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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

逮捕されたら留置所で生活?環境や差し入れについて|スマホは使用可能?

逮捕されたら留置所で生活?環境や差し入れについて|スマホは使用可能?
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自分が逮捕されてしまった、もしくはご家族や友人が逮捕されてしまった場合には、
「逮捕されたらどうなるリスクがあるの?」
「逮捕後にはどんな生活が待っているのだろう…」
など、焦りや不安で全く頭が回らなくなってしまう人も多いと思います。

実際に自分や身近な人が逮捕されてしまった場合には、必要な連絡や物のやり取りをなるべく早く確実に行うことが大切です。

今回は、逮捕されてしまった後のリスクや、逮捕後の留置所内での生活について解説します。

逮捕とは

逮捕とは、被疑者の身体を強制的に拘束して留置施設に連れて行き留め置くことです。

逮捕は、犯罪が起きた現場で逮捕される「現行犯逮捕」と、犯罪が起きた後日に自宅や勤務先で逮捕される「後日逮捕」(通常逮捕)の2種類に分けられます。

逮捕されると警察署内の留置場(もしくは拘置所)から出ることを禁止され、外部との連絡にも制限がつきます。

逮捕の必要性

逮捕の必要性がない場合には、裁判官は逮捕上の請求を却下しなければならないという規定があります。

嫌疑があり逮捕状の請求が認められる、すなわち逮捕の必要性があると認められる場合には、次のようなものがあります。

犯罪の証拠隠滅を防止すること

犯罪の証拠隠滅を未然に防ぐことが、逮捕が必要とされる理由の一つです。

証拠隠滅とは、刑事事件に関する証拠を隠す、処分することなどを言います。

犯罪の内容や捜査の進捗状況などにより、証拠隠滅するおそれがあるか否かが判断されます。

被疑者の逃亡を防止すること

逮捕が必要とされる理由としては、被疑者の逃亡阻止も挙げられます。

逃亡のおそれがあるか否かは、被疑者の年齢や社会的立場、犯罪の内容などから判断されます。

逮捕されることによるリスク

逮捕されることによるリスクには様々なものがありますので、確認しておきましょう。

実名報道される可能性

逮捕されることにより、実名報道されてしまうリスクがあります。

もっとも、実名が公表されない匿名報道の場合もあり、全ての事件において実名報道がされるわけではありません。

しかし「公益の目的に基づく、公共の利害に関する事実の報道」に関しては、実名報道がされる可能性があります。

例えば強盗致傷事件や殺人事件などの重大事件や、公的な側面のある公務員や教師などが逮捕された場合に、実名報道される可能性が高まる傾向にあります。

また、振り込め詐欺や児童虐待など、社会問題になっているような犯罪に関しても実名報道されやすい傾向にあります。

会社をクビになる(解雇される)可能性

会社をクビになる可能性があることも、逮捕されるリスクの一つです。

逮捕された段階でその従業員を解雇することは、原則不当と言えます。

日本の司法では推定無罪の原則があり、判決が出て有罪となるまでは被疑者や被告人は無罪として取り扱われるためです。

また、起訴されて有罪になってからであっても、それが業務と直接関係のない「私生活上の犯罪」であれば、解雇は認められない場合もあります。

ただし、逮捕されたという事象は解雇する正当な理由になり得ます

さらに、業務上の横領や窃盗など、業務に直接影響を与えるような犯罪で有罪となった場合には解雇となる可能性が高いため、留意しておきましょう。

留置所で生活しなくてはならない

留置所での生活を余儀なくされることも、逮捕されるリスクとしては大きいと言えます。

逮捕されてしまった場合には最長で23日間の身体拘束を受ける可能性があり、その間は留置所で生活をしなくてはなりません。

留置所内では健康状態に配慮された生活ができるものの、移動の制限や生活の流れなど様々な制約の中での生活となります。

留置所内での具体的な生活や生活環境について詳しく見ていきましょう。

逮捕の後の生活について

逮捕されてしまった後にはどんな生活が待っているのか、心配される方も多くいらっしゃると思います。

ここでは、逮捕後の生活について紹介します。

留置所で生活する

逮捕後は基本留置所という場所で日々を過ごします。

留置場内での生活スケジュールについては、入る時に説明を受けます。

以下に、留置所内での一日の例を挙げます。

  • 午前6時30分:起床
    時間になると一斉に起床ブザーが鳴ります。
  • 午前7時30分:朝食
  • 午前8時00分:運動の時間
    ここでの運動は15分程度ですが、希望次第で1日1時間以上の運動が許されることもあります。
  • 午後0時00分:昼食
  • 午後6時00分:夕食
  • 午後9時00分:就寝

上記のようなスケジュールが事前に決められています。

予定のない時間帯は基本的に留置所内で過ごすこととなり、暇であるため、読書や身体を動かすなどをして過ごす人が多くいます。

また、必要に応じて取調べを受けることもあります。

留置所の環境とは

留置所の居室は「雑居」と呼ばれる定員6名程度の部屋で、他の被疑者と共に過ごすのが通常です。

ただし、重大事件の被疑者や、他の被疑者と揉めるなどして共同生活が送れないと判断された被疑者は、「独居」と呼ばれる定員1名の居室に入れられてしまいます。

雑居の標準的な広さは1人当たり2.5平方メートル(1.5畳弱)、個室の場合は4平方メートル(2畳弱)と決められており、あまり快適とは言えません

衣服はスウェットやジャージを貸与され、留置番号が書かれたサンダルを履いて過ごします。

布団や布団カバーは定期的に交換、消毒されていますが、就寝時には明かりが付けられたままとなり、神経質な人には寝づらい状況です。

冷暖房設備は基本的にフロアに設置されていますが、各部屋に設置されている訳ではありません。

トイレは各居室内に設置されておりチリ紙も少量支給されていますが、背の低い壁で隔たれているだけのため、座ると上半身は見える状態です。

また、入浴は冬ならば週に1度、夏は週に2度、一回15分~20分などと決められてしまっており、潔癖症やきれい好きの人には大変辛い状況と言えます。

留置所への差し入れは?

弁護士を通してするべき

逮捕されてしまうとスマートフォンや携帯電話、その他私物も全て取り上げられてしまい、留置所に持ち込むことができません。

逮捕されたショックから「自分に何が必要か」や「誰に何をどう伝えるべきか」などに頭が回らなくなる上、自分で外部と連絡を取ることも原則できなくなります。

ただし、それでは全く外部と連絡を取ることができないかと言えば、そうではありません。

被疑者に与えられている「弁護人選任権」を使って弁護士に依頼をすることで、弁護士経由で外部と連絡ができるようになるのです

弁護士であれば留置所の面会室にて立会人なく被疑者と会うことができ、これを「接見」と呼びます。

接見を行って、連絡を取りたい人を弁護士に伝え、弁護士を通じて連絡してもらいましょう。

また、弁護士と接見する際には話をするだけでなく物品や書類の受け渡しをすることも可能です。

家族や友人も接見することはできますが、裁判所の判断によっては接見が禁止されることもあります。

しかし弁護士であれば接見禁止を付けられることがないため、連絡や生活用品の差し入れは弁護士を付けて行った方が確実なのです。

特に逮捕された後は焦りや不安などで頭が正常に働かないのが通常ですから、差し入れや連絡に関すること以外も含めて、弁護士を選任して相談しましょう。

留置所に差し入れするのにオススメなもの

  • ノート
    留置場内では日々の日記をつけるためにノートを差し入れするのがおすすめです。
    後日行われる裁判において、取調べに対して自分がどう答えたのかを弁護士と共有する手段は日記しかなく、もしなければ口頭で説明することしかできません。
    裁判対策のため、取調べの内容や返答はもちろん、行動など可能な限り詳細に記録しておくことが肝心です。
  • 現金
    留置所内でも実はある程度の現金が必要であり、差し入れると喜ばれます。
    刑務所内では衣服は貸与されるものの、歯ブラシや便せんなどはお金を払って購入する必要があるのです。
    また、留置所では三食提供されるものの質素で量も少ないため、足りないと感じる人は「自弁」と呼ばれる別メニューの弁当を購入することもできます。

まとめ

逮捕が必要とされるのは被疑者の逃亡や証拠隠滅を阻止するなどの場合であり、逮捕状が出された場合は素直に応じる必要があります。

逮捕されることにより、実名報道を受けたり、勤務先を解雇されたりするリスクを負う可能性もあるでしょう。

また、逮捕後は一定期間留置所での生活を余儀なくされ、様々なことを制限されたままで生活を送ることとなってしまいます。

逮捕後はただでさえ行動が制限されているうえに、気が動転していることもあって自分の権利を十分に主張することが難しくなるものでしょう。

逮捕後に家族や知人など必要な関係者との早期連絡や、必要なものの差し入れなどを確実に行うためには、弁護士に依頼することがおすすめです

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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