遺産分割調停とは?申立方法・有利に進める方法も解説
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記事目次
「親族同士で遺産分割の話し合いをしたけれど、なかなか話がまとまらない。遺産分割調停を行うべきか知りたい」
「遺産分割調停を行う場合の申立方法や具体的な流れを知りたい」
親族間の遺産協議がスムーズに進まず、このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
遺産分割調停とは、家庭裁判所で調停委員を交えながら、改めて当事者間で遺産分割についての話し合いをすることです。公平な第三者である調停委員が間に入ることで、相続人間だけではまとまらなかった遺産分割協議が進み、早期解決が期待できます。
今回は、遺産分割調停の手続の概要、遺産分割調停の申立方法と費用、遺産分割調停申立書提出後の流れ、有利に進めるための方法などについて解説します。
遺産分割調停とは
まずは、遺産分割調停の概要、メリットとデメリット、利用を検討すべき場合など、基本的な事項について説明します。
1.相続人間で話がまとまらないときに利用する手続き
近しい人が亡くなり相続が発生し、遺書が残されていない場合、遺産分割に向けて、まずは相続人らで遺産分割協議をすることから始めます。
しかし、遺産分割は親族間の感情が複雑に絡むため、容易に話がまとまらないことが多いものです。話が平行線をたどり、解決の目処が立たないこともあるでしょう。
このように相続人の話し合いがまとまらないときに利用するのが遺産分割調停です。家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行うことで利用できます。
調停とは、調停委員と呼ばれる第三者が間に入り、調停委員が当事者達の話を公平に聞いた上で合意を締結することを目指し問題解決へと導く手続きです。
調停委員はそれぞれの意向を確認しながら、必要に応じて資料を提出させるなどして事実関係を正確に把握した上で話を進めてくれます。調停委員が間に入ることにより、当事者だけでは膠着状態にあった話し合いが解決に向かうことも少なくありません。
2.遺産分割調停を利用するメリット
遺産分割調停を利用するメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。
- 他の相続人と顔を合わせることなく、冷静に話し合いを進められる
- 公平に解決できる
遺産分割調停は調停委員を交えた話し合いによる手続ですが、当事者全員で顔を合わせて話し合うわけではありません。調停委員が各相続人の話を個別に聞いた上で解決へと導いてくれるので、余計な感情に振り回されることなく冷静に話を進めていくことができるでしょう。
また、第三者である調停委員は、公平・中立的な立場から話を進めてくれます。提案される解決策や助言は、法律上の根拠に基づいたものであり、誰もが納得できる公平な解決を期待できるでしょう。
3.遺産分割調停を利用するデメリット
遺産分割調停を利用するデメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。
- 調停成立までに時間がかかる
- 必ずしも自分の望む内容で解決するとは限らない
遺産分割調停を利用した場合、解決までに時間がかかります。
令和元年度の司法統計『遺産分割事件数 終局区分別審理期間及び実施期日回数別 全家庭裁判所』によると、遺産分割調停が終了するまでにかかった期間として最も多いのが半年以上1年以内で全体の約34%、次に多いのが1年以上2年以内で約24%と、全体の半数以上が半年以上の審理期間を要しています。
調停手続を利用したからといって、すぐに解決することはないと考えておいた方がよいでしょう。
また、調停は当事者全員が納得できる解決策を導き出すことを目的としています。必ずしも自分の言い分が全て通るわけではないという点を認識しておきましょう。
4.遺産分割調停を利用すべき場合とは
以下のような場合には、遺産分割調停の利用を検討すべきといえるでしょう。
- 相続人だけでは遺産分割協議がまとまらない場合
- 遺産分割協議に参加しない相続人がいる場合
遺産分割協議が円滑に進んだ場合は問題なく遺産分割できますが、話し合いが平行線を辿り、いつまで経っても解決しない場合もあるでしょう。自分の主張ばかりを強固に繰り返し、他の人の話に耳を貸さない相続人がいて、全く話が進まないこともあるかもしれません。
このように、相続人らだけでは話し合いが難航を極める際には、遺産分割調停の利用を検討すべきです。
また、遺産分割協議は相続人全員で行い、全員の合意を必要とするものです。しかし、長期間連絡が取れなかったり、関わり合いを持ちたくないからと言って協議に参加しなかったりする相続人が存在するということもよくあります。
そのような場合にも、遺産分割調停を利用するとよいでしょう。調停を申し立てれば、当事者全員の元に裁判所から呼び出し状が届きます。親族からの呼びかけには応じなくても、裁判所からの呼びかけには応じる方も少なくありません。
遺産分割調停の申立方法と費用
実際に遺産分割調停を利用する場合、どのように申し立てを行えばよいのでしょうか。
具体的な申立方法と申し立てにかかる費用について説明します。
1.まずは必要書類を準備
遺産分割調停の利用を希望する場合、以下の書類を揃えて裁判所に提出します。
・遺産分割調停申立書の原本1通、相手方(他の相続人)の人数分のコピー
別紙として遺産に関する目録類(土地遺産目録、建物遺産目録など)を添付
・事情説明書
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票又は戸籍附票
・遺産に関する証明書や資料(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し又は残高証明書、有価証券写しなど)
遺産分割調停申立書類は裁判所の下記ホームページからダウンロードできます。
参考URL:遺産分割調停の申立書(裁判所公式サイト)
また、被相続人の子やその代襲者で死亡している人がいる場合は、上記の書類の他に、その死亡している子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本が必要です。
他に相続人が被相続人の配偶者と、被相続人の父母や祖父母など直系尊属(被相続人より上の世代)であり、さらに直系尊属の中に既に死亡している人がいる場合、死亡の旨が記載された戸籍謄本の提出が必要になります。
例えば、被相続人の祖父と父母が既に死亡していて、相続人が被相続人の祖母のみである場合は、既に死亡している祖父と父母の死亡の旨が記載された戸籍謄本の提出が必要です。
さらに、被相続人の父母が既に死亡していて相続人が被相続人の配偶者のみである場合や、相続人が被相続人の配偶者と被相続人の兄弟姉妹(及びその代襲者)である場合は、以下の書類の提出も必要です。
- 被相続人の父母の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の兄弟姉妹に死亡している人がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
- 代襲者としての甥や姪に死亡している人がいる場合、その甥又は姪の死亡の記載のある戸籍謄本
相続関係が複雑な場合は、戸籍謄本をどこまで揃えなければならないかわからないことも多いでしょう。その場合は遺産相続に精通した弁護士に相談して、相続関係を整理しながら取得すべき戸籍謄本を教えてもらうことをおすすめします。弁護士に依頼すれば、必要書類の収集から任せることも可能です。
遺産分割調停申立書の『申立ての理由』欄に『特別受益』という聞き慣れない言葉があり、どのように記載すればよいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。
特別受益とは、被相続人が生前に、一部の相続人に与えた特別な利益のことをいいます。
例えば、以下のようなケースで贈与された金額は特別受益に該当します。
- 結婚を控えた相続人が、新生活を送るために被相続人から資金の贈与を受けていた場合
- 家を買う予定のある相続人が、住宅資金として被相続人から贈与を受けていた場合
- 被相続人が遺言書を作成し、特定の相続人に対して財産を渡す遺贈を行った場合
特別受益に該当するのか判断が難しい場合は、弁護士に相談して確認してみるとよいでしょう。
2.申立に必要な費用
遺産分割調停を申し立てるには以下のものを用意する必要があります。
- 1200円分の収入印紙
- 連絡用の郵便切手
収入印紙は申立書の該当箇所に貼付して提出します。
連絡用の郵便切手は提出先の裁判所によって異なります。公式サイトに記載されていることもありますが、記載がない場合は管轄の家庭裁判所に問い合わせてみるとよいでしょう。
3.必要書類などは管轄の家庭裁判所へ提出
必要書類が揃ったら、相手方(他の相続人)のうち誰か一人の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所へ提出します。管轄裁判所は下記のページから調べることが可能です。
なお、申立書類は全て揃っていなくても、申立書さえ提出すれば後から追完する形で受け付けてもらえます。相続税の申告期限が迫っている場合など、急ぐ場合には、とりあえず申立書だけでも提出しておくとよいでしょう。
参考URL:裁判所の管轄区域(裁判所公式サイト)
遺産分割調停申立書提出後の流れ
申立書提出後、どのような流れで調停手続が進んでいくのでしょうか。ここでは調停手続の具体的な流れを説明します。
1.調停期日に出頭する
遺産分割調停の申立書が裁判所に受理されると、全ての当事者の元に第1回期日の呼び出し状が送達されます。呼び出し状に記載された日時に裁判所へ出頭するようにしましょう。
調停期日は平日の10時~17時の間に設定されます。調停手続は弁護士に依頼したとしても、当事者本人が出頭するのが基本です。
当日は指定の時刻までに裁判所を訪れ、待合室で待機します。待合室は当事者ごとに用意されており、他の相続人と裁判所で顔を合わせる心配はありません。
開始時刻になると、当事者ごとに調停室に入り、調停委員による事実関係の確認や主張の聞き取り、争点の確認などが行われます。
第1回期日はその程度の確認しか行われず、次回期日を決めて終了となります。第2回以降は、調停委員による聞き取りと解決策の提示、それに対する主張の聞き取りなどが当事者ごとに行われます。
なお、調停期日は1回で終了することはほとんどありません。月に1度ほどのペースで複数回の期日を経て、数カ月から半年以上の時間をかけて解決することになります。場合によっては10回以上の期日を経て、数年かけて審理されることもあります。
2.調停成立
何回かの調停期日を経て当事者全員の合意が得られた場合、調停成立となり、審理は終了します。調停成立後は裁判所が調停審理を経て決まった内容を記載した調停調書を発行します。調停調書には裁判手続における判決正本と同等の効力があり、調停調書の内容に従わない相続人がいても、強制的に従わせることが可能です。
3.不成立の場合は審判へ
調停手続において話がまとまらず、不成立となった場合は審判事件へと移行します。審判事件とは、調停手続きのように話し合いではなく、裁判所が当事者の主張を聞いたり、証拠を調べたりして審理することで遺産分割内容を決定する手続のことです。
調停手続において当事者の主張や証拠が出揃っている場合は、比較的短期間で終了することが多いでしょう。審判手続きが終了し、内容が確定すれば審判書が作成されます。
有利に進めるためには調停委員を味方につける
調停は当事者全員が納得するような分割内容に決めるべく、調停委員を通じて話し合いを行う場です。調停委員は公平、平等に話を進めるものですが、やはり人間ですから良い印象を持ってもらえるように努めることで、調停手続を有利に進められることもあります。
1.調停委員とは
調停委員とは、調停事件において裁判官や調停官とともに問題の解決に当たる人のことです。具体的には40歳以上70歳未満で、弁護士の他に、医師や不動産鑑定士、建築士などの専門家が多く、調停事件の内容に応じてその分野に精通した人が選ばれます。
調停事件は裁判事件のようにどちらの主張が正しいかを判断するものではなく、各当事者の事情を理解した上で妥協点を見出すためのものなので、調停委員はそれぞれの当事者の言い分や心情を十分に聞いた上で協議を進める役割を担います。
2.調停委員を味方につけるためのポイント
調停委員は、公平・中立的な立場で各当事者の話を聞き、全員が納得できる解決策を導き出します。
しかし、調停委員に好印象を抱いてもらうことで、多少なりとも自分の希望に沿うような結論に導ける可能性もあります。
①100%思い通りにはならないと知っておく
調停手続は、当事者全員が納得できる内容で合意することを目指して話し合いをする場です。合意に達するためには、自分の主張ばかりするのではなく、他人の主張も聞き入れ、時には譲り合う姿勢で臨むことが重要といえるでしょう。
そうすることで、調停委員の目にも解決に向けて協力的であるように映り、好印象を与えることができるはずです。調停委員に良い印象を抱いてもらうことができれば、自分の望む結果に近づけられるようなヒントをさりげなくもらえることもあるかもしれません。
②感情的にならず正直に話す
調停委員は全ての当事者に対して中立的な立場で話を聞きます。そのため、答えたくない質問をされることもあるかもしれません。しかし、聞かれたくないことを聞かれても、不快感を露わにしたり乱暴に答えたりしてはいけません。調停委員も人間ですから、公平中立な姿勢が多少揺らいでしまうこともあります。どんな質問にも誠実な態度で答えるように心がけましょう。
また、調停委員に嘘をついたり事実を誇張して話したりするのは厳禁です。調停委員は他の当事者達からも話を聞きますから、事実と異なることを話してもすぐにばれてしまい、逆に調停委員の信用を得られなくなってしまいます。調停委員にはどんなことも必ず正直に話すようにしましょう。
③主張は整理してしっかり伝える
調停委員は当事者全員の話を平等に聞いた上で、全員が納得できる解決策を模索してくれます。
その前提として、自分の主張を明確に伝えることは極めて重要です。主張しなければ調停委員は察してくれませんし、結果に反映されることもありません。「こんなことを言うと強欲だと思われるのではないか」などと心配せずに、自分の希望は遠慮なく伝えるようにしましょう。
また、裁判所という不慣れな場で話をすることは、なかなか難しいものです。緊張のあまり、上手く話せず伝えたいことを伝えられないこともあるでしょう。そうならないためにも、調停期日の前に、自分の主張を予め整理しておくことも大切です。
よくありがちなのが、過去のことを長々と話してしまうことがあります。
しかし、調停委員も人間なので、そもそも全ての話を記憶できるわけではなく、あまり意味がありません。
どうしても言いたいことがあっても、なるべくコンパクトに伝えるように整理して臨まれた方がよいです。
④法律や裁判例など主張の根拠も準備する
調停の場で自分の主張を認めてもらうには、具体的な事実関係の説明と主張を認めてもらうための法的根拠が必要です。自分の主張の根拠となる事実を立証できる証拠を準備しておく他、法律や裁判例も準備しておく必要があります。
しかし、専門家でもない限りそのような準備はなかなか難しいものです。特に根拠となる法律や裁判例を見つけようとしても、探し方すらわからないこともあるでしょう。
調停期日に向けて、どのように準備をすればよいものか見当がつかない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。専門家の助言を受けて準備をすることで説得性が増し、調停委員を味方に付けられることもあるでしょう。
遺産分割調停は弁護士に依頼しよう
遺産分割調停において、自分の主張を伝えて納得してもらうべき相手は相手方となる当事者ではなく、調停委員や裁判官です。
調停委員や裁判官に自分の主張が真っ当であると理解してもらい、調停内容を自分に有利なものに導くためには、事実や法律に照らして認められる内容を主張することが何より重要です。そのためには、法律の専門家である弁護士の力を借りるのがベストといえます。
1.弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼する主なメリットとして、以下の4点が挙げられます。
①裁判手続をすべて任せられる
遺産分割調停を利用するには、まず申し立て時に申立書を作成する必要があります。申立書の記入自体は煩雑なものではありませんが、目録など添付書類の作成や戸籍類の収集など、不慣れな人には手間がかかることもあるでしょう。
裁判所への提出書類に不備があれば何度も修正や再提出を求められますし、申立書を受け付けてもらうだけで時間や労力がかかることもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、申し立てをはじめとした全ての裁判手続きを代理で行ってもらえます。時間や労力を割いて自分で行う必要がなくなり、負担なく遺産分割調停に臨めるはずです。
②効果的な主張、交渉をしてもらえる
調停手続においては、調停委員や裁判官に対して、法律上の根拠を示しながら効果的に主張を行うことが非常に大切です。法律の専門家である弁護士は、依頼者の主張を裁判所に納得してもらうためには、どのような資料を提示し、どのように説得するのが効果的か心得ています。そのため、弁護士に依頼すれば、自分に法律知識がほとんどなくても、代わりに適切な主張を行ってもらえます。その結果、自分にとって有利な方向で調停を進められることもあるでしょう。
③早期解決が期待できる
弁護士はその法律知識や経験から、調停において依頼者の主張がどこまで認められるものなのかがわかります。どんなに依頼者の主張が正しくても、それを立証できるような証拠や法的根拠がなければ、認められないことを心得ているので、比較的早い段階で妥協点を見出すことができるのです。その結果、調停が早く成立することも多いでしょう。
④調停期日に代理人として出頭してもらえる
調停期日には当事者本人が出頭することが望ましいですが、仕事などでどうしても都合がつかない場合は、弁護士が代理人として出頭することで調停を進めてもらえます。体調不良等により出頭が難しい場合でも、代わりに出頭してもらえるので安心です。
2.弁護士に依頼する場合の費用相場
遺産分割調停を弁護士に依頼する場合にかかる費用は法律事務所によって異なります。
一口に弁護士費用といっても、数種類の内訳から成り立っており、事件依頼時に支払う着手金の他、事件終了時に支払う報酬金、事件手続にかかった実費や日当などがあります。
着手金の相場は20~30万円程度ですが、報酬金は依頼者が得た経済的利益に応じて計算されるため、金額に幅があります。事前に報酬金の見積りを依頼して確認するとよいでしょう。
3.自分で進めることは可能か?
遺産分割調停は弁護士に依頼せず、自分で申し立てて進めることもできます。
しかし、前述した通り、遺産分割調停事件において、調停委員や裁判官に自分の主張を認めてもらうためには、主張の論理的な立証力と法律の専門知識が必要となります。遺産分割内容を少しでも自分の望みに近づけたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
遺産分割調停に関するよくある質問と答え
遺産分割調停の概要や進め方などについて説明してきましたが、他にもさまざまな疑問が浮かんでくることもあるでしょう。最後に、遺産分割調停についてよくある質問に回答したいと思います。
1.遺産分割調停はいつまでに申し立てる必要がある?
遺産分割調停については、特に申し立て期限はありません。
いつ申し立ててもかまいませんが、相続放棄や相続税の申告に期限があることを考慮すると、できるだけ早期に申し立てるのが望ましいところです。相続放棄の手続は相続が発生したことを知ったときから3ヶ月以内に手続きしなければなりませんし、相続税の申告は被相続人の死亡から10カ月以内に行わなければなりません。
特に相続税の申告を期限内に行わなければ、相続税が大幅に軽減される控除制度を利用できなくなる可能性があるため注意しましょう。
2.調停期日の呼び出しを無視したらどうなりますか?
遺産分割調停の申し立てが受理されると、当事者の元には第1回調停期日を指定した呼び出し状が届きます。面倒に感じ、無視したくなるかもしれませんが、裁判所からの呼び出しを無視してはいけません。
当事者の誰か一人でも呼び出しを無視して無断で欠席すれば、調停は不成立となり審判へと移行してしまいます。
審判事件に移行した場合、対立関係が鮮明となる形で審理が進むため、後の関係にも影響を残しかねません。できるだけ怨恨を残さないためにも、話し合いによって円満に進められる調停で分割内容を決めるのが望ましいでしょう。
3.調停期日には何を聞かれるのですか?
調停の準備をするためにも、調停期日において何を聞かれるのか気になるという方もいらっしゃるかと思います。調停における論点は決まっており、以下の内容に関することを確認されます。
- 相続人は誰か
- 相続財産には何があるのか
- 相続財産はそれぞれいくらあるのか
- 相続財産はどのような割合で分割するか
- 相続財産はどのような方法で分けるのか
調停では、自分はどのような立場で、相続財産をどのような割合で、どのような形で欲しいのかということを明確に主張しましょう。
まとめ
今回は、遺産分割調停の手続の概要、遺産分割調停の申立方法と費用、遺産分割調停申立書提出後の流れ、有利に進めるための方法などについて解説しました。
遺産分割調停の手続は自分で行うこともできますが、裁判所を通じた手続きである以上、事実関係の立証や法的根拠の援用が非常に重要になります。裁判官や調停委員を説得し、調停を自分に有利に進めるためには弁護士の力を借りることをおすすめします。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、遺産相続に関する問題を抱えている方々を全力でサポートさせていただきたいと考えております。数多くの相続問題を解決した実績を持つ弁護士が、ご相談者の状況やご希望などを丁寧にお伺いした上で、最適なアドバイスをさせていただいておりますので、安心してご相談・ご依頼いただければと思います。