陳述書とは?書き方や注意点を紹介

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記事目次
陳述書という言葉を聞いたことがあるでしょうか。陳述書という言葉を聞いて、それがどのようなものであるか容易にイメージできる人は少ないかもしれません。
本記事では、陳述書とは何か、陳述書が必要となるケースや、陳述書をどのように作成すれば良いか等について、分かりやすく解説していきます。
陳述書とは何か
陳述書は、当事者あるいは当事者以外の第三者が認識した事実や意見についての供述を内容とした書面のことをいいます。民事事件・刑事事件いずれの手続においても利用されます。現実の紛争・事件は客観的な証拠が揃っているケースばかりではないため、陳述書には客観的証拠を補う役割があります。
陳述書を出す目的
先程述べたとおり、現実の紛争・事件においては、防犯カメラ映像や契約書等の客観的な証拠が揃っている紛争・事件ばかりではないため、客観的証拠を補完するために、陳述書が提出されます。
陳述書を出すタイミング
陳述書を提出する時期については、明確に決まっていません。ただ、主張・立証がある程度尽くされて、尋問を実施する前に提出されることが多いです。
刑事事件で陳述書が必要なケース
刑事事件において陳述書が必要なケースとしては、証人が裁判所から遠方に在住している場合や仕事で忙しく時間が取れない場合のほか、傍聴人等の面前で尋問を実施することが困難な場合等が挙げられます。
被害者が法廷での供述を行えない場合
刑事事件において陳述書が必要なケースとして、事件の被害者が、傍聴人等の面前で供述をすることができないケースが挙げられます。
刑事事件において、すべての事件で、事件の被害者が法廷において供述することができるわけではありません。性犯罪の被害者や恐喝や強盗の被害者等、事件の性質によっては、被告人に対する恐怖心や、傍聴人に事件の被害者と知られることへの羞恥心等の心情により法廷で供述することが難しく、法廷での尋問に代えて、陳述書という形で証拠を提出するほうが適切なケースがあります。
勾留・保釈に関する判断資料として提出する場合
刑事事件において陳述書が必要なケースとして、勾留決定に対する準抗告や保釈請求の手続も挙げられます。
勾留決定に対する準抗告や保釈請求の手続きにおいては、尋問のような手続きが用意されていません。ただ、身柄が解放された際の被疑者・被告人の今後の監護監督について、判断権者である裁判官において知っておいて欲しい事情などを記載することによって、被疑者・被告にとって有利な事情を伝えることができます。そのため、尋問のような手続きに代えて、陳述書という形で、裁判官に提出されます。
量刑判断に影響を与える事情を伝える場合
さらに、刑事事件において陳述書が必要なケースとして、被告人の量刑判断に資する事情等を伝える場合が挙げられます。
裁判所において、被告人の有罪認定をする場合、その次に量刑について判断します。その判断の際に、裁判所は被、告人の反省や更生への意欲、家族や友人等の監護監督の体制等、諸般の事情を考慮します。
これらの事情について、証人として法廷で供述することがあります。しかし、証人として出廷することが仕事や介護等の理由により難しい場合には、陳述書の形で提出して有利な事情として斟酌してもらうことがあります。
陳述書の書き方やポイント
上記したとおり、陳述書の内容の出来は、裁判官の心証形成に影響します。作成にあたっては、裁判官にとって読みやすく、内容が正確に伝わるよう工夫が必要です。
特に、①時系列に沿った記載、②具体的な事実の明記、③主観に偏りすぎない表現が重要なポイントです。
これらを意識せずに作成された陳述書は、かえって不利な心証を招くおそれもあります。次に、避けるべきNGな陳述書の特徴について解説します。
NGな陳述書の特徴
陳述書について、その内容の出来の良し悪しによって、裁判官の心証形成の効果が左右されます。以下では、NGな陳述書の効果について記載します。
・焦点が定まらないダラダラとした陳述書
焦点が定まっておらず、何が言いたいのか要領を得ないような陳述書は、当事者や証人が何を主張したいと思っていて、その紛争・事件において、争点をどこと捉えているのか判然としません。そのような陳述書では、裁判官において、当事者や証人が何を言いたいのか分からず、有利な心証を抱いてもらえません。
・提出した証拠と矛盾する陳述書
陳述書はあくまでも客観的な証拠を補完するものであるため、提出した陳述書の内容と客観的な証拠の内容が矛盾する場合には、裁判官において、当事者や証人の主張を信用できないとの心証を抱かせてしまうでしょう。
陳述書を書く際に気を付けたいこと
先程述べたとおり、陳述書の内容の出来の良し悪しによって、裁判官の心証形成の効果が左右されるため、陳述書を作成する際に、気を付けるべきポイントをお伝えします。
・時系列に沿って記載する。
陳述書を書く際には、読み手となる裁判官のことを意識しなければいけません。裁判官が理解しやすい書き方として、時系列の順番で、時間の流れに沿って記載すると良いでしょう。
・個別具体的に記載する。
陳述書は、当事者あるいは当事者以外の第三者が認識した事実や意見を記載した書面です。その記載した事実が抽象的でぼんやりとしたものであったとしたら、裁判官は、その陳述書をどのように読めば良いか分からないでしょう。そのため、個別具体的に記載し、明確に伝えることが重要となるでしょう。
・主観的な記載に偏り過ぎないように記載する。
陳述書は、当事者あるいは当事者以外の第三者の認識した事実や意見を正確に伝えるためのものです。読み手である裁判官に正確に伝えるためには、主観的な記載に偏り過ぎないようにしましょう。
まとめ
ここまで陳述書とは何か、陳述書が必要となるケースや、陳述書をどのように作成すれば良いか等について解説してきました。陳述書は、紛争・事件を抱える当事者にとっては、裁判官の心証形成を左右する重要な証拠となります。
個別具体的な紛争・事件によって、陳述書に記載すべき内容は変わります。もし、陳述書の作成でお困りの際は、弁護士にご相談ください。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設