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更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

サレ妻とは何?離婚する場合の手続や慰謝料請求の流れを徹底解説

サレ妻とは何?離婚する場合の手続や慰謝料請求の流れを徹底解説
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夫の不倫が発覚し、「サレ妻」という辛い立場になってしまったとき、「これからどうなってしまうのだろう」という強い不安と、裏切られた悲しみで、冷静な判断などできないと感じるのは当然のことです。

感情的にご主人を問い詰めてしまったり、一人で抱え込んでしまったりする方も少なくありません。

しかし、あなたご自身の未来とお子様の生活を守るためには、少しだけ立ち止まり、法的に何ができるのかを知ることが大切です。

感情的に行動してしまい、本来得られるはずの権利を失って後悔することがあってはなりません。

この記事では、今まさに夫の不倫に悩むあなたのために、離婚や慰謝料請求を決意した場合に知っておくべきお金や子どもの問題、そして具体的な法的手続の流れを、専門家の視点から分かりやすく解説します。

もう一人で悩まないでください。この記事が、あなたが前を向いて新しい一歩を踏み出すための、最初の一助となれば幸いです。

サレ妻とは?

「サレ妻(されづま)」とは、夫に不倫を「された妻」を指す俗語です。

インターネットの掲板やSNSなどで、同じ境遇の女性たちが情報交換や悩みを共有する際に使われることが多く、広く知られるようになりました。

夫の裏切りによって深く傷つき、精神的に大きなショックを受けている状態にあります。

今後の夫婦関係をどうするのか、離婚するのか、それとも関係を再構築するのか、人生の大きな岐路に立たされていると言えるでしょう。

サレ妻が離婚したいと思った際に知っておくべきこと

夫の不倫が原因で離婚を決意した場合、感情のままに話を進めるのではなく、事前に知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。

特に「お金」と「子ども」に関する問題は、離婚後の生活に直結するため、冷静に準備を進めることが大切です。

離婚に関連する金銭面のこと

離婚する際には、主に以下の4つのお金について取り決める必要があります。

慰謝料:夫の不倫(不貞行為)によって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。

財産分与:婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産(預貯金、不動産、保険など)を公平に分配することです。

養育費:未成年の子どもがいる場合、子どもが経済的に自立するまでにかかる生活費や教育費です。

年金分割:婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、夫婦間で分割する制度です。

これらの金銭は、離婚後のあなたの生活を支えるための重要な基盤となります。請求できる権利や金額の相場を正しく理解し、損をしないようにしましょう。

弁護士のワンポイントアドバイス

財産分与の話し合いで、ご依頼者様が驚かれるほど見落としがちなのが『学資保険』や『退職金』です。

特に、まだ支払われていない将来の退職金も、支払われる見込みが高ければ、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象となり得ます。

ご主人が「財産は預貯金だけだ」と主張しても、鵜呑みにせず、どのような財産が対象になるのか、一度専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。

子どもに関すること

未成年の子どもがいる場合、子どもの将来を第一に考え、以下の事柄を決めなければなりません。

親権:子どもの世話や教育、財産の管理などを行う権利と義務のことです。離婚後は、父母のどちらか一方を親権者と定めなければなりません(2026年4月1日以降は、選択的共同親権が開始)。親権者を決める際には、これまでの養育実績や子どもの意思などが考慮されます。

面会交流 :離婚して子どもと離れて暮らす親が、子どもと定期的・継続的に会って交流することです。子どもが両親から愛されていると感じられることは、健やかな成長のために非常に重要です。面会交流の回数や方法などを具体的に取り決めておくことが大切です。

離婚は親の都合であり、子どもに罪はありません。子どもの心への負担を最小限に抑え、離婚後の生活環境を整えることを最優先に考えましょう。

慰謝料請求のこと

夫の不倫は、妻の心を深く傷つける許されない行為です。

この精神的苦痛に対して、夫と不倫相手に慰謝料を請求するのは、法的に認められた正当な権利です。

慰謝料請求には、不倫の事実を証明する「証拠」が不可欠となります。

サレ妻が慰謝料を請求するには?

夫と不倫相手に対して慰謝料を請求するためには、段階を踏んで冷静に進めることが重要です。

感情的に相手を問い詰めるだけでは、かえって話がこじれてしまうことも少なくありません。

ここでは、慰謝料請求の基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。

①不貞行為の事実確認

まず、慰謝料請求の前提として、夫の行為が法的に「不貞行為」にあたるかどうかを確認する必要があります。

「不貞行為」とは、一般的に「配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係(性交渉)を持つこと」を指します。

これは、裁判で離婚が認められる法定離婚事由の一つとしても定められています(出典:e-Gov法令検索「民法」第七百七十条第一項第一号)。

したがって、2人きりで食事に行ったり、頻繁にLINEでやり取りしたりしているだけでは、原則として不貞行為とは認められません。

慰謝料を請求するためには、肉体関係があったことを示す客観的な事実が必要不可欠です。

ただし、直接的な証拠がなくても、ラブホテルに2人で出入りしている写真など、肉体関係があったことを強く推認させる状況証拠があれば、不貞行為が認められる可能性は十分にあります。

慰謝料は、不倫をした夫と、その相手の双方に請求することができます。

これを「共同不法行為」と呼びます。どちらか一方に全額を請求することも、それぞれに分担して請求することも可能です。

慰謝料請求を考える際は、まず「いつ、どこで、誰が、何をしたか」といった事実関係を時系列で整理しておくことが重要です。

記憶が曖昧な場合は、過去のメールや写真、スケジュール帳などを見返してみましょう。

この際、当事者以外の人に対して、不貞の事実を示して事情を聞こうとすると、名誉毀損やプライバシー侵害行為とされて不利になりかねないので注意しましょう。

もし、ご自身での事実確認が難しい、あるいは精神的に辛いという場合は、無理をせず、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

探偵事務所に調査を依頼するという方法もありますが、高額な費用がかかるケースもあるため、まずは弁護士に相談し、どのような証拠が必要かアドバイスをもらうのが賢明です。

②不倫の証拠集め

相手が不倫の事実を否定した場合に備えて、客観的で信頼性の高い証拠を集めることが極めて重要です。有効とされる証拠には、以下のようなものがあります。

  • ラブホテルに出入りする写真や動画
  • 性交渉の様子がわかる音声データや動画
  • 肉体関係があったことを認める相手の発言を録音したデータ
  • 肉体関係があったことが具体的にわかるLINEやメールのやり取り
  • ラブホテルや旅行先の領収書、クレジットカードの利用明細
  • GPSの位置情報記録

これらの証拠は、一つだけでは弱くても、複数組み合わせることで強力な証明力を持つことがあります。

ただし、相手のスマートフォンに無断でアプリをインストールしたり、違法な手段で証拠を収集したりすると、プライバシー侵害などで逆に訴えられるリスクもあるため注意が必要です。

弁護士のワンポイントアドバイス

不貞行為、つまり肉体関係を想起させるようなやり取り等がないかを確認しましょう。

ご相談で最も多い失敗例が、決定的な証拠を掴んだ直後に、感情的になってご主人を問い詰めてしまうケースです。

一度問い詰めると、相手は警戒して証拠を消去したり、巧妙に隠したりするようになります。

証拠を見つけても、すぐには動かず、まずは弁護士にご相談ください。どの証拠が法的に有効か、どのタイミングで交渉を始めるのがベストか、戦略を一緒に考えさせていただきます。

③夫と不倫相手に慰謝料請求

証拠が揃ったら、いよいよ慰謝料の請求です。

請求方法としては、まず当事者同士の話し合いから始めるのが一般的です。

話し合いで合意できた場合は、後々のトラブルを防ぐために、必ず合意内容を記載した「示談書」を作成しましょう。

相手が話し合いに応じない、または金額の折り合いがつかない場合は、請求の意思を明確にするために「内容証明郵便」を送付します。

それでも解決しない場合は、事案によって簡易裁判所又は家庭裁判所に「調停」を申し立てるか、簡易裁判所又は地方裁判所に「訴訟」を提起することになります。

サレ妻が離婚する場合の法的手続の流れ

夫の不倫を理由に離婚する場合、その手続は大きく3つの段階に分けられます。まずは夫婦での話し合いから始め、合意できなければ裁判所の手続へと進むのが一般的な流れです。

【離婚手続の基本的な流れ】
STEP 1:夫婦での話し合い(協議離婚)
財産分与や養育費などの条件面も含めて合意を目指します。   

《合意に至らない場合》
STEP 2:家庭裁判所での調停(調停離婚)
調停委員を介して、合意形成を目指します。   ↓

《調停不成立の場合》
STEP 3:地方裁判所での訴訟(裁判離婚)
裁判官が証拠に基づき、離婚を認めるか判決を下します。

以下で、それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。

①協議離婚

協議離婚とは、夫婦間の話し合いによって離婚に合意し、役所に離婚届を提出することで成立する離婚の方法です。

日本の離婚の約9割がこの協議離婚であり、最も一般的な手続と言えます。

費用もほとんどかからず、手続が簡単な点がメリットですが、慰謝料や財産分与などの取り決めを口約束で済ませてしまうと、後で支払われなくなるリスクがあります。

必ず「離婚協議書」を作成し、可能であれば「公正証書」として残しておきましょう。

②調停離婚

夫婦間の話し合いで離婚の合意ができない、あるいは条件面で折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」の申立てを行います。

調停では、裁判官と調停委員が中立な立場で夫婦の間に入り、双方から話を聞きながら、合意に向けた話し合いを進めてくれます。

相手と直接顔を合わせずに話を進められるため、感情的な対立を避けやすいのが特徴です。

費用は数千円程度の収入印紙や郵便切手代で済みますが、解決までには数か月から1年程度かかることもあります。

調停で合意に至ると、その内容をまとめた「調停調書」が作成され、これは裁判の判決と同じ法的効力を持ちます。

③裁判離婚

調停でも合意に至らず「不成立」となった場合、離婚を望む側が家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起します。これが裁判離婚です。

裁判では、当事者双方が主張や証拠を提出し、最終的に裁判官が、法律(民法で定められた法定離婚事由)に基づいて離婚を認めるかどうかの判決を下します。

不貞行為は明確な法定離婚事由にあたるため、証拠がしっかりしていれば離婚が認められる可能性は高いでしょう。

裁判は手続が複雑で専門的な知識が必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。

サレ妻になってしまった場合に弁護士に相談するメリット

夫に不倫され、心身ともに疲れ果てている状況で、複雑な法的手続や相手との交渉をご自身一人で進めるのは非常に困難です。

離婚や慰謝料請求で後悔しないためには、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

メリット1:相手との交渉窓口となり、精神的負担を大幅に軽減できる

弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として夫や不倫相手との交渉の窓口に立ってもらえます。

裏切った相手と直接顔を合わせて話し合う精神的な苦痛から解放されることは、非常に大きなメリットです。

感情的にならずに、法的な観点から冷静かつ有利に交渉を進めてもらうことで、精神的な平穏を取り戻しながら、問題解決に集中できます。

メリット2:法的に適正な慰謝料・財産分与を獲得できる可能性が高まる

慰謝料の金額は、不倫の期間や頻度、悪質性など様々な事情によって変動します。

弁護士は、過去の裁判例などに基づき、あなたのケースで獲得できる可能性のある適正な金額を算出し、それを実現するための交渉を行います。

また、財産分与においても、相手が財産を隠していないか調査し、あなたの正当な権利が守られるよう尽力してくれます。

知識不足から不利な条件で合意してしまうリスクを避けられます。

メリット3:複雑な法的手続をスムーズに進められる

慰謝料請求の内容証明郵便の作成や、調停・裁判になった場合の申立書や準備書面といった専門的な書類の作成も、すべて弁護士に任せることができます。

煩雑な手続から解放されるだけでなく、法的に不備のない主張を展開できるため、手続を有利かつスムーズに進めることが可能です。

あなたの状況に応じた最善の解決策を提示し、ゴールまで導いてくれます。

まとめ

「サレ妻」という辛い立場に置かれたとき、怒りや悲しみで目の前が真っ暗に感じられるかもしれません。

しかし、そんなときこそ冷静になり、ご自身の権利と今後の人生を守るための知識を身につけることが重要です。

離婚を決意するにせよ、関係修復を目指すにせよ、慰謝料や財産分与、子どものことなど、法的に解決すべき問題は数多くあります。

そして、それらを有利に進めるためには、不貞行為の客観的な証拠が何よりも大切になります。

一人で悩み、抱え込む必要はありません。

今後の見通しや取るべき対応について、少しでも不安を感じたら、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみてください。

きっとあなたの未来を切り拓くための、心強い味方になってくれるはずです。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士として、男女問題などの一般民事事件や刑事事件を解決してきました。「ForClient」の理念を基に、個人の依頼者に対して、親身かつ迅速な法的サポートを提供しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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