盗撮で後日逮捕されることはある?逮捕されないためにできることも解説
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記事目次
盗撮で後日逮捕される可能性はあるのか?
盗撮をしてしまった場合、その場では逮捕されなかったとしても、捜査の結果後日になって逮捕される可能性は十分あります。
ここでは、具体的な逮捕の種類にも触れつつ、実際に後日逮捕される可能性がどの程度あるかを、実例や対策も交えつつ紹介します。
逮捕の種類とは
通常逮捕
刑事訴訟法上の逮捕には、3種類の方法があり、その中でも原則型になるのが通常逮捕です。
通常逮捕とは、逃亡や罪証隠滅の可能性、逮捕すべき必要性が認められる場合において、捜査機関が裁判所に対して逮捕状を請求し、裁判所が要件を判断して発付した令状に基づき行われる逮捕の方法です。
後述しますが、盗撮の場合で後日逮捕されるケースとしては、この通常逮捕の場合となります。
緊急逮捕
通常逮捕に対して、例外的な位置づけとされているのが、緊急逮捕と現行犯逮捕です。
このうち緊急逮捕とは、死刑または無期・長期三年以上の懲役・禁錮刑が定められた重大犯罪に限り、急速を要し、逮捕状を求めることができない場合にのみ、後から逮捕状を請求することを条件として認められる逮捕の方法です。
逮捕時には逮捕状がなくてよいということになるため、緊急逮捕ができる場合は限定的です。
盗撮(性的姿態等撮影罪)の法定刑は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」であり、上記の要件に該当しません。
そのため、緊急逮捕はできません。
現行犯逮捕
もう一つの例外的な方法が、現行犯逮捕です。
現行犯逮捕とは、現に犯行を行っている、または犯行直後の場合において、その場で逮捕が行われる場合です。
犯行を行ったことが明白であるという理由から、逮捕状がなくても行うことができます。
現行犯逮捕は、捜査機関以外の者であっても可能です。
このような私人による場合を特に「私人逮捕」ということもあります。
盗撮の場合は、被害者や、通行人・警備員等の目撃者により現行犯逮捕がされ、捜査機関に身柄が引き渡されるケースもあります。
盗撮で後日逮捕される可能性・確率
盗撮を理由とする検挙数としては、この10年で2倍と、近年大きく増加しています。
スマートフォンなどを使った盗撮行為が後を絶たない。昨年は全国の検挙件数が初めて5000件を突破し、10年間で約2倍に膨らんだ。盗撮は薬物事犯などと同じく依存症に陥りやすい。依存症治療に当たる専門家は「ごく普通の男性が盗撮に手を染め、常習化している」と訴える。 (出典:東京新聞WEB『盗撮の検挙数、10年で2倍に…』より抜粋) |
ではこのうち、後日逮捕されるのはどの程度の割合なのでしょうか。これに関して、盗撮についての逮捕可能性に関する公式な統計資料はありません。
そこで、過去盗撮事件として対応してきた経験によると、後にも触れますが被害者や目撃者に目撃された、声を掛けられたというケースでは、すでに犯人が特定されている場合が大半です。
そのため、こういった場合には後日逮捕される可能性が相応にあります。
他方で、目撃者がいたかどうかはっきりしないというケースでは、そもそも犯人が特定されていない、もしくは被害申告がされておらず事件化されていないためか、後日逮捕される割合も低くとどまっているという肌感覚です。
盗撮で後日逮捕される可能性がある場合
以上のとおり、盗撮行為をしてその場で現行犯逮捕されなかったとしても、後日になって通常逮捕される可能性は残ります。
特に以下のような事情がある場合には、後日逮捕されるおそれが高いといえます。
盗撮の目撃者がいた場合
被害者本人に盗撮行為を気づかれなかったとしても、盗撮した際の様子を目撃した人がいる場合には、その人による目撃証言をもとにして犯人が特定され、逮捕される可能性があります。
撮影罪(性的姿態等撮影罪)は親告罪ではないので、被害者本人の届出がなくとも、目撃者の証言を端緒として捜査が開始される可能性は十分あります。
特に、駅構内やショッピングセンター等、多数人の往来があるような場所だと、目撃者が現れる可能性も高まるので、この場合は後日逮捕のリスクがより大きいといえるでしょう。
盗撮がばれて逃走した場合
盗撮行為を被害者に気づかれてしまい逃走した場合も、後日逮捕の可能性があります。
被害者から見れば、盗撮をした人物は特定できていることになります。
被害者が被害申告をして証言をし、そこから判明した特徴などが自分と一致すると分かれば、後日逮捕される可能性は十分考えられます。
この場合も、多数人の往来がある場所での盗撮行為だとすると、その道中を目撃したという人物が現れたり、防犯カメラでその姿が捕捉されたりする可能性も高いです。
そうなれば、あなたが盗撮したということも把握されてしまうので、やはり後日逮捕のおそれがあり、安心はできません。
防犯カメラを通じて盗撮が発覚した場合
盗撮行為に限らず、各種犯罪行為を捉えるために、最近ではあらゆる場所に防犯カメラが設置されています。
被害者が気づかず、目撃者もいないような場合であっても、防犯カメラに盗撮行為が撮影されているかもしれません。
防犯カメラの設置された角度や位置、性能にもよりますが、撮影行為がされている状況や、撮影者の人相も捉えられていれば、捜査機関に行為や人物が特定されるのは時間の問題です。
このほかに、たとえば駅構内であればIC交通券などの入退出情報をもとにしたりして、撮影者の足跡も辿られ、行動経過をもとにして犯人として特定されてしまう可能性があります。
盗撮で後日逮捕される可能性がある期間
撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と定められており、公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。したがって、この期間は逮捕の可能性があります。
実際に後日逮捕されるまでの期間としては、目撃者や証拠の有無によっても異なり、事案によって様々です。
盗撮行為から数週間のうちに逮捕されるケースもあれば、数か月経過してから逮捕されるケースもあります。
埼玉県警は7日、JR●●駅(同県●●市)で女子高校生のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの疑いで、●●容疑者(●●)を逮捕した。県警への取材で分かった。 逮捕容疑は3月14日午後10時ごろ、駅のエスカレーターで生徒のスカート内を盗撮した疑い。 県警によると、近くにいた人が不審な動きに気付き、●●容疑者はスマホを置いて逃走。その後、スマホの解析や防犯カメラの映像などから特定した。 (出典:神戸新聞『スカート内盗撮疑い、刑事を逮捕 スマホ置いて逃走、埼玉の駅で』 2024年4月7日付)女子高校生のスカートの中を盗撮した疑いで、兵庫県神戸市の●●歳の男が逮捕されました。…警察によりますと、男は2023年5月から7月に、神戸市●●区の路上やマンションのエレベーターの中で女子高校生の制服のスカートの中にスマートフォンを差し入れ、下着を撮影した疑いが持たれています。 被害に遭った女子生徒や目撃者から通報があり、警察が防犯カメラの映像を調べるなどして、男を特定したということです。 (出典:サンテレビニュース『「スリルを味わいたくて」女子高校生のスカートの中盗撮か 26歳の男逮捕』2023年10月6日付) |
盗撮で後日逮捕された後の流れ
盗撮行為を理由に後日逮捕された場合、どのような流れで捜査が進められ、最終的な処分が決まるのでしょうか。以下では、後日逮捕がされた場合における、その後の流れを解説します。
身柄事件の場合
後日逮捕された場合において、その後釈放されなければ、最大で23日間勾留されることになります。
起訴された場合、刑事裁判が続いている間も引き続き身柄拘束された状態のまま、手続が進められます。
これを「身柄事件」と呼ぶことがあります。
身柄事件の場合、後日逮捕後の流れは、概要としては以下の図表のとおりです。
逮捕されてからは、警察官による取調べを受けたうえで、逮捕時から48時間以内に事件が検察官に送致されます。
検察官への送致後は、主に検察官による取調べを受け、事件が送致されてから24時間以内、かつ逮捕時から72時間以内に、被疑者について勾留請求をするか否かを決定します。
勾留後は、最大20日間の身柄拘束が続き、最終的に検察官が起訴するか否かを決めます。
起訴後は約1か月後の日程で公判期日が指定され、裁判所が審理判断をして、判決が下されます。
逮捕された場合、最長23日間、留置場や拘置所に留置されることになります。
在宅事件の場合
後日逮捕された場合でも、その後の勾留請求が却下される、勾留後に釈放される等により、身柄拘束が解かれるがそのまま捜査は続けられる、というケースがあります。
このような場合を、「在宅事件」と呼ぶことがあります。
在宅事件の場合、釈放後は、捜査機関(警察や検察)から取調べのために呼び出され、その日時に出頭して取調べを受ける、という形で捜査が進められます。
出頭する必要がある以外は、基本的に普段通りの生活を送ることができます。
他方で捜査機関の目線から見た場合、公訴時効の点を除いては、身体拘束の期間制限といった時間制限がありません。
この点が、身柄事件との決定的な違いといえます。
したがって捜査機関としては、捜査の優先度がどうしても下がってしまうことが多く、そのために終局処分がされるまでの時間が長期化しがちな点も特徴です。
処分が決まらない状態が続くという点での精神的な負担としては、在宅事件の場合も決して小さなものではないでしょう。
盗撮での後日逮捕を回避する方法
このように、盗撮行為を理由に現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性は十分考えられます。では、後日逮捕を避けるためにできることは何かないのでしょうか。
示談する
一つの方法として、被害者と交渉して示談をすることが考えられます。
捜査機関が捜査を開始して後日逮捕される理由としては、被害者による目撃情報や被害申告が端緒となっているケースが多いです。
被害者と示談をして、被害者による許しを得ることができれば、被害届が取り下げられ、それ以上の捜査がされない、逮捕、起訴を回避できる可能性が高まるためです。
とはいえ、被害者にとっては、加害者となる犯人との間で連絡を取り合うこと自体に抵抗があるというのがほとんどでしょう。
そのため、実際に示談交渉を進めていくにあたっては、後にも触れるように弁護士に相談することが必要不可欠でしょう。
自首する
捜査機関に盗撮行為が発覚していない場合は、自首をすることも有効です。
自首とは、捜査機関に発覚する前に犯人がすすんで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分に服する意思表示と定義されます。
自首については、刑の任意的減軽事由になっているほか(刑法第42条)、自ら犯罪事実を認めて出頭していることから、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれも認められないとして、逮捕される可能性を低くすることができます。
注意が必要なのは、せっかく警察署に自ら赴いたとしても、自首として取り扱ってもらえない場合がある、という点です。
自首したという事実を証拠化するために、書面を準備したり、後述するように弁護士に相談したりすることが重要といえるでしょう。
弁護士に相談する
以上の説明でもふれたように、もし盗撮行為をしてしまい、後日逮捕を避けたいと考えているならば、早い段階で弁護士に相談することが肝要です。
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉についても窓口として対応し、被害者の心情にも十分に配慮しつつ、後日逮捕の回避に向けて効果的なアクションを取っていくことが可能になります。
自首を検討するにあたっても、そもそも自首に当たる場合かの判断もできますし、法的にも自首として認められるように、書面を準備しておく、場合によっては警察署に同行する等、自首したことを証拠化できるような準備・対応も可能です。
万が一後日逮捕されてしまったとしても、早期に弁護士に依頼していれば、その後の勾留を阻止したり、早期の身柄解放に向けた働きかけや準抗告といった異議申立てをスムーズに行ったりすることもできます。
もし盗撮行為をしてしまった場合には、早急に弁護士に相談するのが得策です。
まとめ
盗撮行為をした場合に、現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性は十分考えられます。
そして、後日逮捕されるまでの期間もまちまちです。
いずれにせよ、盗撮行為をしてしまった場合において逮捕を回避するには、少しでも早く弁護士に相談することがおすすめです。
当事務所は、盗撮事件をはじめとする刑事弁護にも精通し、経験豊富な弁護士が揃っていますので、お悩みの際はぜひご相談下さい。
- 得意分野
- 一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
- プロフィール
- 大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了