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投稿日: 更新日: TSL

慰謝料請求されて払えない場合の対処法とは?減額のためにできることも解説

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日本では独身者同士の恋愛は自由です。

仮に付き合っている相手がいたとしても、他の相手と関係を持つことは、法律では禁止されていません。

しかし、相手に配偶者、婚約者、内縁の妻や夫がある場合は、不貞行為となり、損害賠償を請求される可能性があります。

不貞行為とは、一般に、配偶者以外との間で肉体関係等の性的行為をすることを指すものと考えられています。

不貞行為が発覚すれば、相手の配偶者や婚約者等から慰謝料を請求される事例が多いです。

では、慰謝料を支払えない場合はどうなるのでしょうか?

罰則はあるのでしょうか。

そこで今回は、不倫や浮気の慰謝料を請求されているのに支払えない場合やその場合の対処法について解説します。

浮気・不倫の慰謝料が支払えない場合の対処法

請求された不貞行為の慰謝料を支払えない場合は、以下のように減額や分割払いを申し出る等の方法が考えられます。

減額を申し入れる

慰謝料が相場より高額な場合や、請求額された金額の支払いは難しいものの、減額に応じてもらえれば一括払いが可能になる場合は、減額を申し入れることは有効な手段です。

不貞行為によって損害を受けた者は、和解後も分割払いで不貞行為を行った者との関係が続くことを嫌がるケースもあり、それならば減額してでも一括で支払ってもらって早期に解決したいと考えることもあるためです。

また、不貞発覚後も夫婦の婚姻関係が続くことが予定されている場合、不貞した配偶者に対する求償権を放棄することも減額交渉の材料になります。

求償権の放棄については後ほど詳しく説明します。

分割払いを申し入れる(利息の有無)

減額してもらっても一括払いが難しい場合は、分割払いを申し入れましょう。

不貞行為の被害者も、全く慰謝料を受け取れないよりかは分割であっても支払ってもらった方がよいと考えることもあります。

ただし、本人同士の交渉では分割払いが受け入れられずに交渉が難航するケースもあるため、自分だけでは交渉が難しいと考えられる場合は、弁護士に交渉を依頼した方がよい場合もあるでしょう。

また、万が一支払いに遅れた場合は遅延した場合の利息(遅延損害金)を付けることを提案することで、分割払いを了承してくれることもあります。

借金をして一括で支払う

強くお勧めできる方法ではありませんが、借入れをして一括して支払うことも選択肢の1つとなります。

家族や親族などがお金を貸してくれるのであれば、きちんと借用書や金銭貸借消費契約書を作成しておくべき場合もあります。

消費者金融や銀行などのカードローンを利用する場合は、利息が発生することに留意して無理なく返済できる範囲にしておきましょう。

借入れで慰謝料を支払うことは決して推奨できる方法ではありませんが、借金をしてでも慰謝料を支払って問題を解決したいと考える方も一定数はいます。

親に支払ってもらう・立て替えてもらう

慰謝料請求を受ける立場からすると、自分の両親や親族に事情を説明することは大変心苦しいことかもしれません。

親子や親族の関係性は様々だと思いますが、子供が真に困っているときに協力や金銭的な援助をして頂けるご両親もいらっしゃることでしょう。

たしかに、不貞について両親に知られることは誰しも気まずく恥ずかしい思いをすることでしょう。

しかし、金融機関で融資を受ける場合は、必ず利息が発生し、元本と共に利子をも返済しなければならず、その後の経済状況が苦しくなってしまう方も少なくありません。

親子であれば、無利子で援助して頂ける場合もあると思われ、場合によっては結果的に一番安定した早期解決に繋がる可能性があります。

慰謝料を支払うべきかを確認する

「慰謝料が支払えない!」と慌てる前に、本当に慰謝料を支払うべき事例なのかを確認しましょう。

そもそも慰謝料を支払わなければならない浮気や不倫かどうか

浮気や不倫は法律上の用語ではなく、その定義は人それぞれです。

  1. 二人で食事をする
  2. 手を繋ぐ
  3. キスをする
  4. ハグをする
  5. 肉体関係を持つ

この全てが浮気や不倫だと考える人もいれば、③以下が浮気や不倫だと考える人もいます。

法律的に不貞行為と判断されるのは通常「肉体関係があった場合のみ」

しかし、法律的に慰謝料が請求可能となる「不貞行為」と呼ばれるのは基本的には⑤の肉体関係がある場合です。

配偶者がいる相手と性交渉やそれに類する行為をもつことを、不貞行為といいます。

ただし、近時は、肉体関係までは認定できないものの、婚姻関係を破壊し得る不適切な交際をしたことで少額ながら慰謝料の支払を認めた裁判例もありますので、注意が必要です。

浮気や不倫の慰謝料というのは不貞行為を行ったことに対する精神的苦痛を慰謝する目的で支払われるものです。

したがって、相手との関係が不貞行為に該当しなければ慰謝料を支払う必要はありません。

相手が不貞行為の証拠を確保しているか

不貞行為の証拠がなければ慰謝料の請求に応じなくても良い場合もあります。

日本の損害賠償請求訴訟においては、事実関係に争いがある場合、損害賠償を請求する側が、請求するための根拠となる事実を立証しなければならないという原則があります。

不貞行為の慰謝料の場合は、性交渉を伴う関係であったことを立証できる証拠が必要です。

不貞行為の代表的な証拠がこちらです。

  • ラブホテルやホテルに二人で出入りする画像や動画
  • 性交渉をしていることが明らかな画像や動画
  • 性交渉があったことを自白している音声データ
  • 性交渉をしていることが明らかになっている探偵の調査報告書

以上のような証拠を相手が確保しておらず、根拠なく不貞の事実を主張している場合は、慰謝料の支払いに応じる必要がない可能性もありますので、弁護士に相談してみましょう。

もっとも、ご自身の判断だけで請求を無視していると、実は相手が重要な証拠を隠し持っていて、突然損害賠償請求訴訟を提起されるおそれもありますので、注意が必要です。

既婚者であることを知らなかったか、隠されていたか

あなたが、肉体関係を持っていた相手が既婚者であったことを知らなければ基本的には慰謝料を支払う必要はありません

ただし、既婚者であることを当然知ることができた環境で出会った場合は、過失があるとされ、「知らなかった」と言い逃れができないのでご注意ください。

以下のような場合は、慰謝料請求をされたとしても、相手が既婚者であることを知らなかった場合には支払いを拒絶できる可能性が高いです。

  • 知り合ったのが相席居酒屋だった
  • マッチングアプリに独身だと登録してあった
  • 独身者限定の婚活パーティーで知り合い、結婚していることを隠されていた

相手が既婚者であることを知ることが難しい状態であれば、慰謝料の支払いを回避できる可能性があります。

しかし、下記のような事例では、「既婚者とは知らなかった」とは認められにくいでしょう。

  • 相手の結婚式に参列していた
  • 相手と同じ会社の同じ部署で働いている
  • 相手の家の隣住んでおり、相手の家族を目撃する機会があった
  • 相手はいつも結婚指輪をしていた

すでに相手夫婦の婚姻関係は破綻していたか

不貞行為の慰謝料は、不貞行為を開始するよりも前に、すでに相手の夫婦関係が破綻していた場合には支払う必要がありません。

婚姻関係が破綻していたとして認められやすいのが、単身赴任などの事情がないのに長期間別居している場合です。

家庭内別居で、夫婦関係が破綻していたと主張することは難しいので、判断に困った場合は弁護士に相談しましょう。

ここまで、本当に慰謝料を支払うべきケースなのかについての判断基準を紹介してきました。紹介したチェック項目は以下の通りです。

  • 不倫相手と肉体関係があったか
  • 相手が不貞行為の証拠を確保しているか
  • 不倫相手が既婚者であることを知っていたか
  • 相手夫婦の婚姻関係は不貞行為以前から破綻していなかったか

慰謝料の減額・分割交渉を成功させるためのポイント

慰謝料の減額や分割払いの交渉を成功に導くための方法を解説します。

慰謝料の相場を確認する

不貞行為の慰謝料の相場は、概ね以下の範囲と考えられています。

ただし、不貞行為によって妊娠・中絶が発生した等の増額事由が認められる場合はこれよりも高くなる傾向にありますし、反対に、婚姻期間や不貞期間が短い等の減額要素が認められる場合もありますので、事案毎に妥当な金額についてはケースバイケースといえます。

  • 不貞行為が原因で相手夫婦が離婚した場合……200万円から300万円
  • 不貞行為が原因で相手夫婦が別居した場合……150万円から200万円
  • 不貞発覚後も相手夫婦の婚姻関係が継続する場合……数十万円から100万円前後

上記の相場を大きく超える慰謝料を請求されている場合は、相場の範囲内に減額を求めてみるとよいでしょう。

求償権を放棄することで減額を検討してもらう

不貞行為は、法的には共同不法行為というものに当たり、あなたと既婚者である不倫相手が共同で不法行為を行ったことになりますので、慰謝料を支払う義務は双方に生じます。

不倫相手の配偶者の請求に応じて慰謝料の全額を支払った場合は、双方の責任の割合に応じて相手に慰謝料の一部を請求可能です

これを求償権といいます。

責任割合は5割ずつということが多いですが、不貞行為を積極的にどちらかが推進した場合は、責任の割合が異なることもあります。

仮に5割ずつの責任割合だとすると、200万円の慰謝料を請求されてあなたが全額支払った場合は、相手に100万円を請求することができるのです。

不倫相手の配偶者が離婚を考えていない場合、慰謝料を請求してきた相手の配偶者にとっては、「せっかく浮気相手に慰謝料を請求したのに請求した金額の半額を請求されたら意味がない」ということになってしまいます。

そのため、「求償権を放棄するので慰謝料の減額を求める」と申し入れれば認められる可能性はあります

こちらは、相手が離婚しない場合によく使われる減額交渉の手段の一つです。

分割払いを受け入れてもらうために公正証書を作成する

慰謝料の分割払いは、「本当に今後も遅れなく支払ってもらえるのか」という不安を相手に抱かせます。

被害者が持つ支払いに関する不安を払拭するために有効なのが、「執行認諾文言付公正証書」です。

執行認諾文言付公正証書とは、末尾などに「債務の履行を遅滞したときには直ちに強制執行に服する旨陳述した」という執行認諾文言が付与されている公正証書のことを指します。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する書面です。

そこに執行認諾文言をつけることで、債権者は、公正証書に記載されている支払いの約束が守られなかった場合は、訴訟や調停などの手続きを経ずに強制執行を申し立てることができます。

要するに、執行認諾文言付公正証書があれば、不貞行為の被害者は、あなたが支払わなかった場合に、あなたの給与や預貯金等を通常よりも簡易な手続きで差し押さえることができるのです。

あなたにとっては不利な書類にはなりますが、執行認諾文言付公正証書があることで、被害者は分割払いの申入れを了承しやすくなります。

弁護士に交渉を依頼する

不貞行為の慰謝料の減額交渉は弁護士に依頼すべきです。弁護士に依頼することには以下のようなメリットがあります。

  • 被害者の感情を逆なですることなく冷静に交渉を進められる
  • 相場を超える慰謝料の請求に毅然とした対応ができる
  • 法的に有効で、のちのトラブルを防止する示談内容を提示できる
  • 執行認諾文言付公正証書の作成が容易である(公証役場とのやり取りを任せられる
  • 弁護士が間に入ることで分割払いへの信頼が高まる

不貞行為の慰謝料の減額や分割払いの交渉には、豊富な実績とともに、高い交渉能力が求められます。

弁護士に依頼する場合は、男女問題の取扱実績が豊富な弁護士かつ、コミニケーションスキルに優れた弁護士を選ぶとよいでしょう。

慰謝料を無視したらどうなる?

示談や裁判の際に不利になる

請求を無視した場合、誠実に対応する反省や謝罪の意思がないものとみなされて、慰謝料の増額要素となる場合があります。

請求当初から真摯に対応した場合と比較して、相手方の態度が頑なになり、本来穏便に示談で解決できたはずの交渉が難航する可能性があります。

また、交渉による示談に応じてもらえず、相手方が裁判での解決を希望して、解決まで長時間かかってしまうことも想定されるでしょう。

訴えられて裁判になる

慰謝料請求の権利にも消滅時効があり、不貞の事実と不貞相手を知ってから3年が経過すると時効により請求することができなくなります。

そのため、請求側の連絡や、書面による慰謝料請求を無視し続けた場合、相手方としては時効の完成を阻止するためにやむを得ず訴訟を起こし、裁判に発展する可能性が高くなります。

裁判の際も、請求側から再三支払いを求めたにもかかわらず無視されたことを増額要素として主張され、裁判所の心証が悪くなり、当初から誠実に対応した場合と比較して高い慰謝料が認められてしまうおそれもあります。

相手の感情を刺激してしまう

不貞された請求側としては、不貞を知ることで当初から怒りの感情に満ち溢れていることが通常です。

それにもかかわらず、さらに請求を無視されたとなると、請求側の感情がさらに悪化してしまい、場合によっては、自宅や職場を訪れる等のエスカレートした行動に発展する可能性も否めません。

また、SNS等で不貞の事実を暴露したりされるリスクもあります。

このような行動は正当化されるものではありませんが、不倫問題は感情が絡む事件ですので、いたずらに相手の感情を刺激しないように、請求を受けた当初から無視をせずに適切に行動することが重要といえるでしょう。

まとめ

不倫や浮気の慰謝料を請求されて、慰謝料が支払えないと悩んでいる方は以下のような項目を確認してみましょう。

  • 本当に慰謝料を支払うべきか
  • 請求された慰謝料の金額は妥当か
  • 減額できる余地はないか

以上のような確認を経て、やはり一定の金額を支払わなければならないものの、一括では支払えない場合は、減額交渉や分割払いを検討します。

分割払いを相手に申し入れる場合は執行認諾文付公正証書を作成することを条件にすると、認められやすくなる場合もあります。

慰謝料を請求されて困っている方、相手との交渉に行き詰まっている方は、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

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執筆者 -TSL -
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東京スタートアップ法律事務所は、2018年9月に設立された法律事務所です。
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得意分野
不貞慰謝料、刑事事件、離婚、遺産相続、交通事故、債務整理など

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