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更新日: 弁護士 宮地 政和

離婚に応じない夫の心理・理由とは?モラハラ・DV夫の場合の対処法を解説

離婚に応じない夫の心理・理由とは?モラハラ・DV夫の場合の対処法を解説
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離婚は人生における大きな決断ですが、パートナーである夫が離婚に応じてくれない場合、途方に暮れてしまう方は少なくありません。

「なぜ夫は離婚してくれないのだろう?」その背景には、愛情の有無、経済的な不安、子どもの将来への配慮、あるいは男性特有のプライドや世間体など、複雑な心理が絡み合っています。

この記事では、夫が離婚を拒む主な理由とその心理、それぞれのケースにおける具体的な対処法について深掘りしていきます。

夫が離婚に応じない心理・理由とは

夫が離婚に応じない心理には、愛情が残っている、経済的な不安、子どもへの影響、世間体・プライド、生活の変化への抵抗、モラハラ気質など、様々な理由が複合的に絡み合っています。

1感情的な理由

①まだやり直せると思っている

あなたへの愛情がまだ残っており、夫婦関係を修復してやり直せると考えている場合です。

離婚という選択肢を受け入れられない最も直接的な理由の一つです。夫婦間の問題は一時的なものであり、時間をかければ解決することができると考えています。

例えば、忙しくて夫婦の時間を作ることができなかったが、今後はもっと時間を作れる、あるいは、冷静に話し合うことができるという期待を抱いていることがあります。

②世間体・プライド

離婚が周囲に知られることへの抵抗感や、離婚すること自体が自分のプライドを傷つけると考えている場合があります。

親族や職場、友人関係における体面を気にする傾向がある人に見られます。

離婚が周囲に知られることで、「家庭を顧みない人間」「結婚生活に失敗した人間」というレッテルを貼られ、信頼を失うことを恐れます。

また、モラハラ気質の夫の場合、妻から離婚をつきつけられること自体を自分の支配が及ばないことと捉えて、離婚を拒否することがあります。

2経済的な理由

③離婚後の生活費、住居など経済的な見通し

共働きで家計を支えていた場合に、離婚後の自分の生活が経済的に立ちいかなくなることへの不安を感じることがあります。

特に定年が近づいている場合は、離婚によって年金分割が発生したり、今後の生活資金が不足するのではないかという不安が大きくなるため離婚に応じないことがあります。

④財産分与への抵抗

夫婦の共有財産(預貯金、不動産、有価証券など)を分け合うことに抵抗感がある場合があります。

特に夫の方が多く稼いでいた場合、自分の稼いだ金を財産分与するという感覚から、自分の取り分が減ると感じることがあります。

また、妻に知られたくない財産を隠しており、離婚の際に財産を開示したくないという意図がある場合もあります。

⑤養育費の支払の負担

子どもがいる場合、離婚すれば養育費の支払義務が生じます。

子どもの年齢や人数によっては相当な金額になることもあるため、これを毎月支払い続けることへの経済的なプレッシャーを感じています。

⑥住宅ローンなど

ペアローンを組んでいる場合、離婚しても、それぞれのローン契約はそのまま継続します。

また、ペアローンでは、夫婦がお互いの連帯保証人になっているケースが多いです。

つまり、妻が借りたローンの返済が滞れば夫が全額を返済する義務を負うことになります。

離婚後も元配偶者である妻のローンの連帯保証人という責任から逃れられないことを嫌がり、離婚を拒否する場合があります。

3子供に関する理由

⑦子供への影響を懸念

離婚が子供に与える精神的な影響や、学業への影響を心配している場合があります。

離婚が子どもに与える精神的ショックを懸念していることがあります。

両親が離婚するということは子供にとって大きなストレスであり、不安感、罪悪感(自分のせいだと思い込む)、を引き起こすことがあり、それらを避けたいと考えていることがあります。

また、健全な家庭には両親がそろっているべきという固定観念を持っている場合もあります。

夫婦仲が悪くても子供のためという名目で家族という形を維持しようとします。

⑧親権・子どもとの別離への抵抗

子どもと離れて暮らすことへの抵抗や親権を失いたくないという気持ちから離婚に応じないことがあります。

子供の成長の過程を見守れなくなること、教育に関わることができなくなることを耐えられないと感じています。

面会交流だけでは不十分であると感じたり、物理的な距離ができてしまうことで、子どもとの精神的な絆が薄れてしまうことを恐れています。

4その他の理由

⑨支配欲・手続きの負担を避けたい

夫が家庭内で主導権を握っていたい、あるいは妻をコントロールしたいという欲求が強い場合、妻が離婚を望むこと自体が、自分のコントロールの及ばない事態と捉えられ、屈辱的に感じることがあります。

自分の思い通りにならなかったという敗北感を感じ、プライドの高い夫の場合は、敗北感を受け入れられずに、意地になって離婚を拒否することで自分のプライドを守ろうとすることがあります。

離婚の話し合いや手続きの煩雑さ、精神的な負担、弁護士に依頼することになる場合の費用を避けたいと考えている場合です。

夫が離婚に応じない場合の対処法

夫が離婚に応じない場合、感情的にならずに、冷静に話し合いを続けることが重要です。

話し合いの場では、相手の真意を探り、不安を取り除く提案を検討しましょう。

①冷静な話し合いと理由の把握

まず何よりも、感情的にならずに夫と冷静に話し合う時間を設けましょう。

夫がなぜ離婚に応じないのか、その具体的な理由(愛情、経済的な不安、子どものこと、世間体など)を丁寧に聞き出し、理解しようと努めます。

理由が分かれば、それに対する解決策や譲歩案を提示できる可能性があります。

②別居を提案する

話し合いが進まない場合、一度距離を置くために別居を提案することも有効です。

別居することで、お互いが冷静になり、離婚について考える時間を持つことができます。

また、長期間の別居は、離婚裁判になった場合に「婚姻関係が破綻している」と認められる要因の一つとなる可能性があります。

③離婚条件の譲歩を検討する

夫が離婚に応じない理由が、財産分与、養育費、親権などの条件にある場合、ある程度の譲歩を検討することも選択肢の一つです。

例えば、夫の経済的な不安が大きいことに原因があるのであれば、養育費の金額や支払方法について柔軟な姿勢を示すなど、夫の不安を軽減する提案をすることで、離婚に応じる可能性が高まります。

④家庭裁判所の「離婚調停」を申し立てる

夫婦間での話し合いが難しい、または夫が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。調停では、調停委員という第三者が間に入り、夫婦双方の意見を聞きながら、話し合いをサポートしてくれます。

調停委員が客観的な立場からアドバイスしたり、説得したりすることで、夫が離婚に応じるケースも少なくありません。

⑤弁護士に相談し、法的手続を進める

夫が頑なに離婚を拒否する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、あなたの状況に合わせて具体的な法的アドバイスを提供し、夫との交渉を代行してくれます。

調停や、最終手段としての離婚裁判になった場合も、弁護士が代理人となって手続きを進めてくれるため、精神的な負担が大きく軽減されます。

離婚裁判で離婚事由が認められれば、夫の同意がなくても離婚が成立します。

離婚に応じない夫にしてはいけないこと

離婚に応じない夫に対しては、感情的に責める、嘘をつく、勝手に財産を処分する、子どもを夫に会わせないといった行動は避けましょう。

話合いを拒否したり、暴力や暴言をエスカレートさせることも厳禁です。

①無断で財産を隠したり、処分したりする

夫に知らせずに夫婦共有財産(預貯金、株式など)を隠したり、勝手に処分したりすることはやめましょう。

これは財産分与の際に不利になるだけでなく、夫から横領罪などで訴えられる可能性もあります。

離婚を意識した場合でも、財産については、公平な分与を目指すことが重要です。

②子供を夫に会わせないようにする・連れ去る

夫が子供との面会を求めているのに、正当な理由なく面会交流を拒否したり、夫の同意なく子供を連れて家を出る行為は避けましょう。

子供の福祉に反する行為とみなされ、離婚調停や離婚裁判で監護者としての適格性が問われる可能性があります。

場合によっては、監護親として不適切と判断され、親権を失うリスクもあります。

③感情的に罵倒したり、暴力を振るったりする

夫が離婚に応じないからといって、感情的に罵倒したり、暴言を吐いたり、ましてや暴力を振るったりすることはやめましょう。

これらの行為は、あなたが有責配偶者とみなされる可能性があり、慰謝料請求を受けるなど、離婚に不利になることがあります。

また、夫がDVを受けたと警察に通報をするリスクも伴います。

④虚偽の事実を主張したり、名誉を毀損する行為

離婚を有利に進めたいがために、夫の虚偽の事実を主張したり、SNSで夫の悪口を書き込むなどして名誉を毀損する行為はしてはいけません。

これらの行為はかえってあなたの信用を失わせ、離婚裁判で不利な判断材料となったり、夫から名誉毀損で訴えられる可能性があります。

DV・モラハラ夫が離婚に応じない場合はどうすればよい

①証拠を集める
モラハラ夫は、自身がモラハラをしていることを認めないことが多いため、第三者(調停委員や裁判官)にモラハラの事実を理解してもらうために証拠が必要です。
モラハラを受けた日時、内容を詳細に記載した日記やメモ、録音・録画データ・LINE等のメッセージを証拠として残しておきます。

②距離を置く・別居する
モラハラ夫と直接話合いをすることは非常に困難で、精神的苦痛も大きいです。身の安全を確保するために、実家や知人宅、あるいはシェルターに一時的に避難することも有効です。
別居する際は、婚姻費用の確保や、必要な荷物の確保などを計画的に行います。

③第三者を介した話合いを進める
モラハラ夫は、あなたの言葉に耳をかたむけない、自己中心的で論点をすり替えるといった特徴があるため、夫婦二人だけでは話し合いが平行線となりがちです。
弁護士を代理人として離婚の交渉を任せたり、離婚調停を申立てて調停委員という第三者を間に入れて、夫と直接顔を合わせることなく話合いを進めることが重要です。

④夫が変わることを期待しない
モラハラをする人は、多くの場合、自分に非があるという自覚がなく、反省することも期待できません。
夫が一時的に態度を変えても、それは離婚を回避するための手段である可能性が高いため、夫が変わることに期待せず、冷静に離婚を進める覚悟を持つことが重要です。

離婚に応じない夫の心理に関するよくある質問

夫が離婚に応じない心理でよくある質問は、「まだ愛情がある?」「経済的な不安?」「子供のためは本音?」「プライドの問題?」「モラハラが理由?」など、夫の真意を探るものです。

質問①夫にはまだ愛情がある?

仲がよかった頃の思い出や、結婚生活で共に築き上げてきた歴史に執着し、それを終わらせたくないという気持ちが根底にある場合があります。

離婚によって一人になることへの寂しさや、将来的な孤独感への不安が大きく、誰かがそばにいてほしいという気持ちが、あなたへの愛情として表面化している可能性もあります。

夫がまだ愛情があると主張する場合でも、それがどのような種類の愛情なのか、そしてそれが関係修復につながるものなのかどうかを見極めることが重要です。

夫の言葉だけでなく、行動や態度も注意深く観察して、話合いを通じて夫の真意を探ることが大切です。

質問②経済的な不安がある?

夫婦合算の収入や共有財産で維持している生活水準が、離婚によって低下することを恐れていることがあります。

共働きで家計を支えていた場合や、夫自身の収入だけでは現在の生活が厳しくなると感じていることもあります。

財産分与に対する不満を抱いている可能性もあります。

子供がいる場合、養育費を支払う義務が生じますので、離婚後の継続的な経済的負担が自身の生活を圧迫することへの不安から、離婚に応じたくないと考えることがあります。

質問③夫が離婚に応じないのはプライドの問題?

結婚は成功、離婚は失敗という認識を持つ夫は少なくありません。

離婚という事実が自分の人生や能力の失敗として周囲から見られることを嫌がり、自分のプライドが傷つくことを恐れ、それを避けるために離婚を拒否します。

また、プライドが高い男性の場合、自分に非があることを認められない傾向があります。

夫婦関係が悪化した原因が自分にあるとしても、それを認めれば自分のプライドが傷つくため、非を認めず、離婚を拒否することで、自分が正しいと主張し続けることがあります。

質問④子供のためは本音?

その言葉が本音である可能性もあれば、他の理由を隠すための建前である可能性も両方あり得ます。

子供への愛情が深く、日常的に育児に関わってきた夫であれば、本当に子どもと離れたくないという気持ちが強い可能性が高いです。

また、離婚により、学校が変わることになり、転校させて友達と離れさせたくないということを考えることもあります。

他方、普段の育児に非協力的であったり、子どもとのコミュニケーションが少なかった夫が急に子供のためと言いだした場合は、他の理由を隠すための可能性が高いです。

まとめ

夫が離婚に応じない心理には、愛情が残っている、経済的な不安、子どもへの影響を心配している、世間体やプライドを守りたい、関係を修復したいといった、様々な複雑な理由が絡み合っています。

夫の真意を理解し、その理由に応じた適切な対処法を選ぶことが重要です。

話し合いで解決しない場合は、調停や裁判といった法的手続きを進めることも視野に入れ、必要に応じて弁護士などの専門家に相談し、冷静かつ計画的に離婚を進めることが、あなたの新たな人生への第一歩となります。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアの日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関で信販・クレジットカード・リース業務に関する法務やコンプライアンス、プロジェクトファイナンスなどの経験を積む。これらの経験を活かし、個人の法的問題に対し、専門的かつ丁寧に対応しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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