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投稿日: 更新日: 弁護士 表 剛志

盗撮で逮捕された場合の流れは?後日逮捕の可能性や刑罰について

盗撮で逮捕された場合の流れは?後日逮捕の可能性や刑罰について
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盗撮はどのような罪・刑罰になるのか

盗撮は、犯罪の状況や場所によって、適用される法律や罰則が異なります。
以下に主な罪・刑罰をまとめます。

迷惑行為防止条例

公共の場所での盗撮行為(例:駅のエスカレーターでの盗撮)は、各都道府県が定める「迷惑行為防止条例」によって取り締まられます。

都道府県によっては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることがあります。また、常習犯の場合は、罰則がさらに重くなる場合があります。

軽犯罪法

会社や学校の更衣室・トイレなど、公共の場所とは言えない場所で盗撮行為をした場合は、軽犯罪法(第1条23号)が適用されることがあります。

この場合、拘留(1日以上30日未満の拘留場への拘置)または科料(1,000円以上10,000円未満)が科される可能性があります。

住居侵入罪・建造物侵入罪

住居や店舗などに不法に侵入して盗撮をした場合は、刑法第130条前段に基づき、住居侵入罪や建造物侵入罪で処罰されることがあります。

この場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。

撮影罪

令和5年7月13日より施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(性的姿態撮影等処罰法)により、これまで各都道府県の「迷惑行為防止条例」で取り締まられていた盗撮行為が、法律でも規律されることになりました。

<性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)>
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
(引用:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 | e-Gov法令検索

この「撮影罪」では、①性的姿態等を、②ひそかに、③正当な理由がないのに撮影する行為が処罰されています。

身体の性的な部位を、被害者に気付かれることなく撮影することが、構成要件となっています。法律でも定められたことで、全国一律基準での処罰が可能となりました。

これに違反した場合、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処せられます。

盗撮をすると逮捕される?後日逮捕の可能性は?

盗撮行為は、一部の人々によっては痴漢や強制わいせつなど他の性犯罪に比べて軽く考えられがちですが、法的には厳重に罰せられる犯罪です。

逮捕のリスクについて、現行犯逮捕と後日逮捕の2つのケースで説明します。

現行犯逮捕

盗撮行為を実行中に被害者や目撃者に発見されると、その場で警察に現行犯逮捕される可能性が非常に高いです。

現行犯で逮捕されると、少なくともその日から2~3日は警察署で拘束されることになり、これが学校や職場で知れ渡るリスクも高まります。

後日逮捕

現行犯逮捕を免れたとしても安心はできません。

公共の場所での盗撮行為は多くの場合、防犯カメラや自動改札機などの情報を用いて犯人が後日特定されることがあります。

何ヶ月か経ってから突然の逮捕がある場合も少なくありません。

逮捕されるかどうかは、多くの変数に依存します。警察の捜査方針、被害者や目撃者の証言、さらには犯人自身の過去の犯罪歴などが影響します。

例えば、盗撮の事実を否認すると、逮捕される可能性は一層高まるでしょう。前科や前歴がある場合、それも逮捕されるリスクを増加させます。

また、盗撮を疑われた際に携帯電話などが押収され、その中から盗撮データが発見された場合、その証拠が後日逮捕につながることも多いです。

盗撮で後日逮捕されるケースとは

撮影罪を犯した場合、後日逮捕されてしまうのはどういったケースがあるのでしょうか。

以下では、その代表的な例についてご紹介します。

被害者から被害届が出されている

その場では被害が発覚しなかったとしても、後日被害者が被害届を提出するケースもあります。

この場合、そもそも事件発生自体が捜査機関に把握されていないため捜査されていなかったところ、捜査機関が被害の事実を把握することになり、捜査に乗り出していくこととなります。

被害届をいつ出すかについては、制限がありません。

したがって、現場で被害申告がされなかったとしても、後日警察官がやってきて逮捕される、という可能性は残りつづけますので、注意すべきです。

目撃者がいる

盗撮現場を、第三者が目撃している可能性もあります。

特に、公共の場において盗撮行為が行われる場合、当然撮影者と被害者以外にも多くの人がいますから、その中の誰かが、盗撮行為を目撃していることが十分考えられます。

そうした目撃者の証言が、撮影者の特定と逮捕を後押しする場合もあります。

盗撮の証拠が残っている

盗撮の証拠が残っている場合も、撮影者が特定され、逮捕される可能性があります。

想定される証拠としては、公共の場での盗撮ということであれば、盗撮現場周辺の防犯カメラ映像が考えられます。

自宅等の建造物に侵入しての盗撮であれば、侵入の形跡から盗撮の可能性が判明するということもあり得ます。

また、盗撮された映像がインターネット等に投稿されている場合、その映像自体から撮影場所や撮影者の特定につながる事情が明らかとなるケースもあります。

こうした客観的証拠がある場合、後日逮捕されてしまう可能性は高まります。

盗撮で逮捕された場合の流れは?釈放までの期間は?

盗撮で逮捕された場合、まず警察による取り調べが行われます。

日本の法律においては、この取り調べの後、48時間以内に検察庁に事件が送致されることが一般的です。

送致後、検察官が被疑者と面談し、24時間以内(逮捕から計算して72時間以内)に勾留(身体拘束処分)を請求するかどうかを決定します。

逮捕

先に説明したとおり、盗撮で逮捕されるケースとしては、現行犯逮捕される場合と、後日になって逮捕される場合があります。

盗撮で逮捕されると、まず警察による取調べが行われます。

刑事訴訟法上、警察に逮捕されてから48時間以内に、検察庁に事件を送致しなければならないと規定されており、警察で話を聞かれた後は、最長2日以内に、検察官に事件が送致されます。

検察官送致

検察官送致後、今度は検察官が被疑者と面談し、取調べを行います。

検察官送致後については、24時間以内(かつ、逮捕後から起算して72時間以内)に、勾留請求をするか、釈放するかの判断をする必要があります。

検察官による取調べでは、主に警察官の取調べでは聞きとることのできなかった部分が聴取されます。

こうした取調べ結果を踏まえ、検察官が勾留請求を行い、裁判官が勾留の可否を判断します。

勾留

勾留が決定された場合、初めての10日間が拘束期間となり、捜査が続きます。必要に応じてこの拘束期間は最大20日間まで延長されることがあります。

勾留期間中に検察官は、起訴するか不起訴にするかを決定します。

釈放とその後

盗撮事件において、初犯で家庭や仕事があり、容疑を認めている場合、勾留されずに2~3日で釈放され在宅事件として処理されることが多くなっています。

しかし、この在宅事件というステータスは無罪を意味するわけではありません。

何も手続きを踏まずに放置すると、後で起訴されて罰金刑にされ、前科が付く可能性が高まります。

釈放後も、状況がクリアになったわけではないので、速やかに弁護士に相談することが推奨されます。

弁護士は、起訴後の裁判での戦略を練るだけでなく、起訴前に検察官や警察と交渉して、不起訴や罰金刑のみでの処分を目指すこともあります。

盗撮で逮捕されなかった場合のその後の流れ

警察からの出頭要請

逮捕されなかった場合でも、警察は事情聴取のために出頭を要請する可能性が高いです。

逮捕されていないとはいえ、この事情聴取が今後の法的手続きに大きな影響を与える場合があります。

特に、警察が持っている証拠や余罪についての質問が行われる可能性が高いです。

逮捕された場合とは異なり、事情聴取の日程については柔軟に調整することが可能です。

検察庁への送致

事情聴取が終了すると、警察はその結果を基にして被疑者の事件を検察庁に送致することが一般的です。

送致された事件について、警察の取調べだけでは不明確な点があれば、検察官がさらなる取調べを行うこともあります。

この段階で被害者と示談が成立している場合、その証明となる示談書と意見書を提出することが可能です。

起訴または不起訴の判断

検察庁に送致された後、検察官は被疑者の反省の態度、被害者との示談の有無、余罪の有無などを総合的に考慮して、起訴するか不起訴にするかを判断します。

この段階で弁護士が付いていれば、被疑者に有利な事情や証拠を整理した意見書を提出することで、検察官の判断に影響を与える可能性があります。

弁護士の役割

特に逮捕されていない在宅事件においては、早めに弁護士に相談することが重要です。

弁護士は、事情聴取や検察庁での手続きにおいて、被疑者の権利を守るだけでなく、被疑者にとって有利な状況を作り出すための戦略的なアドバイスや支援を提供できます。

注意点

逮捕されなかったからといって安心してはいけません。

在宅事件でも、結局は起訴される可能性がありますし、社会的な名誉や将来に与える影響は小さくありません。

特に、内密に処理しようと被害者と個人的に示談する場合、その後の法的な問題に対処できない可能性があります。

盗撮で逮捕された場合の生活への影響

報道による影響

盗撮で逮捕されると、その事件がニュースで報道される可能性が高まります。

報道されるかどうかは多くの要素に依存しますが、特に社会的に高い地位にいる人や公務員、マスコミ関係者、一部上場企業の社員などは報道されやすい傾向があります。

ニュースでの実名報道がされてしまうと、その影響は非常に大きく、社会的な信用を一瞬で失ってしまう可能性があります。

家庭と職場への影響

報道がなくても、逮捕や勾留により身体拘束が長引けば、家庭や職場にその事実が知られてしまう危険性が高まります。

家庭内での影響としては、配偶者との離婚が考えられます。職場での影響は、懲戒解雇が非常に高いリスクとなります。

実際、逮捕前に解雇されてしまったケースも少なくありません。

前科がつくことによる影響

起訴されて有罪判決を受けると前科がつくことになります。

前科がついいた場合、その社会的影響は非常に大きいです。

最も直接的な影響は職場での解雇や昇進停止、さらには再就職の困難さです。

特に公務員や専門職の場合、資格を剥奪されるリスクも考えられます。

社会的信用の低下は、個人の精神面にも影響を与える可能性が高いです。

家庭内での問題、友人や近隣との関係にまで波及することもあり、孤立や精神的ストレスが増大します。

加えて、前科があると、それがインターネット上で拡散されると、名誉やプライバシーが侵害される恐れもあります。

一度前科がついてしまうと、それを消すことは不可能です。

そのため、何らかの疑いがかかった際は、早急に法的手段に訴えるなど、適切な対応を取る必要があります。

このような状況で、早期の段階で弁護士に相談することが非常に重要です。

弁護士は、報道対策や家庭・職場への影響を最小限に抑えるためのアドバイスや対応を行ってくれます。

また、適切な法的手続きを行うことで、起訴されない可能性も高まります。

盗撮で前科をつけない・後日逮捕を避ける方法は?

盗撮罪で前科をつけないように、また後日逮捕されないようにするには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、その為に有効な方法を2つご紹介します。

自首

捜査機関への発覚前ならば、「自首」することも考えられます。

自首とは、捜査機関への発覚前に自ら犯罪事実を申告することをいいます(刑法第42条第1項)。

自ら犯罪事実を明らかにしているわけですから、証拠隠滅や逃亡のおそれがないとして、後日の逮捕を回避できる可能性も高まります。

前科をつけないためにも、後日逮捕されないように対処することは有効ですので、検討してみるのはいかがでしょうか。

示談交渉をする

逮捕や起訴、ひいては前科がつくのを防ぐためには、被害者との示談交渉も有効です。

盗撮のように、被害者がいる事件で示談が成立しているか否かは、起訴がされるかどうかに大きく影響する事情の一つです。

起訴前に示談が成立すれば不起訴処分の可能性が高まります。

逮捕を避けるという意味では、示談するには自ら盗撮の事実を認めていることが前提となることが大半でしょうから、逃亡や罪証隠滅のおそれも低いとされ、逮捕の可能性も低くなるでしょう。

盗撮で逮捕された場合に、弁護士へ相談するメリット

盗撮事件において弁護士へ相談することは、多くの点でメリットがあります。

具体的には、以下のような面での助力が期待できます。

前科を回避できる可能性が高まる

盗撮事件は多くの場合、初犯であれば略式起訴で罰金刑となる可能性が高いです。

しかし、弁護士に依頼すると被害者との示談がスムーズに進む場合が多く、その結果、不起訴処分となる可能性もあります。

弁護士が示談交渉を専門的かつ適切に行えるため、被害者と直接交渉するよりも成功率が高くなるのです。

逮捕後の早期対応が可能

通常、逮捕された当人と家族との面会は限られていますが、弁護士はその限りではありません。

逮捕直後から弁護士との面会が可能で、そのため被疑者は早期に必要な情報と戦略を共有できます。

また、弁護士は、被疑者に対して取調べでの黙秘権の使い方や供述に関するアドバイスができます。

これにより、不利な供述を防ぐことが可能です。

家族との情報共有がスムーズに行える

家族は逮捕後の状況について詳しい情報を得られない場合が多いですが、弁護士を通じて被疑者の状況を把握できます。

弁護士が家族と被疑者との間で情報を共有することで、今後の対応もスムーズに行えます。

早期釈放の可能性が高まる

弁護士が早期に介入することで、勾留を回避して早く釈放される可能性もあります。

勾留請求を回避するためには、弁護士が被疑者の社会的背景や家族構成、被害者との示談の可能性などを検察官や裁判官に対して効果的に主張することが重要です。

盗撮事件においては法的な問題はもちろん、心理的・社会的な問題も複雑に絡み合っています。

そのような状況でプロフェッショナルのアドバイスとサポートを受けることは、非常に大きなアドバンテージとなるでしょう。

したがって、盗撮事件に巻き込まれた場合は、速やかに弁護士に相談することを強くお勧めします。

まとめ

この記事では、盗撮をしてしまった際の刑罰や逮捕の可能性、逮捕された後の流れについて解説してきました。

盗撮行為は、他の性犯罪に比べて軽く捉えられがちですが、法的には厳重に罰せられる犯罪です。

日常生活への影響を最小限に抑えるためには、なるべく早期の段階で弁護士へ相談し、適切な手続きを行うことをおすすめします。

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執筆者 弁護士表 剛志 大阪弁護士会 登録番号61061
いかなる内容の法律相談であっても、まずは依頼者さまのお話を真摯にお聞きし、弁護士以前に人として、「共感」することを信条としています。 まずは人として「共感」し、その次に、法律家として問題点を「整理」して、法的解決を志向することに尽力いたします。
得意分野
一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
プロフィール
大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了

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