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更新日: 弁護士 宮地 政和

離婚後にやるべきことリスト!離婚の流れや必要な手続き、トラブルの対処法を徹底解説

離婚後にやるべきことリスト!離婚の流れや必要な手続き、トラブルの対処法を徹底解説
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離婚にあたっては、離婚の前後を問わずやるべきことが多く、準備が不十分となることで離婚後に後悔する方が少なくありません。

そこで、本記事では
・離婚にあたってやるべきこと
・離婚後のトラブルとその対処法
について解説します。

離婚の流れとは?

離婚をするには、様々な準備や手続きが必要となり、離婚届を出すだけですべてが終わるというわけではありません。

離婚する際の流れとしては、次のようになります。
・離婚後の生活を計画する。
・配偶者に離婚する意思を伝え、離婚条件を夫婦で話し合う。
・離婚条件の合意後に、離婚協議書を作成する。
・自治体に離婚届を出す。
・必要な手続きを行う。

離婚を進める前に、必要な手続きや準備を入念に行うようにしましょう。

離婚後、一番大変なこととは?

株式会社リングオフが10代から60代のシングルマザーを対象に行った「離婚後の生活に関するアンケート」によれば、母子家庭で一番大変だと思う事について、「子供のこと」「生活費」が約8割を占めることが分かりました。

このような傾向は、離婚後に養育費をもらっていない人が多いという現状に起因しているものと考えられます。

母子家庭で一番大変だと思うこと

離婚後に気をつけるべきことリスト

このように、離婚後に様々な点で苦労する方が多いのが現状です。

そこで、離婚後に気をつけるべき点を確認します。

・金銭に関する悩み

離婚後には、自分だけで生計を立てていかなければなりません。
特に、婚姻中に専業主婦やパートなど、配偶者の収入に頼って生活していた方は、離婚後は経済的に自立しなければなりません。

また、離婚に際して婚姻中に住んでいた家を出なければならない場合には、新しい住居を見つける必要があります。
そして、新居を探す際にも、子供の通学や生活環境も考慮しなければなりません。

さらに、当然家賃や引っ越し費用もかかりますから、事前にお金を準備しておく必要があるでしょう。

・子供に関する悩み

子供を一人で育てるには、多くの時間を費やし、仕事に支障が出ることも多いでしょう。
また、いざ一人で子供を育てるとしても、多くのお金がかかります。

このように、子供を一人で育てることは多くの苦労を伴います。
そのため、離婚後に後悔することのないよう、離婚後に夫婦のどちらが親権を持つべきか、養育費はどうするのかといったことを考えなければなりません。

・手続きに関する悩み

離婚届を提出して離婚が成立したとしても、様々な手続きが待っています。

離婚後に必要な主な手続きとしては、次のとおりです。
①住民票の異動
②健康保険や年金の変更・加入
③子供に関する手続き
・児童手当の受取人の変更
・転校手続など
④住所や氏名の変更(身分証明書や銀行口座など)

上記以外にも様々な手続きがありますが、このように多くの手続きが必要になりますので、事前に準備を進めておくようにしましょう。

離婚後に金銭関係で困らないようにするためのポイント

このように、離婚後に金銭関係で困らないように事前に確認すべき点が多いことがお分かりいただけたかと思います。

以下では、離婚後に金銭関係で困らないようにするためのポイントを解説します。

仕事について

専業主婦やパート勤務などで働いていた方などは、配偶者の収入に頼って生活していた方が多いと思います。
離婚した後は、夫婦間の扶養義務は無くなるため、ご自身で生計を立てる必要があります。

この点、財産分与や慰謝料として一定の金銭を支払ってもらえたとしても、将来の生活費を賄うには十分でないことが多いでしょう。
そのため、離婚前に、離婚後の就業先を早めに探しておくことが重要です。

また、子供がいる方は、子育てとの両立ができるかということも考える必要があります。
そのため、仕事中に子供の面倒を見てくれる人を探しておくべきでしょう。

家について

離婚するまで配偶者と同居していた方は、離婚後にその家を出なければならない場合には、新しい住居を見つける必要があります。

その場合には、家賃や通勤経路、子供の通学圏なども事前に考慮したうえで探す必要があります。

そのため、新居を探す際には、離婚後の仕事や子供の学校や子供の預け先、住環境なども合わせて考えておくべきです。

また、引っ越しをする際には、引っ越し費用もかかります。

そのため、離婚前に、離婚後の当面の生活費や引っ越しにかかる費用も準備しておくのが最善です。

慰謝料

配偶者の不貞行為やDV・モラハラなどによって精神的苦痛を被り離婚する場合には、配偶者に対して慰謝料を請求できることがあります。

慰謝料の支払いを受けることができれば、離婚後の生活費に充てることができ、離婚後の負担を軽減できるといえます。

一方で、生活の不一致など、夫婦のどちらか一方が悪いとはいえない場合には慰謝料を請求できない可能性があります。

慰謝料を請求できるのか、どのくらいの金額をもらえるのか、予め弁護士に相談してみると良いでしょう。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に夫婦の貢献度に応じて分与することをいいます。

財産分与には、以下のような性質があります。
・清算的財産分与
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産の清算
・扶養的財産分与
離婚により生活が立ち行かなくなる配偶者の扶養
・慰謝料的財産分与
慰謝料請求としての意味をもつもの

財産分与は、法律上認められた制度ですので、離婚後の生活のためにも、しっかり話し合うべきでしょう。

離婚後に子供に関することで困らないようにするためのポイント

未成年の子供をお持ちの夫婦は、離婚後の子供の養育について考えておく必要があります。

離婚後に子供のことで後悔しないよう、事前に考えておくべきポイントを解説します。

親権

離婚後は、元配偶者と同居しない方がほとんどだと思います。
そのため、夫婦のどちらが親権を持つかをまずは決めなければなりません。

通常は、離婚前に子供の監護養育を主に担ってきた配偶者(一般的には母親が多いと思います)が親権を持つことが多いです。
しかし、その場合には、家族の生活を支えるために他方の配偶者が家計を支えていることが多いと思います。

子供の養育には多くの費用が必要になりますし、離婚後に一人で子供を育てるにあたっても、仕事をする必要がある方が多いと思います。
そのため、どちらが子供を引き取るべきかだけでなく、養育費に関してもしっかり話し合って決めておくことが大切です。

養育費

養育費は、親権者が子供を育てるのにあたって必要となる費用をいいます。

離婚後に子供を引き取るにあたっては、養育費の支払いがなければ生活が困窮してしまう大きな要因となります。
しかし、実際には離婚後に養育費を受け取っていない方が半数を超えているのが実情です。

養育費請求権は、法律上認められた権利であり、子供を含めた離婚後の生活を安定させるためにも、事前に夫婦間で取り決めておくべきでしょう。

取り決めが無かったり、内容が不十分であると、将来養育費の支払いが滞ることもありえます。
養育費の金額や取り決めておくべきポイントについては、予め弁護士に相談すると良いでしょう。

面会交流

面会交流とは、子供と離れて暮らす親と子供が定期的に会って交流することをいいます。

面会交流は、子供の福祉のために実施するものとされており、親の一方的な都合だけで拒否することは基本的にできませんが、子供の福祉に反する場合には、拒否できる可能性があります。

子供にとっては、本来親の離婚を望んでいないでしょうし、両親が揃っていることは精神的にも教育的にも良いとされています。
そのため、将来子供に生じる悪影響を無くすためにも、離婚後の面会交流についてしっかり話し合っておくべきです。

面会交流について取り決める際には、親の都合ではなく、子供にとって最善な方法で決めるようにしましょう。

離婚後の子供の環境や必要な手続きを考える

親権者が離婚によって旧姓に戻る場合でも、子供の苗字も自動的に親権者の旧姓に変わるわけではありません。
子供も自分と同じ苗字にしたい場合には、家庭裁判所に氏の変更許可申立をする必要があります。

また、離婚に伴い転居する場合には、保育園や学校の転校が必要になることも多いでしょう。
そのため、離婚前に、事前に転校先を決めておく必要があります。

さらに、ひとり親となった人のため、子供に関する様々な公的支援があります。
子供の養育環境を整えるためにも、積極的に利用を検討するといいでしょう。

離婚後に必要な変更手続き

離婚する場合には、多くの変更手続きが必要となります。

離婚後はただでさえやるべきことが多く、精神的にも負担が大きいため、離婚する前に事前に確認しておくべきといえます。

住民票の異動

離婚に伴い転居する場合には、住民票の異動届出をする必要があります。

転出・転入届は、転入をした日から14日以内に届け出なければならないとされており、正当な理由なく届け出が遅れると、5万円以下の過料が科されることもありますので、早めに届出をするようにしましょう。

国民健康保険・国民年金の変更手続き

元配偶者の扶養家族として国民健康保険・厚生年金に加入していた場合には、変更手続きが必要となります。

国民健康保険については、元配偶者の勤務先から資格喪失証明書の発行を受けて国民健康保険の加入手続きを行います。

国民年金については、新たに加入手続きを行うか、自身の勤務先の厚生年金に加入することとなります。

氏の変更

離婚をすると、婚姻の際に氏を変更した方については自動的に婚姻前の氏に戻ることになります。

もっとも、婚姻時の氏を離婚後も名乗りたい場合には、離婚届と同時に、もしくは、離婚の日から3か月以内に届け出をする必要があります。

名義変更手続き

離婚によって不動産や車の採算分与を受けた場合などは、財産の名義変更を行う必要があります。

また、氏名や住所の変更があった場合には、預金口座・クレジットカードなどの変更手続きが必要になります。

変更しない場合には、口座やクレジットカードの利用が停止してしまう場合もあるため、早めに手続きを行うようにしましょう。

公的証明書の変更手続き

離婚に伴い、氏名や住所を変更した場合には、パスポート・マイナンバーカード・運転免許証などの公的証明書の変更手続きが必要となります。

子供に関する手続き

子供を引き取ることになった場合には、児童手当などの公的支援に関する手続きが必要になるでしょう。

また、引っ越しに伴い、子供の保育園や学校を変えることとなる場合には、転園や転校の手続きが必要になります。

転校にあたっては、転校前の学校から在学証明書の交付を受ける必要があるなど、事前に準備しておく点も多いため、離婚前から早めに準備しておくのが良いでしょう。

離婚後、再婚はいつから可能?

再婚をする場合、男性も女性も、離婚後すぐに再婚することができます。

かつては女性にのみ再婚禁止期間が定められており、民法上、離婚から100日を経過した後でなければ再婚できないとされていました。
この規定が設けられていた主な目的は、女性が離婚後すぐに再婚することで、生まれた子が元配偶者と現配偶者のどちらの子であるか分からなくなる可能性があったためです。
これにより、子どもの親が誰であるかという問題が生じ、子どもの権利が不安定になることを防ごうとしていたわけです。

しかし、2024年4月1日の民法改正により、この女性の再婚禁止期間は廃止されました。廃止された主な理由は、科学技術の進歩によってDNA鑑定などを用いた父子関係の特定が容易になったためです。これにより、たとえ離婚後すぐに再婚して子どもが生まれたとしても、子どもの親が誰であるかを明確に判断できるようになりました。この法改正によって、不必要な期間制限が解消され、男女ともに離婚後すぐに再婚できるようになったのです。

なお、再婚禁止期間が存在していた時代においても、同じ相手と再婚する場合には、この規定は適用されないことになっていました。

離婚後、慰謝料請求が可能な期間がいつまで?

不貞行為や暴力など、配偶者の不法行為によって離婚することとなった場合には、離婚の慰謝料を請求できる可能性があります。
では、離婚の慰謝料はいつまで請求できるのでしょうか。

民法724条1号によれば、被害者が損害と加害者を知った時から3年が経過することにより消滅時効が成立するとされています。
離婚により精神的苦痛を被ったとして請求する離婚慰謝料については、離婚成立時が「損害と加害者を知った時」となるため、離婚成立時から3年経過すると時効が成立することになり、この期間内であれば請求が可能ということになります。

また、同条2号によれば、不法行為の時から20年が経過した場合には消滅時効が成立するとされています。

離婚後に発生しがちなトラブルと対処方法

これまで解説してきたように、離婚にあたっては、事前に決めておくべき点が多くあります。

以下では、離婚後に発生しがちなトラブルと対処方法について解説します。

①養育費を支払ってくれない

すでに解説したとおり、離婚後に養育費を支払ってもらえない方が多いのが実情です。
そうならないように、まずは事前に養育費の支払方法や金額などの条件をしっかり取り決めておくことが重要です。

そして、養育費の条件が合意できた場合には、単なる口約束にとどまらず、養育費に関する合意書や公正証書を作成しておくことで、将来の争いを防止することができます。
特に、公正証書は、養育費の支払いが滞った場合に、裁判を経ずに強制執行を行うことができる効力があるため、実際に強制執行手続きを利用することはもちろん、元配偶者に強制執行をおそれて任意での支払いを促す効果もあるため、作成するメリットは大きいでしょう。

また、実際に養育費の支払いが滞った場合には、以下の方法をとることができます。

①履行勧告
家庭裁判所が申出を受けて、養育費の支払いが滞っていることを確認した場合に、支払義務者に対して支払うよう勧告する制度です。
もっとも、法的な強制力はありません。

②履行命令
履行勧告と同様に家庭裁判所に申出を行い、家庭裁判所が支払義務者に対して養育費の支払いを命令する手続きです。
履行命令に従わない場合には、過料の対象となるため、任意の支払いを促すことができるでしょう。
もっとも、履行勧告と同様に法的強制力はありません。

③強制執行
支払義務者の財産や給与を差し押え、強制的に養育費を回収するための手続きです。

②子供と面会できない

離婚後であっても、子供と離れて暮らす親は、子供と面会する権利が認められています。
しかし、離婚前に面会交流の条件についてしっかり取り決めをしないことで、離婚後にトラブルに発展することが多いのが実情です。

そのため、面会交流の日時・方法・頻度などの条件について、事前に取り決めることが非常に重要です。
離婚後も面会交流の条件について合意できていない場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申立てることで、面会交流の条件を決めることができます。

次に、面会交流の取り決めに反して子供に会わせてもらえない場合には、面会交流を実現するために次の方法をとることができます。

①履行勧告
履行勧告とは、調停や審判で決まった条件で面会交流が実現できない場合に、家庭裁判所から面会交流を実施するように勧告してもらう手続きをいいます。
もっとも、法的な強制力はないため、監護親が必ず面会交流に応じるとは限りません。

②間接強制
履行勧告を行ったにもかかわらず、それでも面会交流に応じてもらえない場合には、間接強制という方法があります。
間接強制とは、裁判所から、面会交流を拒否する監護親に対して、面会を拒否するたびに「一定の金銭を支払え」という命令を下し、任意に面会に応じるよう促す方法です。
なお、間接強制を利用するためには、調停や審判において、面会交流の日時・方法・頻度などの条件を具体的に特定しておく必要があるため、注意しましょう。

まとめ

離婚に際してやるべきことや、離婚後のトラブルに関して解説しました。

離婚するにもやるべきことは多く、さらには離婚後に様々なトラブルが生じること可能性があります。

離婚後のトラブルを未然に防ぐためには、離婚する前にしっかり対策を講じておくことが非常に重要です。

離婚を検討している方は、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアの日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関で信販・クレジットカード・リース業務に関する法務やコンプライアンス、プロジェクトファイナンスなどの経験を積む。これらの経験を活かし、個人の法的問題に対し、専門的かつ丁寧に対応しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
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