DVを理由に離婚できる?DV離婚のための準備や慰謝料請求、離婚調停について
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記事目次
「夫(妻)からのDVから逃れるために離婚したい…。」
そのような方のために、今回はDVで離婚するための準備や慰謝料の請求方法、離婚調停の申立てなどについてご紹介していきます。
DVが原因の離婚は認められる?相手が離婚をしてくれない場合はどのように対処すべき?これらの疑問を詳しく解説しています。
DVで離婚はできる?
DV行為が離婚原因に該当するかどうか
民法は裁判上の離婚について以下のように定めています。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
つまり、条文内のいずれかの条件に該当するケースでなければ裁判で離婚は認められないということです。
DVの場合は、その行為が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかがポイントとなります。
具体的にどのような行為が「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるのかを詳しく見ていきましょう。
【具体例】離婚できるDV行為
DVというと配偶者からの殴る、蹴るなど身体的暴力を思い浮かべることが多いですが、実はDVには身体的暴力の他に、精神的暴力、社会的暴力、性的暴力などがあります。
それぞれ具体的にどのような行為がDVとされ、離婚理由として認められるのかを見ていきましょう。
身体的暴力
身体的暴力とは、殴ったり蹴ったりして身体にダメージを負わせることです。殴る、蹴るの他にも以下のような行為がDVとみなされます。
- 物を投げつける
- 首を絞める
- 服や髪の毛を引っ張る
- 包丁を突き付ける
- 怪我をしているのに病院に行かせない
精神的暴力
精神的暴力とは、相手の精神にダメージを与え追い詰めることです。以下のような行為が該当します。
- 大声で怒鳴る
- 相手の人格を否定する発言をする
- 無視をする
- 大事にしているものを勝手に捨てる
- 発言権を与えない
社会的暴力
社会的暴力とは、相手の行動や関係を制限し社会的に隔離することです。以下のような行為が該当します。精神的暴力に該当する場合もあります。
- 交友関係を制限する
- 外出を禁止する
- 交友関係や電話、メールなどを監視する
- 実家へ帰らせない
性的暴力
性的暴力とは、性的な行為を強要したり避妊に協力しなかったりすることです。他にも以下のような行為が性的暴力に該当します。
- 中絶を強要する
- 嫌がっているにもかかわらず性行為を強要する
- 見たくないアダルトビデオを見せる
- 避妊に協力しない
- 子どもができないことを一方的に責める
離婚調停や裁判でDVが離婚理由として認められる要件
DVの態様、頻度、程度などによって、DVが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが決まります。
ここからはDVで離婚が認められるケースと認められないケースを見ていきましょう。
DVで離婚が認められるケース
DV行為の程度が重く、頻繁に暴力を受けているという場合は離婚原因として認定されるケースが多いです。その行為が婚姻関係を継続できない要因となっていると考えられるためです。
例えば以下のような行為が行われていた場合は離婚が認められることがほとんどです。
- 全身にアザが残るほど殴る
- 血を流すほどの怪我をさせる
- 毎日長時間にわたって罵詈雑言を浴びせる
- 暴行によって骨折させる
DVで離婚が認められないケース
DV行為の程度が軽い場合は、離婚の原因として認められない場合があります。
例えば軽く頭を叩く、喧嘩をして一度柔らかい物を投げつけられたという程度では離婚の原因とはならないでしょう。
また、DV行為の頻度もポイントです。
日頃からDV行為があるのではなく、年に1度や半年に1度の暴力を受けるという場合は離婚原因として認められる可能性は低いと考えられます。
DVが原因の離婚慰謝料はどれくらい?
DVの離婚慰謝料相場は10万円~300万円
慰謝料とは、DVを受けたことによる肉体的・精神的苦痛に対する損害賠償金です。
DVによって離婚した場合の慰謝料金額は、10万円~300万円が相場と言われています。
しかし、慰謝料の金額はそれぞれの事情によって大きく異なるため必ずしも相場通りとはいきません。
例えば、以下のような事情が慰謝料の金額を決定するうえで考慮されます。
- DVを受けていた期間の長さ
- DVにより受けた傷害の重さや精神的苦痛の大きさ
- DV行為の悪質性
- 夫婦の婚姻期間の長さ
- DVをしていた側の社会的地位や経済力 など
DVで離婚するための準備
DVを理由に離婚請求や慰謝料請求をしたい場合、DVを受けていたことを証明する必要があります。
ここからは離婚が成立するまでにするべきことを紹介していきます。
DVを受けていた証拠を集める
DVを理由に離婚を切り出しても、相手がDVを認めない、離婚を認めないというケースは多く見られます。
そのため、証拠を提出しDVがあったことを証明することで、婚姻関係の継続が困難であることを認めてもらう必要があります。
では具体的にどのようなものがDVの証拠になるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
傷跡の写真
配偶者に暴力を振るわれて負った傷やアザの写真はDVの証拠です。
また、暴れて物が壊れたり部屋が散らかったりした場合は、その状況も写真に撮って記録しておくと良いでしょう。
DVの頻度や配偶者が暴れたこととの因果関係等を証明するためにも、その写真がいつ撮影されたものなのかを記録しておくことをおすすめします。
診断書
DVで怪我を負ったら病院で診断書を書いてもらいましょう。その診断書が客観的に見て怪我を負ったことを証明する証拠となります。
病院で怪我の経緯を聞かれた際に「滑った」「階段から落ちた」などとDVの存在を隠してしまう場合がありますが、後から不利になってしまうため、医師にはDVによって負った怪我であることをきちんと話しておく必要があります。
日記
DVを受けた日時やその時の状況、DV行為の内容、前後の会話などを日記に詳細に記録しておくこともDVを証明するうえで有効です。
警察への通報
配偶者の暴力がひどく収まらなかったり、子どもにも手を挙げられたりして危険性が高い場合には、その場で警察に通報しましょう。
警察への通報や対応してもらった記録などは警察に残ることが多いです。
その記録や、警察官を呼んだこと自体が、DVの存在の証拠となる場合があります。
また、証拠づくりというだけでなく、ご自身や家族の身を守るために、警察を呼ぶことが重要な場合があります。
被害届
通報するのみならず、警察に被害届を提出し、DV被害を申告することも可能です。被害届を提出することで配偶者への処罰を求めることもできます。
被害届を提出するということは、DV被害を受けたという事実を記録に残すことにもなります。警察に受理された被害届は離婚調停でも証拠として提出することができるため、被害届を出しておくことをおすすめします。
ボイスレコーダー
身体的暴力を受けていた場合には傷跡の写真や診断書がDVの証拠となりますが、精神的暴力や社会的暴力を受けていた場合はそれを証明することが困難です。
怒鳴られたり、罵詈雑言を浴びせられたりした場合は、ボイスレコーダーなどで相手の発言を録音しておくことでDVがあったことを証明することができます。
メールやLINE
友人や家族、相談機関などにDVの相談をしていた場合は、その相談メールやLINEがDVの証拠となる可能性があります。
また、配偶者から暴力を振るったことを謝罪する内容のメールやLINEが来ていた場合は、それも残しておきましょう。相手がDVをしたことを認める証拠となるためです。
離婚成立まで別居する
DVが原因で離婚をしたい場合は、離婚が成立するまで別居をすることをおすすめします。
DVが原因の離婚の場合、当事者同士の話し合いによる協議離婚の成立は困難を極めます。
そのため、多くの場合が裁判所の介入する離婚調停によって話を進めることになります。
離婚調停を行っている間に配偶者と同居していた場合、さらに暴力を受けるおそれがあるため、別居して身を守る必要があるのです。
まずは配偶者と別居をして、安全を確保した上で離婚調停に臨みましょう。
その際、別居先の住所は相手に知られないように気をつけましょう。居場所を特定されると押しかけてくる危険性があるためです。
引っ越しをしてもすぐには住民票を移さない、DVシェルターに入る、などの方法で居場所を隠すことが考えられます。
DVで相手が離婚してくれない場合の対処法
警察に相談する
夫(妻)の暴力について相談したい場合は、警察の「生活安全課」に相談します。電話での相談も可能です。
また警察に被害を申告した結果、相手が暴行罪や傷害罪などに問われ有罪となる可能性があります。
そして、そのことが正当な離婚事由として認められ、離婚が成立するということも考えられ、間接的な解決に繋がることもあります。
弁護士に相談する
DVを警察に相談した場合でも、証拠が十分でなく警察が動けない場合や実際のDVよりも軽い事実しか認定されず刑事処分に至らない場合などもあります。また、DVを警察沙汰にしたくないという人も少なくありません。
そのような方々はまず弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することは、離婚調停の手続きがスムーズに行える、DVの状況を客観的に整理することができる、相手に慰謝料を請求することができるなど様々なメリットがあります。
また、相談した時点で証拠が不十分な場合でも、どのような証拠をどのような方法で収集するかなど、その時点から離婚までの見通しなどについても話をすることができます。
DVが原因で離婚したいと考えている場合でも、相手への恐怖でなかなか切り出せない、切り出せても暴力を振るわれたり、うまく言いくるめられてしまったりということは多くあります。
弁護士に依頼していれば、相手とのやり取りをすべて任せることができるため、直接配偶者に会わずに済み、精神的な負担も少なく離婚を成立させることができます。
また、裁判所の行う手続きの中で、DVの被害者に対する保護命令という制度があります。これは、一定の要件を満たした場合に、裁判所が、暴力をふるう配偶者等に対して、DV被害者に近づいてはならない(接近禁止命令)などの内容の命令を出すものです。
弁護士に依頼した場合、迅速に保護命令を得るためにはどうすればいいかなどについても相談することができます。
まとめ
DVが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する程度・頻度であれば、DVを理由に離婚することは可能です。
DVを正当な離婚理由として認めてもらうためには、DV行為の証拠を集め、離婚調停を申立てる必要があります。
弁護士に相談すると、離婚手続きをスムーズに進め、慰謝料請求をすることなども可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設