相続人調査とは|具体的な手順や弁護士に依頼するメリットを解説
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身近な人が亡くなった時、悲しんでいる暇もなく相続手続を始めなければなりません。相続手続の進め方を調べる中で、まずは相続人調査をする必要があると知り、具体的にどのような手順で行えばよいのか疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
相続人調査とは、文字通り、被相続人の財産を相続する相続人を特定するために行う調査のことです。各市町村で管理されている戸籍謄本などの書類を取得しながら進めます。
相続人の数が少なく相続関係がシンプルな場合は、それほど苦労することなく進めることができますが、相続人の数が多い場合や、相続関係が複雑な場合、専門家のサポートを受けた方がスムーズに進むでしょう。
今回は、相続人調査とは何か・なぜ必要なのか、相続人調査で必要になる戸籍の種類、相続人調査の手順、相続人調査を弁護士に依頼するメリットなどについて解説します。
相続発生時には相続人調査が必要
相続が生じた際は、まず相続人を調査することから始めます。「相続人は明らかに自分達だけだろう」と思われる場合でも必ず行う必要があります。
まずは、相続人調査の概要と、相続人調査が必要な理由について説明します。
1.相続人調査とは
相続人調査とは、亡くなった人の相続人を特定するために行う調査のことです。
具体的には被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本類を全て入手して相続人を特定します。
さらに、相続人の現在の戸籍も取得しなくてはなりません。相続人が現在も存命で、相続可能な状態かどうかまで確認する必要があるからです。
2.相続人調査はなぜ必要か
相続手続を進める上で、避けては通れないのが遺産分割協議です。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。一人でも欠けた状態で決めた協議内容は無効となり、再度、最初から協議を行わなければならないからです。
「相続人が誰かは明らかだし、わざわざ戸籍を取り寄せてまで調査する必要はない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際は、意外なところから他にも相続人が存在することが発覚するケースは珍しくありません。
そのため、「自分達以外に相続人がいるはずはない」と思っても、念のため、相続人調査を行う必要があるのです。
相続人調査で必要な戸籍の種類
相続人調査は、戸籍謄本類を取り寄せながら進めていきます。戸籍謄本の取得だけで済むことは滅多になく、ほとんどのケースで改正原戸籍謄本や除籍謄本も取得することが求められます。
相続人調査で必要となる戸籍の種類や具体的な取得方法について説明します。
1.戸籍謄本とは
戸籍謄本(正式名称:戸籍全部事項証明書)は、夫婦と未婚の子で構成されるものです。夫婦のどちらか一方が筆頭者として記載され、本籍地や戸籍が編成された日、入籍日、筆頭者との続柄、両親の名前などを確認できます。
本籍地のある役所で取得可能で、取得にかかる料金は全国一律で450円です。
2.除籍謄本とは
除籍謄本(正式名称:除籍全部事項証明書)とは、戸籍に記載されていた人が全て抹消された状態の戸籍謄本のことをいいます。
抹消される理由は、死亡の他、結婚や離婚、転籍などです。戸籍に登録されていた全ての人の「戸籍に登録されている者」の欄に「除籍」という記載があり、除籍されたことを確認できます。原戸籍謄本の場合は、除籍された人の欄にバツ印が付されていることで判別できるでしょう。
取得するのにかかる料金は全国一律で750円です。
3.改正原戸籍謄本とは
改正原戸籍謄本とは、戸籍法の改正に伴い、戸籍の構成内容は変わらないまま新しい戸籍として編成されたものです。
直近では平成6年の戸籍法改正による戸籍のコンピュータ化により、書式が大きく変更されたため、新しい戸籍が編成され、以前のものは原戸籍謄本となりました。
さらに前の戸籍法の改正は昭和23年に行われており、一つの戸籍に記載する範囲が変更されました。それまでは一つの戸籍に夫婦と子だけでなくその両親や兄弟まで3代分の記載がありましたが、現在のように夫婦と子という2代分の記載のみに変わったのです。
昭和20年代以前に生まれて、平成10年前後より後に亡くなった人の場合、戸籍法の改正によって2度も戸籍が再編成されたことになります。そのため、昭和23年の戸籍法改正によるものと、平成6年の改正によるものの二つの原戸籍があるでしょう。
原戸籍の取得金額も全国一律で750円です。
4.戸籍附票とは
戸籍附票は、名称に「戸籍」とありますが、戸籍ではありません。
本籍地のある市町村で管理されている点は戸籍と共通しますが、内容は異なり、その戸籍が編成されてから(または、その戸籍に入籍してから)現在に至るまでの、戸籍に記載のある人の住所の変遷が記載されています。
相続手続においては、連絡先がわからない相続人の住所を調べるために取得することがあるでしょう。
戸籍附票の取得に必要な料金は全国一律で300円です。
5.戸籍類の取得方法
戸籍類は本籍地のある市区町村役場で取得できます。直接窓口で取得することもできますが、遠方の場合は郵送で請求することも可能です。
①窓口で取得する場合
役場の窓口で取得する場合、以下のものを持参しましょう。
- 写真付きの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 認印
- 被相続人の相続人であることがわかる戸籍謄本類
- 代理で取得する場合は委任状
上記のうち被相続人の相続人であることがわかる戸籍謄本類は、被相続人と本籍地が同じである場合は不要です。請求申請する際に、その場で調べてもらえるでしょう。
一方、被相続人と本籍地が異なる場合は、予め自分が相続人であることを証する戸籍謄本などを準備しておく必要があります。
また、他の相続人の戸籍謄本を代理で取得する場合は、委任状も必要です。書式に特に決まりはありませんので、戸籍の取得を委任する旨を記載の上、本人の署名、捺印をしたものを持参するとよいでしょう。市区町村によっては戸籍謄本の請求用紙に委任状が添付されていることもあり、そちらを利用すると便利です。
ただし、代理で取得できるのは同じ戸籍に入っている家族の分に限ります。異なる戸籍に入っている人の分は取得できないので、本人に取得してもらいましょう。
窓口に行ったら、請求用紙に必要事項を記入して申請します。
被相続人の戸籍を取得する場合、必要な証明書の種類などを記入する欄には、「出生から死亡まで」と記載して提出するとスムーズです。
②郵送で取得する場合
郵送で請求する場合は、下記のものを本籍地のある市区町村の役場に送ります。
- 戸籍などの請求用紙
- 取得に必要な郵便小為替
- 返信用封筒(切手貼付)
- 被相続人の相続人であることがわかる戸籍謄本類のコピー(市区町村による)
- 写真付き身分証明書のコピー(市区町村による)
請求用紙は各市区町村のホームページからダウンロードできることが多いです。請求用紙中の必要な証明書の種類などを記入する欄に、「出生から死亡まで」と記載すれば一度に取得できます。
郵送の場合、謄本類の取得にかかる費用は郵便小為替で支払います。郵便小為替は郵便局の貯金窓口で購入可能です。
しかし、被相続人の戸籍謄本や原戸籍謄本が合計何通あるかは請求してみないとわかりません。そのため、いくら分の小為替を同封しておけばよいのか困ることでしょう。
その場合は、戸籍謄本取得用の450円分の小為替を1枚と、原戸籍謄本用の750円分の小為替を2~3枚入れておくとよいでしょう。または、戸籍謄本取得用の450円分の小為替だけを同封しておいて、足りない分は役所からの連絡後に追完してもかまいません。
また、返信用封筒も同封する必要があります。返信用封筒には切手を貼付する必要がありますが、謄本類が多く、84円では料金が超過してしまうこともあるでしょう。そのような場合に備えて、貼付した84円切手の下に赤字で「不足分受取人負担」と記載することをおすすめします。
また、相続人であることがわかる戸籍謄本類のコピーや、写真付き身分証明書のコピーが必要かどうかは市区町村によります。郵送請求前にホームページで必要書類を確認するか、一度電話で確認してから請求するとよいでしょう。
相続人調査の手順
相続人調査とは具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか。実際の手順について順を追って説明します。
1.被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を取得
どのような場合でも最初に必ずやらなくてはならないのが、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を取得することです。以下の手順で行いましょう。
①被相続人の本籍地を確認
本籍地がわからない場合は、住民票を取得すると本籍地の記載があるので確認できます。
ただし、請求書の記載事項の欄にチェックを入れないと記載されないこともあるので、住民票を請求する際は注意しましょう。
②被相続人の本籍地の役所に出生から死亡までの戸籍を請求
ここで全ての戸籍が揃えば完了です。揃わない場合は、さらに戸籍を遡る必要があります。
③戸籍を遡って請求
被相続人の最後の本籍地がある役所で全ての戸籍が揃わなかった場合、どこか他の場所から転籍してきたことになります。その場合は転籍前に本籍を置いていた市区町村へ残りの戸籍を請求しなくてはなりません。
転籍前の本籍地は、取得した戸籍のうち一番古くに編成された戸籍を確認すればわかります。
戸籍謄本なら「戸籍事項」の欄に転籍日と従前の本籍の記載があるでしょう。原戸籍なら本籍地の記載がある欄の左横にどこから転籍してきたか記載されているはずです。
自分ではよくわからない場合は、役所の人に尋ねてみるか、弁護士などの専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
2.相続人の戸籍謄本を取得
被相続人の出生から死亡までの戸籍が揃ったら、相続人が誰になるのかを確認します。
相続人が全て被相続人と同じ戸籍に入っている場合は、それ以上戸籍を取得する必要はありません。
しかし、結婚や離婚などによって除籍されている場合は、その相続人の現在の戸籍を取得する必要があります。戸籍謄本に入籍先の本籍地と筆頭者名が記載されているので、該当の市区町村役場に請求しましょう。
3.子が亡くなっている場合は孫の戸籍も必要
相続人である被相続人の子が既に亡くなっている場合は、代襲相続が起こります。この場合、被相続人の孫が相続人となるので、孫の戸籍も取得する必要があります。
4.子がおらず直系尊属もいない場合は兄弟姉妹分の戸籍を
被相続人に子がいない場合、次の相続順位は親や祖父母など直系尊属になります。
しかし、直系尊属もいない場合は、相続人は兄弟姉妹となりますので、兄弟姉妹分の戸籍を取得しなければなりません。兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子が相続人となりますので、子の分の戸籍も取得しましょう。
ただし、同じ戸籍に入っていない人の戸籍は本人でないと取得できません。本人に頼んで取得してもらうか、職務上請求できる弁護士に依頼するとよいでしょう。
5.相続関係図を作って整理してみるとわかりやすい
相続関係が単純な場合は相続人調査で苦労することはないかもしれません。しかし、相続人の人数が多かったり、代襲相続が起こったりすると、相続関係が複雑になり、戸籍の取得漏れが発生する可能性があります。
そのような場合には、相続関係図を作成するとよいでしょう。相続関係図は無料でダウンロードできるものも多くあります。上手く活用し、漏れのないように戸籍類を取得しましょう。
相続人調査を弁護士に依頼するメリット
相続関係が複雑な場合は、弁護士に依頼することが望ましいでしょう。
相続人調査を弁護士に依頼するメリットについて具体的に説明します。
1.確実に相続人を特定できる
相続人調査は、単純な場合もありますが、被相続人が転籍を繰り返している場合や古い手書きの原戸籍が含まれている場合などは戸籍の収集や判読が困難なこともあります。不慣れな人が行うと見落としや漏れが発生してしまうこともあるでしょう。
遺産相続に精通した弁護士に依頼することで、相続人を確実に漏れなく特定してもらうことができます。
2.大変な戸籍収集も任せられる
相続人が兄弟姉妹で、その数が多い場合や代襲相続が起こっている場合などは取得すべき戸籍の数が多い上、本人しか取得できないことも多く、なかなか調査が進まないこともあるでしょう。職務上請求が可能な弁護士に依頼すれば、相続人全員分の戸籍をスムーズに取得してもらえます。
3.知らない相続人がいても対応してもらえる
相続調査では思わぬところから相続人が発覚することも珍しくありません。全く面識のない人が相続人であることが判明して、驚くこともあるでしょう。
面識のない人と相続の話をすることにストレスを感じるという方は多いかと思います。相続調査だけでなく、相続手続全般を弁護士に依頼すれば、面識のない相続人とのやりとりは全て弁護士を通して行うことになるので、精神的な負担が軽減されるでしょう。
4.相続に関する他のトラブルにも対応してもらえる
相続人確定後の遺産分割協議においては、思わぬ対立が起こり、話し合いが進まないことも少なくありません。
しかし、相続人調査を含めた相続手続全般を弁護士に依頼すれば、相続人同士でトラブルが起きた場合も対処してもらえます。スムーズに話がまとまるようにサポートしてもらえますし、遺産分割協議が成立しなかった場合には速やかに調停手続を進めてもらえるでしょう。
相続に関するトラブルに対応しながら、早期に相続手続が完了するよう尽力してもらえます。
相続人調査を弁護士に依頼する場合の費用
相続人調査だけを弁護士に依頼する場合の費用相場は、5万~10万円程度です。ただし、この他に戸籍類を取得するのにかかった実費も必要になります。
また、相続人調査だけでなく、財産調査や遺産分割協議など相続手続全般を依頼する場合は、着手金と報酬金が必要となるでしょう。
着手金の相場は20万円程度ですが、報酬金は得られた経済利益に応じて決まるため、一概には言い難いです。弁護士に相談する際に見積りを確認してみるのがよいでしょう。
まとめ
今回は、相続人調査とは何か・なぜ必要なのか、相続人調査で必要になる戸籍の種類、相続人調査の手順、相続人調査を弁護士に依頼するメリットなどについて解説しました。
相続人調査は相続関係がシンプルな場合は自分で行うこともできますが、相続関係が複雑で自分で行うことが難しいと感じた場合は、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
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