離婚の手続とは?準備から離婚後までの流れを紹介

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記事目次
離婚にあたっては、離婚の前後を問わずやるべきことが多く、準備が不十分となることで離婚後に後悔する方が少なくありません。
そこで、本記事では
・離婚にあたってやるべきこと
・離婚後のトラブルとその対処法
について解説します。
離婚の流れとは?
離婚をするには、様々な準備や手続が必要となり、離婚届を出すだけですべてが終わるというわけではありません。
離婚する際の流れとしては、次のようになります。
・離婚後の生活を計画する。
・配偶者に離婚する意思を伝え、離婚条件を夫婦で話し合う。
・離婚条件の合意後に、離婚協議書を作成する。
・自治体に離婚届を出す。
・必要な手続を行う。
離婚を進める前に、必要な手続や準備を入念に行うようにしましょう。
離婚の手続に向けた準備
離婚をスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。
必要な情報整理や証拠収集、離婚後の生活設計まで段階的に進めることで、後のトラブルを大きく減らすことができます。
離婚を決断する
離婚は今後の生活に大きな影響を及ぼすため、勢いだけで進めるべきではありません。
配偶者との関係性、子どもの生活環境、経済状況、自身の将来設計などを総合的に検討したうえで判断することが必要です。
一度離婚を切り出すと元の関係に戻ることは容易ではありません。
離婚以外の選択肢、現状を改善する方法はないかなどを冷静に考え、気持ちと状況の両面から判断してください。
弁護士に相談・依頼する
離婚手続には、親権、養育費、財産分与、慰謝料など多くの法律問題が伴います。
弁護士に相談することで、手続の流れや有利に進めるためのポイントを把握することができます。
また、弁護士に依頼すれば、相手との交渉や調停・訴訟対応などを任せることができ、精神的・時間的負担を大きく軽減できます。
特に感情対立が強いケースや交渉が困難な状況では、早期の弁護士介入が望ましいです。
証拠資料を確保する
離婚に関する主張を裏付けるための証拠を確保しておくことは非常に重要です。
不貞行為を理由とする場合には、ホテルや自宅への出入りの写真、メッセージ履歴など事実を示す資料が求められます。
財産分与に備える場合は、預貯金通帳、給与明細、保険証券、住宅ローン明細など、婚姻中の財産状況が把握できる資料を取得・保全しておく必要があります。
証拠は後から入手が困難になる場合も多いため、早期に整理・確保することが必要です。
希望する離婚条件に優先順位をつける
離婚時に決めるべき項目は多岐にわたりますが、全てで自分の希望を通すことはなかなか難しいです。
親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについて「絶対に譲れない項目」と「状況に応じて調整可能な項目」を整理し、優先順位を明確にしておくことが重要です。
この準備があることで話し合いの軸がぶれず、結果として早期解決につながります。
別居後・離婚後の生活基盤を整える
離婚後は生活環境が大きく変化するため、収入・住居・子どもの生活環境を現実的に確保しておく必要があります。
就労が必要な場合は、早い段階で仕事探しを開始した方が望ましいです。
また、住居確保にあたっては、家賃負担、通勤、保育園・学校の継続性などを考慮することが重要です。
ひとり親になる場合は、児童扶養手当や医療費助成など公的支援を利用できる場合があります。自治体窓口で事前に確認し、活用できる制度を把握しておきましょう。
子連れで離婚する場合の準備
子どもがいる場合、離婚では「子どもの生活と成長の安定」が最重要となります。
感情論ではなく、生活環境・監護体制・経済基盤を整理し、客観性のある形で準備を進めることが必要です。
親権・監護権の方針を整理する
未成年の子がおる場合の離婚では、まず「誰が子どもと日常生活を共にするか」を明確にする必要があります。
親権は法律上の権限、監護権は実際の養育を指し、同一人物に定めるのが一般的ですが、分離も可能です。
家庭裁判所は判断の際、「子どもの利益」を最優先します。
具体的には、現在の監護状況、育児への関与、居住・生活環境、子どもの年齢や発達段階、兄弟姉妹の分離の有無などが考慮されます。
したがって、別居前から子どもの生活リズムや監護状況を安定させ、育児実績を適切に記録しておくことが重要です。
また、別居後も安定した子どもの基盤が確保できていることを裁判所に示すことが重要です。
養育費の見通しを立てる
養育費は「子どもの生活を維持するための費用」であり、夫婦間の経済力と子どもの年齢・人数を基礎に「養育費算定表」を用いて算出します。
金額に加え、支払方法(振込先・支払日)、支払期間(原則成人まで)、不払い時の対応(強制執行の可否)まで具体的に定める必要があります。
養育費は口約束では不払いリスクが高く、後の紛争防止のためには「離婚協議書」を作成し、さらに「強制執行認諾文言付き公正証書」として残すことが望まれます。
将来の安定のため、初期段階から弁護士に相談することが重要です。
面会交流の方法を検討する
離婚後、同居しない親と子どもの関係維持のために同居しない親が求めれば、「面会交流」の取り決めが必要となります。
具体的には、頻度(月1回など)、曜日・時間帯、子どもの受け渡し場所、オンライン面会の有無、学校行事への参加、急な変更時の対応ルールなどを明確にします。
面会交流は「子どもの利益」を中心に設計されるべきであり、大人の感情や対立が優先されてはなりません。
実施が困難な場合には、第三者機関による面会交流支援の利用や間接交流、すなわち写真や動画、手紙でのやり取りから開始することも検討します。
継続可能で負担の少ない形を確保することが重要です。
子どもの生活基盤(住居・保育・教育)を整える
子どもの生活環境が不安定になると、心理面や学習面に影響が生じます。
住居を変更する場合は、保育園・学校の継続可能性、通学距離、安全性、通勤との両立などを考慮します。
保育園や学童の利用調整は自治体手続が必要で、空き状況によっては転園に時間を要します。
急な別居の前に、生活拠点と子どもの生活スケジュールが維持できる見通しを持つことが重要です。
生活費についても現実的な収支計算を行い、無理のない生活設計を検討する必要があります。
利用できる公的支援制度を把握する
ひとり親となる場合、生活安定のために各種公的支援制度を活用できることがあります。
代表的な制度には、児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成、保育料軽減、住宅手当、就労支援給付などがあります。
これらの受給要件・支給額は自治体により異なるため、早期に役所窓口または自治体の相談窓口で確認することが必要です。
また、就業が必要な場合には、ハローワークや女性就労支援窓口、再就職支援講座などを利用することも有効です。
制度を理解し、現実的な生活基盤を確保することが離婚準備において重要です。
離婚協議の概要
離婚の準備が整ったら、まずは夫婦間で離婚条件について話し合う「離婚協議」を行います。
第三者である裁判所を介さずに進められるため、時間的・精神的・経済的負担比較的軽いものとなります。
離婚協議とは
離婚協議とは、夫婦が直接話し合い、離婚をするかどうかや、親権、養育費、財産分与などの離婚条件を取り決める手続です。
夫婦間で冷静な話し合いが難しい場合には、弁護士を代理人として交渉を進めることも可能です。
協議で合意が成立した場合は、離婚届を市区町村役場に提出することで離婚が成立します。
裁判所を利用しないため、もっともスムーズに手続が進む方法です。
離婚協議書の作成
離婚協議の内容は、必ず文書として残すことが重要です。
特に金銭に関する取り決め(養育費、慰謝料、財産分与など)は、後の支払拒否や条件変更のトラブルが起こりやすいため、「離婚協議書」を作成しておくべきです。
さらに、強制執行が可能となる「公正証書」で作成すると、支払不履行があった場合に裁判を経ずに差押えを行うことができ、実効性が高まります。
協議で決める項目
離婚協議では、次のような離婚条件を明確に取り決めます。
・親権
・養育費
・財産分与
・年金分割割合
・場合によっては、面会交流の実施方法、慰謝料の有無・金額
これらを曖昧にせず、将来の紛争を防ぐためにも具体的に定め、文書として明確に残しておくことが重要です。
離婚調停の概要
夫婦間の協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、第三者である調停委員の仲介を受けながら話し合いを進めます。
離婚調停とは
離婚調停は、家庭裁判所で行われる話し合い手続で、調停委員が双方の意見を聞き、合意形成を促します。
調停は非公開で行われ、夫婦が直接同席する必要はなく、個別に調停委員に事情を説明できます。
そのため、感情対立が強い場合や直接話し合うことが難しいケースでも進めることができます。
調停の流れ
離婚調停は、一方の申立てにより開始します。
調停期日は通常1か月に1回程度設けられ、双方が交代で調停委員に話をします。
話し合いがまとまった場合は、内容を記した「調停調書」が作成され、これにより離婚が成立します。
調停調書には強制執行力があるため、養育費や財産分与が不払いとなった場合に差押えを行うことができます。成立後は10日以内に離婚届を提出します。
有利に進めるポイント
離婚調停を有利に進めるには、主張内容と証拠を整理し、調停委員に合理的に説明できることが重要です。
調停委員に自分の主張が理解されれば、相手方への説得力が高まります。
そのため、調停には弁護士を同席させ、法的根拠に基づいた交渉方針を持って臨むことが効果的です。
離婚訴訟の概要
調停でも合意に至らない場合、裁判所に離婚を求める「離婚訴訟」に進みます。裁判官が離婚の可否と離婚条件を判断します。
離婚訴訟とは
離婚訴訟は、裁判所に対して離婚の成立を求める正式な手続です。
訴訟の結果は、裁判所が離婚を認める「判決離婚」、裁判中に当事者間で合意する「和解離婚」、被告が請求を全面的に認める「認諾離婚」のいずれかとなります。
協議や調停に比べて時間と負担が大きくなりますが、相手が離婚を拒否している場合などには避けられない手続です。
法定離婚事由
裁判所が離婚を認めるには、民法770条に定められた法定離婚事由が必要です。
不貞行為、悪意の遺棄(生活費不払い・別居放置)、配偶者の生死不明、強度の精神病による共同生活の困難、その他婚姻を継続し難い重大な事由(DV・モラハラ等)が該当します。
これらの事由を客観的証拠により立証することが求められます。
訴訟の流れ
訴状提出により訴訟が開始し、口頭弁論期日の指定、準備書面提出、証拠書類の提出、当事者本人尋問や証人尋問を経て、判決または和解に至ります。
裁判所が途中で和解を提案することも多くあります。
判決後の手続
判決で離婚が認められ確定した場合、判決確定日を含めて10日以内に離婚届を提出する必要があります。
提出の際には判決書の謄本および確定証明書を添付します。控訴期間(原則2週間)の経過や上訴審の終了により判決が確定します。
訴訟で重要な点
離婚訴訟では、「証拠」が最も重視されます。
不貞行為、DV、財産状況などの主張は、記録・写真・通帳明細・診断書などの客観的資料によって立証する必要があります。
訴訟を見据える場合は、早期に証拠収集と事実整理を行い、弁護士と戦略を立てて進めることが極めて重要です。
離婚成立までにかかる期間はどのくらい?
協議離婚は数週間〜数か月、調停・訴訟は半年〜1年以上かかることが一般的です。
対立の程度、証拠の有無、争点の複雑性により大きく異なります。早い段階での整理と準備が解決期間短縮の鍵となります。
離婚後、一番大変なこととは?
株式会社リングオフが10代から60代のシングルマザーを対象に行った「離婚後の生活に関するアンケート」によれば、母子家庭で一番大変だと思う事について、「子供のこと」「生活費」が約8割を占めることが分かりました。
このような傾向は、離婚後に養育費をもらっていない人が多いという現状に起因しているものと考えられます。
離婚後に気をつけるべきことリスト
このように、離婚後に様々な点で苦労する方が多いのが現状です。
そこで、離婚後に気をつけるべき点を確認します。
・金銭に関する悩み
離婚後には、自分だけで生計を立てていかなければなりません。
特に、婚姻中に専業主婦やパートなど、配偶者の収入に頼って生活していた方は、離婚後は経済的に自立しなければなりません。
また、離婚に際して婚姻中に住んでいた家を出なければならない場合には、新しい住居を見つける必要があります。
そして、新居を探す際にも、子供の通学や生活環境も考慮しなければなりません。
さらに、当然家賃や引っ越し費用もかかりますから、事前にお金を準備しておく必要があるでしょう。
・子供に関する悩み
子供を一人で育てるには、多くの時間を費やし、仕事に支障が出ることも多いでしょう。
また、いざ一人で子供を育てるとしても、多くのお金がかかります。
このように、子供を一人で育てることは多くの苦労を伴います。
そのため、離婚後に後悔することのないよう、離婚後に夫婦のどちらが親権を持つべきか、養育費はどうするのかといったことを考えなければなりません。
・手続に関する悩み
離婚届を提出して離婚が成立したとしても、様々な手続が待っています。
離婚後に必要な主な手続としては、次のとおりです。
①住民票の異動
②健康保険や年金の変更・加入
③子供に関する手続
・児童手当の受取人の変更
・転校手続など
④住所や氏名の変更(身分証明書や銀行口座など)
上記以外にも様々な手続がありますが、このように多くの手続が必要になりますので、事前に準備を進めておくようにしましょう。
離婚後に金銭関係で困らないようにするためのポイント
このように、離婚後に金銭関係で困らないように事前に確認すべき点が多いことがお分かりいただけたかと思います。
以下では、離婚後に金銭関係で困らないようにするためのポイントを解説します。
仕事について
専業主婦やパート勤務などで働いていた方などは、配偶者の収入に頼って生活していた方が多いと思います。
離婚した後は、夫婦間の扶養義務は無くなるため、ご自身で生計を立てる必要があります。
この点、財産分与や慰謝料として一定の金銭を支払ってもらえたとしても、将来の生活費を賄うには十分でないことが多いでしょう。
そのため、離婚前に、離婚後の就業先を早めに探しておくことが重要です。
また、子供がいる方は、子育てとの両立ができるかということも考える必要があります。
そのため、仕事中に子供の面倒を見てくれる人を探しておくべきでしょう。
家について
離婚するまで配偶者と同居していた方は、離婚後にその家を出なければならない場合には、新しい住居を見つける必要があります。
その場合には、家賃や通勤経路、子供の通学圏なども事前に考慮したうえで探す必要があります。
そのため、新居を探す際には、離婚後の仕事や子供の学校や子供の預け先、住環境なども合わせて考えておくべきです。
また、引っ越しをする際には、引っ越し費用もかかります。
そのため、離婚前に、離婚後の当面の生活費や引っ越しにかかる費用も準備しておくのが最善です。
慰謝料
配偶者の不貞行為やDV・モラハラなどによって精神的苦痛を被り離婚する場合には、配偶者に対して慰謝料を請求できることがあります。
慰謝料の支払いを受けることができれば、離婚後の生活費に充てることができ、離婚後の負担を軽減できるといえます。
一方で、生活の不一致など、夫婦のどちらか一方が悪いとはいえない場合には慰謝料を請求できない可能性があります。
慰謝料を請求できるのか、どのくらいの金額をもらえるのか、予め弁護士に相談してみると良いでしょう。
財産分与
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に夫婦の貢献度に応じて分与することをいいます。
財産分与には、以下のような性質があります。
・清算的財産分与
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産の清算
・扶養的財産分与
離婚により生活が立ち行かなくなる配偶者の扶養
・慰謝料的財産分与
慰謝料請求としての意味をもつもの
財産分与は、法律上認められた制度ですので、離婚後の生活のためにも、しっかり話し合うべきでしょう。
離婚後に子供に関することで困らないようにするためのポイント
未成年の子供をお持ちの夫婦は、離婚後の子供の養育について考えておく必要があります。
離婚後に子供のことで後悔しないよう、事前に考えておくべきポイントを解説します。
親権
離婚後は、元配偶者と同居しない方がほとんどだと思います。
そのため、夫婦のどちらが親権を持つかをまずは決めなければなりません。
通常は、離婚前に子供の監護養育を主に担ってきた配偶者(一般的には母親が多いと思います)が親権を持つことが多いです。
しかし、その場合には、家族の生活を支えるために他方の配偶者が家計を支えていることが多いと思います。
子供の養育には多くの費用が必要になりますし、離婚後に一人で子供を育てるにあたっても、仕事をする必要がある方が多いと思います。
そのため、どちらが子供を引き取るべきかだけでなく、養育費に関してもしっかり話し合って決めておくことが大切です。
養育費
養育費は、親権者が子供を育てるのにあたって必要となる費用をいいます。
離婚後に子供を引き取るにあたっては、養育費の支払いがなければ生活が困窮してしまう大きな要因となります。
しかし、実際には離婚後に養育費を受け取っていない方が半数を超えているのが実情です。
養育費請求権は、法律上認められた権利であり、子供を含めた離婚後の生活を安定させるためにも、事前に夫婦間で取り決めておくべきでしょう。
取り決めが無かったり、内容が不十分であると、将来養育費の支払いが滞ることもありえます。
養育費の金額や取り決めておくべきポイントについては、予め弁護士に相談すると良いでしょう。
面会交流
面会交流とは、子供と離れて暮らす親と子供が定期的に会って交流することをいいます。
面会交流は、子供の福祉のために実施するものとされており、親の一方的な都合だけで拒否することは基本的にできませんが、子供の福祉に反する場合には、拒否できる可能性があります。
子供にとっては、本来親の離婚を望んでいないでしょうし、両親が揃っていることは精神的にも教育的にも良いとされています。
そのため、将来子供に生じる悪影響を無くすためにも、離婚後の面会交流についてしっかり話し合っておくべきです。
面会交流について取り決める際には、親の都合ではなく、子供にとって最善な方法で決めるようにしましょう。
離婚後の子供の環境や必要な手続を考える
親権者が離婚によって旧姓に戻る場合でも、子供の苗字も自動的に親権者の旧姓に変わるわけではありません。
子供も自分と同じ苗字にしたい場合には、家庭裁判所に氏の変更許可申立をする必要があります。
また、離婚に伴い転居する場合には、保育園や学校の転校が必要になることも多いでしょう。
そのため、離婚前に、事前に転校先を決めておく必要があります。
さらに、ひとり親となった人のため、子供に関する様々な公的支援があります。
子供の養育環境を整えるためにも、積極的に利用を検討するといいでしょう。
離婚後に必要な変更手続
離婚する場合には、多くの変更手続が必要となります。
離婚後はただでさえやるべきことが多く、精神的にも負担が大きいため、離婚する前に事前に確認しておくべきといえます。
住民票の異動
離婚に伴い転居する場合には、住民票の異動届出をする必要があります。
転出・転入届は、転入をした日から14日以内に届け出なければならないとされており、正当な理由なく届け出が遅れると、5万円以下の過料が科されることもありますので、早めに届出をするようにしましょう。
国民健康保険・国民年金の変更手続
元配偶者の扶養家族として国民健康保険・厚生年金に加入していた場合には、変更手続が必要となります。
国民健康保険については、元配偶者の勤務先から資格喪失証明書の発行を受けて国民健康保険の加入手続を行います。
国民年金については、新たに加入手続を行うか、自身の勤務先の厚生年金に加入することとなります。
氏の変更
離婚をすると、婚姻の際に氏を変更した方については自動的に婚姻前の氏に戻ることになります。
もっとも、婚姻時の氏を離婚後も名乗りたい場合には、離婚届と同時に、もしくは、離婚の日から3か月以内に届け出をする必要があります。
名義変更手続
離婚によって不動産や車の採算分与を受けた場合などは、財産の名義変更を行う必要があります。
また、氏名や住所の変更があった場合には、預金口座・クレジットカードなどの変更手続が必要になります。
変更しない場合には、口座やクレジットカードの利用が停止してしまう場合もあるため、早めに手続を行うようにしましょう。
公的証明書の変更手続
離婚に伴い、氏名や住所を変更した場合には、パスポート・マイナンバーカード・運転免許証などの公的証明書の変更手続が必要となります。
子供に関する手続
子供を引き取ることになった場合には、児童手当などの公的支援に関する手続が必要になるでしょう。
また、引っ越しに伴い、子供の保育園や学校を変えることとなる場合には、転園や転校の手続が必要になります。
転校にあたっては、転校前の学校から在学証明書の交付を受ける必要があるなど、事前に準備しておく点も多いため、離婚前から早めに準備しておくのが良いでしょう。
離婚後、再婚はいつから可能?
再婚をする場合、男性も女性も、離婚後すぐに再婚することができます。
かつては女性にのみ再婚禁止期間が定められており、民法上、離婚から100日を経過した後でなければ再婚できないとされていました。
この規定が設けられていた主な目的は、女性が離婚後すぐに再婚することで、生まれた子が元配偶者と現配偶者のどちらの子であるか分からなくなる可能性があったためです。
これにより、子どもの親が誰であるかという問題が生じ、子どもの権利が不安定になることを防ごうとしていたわけです。
しかし、2024年4月1日の民法改正により、この女性の再婚禁止期間は廃止されました。廃止された主な理由は、科学技術の進歩によってDNA鑑定などを用いた父子関係の特定が容易になったためです。これにより、たとえ離婚後すぐに再婚して子どもが生まれたとしても、子どもの親が誰であるかを明確に判断できるようになりました。この法改正によって、不必要な期間制限が解消され、男女ともに離婚後すぐに再婚できるようになったのです。
なお、再婚禁止期間が存在していた時代においても、同じ相手と再婚する場合には、この規定は適用されないことになっていました。
離婚後、慰謝料請求が可能な期間がいつまで?
不貞行為や暴力など、配偶者の不法行為によって離婚することとなった場合には、離婚の慰謝料を請求できる可能性があります。
では、離婚の慰謝料はいつまで請求できるのでしょうか。
民法724条1号によれば、被害者が損害と加害者を知った時から3年が経過することにより消滅時効が成立するとされています。
離婚により精神的苦痛を被ったとして請求する離婚慰謝料については、離婚成立時が「損害と加害者を知った時」となるため、離婚成立時から3年経過すると時効が成立することになり、この期間内であれば請求が可能ということになります。
また、同条2号によれば、不法行為の時から20年が経過した場合には消滅時効が成立するとされています。
離婚後に発生しがちなトラブルと対処方法
これまで解説してきたように、離婚にあたっては、事前に決めておくべき点が多くあります。
以下では、離婚後に発生しがちなトラブルと対処方法について解説します。
①養育費を支払ってくれない
すでに解説したとおり、離婚後に養育費を支払ってもらえない方が多いのが実情です。
そうならないように、まずは事前に養育費の支払方法や金額などの条件をしっかり取り決めておくことが重要です。
そして、養育費の条件が合意できた場合には、単なる口約束にとどまらず、養育費に関する合意書や公正証書を作成しておくことで、将来の争いを防止することができます。
特に、公正証書は、養育費の支払いが滞った場合に、裁判を経ずに強制執行を行うことができる効力があるため、実際に強制執行手続を利用することはもちろん、元配偶者に強制執行をおそれて任意での支払いを促す効果もあるため、作成するメリットは大きいでしょう。
また、実際に養育費の支払いが滞った場合には、以下の方法をとることができます。
①履行勧告
家庭裁判所が申出を受けて、養育費の支払いが滞っていることを確認した場合に、支払義務者に対して支払うよう勧告する制度です。
もっとも、法的な強制力はありません。
②履行命令
履行勧告と同様に家庭裁判所に申出を行い、家庭裁判所が支払義務者に対して養育費の支払いを命令する手続です。
履行命令に従わない場合には、過料の対象となるため、任意の支払いを促すことができるでしょう。
もっとも、履行勧告と同様に法的強制力はありません。
③強制執行
支払義務者の財産や給与を差し押え、強制的に養育費を回収するための手続です。
②子供と面会できない
離婚後であっても、子供と離れて暮らす親は、子供と面会する権利が認められています。
しかし、離婚前に面会交流の条件についてしっかり取り決めをしないことで、離婚後にトラブルに発展することが多いのが実情です。
そのため、面会交流の日時・方法・頻度などの条件について、事前に取り決めることが非常に重要です。
離婚後も面会交流の条件について合意できていない場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申立てることで、面会交流の条件を決めることができます。
次に、面会交流の取り決めに反して子供に会わせてもらえない場合には、面会交流を実現するために次の方法をとることができます。
①履行勧告
履行勧告とは、調停や審判で決まった条件で面会交流が実現できない場合に、家庭裁判所から面会交流を実施するように勧告してもらう手続をいいます。
もっとも、法的な強制力はないため、監護親が必ず面会交流に応じるとは限りません。
②間接強制
履行勧告を行ったにもかかわらず、それでも面会交流に応じてもらえない場合には、間接強制という方法があります。
間接強制とは、裁判所から、面会交流を拒否する監護親に対して、面会を拒否するたびに「一定の金銭を支払え」という命令を下し、任意に面会に応じるよう促す方法です。
なお、間接強制を利用するためには、調停や審判において、面会交流の日時・方法・頻度などの条件を具体的に特定しておく必要があるため、注意しましょう。
まとめ
離婚に際してやるべきことや、離婚後のトラブルに関して解説しました。
離婚するにもやるべきことは多く、さらには離婚後に様々なトラブルが生じること可能性があります。
離婚後のトラブルを未然に防ぐためには、離婚する前にしっかり対策を講じておくことが非常に重要です。
離婚を検討している方は、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務










