概念
保釈金の金額が決まる基準
を説明します。
「保釈」「釈放」の概念を正確に理解しておくことで、身柄拘束される時間を短くすることができるかもしれません。
また、その金額だけではなく、そのお金を用意する方法についても、納得できるでしょう。
名誉毀損で慰謝料請求は可能
インターネット上やSNSで誹謗中傷の書き込みをされたり、名前や住所などの個人情報を勝手に晒されプライバシーを侵害された場合には、それによって被った精神的苦痛を賠償するための慰謝料を請求することができます。
他人の名誉を傷つけるような投稿であれば慰謝料の請求が認められるため、たとえば、他人のアカウントになりすまして他人の名誉を傷つける投稿をおこなう、いわゆるなりすまし行為であっても、被害者に精神的苦痛を与えるものとして、慰謝料の請求が認められます。
民法では、他人の名誉を侵害した者に対する損害賠償について、次のように規定しています。
(財産以外の損害の賠償)
第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
このように、他人の名誉を侵害した場合には、それによって被った損害を賠償しなければなりません。
しかし、誹謗中傷によってどれくらいの損害を被ったのかは、人によってその損害の程度が異なるため、一律の規定を設けることができません。
そのため、どういう表現であれば他人の「名誉を侵害した」といえるかは、誹謗中傷の内容や投稿の方法、投稿の頻度、被害者の損害の程度などを、それぞれのケースで個別的に判断していくことになります。
名誉毀損で慰謝料を請求するための条件は?
名誉毀損で慰謝料を請求するためには、刑法に定められている3つの条件を満たす必要があります。
また、その条件を満たしていたとしても、慰謝料を請求できない例外的なケースも存在します。
ここでは、名誉毀損で慰謝料を請求するための条件について解説していきます。
名誉毀損の成立要件
名誉毀損で訴えるには、名誉毀損の成立要件をすべて満たしている必要があります。名誉毀損の成立要件は、公然と事実が摘示されていて、名誉を毀損していることが要件です。
名誉毀損の成立要件
公然性:不特定または多数の者によって認識される状態であること
事実摘示性:事実を摘示していること
名誉毀損性:人の社会的評価を低下させるような内容であること
それぞれについて詳しくみていきましょう。
公然性
名誉毀損にいう名誉とは、人ぞれぞれの有する品性や、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価のことをいい、ここに名誉感情は含まれません。
このように名誉毀損にいう名誉は、社会から受ける客観的評価(社会的評価)を毀損(低下)させたことをいうため、まずはその社会的評価を低下させる行為が、不特定または多数の者によって認識できる状態で行われたこと(公然性)が必要となります。具体的には、多くの人の目に触れるビラやテレビ番組での報道だけでなく、SNSでの投稿も世界中の人が閲覧可能な状態にするものであるため含まれることになるでしょう。
また場合によってはごく少数の限られた人(特定かつ少数の者)に伝えた時であっても、その当時の状況等からしてその内容が他人に広く伝播する可能性がある場合には、公然性が認められる場合があります。
事実摘示性
またその社会的評価を低下させる行為は、ある特定の事実を摘示していること(事実摘示性)であることも必要となります。ここにいう事実は虚偽の事実であっても含まれます。
この点、なんの事実の摘示もなく、単に表現した者の主観的な評価・感想が述べられているにすぎない場合は、事実摘示性を欠くため名誉毀損は成立しないことになりますが、その一方で侮辱罪にいう「侮辱」に該当する可能性があります。
社会的評価を低下させること
その行為が、特定の者の「社会的評価を低下させること」も必要です。
人の社会的評価を低下させる行為であったか否かを判断する基準となる時点は、その行為時とされています。
またその行為がテレビでの報道やネット記事である場合には、社会的評価が低下したか否かは、それを視聴・閲覧する一般の者の注意や読み方を基準として判断されることになります。またその社会的評価が低下したか否かを判断する際には、当該行為時に社会から受けていた評価を考慮することになります。
名誉毀損の対象者が特定されていること(同定可能性)
その行為が「特定の者」を対象とする行為や「特定の者」に向けられた行為である必要もあります。
例えば、「〇〇出身」や「〇〇年代の人」等、漠然となにかの集団を表す名称をもって表現したとしても対象者が特定されていないことから名誉毀損にはあたらないことになります。
反対に、特定の者を直接指す名称・名前を記載していない場合であっても、それ以外の情報(出身地やイニシャルや所属団体など)から、それらを総合して考慮することで第三者が特定の個人を容易に特定できる場合には、特定の者に向けられたものといえると考えられます。
名誉毀損が成立しない3つの条件
名誉毀損の3つの条件が認められたとしても、例外的に名誉毀損が成立しないケースがあります。
刑法では次のように規定しています。
(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の2
① 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
② 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
③ 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
刑法で規定されているように、名誉毀損罪が成立しない例外的なケースのポイントは、次の3つです。
【名誉毀損罪が成立しないための3つのポイント】
・誹謗中傷の内容に公共性があること
・投稿や書き込みの目的が、もっぱら公益を図る目的であること
・投稿内容が真実であるか、もしくは真実と信じるに足りる相当な理由があること
以上の3つを満たす場合には、例外的に名誉毀損罪が成立しないことになります。
たとえば、政治家の汚職に関する報道などは、国民にとって役立つ情報を提供するものであり、その内容が一定の根拠を持った内容である限り、名誉毀損罪は成立しない可能性が高いです。
ただし、雑誌FRIDAYの裁判例でも言及されているように、政治家に汚職があったことが真実であることの証拠が乏しい場合には、例外規定は適用されず、名誉毀損罪が成立することになります。
なお、誹謗中傷で罪にならないケースについては、こちらの記事もご参照ください。
名誉毀損罪と侮辱罪の違い
誹謗中傷には、名誉毀損罪のほかに侮辱罪という犯罪も存在します。
どちらも相手の社会的評価を下げる行為であることに変わりはありませんが、侮辱罪と名誉毀損罪は、「具体的な事実の適示があるかどうか」で、どちらの犯罪に該当するかが決まります。
たとえば、「Aさんは過去に犯罪を犯して刑務所に入っていたことがある」「Bさん不倫で離婚したから、今でも養育費を払い続けている」などの誹謗中傷は、AさんやBさんの具体的な事実について言及しているため、名誉毀損罪が成立します。
一方、「Aさんは不細工だ」「Bさんはバカだから仕事ができない」などの誹謗中傷の場合、AさんやBさんの具体的な事実について言及している訳ではないので、名誉毀損罪は成立せず、侮辱罪が成立するに留まります。
慰謝料の相場は、名誉毀損罪よりも侮辱罪の方が低くなりますが、どちらの罪に当たるかは専門的、法律的な判断が必要になるので、ネット上で誹謗中傷を受けた場合には、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
名誉毀損の慰謝料の相場
名誉毀損の慰謝料の相場は、次の通りです。
名誉毀損の慰謝料の相場 | |
被害者が個人の場合 | 10万〜50万円 |
---|---|
被害者が法人の場合 | 50万〜100万円 |
他人のプライバシーを侵害した場合 | 10万〜50万円 |
「侮辱」に該当する場合 | 1万~10万円 |
企業の場合、企業全体のイメージダウンなどの精神的損害だけでなく、自社製品の売り上げが落ちてしまうなどの現実的な損害が認められる場合があります。
その場合、その損害金も加害者に対して請求できるため、被害者が個人の場合に比べて、慰謝料の額が高額になる可能性があります。
また、誹謗中傷の内容がたとえ真実であっても慰謝料の請求は認められますが、虚偽の内容を投稿した方が、認められる慰謝料の額が高くなる傾向にあります。
ただし、名前や住所などの個人情報を流出させるなどのプライバシーを侵害された場合には、公開された情報によっては取り返しのつかない損害を被るおそれがあるため、その場合には、高額な慰謝料が認められる可能性があります。
なお、誹謗中傷が、「名誉毀損」ではなく「侮辱」に当たると判断された場合には、慰謝料の金額が低額になる傾向にあります。
ただし、侮辱に該当する投稿であっても、誹謗中傷の内容や悪質性、誹謗中傷をされていた期間や頻度、被害者の精神的・物理的な被害の程度によっては、相場よりも高額な慰謝料が認められるケースも少なくありません。
相場以上の慰謝料を確実に請求するためには、誹謗中傷をされている画面のスクリーンショットや、投稿により精神を病んでしまった場合の診断書など、誹謗中傷の内容と損害の証拠を、できる限り残しておくようにしてください。
名誉毀損による慰謝料請求の裁判例
ここでは、名誉毀損で慰謝料が認められた裁判例を3つご紹介します。
旧Twitterに誹謗中傷の投稿をしたケース
【概要】
新潟県知事が、大阪府知事を誹謗中傷する内容のツイートを投稿し、社会的評価を低下させたとして慰謝料を請求したケース。
【ツイートの内容】
「因みにこの『高校』は大阪府立高校であり,その責任者はBさんの好きなAのXさん(大阪府知事の名前)であり,異論を出したものを叩きつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足するという眼前の光景と随分似ていて,それが伝染している様にも見えるのですが,その辺全部スルー若しくはOKというのが興味深いです」
【判旨】
・これを見た一般の閲覧者の普通の注意と読み方とを基準にすれば、大阪府知事が党内においては独裁者であるかのごとく振る舞っているとの印象を抱かせるものであるから、大阪府知事の社会的評価を低下させることは明らかである。
・本件は公人間の紛争であり、大阪府知事は新潟県知事に対してツイッター上で反論することにより自己の名誉を回復することも容易であった
・本件に関する一切の事情を総合考慮すれば、被告が本件投稿を行って原告の名誉を毀損したことにより原告が被った精神的苦痛を慰謝するための金額としては、30万円と認められる。
・弁護士費用のうち被告による前記不法行為と相当因果関係を有する損害は、本件訴訟の経過及び以上の認定判断に照らし3万円と認めるのが相当である。
この裁判では、旧Twitterに誹謗中傷を投稿をした行為が、他人の名誉を毀損するツイートであるとして30万円の慰謝料が認められました。
この事例では、加害者および被害者の両方が公人であり、同じTwitter上で反論が可能であることも考慮されて、社会的評価の低下の程度が判断されています。
また、特定のツイートが、他人の社会的評価を低下させるかどうかについて、一般の人がそのツイートを見たらどのような感情を抱くかを基準に判断しています。
SNSのなりすまし行為で第三者を罵倒したケース
【概要】
SNS上で、被害者の顔写真を利用してなりすまし、第三者を誹謗中傷するような投稿を続けたため、精神的苦痛に対する慰謝料を請求したケース。
【投稿の内容】
「妄想ババアは2ちゃん坊を巻き込んでやるなよww ヒャッハー*\(^o^)/* あ~現場着くわ!またな、おばあちゃん」
「Fおばあちゃんは得に念入りにアク禁しました*\(^o^)/*」
「妄想おばあちゃん全開ですよ〜好きにゆってくださいよ〜ちなみに、そのカスアバにあってますね~ ~カスにはカスアバお似合いです〜アバコン?ガンコンですよ~*\(^o^)/* ヒャッハーーー」
「なんなんですか?ザコなんですか。」
「キチ集団 w」 など
【判旨】
・一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準にすれば、本件投稿は、被害者本人によって行われたと誤認されるものである・これらの投稿は、いずれも他者を侮辱や罵倒する内容であると認められ、第三者に対し、被害者本人が他者を根拠なく侮辱や罵倒して本件掲示板の場を乱す人間であるかのような誤解を与えるものであるといえるから、被害者の社会的評価を低下させ、その名誉権を侵害している。
・投稿の内容や目的に正当性がないこと、加害者は被害回復措置を講じていないことが認められる一方、加害者が本件アカウントのアカウント名やプロフィール画像を、本件投稿から1か月程度で変更したことによって被害の更なる拡大は防止されていること等、本件にあらわれた一切の事情を考慮すれば、慰謝料は60万円、弁護士費用は70万6000円の合計130万6000円が相当である。
参照: 大阪地裁判 平成29年8月30日
このケースでは、SNS上でのなりすまし行為に対して、慰謝料と弁護士費用合わせて130万6000円の支払いが認められました。
SNSの一般の利用者が見れば、被害者本人が名誉毀損的投稿を行っていると勘違いするものであると認められる一方、投稿を続けた期間が一ヶ月程度であり、被害の拡大が防止されていることも考慮した結果、被害者が請求した慰謝料額よりも、低い金額で慰謝料が認められています。
インターネット上で他人の名誉を毀損する表現をした場合、その投稿目的に正当性が認められるかどうかも、慰謝料請求をする際の考慮要素になります。そのため、ただ単純に他人を罵倒するような投稿の場合には、慰謝料の請求が認められる可能性が高くなると言えるでしょう。
週刊誌(FRIDAY)に根拠のない記事を掲載したケース
【概要】
雑誌およびWEB版のFRIDAYに、根拠のない事実を基に構成された記事を掲載されたため、社会的評価を低下させられたとして、慰謝料を請求したケース。
【記事の内容】
・「茨城守谷市長の『黒すぎる市政』に地方自治法違反疑惑」
・「地方の殿様の闇」
・「自らのオーナー企業で市の公共事業を次々と落札」
・「同法は市長および議員による兼業を禁じていますから、明らかな脱法行為です」
【判旨】
・本件各記事は、全体として、一般の読者に対し、被害者である現職の守谷市長が、守谷市における公共事業入札に関連して何らかの不正ないし違法行為を行っているとの印象を抱かせるため、原告の社会的評価を低下させる
・雑誌の発行部数及やWEBサイトの訪問者数は、いずれも相当数に及んでおり、守谷市役所に対する問合せやクレーム、守谷市内における反響も決して小さくない
・守谷市長が汚職をしていたという決定的な証拠はない・各記事の目的は、地方自治体における首長ないし議員とその関連企業の関係性について問題提起をする、という正当なものであった
・損害賠償義務が認められることにより守谷市長の名誉が相当程度回復することが想定される
・本件にあらわれた一切の事情を考慮すれば、守谷市長の精神的苦痛に対する慰謝料額は150万円、弁護士費用は15万円の合計165万円が相当である
このケースでは、被害者が現職の市長であったことも考慮され、150万円という高額な慰謝料が認められました。
市長の汚職に関する記事に関して、その目的は正当なものであると認められましたが、汚職をしたことが確実である根拠が乏しかったため、慰謝料の請求を退けるまではいきませんでした。
名誉毀損・誹謗中傷を受けた時の対処法
誹謗中傷を受けた際の対処法は、次の2つです。
- 加害者を特定する
- 弁護士に慰謝料を請求してもらう
以下、それぞれ詳しく確認していきます。
加害者を特定する
インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、まずは加害者が誰なのかを特定する必要があります。
加害者を特定する方法はいくつかありますが、おおむね次のような流れで開示請求を進めていきます。
【加害者の身元を特定する流れ】 ・誹謗中傷された投稿サイトに、加害者のIPアドレスの開示請求をおこなう ・裁判で個人情報の開示請求をおこなう ⬇︎ 検索サイトなどを利用し、IPアドレスからプロバイダを特定する ⬇︎ プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求をおこなう ⬇︎ 加害者特定 |
加害者を特定できれば、あとはその加害者に対して慰謝料の請求をおこなうだけですが、加害者が慰謝料の支払いに素直に応じてくれるケースはほとんどなく、場合によっては裁判まで視野に入れて行動する必要があります。
また、インターネット上の加害者を特定するためには、専門的な知識が必要になります。
ネットサーバー上にIPアドレスが保存されている期間は、だいたい3〜6ヵ月程度になっているので、その期間を過ぎてしまうと、IPアドレスを調べられなくなるおそれがあります。
また、海外のサーバーを経由して投稿している場合には、個人で加害者を特定するのは非常に困難であると言えるでしょう。
もし、裁判を起こして加害者の個人情報を開示してもらうのであれば、おおむね4〜6ヵ月前後の時間がかかることになりますが、必ずしも情報の開示が認められるわけではありません。
各種書面の準備や裁判の手続きを的確に進めなければいけないことを考えると、個人で対応するのは非常に難しいと言えるでしょう。
弁護士に慰謝料を請求してもらう
加害者を特定したら、加害者に対して慰謝料の請求をすることになります。
慰謝料を請求する場合、示談交渉がまとまらず、裁判になった場合に備えて、内容証明郵便で相手方に郵送してください。
また、相手に慰謝料の請求をする場合には、誹謗中傷の内容や精神的・物理的損害の程度、慰謝料の金額などを記載した書面を送ることになりますが、書き方を間違えると、裁判で慰謝料の請求が認められなくなってしまう可能性があります。
適正な書面を作成し、確実に慰謝料を請求するためにも、名誉毀損の慰謝料請求は弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に名誉毀損の慰謝料請求を依頼するメリット
弁護士に、名誉毀損の慰謝料請求を依頼する大きなメリットは、次の3つです。
- 加害者を特定してもらえる
- 誹謗中傷の投稿を止めてもらえる
- 高額な慰謝料を獲得できる可能性がある
それぞれのメリットについて確認していきましょう。
加害者を特定してもらえる
名誉毀損の慰謝料請求の経験豊富な弁護士であれば、個人情報の開示請求をスムーズにおこなうことができるので、加害者を迅速に特定することができます。
加害者を迅速に特定する場合、法律だけでなく、インターネットの専門的な知識が必要不可欠です。
「IPアドレス」「プロバイダ」など日常的に聞き馴染みのない単語を並べられてしまうと、自分には無理な手続きだと感じてしまい、途中で挫折してしまう方もいるでしょう。
名誉毀損の慰謝料請求に強い弁護士であれば、加害者を特定するノウハウを持っているので、無駄な時間や手間をかけることなく、迅速に手続きを進めることができます。
誹謗中傷の投稿を止めてもらえる
弁護士は、個人で慰謝料を請求するよりも迅速に手続きを進めることができます。そのため、被害が拡大する前に、誹謗中傷の投稿を止めさせることができます。
また、個人で相手に対して投稿を止めるよう伝えた場合、相手に何かしらの反論をされるおそれがあります。
しかし、弁護士が代理人として加害者に請求することで、加害者が裁判を恐れてすんなりこちらの要望に応じてくれるケースも少なくありません。
高額な慰謝料を獲得できる可能性がある
弁護士であれば、個人で交渉するよりも、慰謝料の金額を増額できる可能性があります。
法律の専門家である弁護士は、名誉毀損に関する法律や過去の裁判例を調べ上げ、獲得できる可能性がある最大の慰謝料を請求することができます。
また、裁判では高額な慰謝料が認められる可能性が低いと判断した場合には、交渉で話をまとめることが高額な慰謝料を獲得するためのポイントになります。
交渉の専門家でもある弁護士は、どのように交渉したら加害者が慰謝料を支払ってくれるかも熟知しているため、裁判になる前の段階で交渉がまとまるケースも少なくありません。
少しでも多くの慰謝料をスムーズに獲得したいのであれば、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
名誉毀損の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の費用相場
名誉毀損の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場は、次の通りです。
【弁護士費用相場】 ・着手金:10万円~30万円 ・個人情報の開示請求 10万円~20万円 ・個人情報の開示請求(裁判)10万円~20万円 ・報酬金:獲得できた慰謝料の10%~20% |
これらの金額はあくまでも相場になり、弁護士費用は法律事務所ごとに異なります。
加害者に対して費用の請求は可能か
ご紹介している裁判例でも認められているように、名誉毀損の慰謝料を請求する場合、加害者に対して弁護士費用や開示請求にかかった費用を請求することができます。
ただし、必ずしもかかった弁護士費用の全額の支払いが認められるわけではありませんので、実際にどれくらいこちらから支払うことになりそうなのかは、あらかじめ弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士費用の分割払いも可能
着手金の支払いが難しい場合には、分割払いの対応も可能になっているので、経済的な不安をできる限り少なくして弁護士に依頼することが可能です。
また、報酬金に関しては、獲得できた慰謝料の中から差し引く形で支払いをするため、こちらから別途支払いがあるわけではありません。
名誉毀損の慰謝料に関するQ&A
ここまで名誉毀損の慰謝料についてみてきましたが、その他にも名誉毀損について気になることについても見ていきましょう。
名誉毀損の時、慰謝料を請求することしかできない?
他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法723条)。この名誉を回復するのに適当な処分はその名誉を毀損した行為に応じて様々ですが、例えば謝罪広告や、訂正記事の掲載、謝罪文の交付などがあります。ただ裁判例の傾向としては、認められるとしても損害賠償請求までであり、謝罪広告請求は認められないことが多いようです。
名誉毀損が成立するのは被害者が「人」のときだけ?
名誉毀損にいう損害は、精神的損害が主なものとなりますが、その精神的損害は実際に主観的に発生しなければならないものではありません。そのため被害者が成人の時だけでなく、幼児である場合や、法人である場合でも慰謝料が認められることがあります。
名誉毀損の慰謝料はどんな事情が考慮される?
名誉毀損の慰謝料を算定するときには、加害者側と被害者側のそれぞれの事情が考慮されます。加害者側の事情としては、その行為動機・目的や、その名誉毀損の内容、摘示された事実の真実性や相当性の程度など、被害者側の事情としては、年齢・職業・経歴、社会的評価の低下の程度などがあります。
名誉感情の侵害のときには慰謝料は発生しない?
名誉毀損には、名誉感情は含まれないことは上に見てきた通りです。しかし、名誉感情を侵害された場合であっても、不法行為に該当する場合には慰謝料が認められるケースもあります。その場合の慰謝料の金額は事例にもよりますが数十万円程度にとどまるようです。
まとめ
名誉毀損の慰謝料の相場は、次の通りです。
名誉毀損の慰謝料の相場 | |
被害者が個人の場合 | 10万〜50万円 |
---|---|
被害者が法人の場合 | 50万〜100万円 |
他人のプライバシーを侵害した場合 | 10万〜50万円 |
「侮辱」に該当する場合 | 1万~10万円 |
この金額はあくまでも相場であり、実際にいくら慰謝料が認められるかは、それぞれの事案を個別に検討していく必要があります。
加害者を特定するにはインターネットや法律に関する専門的な知識が必要で、加害者と交渉して高額な慰謝料を請求するためには、名誉毀損の慰謝料に関するノウハウや、巧みな交渉術を持っている必要があります。
個人で交渉して手間も時間もかけたにもかかわらず、加害者すら特定できないなんてことがないよう、名誉毀損の慰謝料の請求は、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設