自己破産の所要期間の最短は?早く免責を得るためのポイントも解説
全国20拠点以上!安心の全国対応
初回相談0円
「自己破産の手続にはどの程度の期間が必要?」「自己破産の手続を最短で終わらせる方法は?」などという疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、自己破産の所要期間に関する基礎知識、手続の種類別の所要期間の目安、自己破産の所要期間を短縮するポイント、自己破産の手続に長い期間がかかる要因、自己破産前の生活に戻れるまでに要する期間などについて解説します。
自己破産の所要期間に関する基礎知識
まずは、自己破産の所要期間に関して最低限理解しておくべき基本的な知識について説明します。
1.準備を含めて最短でも6ヶ月は必要
自己破産は、破産法に基づいて裁判所が行う厳格な手続です。マイナンバーカードやパスポートなどの申請のように、申請した後、数週間程度で完了するような簡単な手続ではありません。
自己破産の手続に必要な情報や書類の種類も多いため、準備期間を含めて最短でも6ヶ月は必要となります。「一刻も早く自己破産して借金の返済を免除してほしい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ある程度の期間がかかることを覚悟した上で、焦らず落ち着いて必要な準備を着々と進めることが大切です。
2.財産の状況や手続の種類等によって所要期間は異なる
自己破産の手続に必要な期間は、保有資産や借金の原因など申立人の状況によって大きく異なります。保有資産がほとんどなく、借金の原因等にも問題がない場合は、通常の自己破産の手続に必要な調査等の工程を省略できます。その場合、最短6ヶ月程度で手続が完了する場合もありますが、それ以外の場合は通常、8ヶ月~1年程度の期間を要します。
また、自己破産の手続に必要な期間は、裁判所によっても異なります。東京地方裁判所などをはじめとした一部の裁判所では、一定の条件を満たす場合は簡略化した手続を行っているため、通常よりも短い期間で手続が完了する場合もあります。
手続の種類別・所要期間の目安
申立人の状況によって自己破産の手続に必要な期間が異なるのは、自己破産の手続の種類が異なるためです。自己破産の手続には以下の3つの種類があります。
- 同時廃止
- 管財事件
- 少額管財
各手続の概要と所要期間の目安について説明します。
1.同時廃止の所要期間の目安は6ヶ月程度
自己破産の申立てをすると、通常は、申立人の財産を調査・確認する破産管財人が選任され、財産の処分・換金が行われた上で、債権者へ平等に財産が配当されます。しかし、債権者に配当できる財産がない場合、財産の処分・換金の必要がありません。このような場合、借金の原因等に特に問題がない場合、破産管財人による調査等の工程を省き、破産の手続が開始されたと同時に破産手続の廃止が行われます。これを同時廃止といいます。同時廃止の場合、準備期間を含めた所要期間は一般的に6ヶ月程度といわれています。
2.管財事件の所要期間の目安は8ヶ月~1年程度
債権者に配当できる財産がある場合、破産管財人が選任され、管財事件となります。
管財事件の場合は申立を行ってから免責が得られるまで最低でも6ヶ月以上はかかります。準備期間や財産の売却・現金化など含めると、8ヶ月~1年程度はかかることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
3.少額管財の所要期間の目安は6ヶ月~8ヶ月程度
ただし、東京地方裁判所をはじめとする一部の裁判所では、少額管財と呼ばれる簡易迅速化された運用を実施しており、所要期間は6ヵ月~8か月程度に短縮されます。
それぞれの手続の流れや所要時間について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしていただければと思います。
自己破産の所要期間を短縮するポイント
借金の返済が困難な状況が続くと精神的な負担も大きいため、自己破産の手続をできる限り早く完了したいという方は多くいらっしゃるかと思います。自己破産の手続完了までの所要期間を短縮するためのポイントについて説明します。
1.早めに家計簿をつけ始める
自己破産の手続を行う際に提出が必要な書類の一つとして、家計全体の状況という書類があります。この書類は家計簿のようなもので、通常は2ヶ月分提出する必要があります。例えば、1月に自己破産を申し立てる場合、昨年の11月と12月の家計簿が必要となります。そのため、自己破産の準備が整った段階ですぐに自己破産の申立ができるように、早めに家計簿をつけ始めることをお勧めします。
家計簿はできる限り正確に記録することが大切です。交際費や娯楽費など、隠しておきたい支出についても漏れなく記載して下さい。家計簿に不審な点があると調査が長引く可能性もあるため、正直に申告することは非常に大切です。家計簿をつける時間がとれない場合は、レシートや領収書などを保管しておくとよいでしょう。最近は、レシートをスマホで撮影するだけで手軽に記録できる家計簿アプリなども登場しているので利用してもよいでしょう。
2.借金や所有資産を正確に把握する
自己破産の手続完了までの所要期間を短縮するための一番のポイントは、必要書類を漏れなく収集し、正確な書類を作成することです。そのためには、現在抱えている借金や所有している財産を正しく把握することが重要です。
まずは、借金の借入先、借入残高を洗い出して、一覧表などにまとめてみましょう。親族や友人からお金を借りている場合はその借金の金額も一覧表に記載して下さい。また、所有している不動産や車などがある場合は、その財産も書き出してみましょう。借金や所有資産を書き出すことは、自己破産の申立て時に必要となる債権者一覧表や資産目録などの書類の作成に役立ちます。
3.計画的に書類を準備する
自己破産に必要な書類は、申立てをする裁判所や自身の状況等によって異なります。まずは管轄の裁判所で必要な書類を調べて、必要書類の一覧表を作り、計画的に書類を準備するとよいでしょう。添付書類の中には、取り寄せに時間がかかる書類も含まれているので、時間的な余裕を持って書類を準備することをお勧めします。
一般的に自己破産に必要な書類を全て揃えるための準備期間は2~3ヶ月程度といわれていますが、計画的に準備を行うことで、期間を短縮できる可能性があります。
4.簡略化された手続を利用する
東京地方裁判所などの一部の裁判所では、手続の簡素化と迅速化を図るために即日面接や少額管財などの簡略化された運用を行っています。これらを利用することにより、免責許可までの期間を短縮することが可能です。ただし、弁護士が代理人になり、申立人の借金や資産の状況、免責不許可事由などについて十分な調査を行うことが前提条件となります。
5.債務整理に精通した弁護士に相談する
債務整理に精通した弁護士に相談することにより、自己破産の手続を迅速に進められる可能性が高くなります。「自己破産の手続をできる限り早く完了したい」という方の中には、借金の取り立てにより精神的なダメージを受けている方もいらっしゃるかと思いますが、弁護士は委任を受けた際、債権者に受任通知(介入通知)を送付し、通知が到着すると債権者は債務者本人に直接取り立てができなくなります。債権者からの取り立てに悩まされていた方の中には、「平穏な生活が取り戻せて、精神的に楽になった」「今後のことを冷静に考えられるようになった」という方も少なくありません。
また、弁護士に依頼することにより、前述した即日面接や少額管財などの簡略化された運用を利用することが可能になるため、通常よりも早く手続を完了して免責を得ることができます。
自己破産の手続に必要な書類の中には、陳述書や資産目録など、一般の方には正しい書き方を理解するのが難しい書類もあります。債務整理に精通した弁護士に依頼すると、これらの書類の作成もサポートしてもらうことができます。
自己破産の手続に長い期間がかかる要因
1.書類の不備
提出書類に不備がある、必要な書類が揃っていないなどという場合、申立てを受け付けてもらえない可能性もあります。また、書類の中に不審な点があることが発覚した場合、追加書類の提出を求められる場合もあります。
余計な時間を費やさないためにも、必要な書類を正確に作成・収集することは非常に大切です。
2.免責不許可事由に該当する
自己破産の主な目的は、免責により借金の返済義務を免除してもらい、生活を立て直すことですが、自己破産の申立てをすれば必ず免責が認められるとは限りません。破産法第252条1項には免責が認められない事由が定められており、これを免責不許可事由といいます。具体的には以下のような場合に免責不許可事由に該当する可能性があります。
- 借金の主な原因がパチンコや競馬等のギャンブルである
- 一部の財産を隠蔽する
- 親や友人など一部の債権者に対して優先的に返済する
免責不許可事由に該当する場合、または該当する可能性がある場合は、免責観察型の管財事件として扱われ、裁判所から選任された破産管財人が免責不許可事由の詳細や裁量免責の可否について調査することになります。一定期間に渡り、破産管財人から生活指導を受ける場合もあり、その分、時間がかかります。また、反省文や家計簿の提出を求められる場合もあります。
免責不許可事由の種類や裁量免責について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。
3.資産を所有している等の場合
不動産等の資産を所有している、申立人が法人または個人事業主である、財産を隠蔽している可能性がある等の場合、資産調査型の管財事件として扱われ、破産管財人が資産の詳細を調査します。この場合も、破産管財人による調査の時間が必要となります。
自己破産前の生活に戻れるまでに要する期間
自己破産をした後、自己破産前と同じ生活に戻れるまでには、どの程度の期間がかかるのか知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。自己破産前と同じ生活に戻れるまでに要する期間について説明します。
1.信用回復までにかかる期間は5~10年程度
既にご存知の方も多いと思いますが、自己破産をしたことは信用情報機関に事故情報として登録されます。事故情報が抹消されるまでの期間は、信用情報機関ごとに異なりますが、一般的には5年~10年程度といわれています。この間は、俗にいう”ブラックリストに載っている“という状態になるため、新規の借入やクレジットカードの作成はできないと考えておいた方がよいでしょう。
また、信用情報機関に登録された事故情報が抹消された後も、すぐに新規の借入やクレジットカードの作成ができるとは限りません。事故情報が抹消された後は、金融取引が一切ない、俗にいう“スーパーホワイト”という状態になり、審査の厳しいクレジットカード会社では、過去に自己破産などを経験していることを疑われる可能性が高いからです。
2.制約はあるが元の生活は取り戻せる
5年~10年という長い期間に渡り、新規の借入やクレジットカードの作成ができないのは不便なように思えますが、ネットショッピングなどクレジットカードが必要な場合、デビットカードを利用することができます。デビットカードは、クレジットカードと違い、カードでの支払いと同時に銀行口座から引き落としされます。銀行口座の残高以上の金額は利用できないため、お金の使い過ぎを防ぐこともできます。デビットカードは、銀行口座を持っている15歳以上の方は基本的に誰でも所有することができます。
自己破産を経験した方の中には、自己破産後はお金に対する意識変革をして、浪費を防ぎ、倹約できるようになったという方も少なくありません。お金に対する意識を変えて、クレジットカードに頼らない生活を送ることができれば、自己破産後の生活で、不便だと感じることは少ないのではないでしょうか。
まとめ
今回は、自己破産の所要期間に関する基礎知識、手続の種類別の所要期間の目安、自己破産の所要期間を短縮するポイント、自己破産の手続に長い期間がかかる要因、自己破産前の生活に戻れるまでに要する期間などについて解説しました。
自己破産の手続には必要な書類がたくさんあり、書類に不備があると免責許可を受けられない場合もあるため注意が必要です。自己破産の手続をできる限り早く終わらせたい方、必要な書類の準備や手続に不安がある方は早めに債務整理に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。秘密厳守はもちろん、分割払い等にも対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。
- 得意分野
- 企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務