公然わいせつ罪とは?逮捕後の流れや成立要件について分かりやすく解説
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記事目次
公然わいせつとはどのような犯罪なのか
公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をした場合に該当する罪で、刑法174条に規定される犯罪で、これに該当した場合には、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または1日以上1か月以下の拘留もしくは1万円以下の科料に処される可能性があります。
では、具体的にはどのような場合に公然わいせつ罪が成立するのでしょうか。
また、これによって逮捕等をされた場合どうなっていくのでしょうか。
以下にて解説します。
公然わいせつが成立する要件について
刑法174条は、「公然とわいせつな行為をした」場合に公然わいせつ罪が成立すると規定しています。典型例としては、公道上で陰部を露出した場合などで成立する犯罪です。
とても短い定義ですが、もう少し細かく見てみると、「公然と」「わいせつな行為をした」という2つの要素に分けられます。
以下、それぞれの要素について詳しく解説していきます。
1. 公然性
「公然と」とは、裁判例上、「不特定または多数の人間が認識しうる状態」であると言われています。
もう少し分解すると、「不特定の人間または多数の人間が」「認識しうる状態」であれば認められる要件です。
すなわち、「公然と」行われたものでない行為というのは、「誰にも認識されようがない」または「特定かつ少数の人しか認識できない」状態に限られます。
ですので、たとえば「夜遅くの公道でわいせつな行為をしたため、自分以外には1人しかその行為を見ていなかった」としても、一般的に公道上であれば不特定または多数の人が認識することが可能な状況だったといえるので、「公然と」行われたといわれてしまう可能性が高いのです。
なお、裁判例上、比較的人通りの多い住宅街に面した駐車場に停めた車の中で、窓ガラスに覆いなどをつけずにわいせつな行為を行ったケースについて、公然性が認められたものがあります(神戸地判平成15年 9月24日)。
わいせつ性
「わいせつな行為」とは、判例上、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを指すとされています。
わかりにくい定義ですが、簡単に、かつ誤解を恐れずに言えば、一般的に「性的なもの」と認識されており、「ここでそんなことをするのはやめてほしい」と思われてしまうものはわいせつ性があると判断される可能性が高いということになります。
大事なことは、行為をした人がどう思っているかではなく、一般的にどう思われるかが判断基準となるという点です。
したがって、少なくとも、陰部そのものの露出等についてわいせつ性を争うことは難しいと考えたほうが良いでしょう。
公然わいせつで逮捕される際の流れとは
公然わいせつ罪に該当する行為を行ってしまった場合、次に掲げる要件にしたがって、必要な場合には逮捕されてしまいます。
逮捕される
刑事訴訟法でいう逮捕とは、証拠の隠滅等の防止のため、被疑者(犯罪を行った疑いがある者)の身体を最大72時間拘束する手続きをいいます。
公然わいせつ罪に該当する行為を行った場合、現行犯逮捕か通常逮捕かのいずれかがなされる可能性が高いです。
現行犯逮捕とは、犯行の最中または直後に、その現場で一般人または警察官等に逮捕されるケースを指し、通常逮捕とは、例えば通報を受けた警察官が防犯カメラ等を確認し、後日逮捕状をもった警察官に逮捕されるというケースを指します。
現行犯逮捕と通常逮捕の違いについては以下のページで詳しく解説しておりますので、併せてご確認ください。
逮捕された後は、最大48時間警察署に拘束されます。
その間、氏名、住所や職業等の身の上に関する取り調べや、事件の内容そのものについての取り調べが行われることとなります。
逮捕の要件
通常逮捕の場合、①被疑者が犯罪を起こした可能性が十分に認められ、②被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりする可能性がある場合に、検察官が裁判所に逮捕状を請求します。
それを受けた裁判官が③逮捕をした場合の被疑者の不利益を考慮してもなお逮捕をする必要性があると判断した場合に逮捕状が発付されます。
現行犯逮捕の場合には、逮捕状は不要ですが、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」、すなわち犯行中または犯行直後の一定の場合に限り逮捕できると規定されています。
但し、現行犯逮捕されたあと、逃亡の恐れなどが明らかに乏しいと警察官等に判断された場合には速やかに釈放されることとなります。
検察官送致
ある程度の取り調べが終わった段階(逮捕から最大48時間以内)で、供述調書や現場の写真などの記録とともに、被疑者の身柄は検察庁へ送られます。
そこから最大24時間拘束され、検察官からも取り調べを受けることとなります。
ここで検察官に、事件の資料と被疑者との面会を踏まえて、勾留をする必要があるか無いかを判断されることになります。
勾留請求、勾留質問
検察官の取り調べまで終わり、検察官がなお証拠隠滅や逃亡の防止のために必要があると判断した場合、検察官は裁判所に被疑者を勾留したい旨を伝えます。これを勾留請求と言います。
これが請求された場合、被疑者の身柄は一時的に裁判所へ送られます。
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面談をしたうえで、被疑者が罪を犯したと疑う十分な理由・根拠があることを前提に、①被疑者が住所不定である、②被疑者が証拠隠滅をすると思われる相当な根拠がある、③被疑者が逃亡しそうな相当の根拠がある、のいずれかに該当する場合、勾留を認めます。
裁判官が勾留の必要性がないと判断した場合、速やかに釈放されます。釈放後は日常生活を送ることができますが、警察から取り調べなどに呼び出された場合はそれに応じなければなりません。
勾留
裁判官が勾留を認めた場合、最大10日間身体拘束が続くこととなります。
また、10日経ってもなお検察官の証拠収集が間に合っていないなどの理由で、今釈放すると証拠を隠滅されてしまうかもしれない、逃亡してしまうかもしれないという場合には、検察官は裁判官に勾留を延長したい旨請求します。
これを勾留延長の請求と言います。
これが認められた場合には、そこからさらに10日間、すなわち逮捕から数えて最大23日間身体拘束が続くこととなります。
警察や検察は、この10日間をつかって勾留期間に取り調べや実況見分などの捜査を行い、検察官は、勾留の期限が切れるまでに被疑者を起訴するか否か(裁判にかけるか否か)を決定します。
起訴
起訴とは、検察官が事件について裁判所に審理判断を求めることをいいます。
検察官は、警察から送致された全ての事件を起訴するわけではなく、さまざまな事情を考慮して事件を不起訴とすることもあります。不起訴となった場合は釈放されます。
起訴には2種類あり、公開の刑事裁判が行われる場合と、公開の裁判を行わず罰金刑に処される場合があります。
全社の場合は、その後刑事裁判が行われ、判決を言い渡されることになります。
起訴やその後については以下のページでより詳しく解説しておりますので、併せてご確認ください。
公然わいせつで逮捕されることのリスクとは
公然わいせつ罪で逮捕される場合、どのようなリスクが考えられるでしょうか。
会社に対して説明する必要が出てくる可能性がある
上記のように、最大23日間身体拘束をされると、その間当然出勤することはできません。
そうなると、会社としては当然欠勤の理由を確認することとなります。
身体拘束されている間、接見に来た家族などを通じて事情を説明しなければならない可能性が生じます。
報道されてしまう可能性がある
事件の重大性に応じて(犯行が繰り返し行われていた場合や、被疑者が社会的な立場のある人物だった場合など)、逮捕されたことが報道されてしまう場合があります。
そうなると、インターネットを通じて逮捕の事実が社会的に広がり、その記録が残り続けることとなるので、今後の社会生活において大きなリスクとなります。
公然わいせつによる逮捕を避けるにはどうすればいいのか
公然わいせつ罪で逮捕されることを回避するためには、どのような方法があるのでしょうか。
現時点でとりうる手段を2つご紹介します。
自首をして捜査に協力する
逮捕されるのは、上記のとおり、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅する可能性があったりする場合に限られます。
したがって、自ら犯行を自首して捜査に積極的に協力し、逃亡も証拠隠滅の可能性もないことを客観的に示すことで、逮捕される可能性を大幅に減らすことができます。
また、条件によっては、自首をした場合、仮に起訴されてしまっても、減刑に結び付けることができます。
弁護士に相談する
弁護士に相談することで、今後の手続きの見通しや、リスクとメリットを考えながら自分がすべきことを考えていくことができます。
弁護士であれば守秘義務がありますので、相談したことが第三者に漏れることはありません。
一人で抱えて悩み続けるより、今後について専門家と一緒に考えることで精神的にも楽になると思いますので、一度弁護士へご相談売ることをお勧めします。
まとめ
今回は公然わいせつ罪について解説してきました。
公然わいせつ罪とは、公然とわいせつな行為をした場合に成立する罪です。
公然わいせつ罪を犯すと、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または1日以上1か月以下の拘留もしくは1万円以下の科料に処される可能性があります。
逮捕されてしまうと、最大23日間身体拘束を受けるため、仕事や学校などの社会生活に影響を及ぼしてしまう恐れもあります。
公然わいせつ罪に該当し得る行為をしてしまってお困りの際は、自分で解決しようとせず、弁護士へ相談することをおすすめします。
なるべく早い段階で弁護士へ相談することで、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。
- 得意分野
- 契約法務 、 人事・労務問題 、 紛争解決 、 債権回収 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 交通事故
- プロフィール
- 慶應義塾大学法学部法律学科 卒業 早稲田大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内法律事務所に所属 東京スタートアップ法律事務所 入所