産後クライシスとは?離婚を回避するための対策や事例を紹介

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記事目次
出産は夫婦にとって大きな喜びであると同時に、生活に大きな変化をもたらします。
特に出産後の女性は心身ともに大きな変化を経験し、夫婦関係に亀裂が生じる「産後クライシス」に陥るケースも少なくありません。
本記事では、産後クライシスの具体的な内容から、その原因、そして離婚を回避するための具体的な対策までを詳しく解説します。
さらに、実際に産後クライシスによって離婚に至った事例も紹介し、夫婦で協力して危機を乗り越えるためのヒントをお伝えします。
産後クライシスとは何か
産後クライシスとは、お子さんが生まれてから2年以内にご夫婦の相手方配偶者に対する愛情が急速に冷え込み、夫婦が離婚等の危機に瀕することをいいます。
産後クライシスが起きる理由
この点に関しては様々な原因が考えられており、事情も夫婦によってそれぞれですので一様にはいえません。
ですが、代表的な理由としては、産後の女性のホルモンバランスの乱れによる精神的・身体的な変化に加えて、妻が夫の育児や家事への協力体制に対して不満を持つことがきっかけになりうるといわれています。
産後クライシスのチェックリスト
以下、産後クライシスに該当するかどうかのチェック事項を列挙します。
ご自身についてあてはまるかどうか、確認してみましょう。
【妻側】
・些細なことでイライラしてしまう
・感情コントロールが上手くいかず、相手に攻撃的な態度に出てしまう
・夫婦間の会話、一緒に過ごす時間が減ってしまった
・夫との触れ合いが減った、苦痛を感じるようになった
・夫への愛情が冷めたように感じる
・夫の家事育児への非協力に対して不満を感じている
【夫側】
・妻が常にイライラしており、家でくつろぐことができない
・妻とのけんかが増えた
・妻との会話が減った
・妻が子どもにかかりきりになり、家庭内で疎外感を感じている
産後クライシスになりやすい人の特徴
この点について、男性側の特徴としては、家事育児にあまり関与しておらず、気づくと妻が終わらせている、というものがあります。
また、妻に対して仕事をしながら家事育児をこなしてほしいと考えている傾向もあります。
それに対して、女性側の特徴としては、家事や育児をはじめとして周りに頼ることに消極的で、自身でこなさなければならないと考えていることが多いです。
完璧主義であり、また、率先して人のために動いてしまう性格の場合、産後クライシスになりやすい傾向があります。
産後クライシスの事例
ここでは、産後クライシスに陥った結果離婚するに至った夫婦のケースを紹介します。
専業主婦のAさんは、職場で知り合った夫と3年間の交際を経て結婚しました。
Aさんは会社員時代、バリバリと精力的に仕事をこなすタイプでしたが、結婚してから2年後には子の妊娠がわかり、家事と育児に専念するため、職場を退職することにしました。
妊娠が発覚した当初は、その後の未来についてあらゆる理想を抱いていたAさんでしたが、子どもが生まれてからの生活は一変してしまいます。
Aさんは子どもの夜泣き、おむつ替え等子の世話に追われて、また家事の一切も一人でこなし、睡眠不足も重なって体力的にも精神的にも疲弊していきます。
他方で、夫はというと仕事が休みの日もそれまでと変わらず自分の趣味に没頭し、家事や育児には興味がないようです。
Aさんは次第に夫の態度に不満を募らせ、自身で家事育児に対応することに限界を感じるようになりました。
ですが、完ぺき主義というその性格も重なり、夫に対して、自らの事情を相談することにも消極的で、夫においても妻の産前と産後の変化を察知しながら自ら妻に対して声掛けをすることもなく、互いに自分たちの家事育児について積極的に話し合うことを避ける日々を送っていました。
次第に夫婦間の会話も少なくなり、Aさんはというと、いつからか夫との離婚を考えるようになりました。
Aさんはついに夫に離婚話を切り出します。
夫は突然の妻からの離婚の申出に驚きますが、妻とのコミュニケーションも減っていた中で、妻との今後について建設的な話し合いをすることは難しいのではないかと考えてしまい、妻を子の親権者として離婚すること、養育費を支払うことを条件に離婚に同意します。
Aさんの離婚後の生活は経済的にも状況的にも厳しいものでした。
夫からの養育費と公的支援等を考慮しても、自らが得られる収入等のみでは生活することがやっとの金額を捻出することができるのみでした。
Aさんは、離婚してしばらく経ってから産後クライシスを知り、自らが産後クライシスの状況に陥っていたのではないかということに気づくことになります。
自らが体力的、精神的に厳しい状況に陥った際に夫に相談し、夫婦の今後について互いに考え、話し合うべきだったことは明らかなのですが、当時なぜそういった解決策を思いつくことができなかったのかと、深く後悔することになります。
時はすでに遅く、Aさんはその後も苦労しながら、一人で子を育てることを余儀なくされることとなりました。
産後クライシスを乗り越えるための対策
夫が妻の産前産後について予備知識を持つこと
子どもの妊娠、出産に応じて妻の心と体にどのような変化が生じ得るのか、夫においても当事者として意識し、知識を取得することで、実際に子供が生まれてから家事育児を担うようになった段階で夫婦間の亀裂が入りにくいという傾向があります。
近時では、テレビやインターネット、漫画や雑誌等を含む書籍でも産後クライシスの話題が取り上げられていることが多く、目にすることも多い話題ではありますが、産婦人科や行政で実施している両親学級、父親学級等の講習に参加して、知識を得るというケースが多いといえます。
夫が産後の妻に対する尊重の気持ちを忘れずに持つこと
産後の女性は心身ともに産前とは異なる状況になることが多く、この点に対する夫の理解は、産後の夫婦関係を良好に保つ上で必須といえます。
子供を持つまでは当たり前にできていたことの多くについて、子が生まれてからは簡単にはすることができなくなったり、制限を受けることが多くなったりして、精神的にも肉体的にも傷つきやすい状況になっていることが珍しくありません。
このような場合、夫が妻の一番の理解者として妻の状況を把握し、その立場を尊重してあげることが重要です。
尊重するというのは必ずしも言いなりになることではなく、自身の大切な相手とのコミュニケーションを大事にすることによってお互いがお互いを理解し、協力し合って特定の時期を乗り切ることを意味します。
夫婦間の対話を大切にすること
対話は通常の会話とは異なり、互いの意見を共有してコミュニケーションを図り、相互の共通価値を作り出すことを意味します。
また、ある特定のテーマについて、互いが納得のいく結論を出すために必要なコミュニケーションとしての一連の経過を意味することになります。
産後クライシスを経験する夫婦において、その多くの場合には夫婦間の対話が不足し、互いを十分に理解し合えないこと、および、夫婦自身の事柄について、互いに納得のいく結論を見いだせないことが原因となっていることが少なくありません。
ここで大切なことは、夫婦相互が当事者として、互いにプラスになるような結論を私たちの答えとして見出すこととなります。
夫婦間の対話を楽しむこと
産後の夫婦については、新しい命を迎えたことに対する喜びと同時にその重みを感じつつも、実際は数時間おきに発生する授乳やおむつ替えの対応に追われ精神的にも体力的にも疲弊していくことが少なくありません。
もっとも、夫婦が産後にどのように協力できるかによって、夫婦が互いをどれほど信頼し、協力できるかに差ができることが少なくなく、この点で夫婦の未来が大きく異なることになります。
夫婦で向き合える関係性を築くことができるか否か、夫婦間の対話を楽しみつつ行うことができれば、このことが可能となるでしょう。
産後クライシスで離婚した方がいいケース
配偶者に浮気のある場合
夫婦間のコミュニケーション不足、愛情の低下、セックスレス等の理由等から、夫が他の人と浮気をしてしまうケースがあります。
肉体関係を伴う浮気は不貞行為として民法上の離婚原因となります。
この場合、離婚を切り出す前に当該不貞行為の証拠を確認しておくことが重要です。
ここで、不貞行為の証拠となり得るものとしては、探偵報告書や肉体関係を推認させるメッセージのやりとり、ラブホテルの利用履歴等があります。
配偶者からのDV等がある場合
程度問題ではありますが、夫婦の一方から他方に対するDV等がある場合には、離婚も視野に入れたかたちで夫婦の今後について検討したほうがよい場合もあります。
DVがある場合、警察に相談することも解決策の一つですので検討してみましょう。
また、子供に対して暴力が向く可能性もゼロではなく、別居も含めて検討してみる方法もあります。
このような場合、まずは身近な親族、友人等に相談してみるのも有効な手段であるといえます。
生活費を渡さない、健康上の問題があるのに働かない場合
夫婦は、民法上相互に扶助義務を負っており、生活費の負担を含めて互いに協力しなければなりません。
生活費を渡さない、理由もなく働かない場合には、夫婦の扶助義務に違反するものとして夫婦の婚姻関係を継続することが困難な事情があるものとして、離婚原因にあたる可能性があります。
離婚する場合に気を付けたいこと
離婚後の経済的な基盤を確保する
離婚後は夫婦関係は解消され、生活費の負担等もなくなりますので、経済的に厳しくなることが予想されます。
特に親権者として指定される側の配偶者ですと、養育費をもらうとしても経済的にある程度自立していることが求められます。
離婚後の収入確保の方法、公的援助制度の利用、相手方配偶者との間の離婚にともなう金銭的な取り決めを確認することで、離婚後も生活できる環境を整えることは極めて重要です。
親権者を決める
離婚する場合、お子さんがいる場合には親権者を決めることが必要です。
共同親権の議論も出始めているものの、未だ裁判所の運用としては単独親権を決めることが主流といえます。
お子さんが乳幼児であったり、まだ小さい年齢の場合には、母親が離婚後の親権者となるケースが多いといえますが、子供の成長と今後の生活を考慮した上で子供にとって最善の選択肢を取る必要があるでしょう。
養育費の取り決めをする
上記のとおり、離婚後の経済的な基盤の確保は極めて重要であり、特に子の親権者となる側の配偶者は、他方配偶者から毎月支払われる養育費を確保しておくことが必要です。
その金額については双方の収入に応じた金額の目安を示した算定表が、家庭裁判所のホームページで公開されていますので、その金額を参考にした上で決める方法もあります。
もっとも、夫婦が合意すれば必ずしも算定表の金額に縛られる必要はありません。
また、子供の進学や病気の際の入院費等、大きな金額が必要になった場合についても話し合っておくことが必要です。
離婚慰謝料について
離婚慰謝料は、どのケースにも必ずしも発生するわけではなく、発生する場面が限定されています。
代表的なものとしては、夫婦の一方に不貞行為がある場合です。
慰謝料が発生するか、発生するとしてどのくらいの金額になるかは事案ごとの判断となりますので、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
離婚する際の流れ
1. 協議離婚
日本では、裁判所を通さずに協議で離婚をすることが認められています。
子どもの親権についてはどちらかに決めなければ離婚をすることはできませんが、その他の条件については必ずしも離婚と同時である必要はありません。ですが、離婚の話合いをする際に財産分与等の離婚条件を取り決め、公正証書等正式な書面にまとめておくことが、その後のトラブルを避けるために有効です。
2. 調停離婚
調停は家庭裁判所にて行われる手続で、当事者双方が裁判所において、調停員を通じて互いの意見を交わし、夫婦関係について話し合いを行うものです。
代理人弁護士がつかなくとも本人で対応することのできるものではありますが、条件面を話し合う場合には代理人としての弁護士を同席させた方が相手方による理不尽な主張等が出てきた場合に判断することができますので安心といえます。
3. 裁判離婚
調停でのお話し合いがまとまらない場合、離婚裁判の手続によって離婚をするケースもあります。
民法所定の離婚原因がない場合、裁判所は離婚判決を下すことはできませんので、当事者間の話し合いにより一定の妥協点を見出し、和解によって離婚を成立させるケースもあります。
まとめ
本記事では、産後クライシスについてみてきました。
子どもの妊娠出産によって夫婦の生活環境は大きく変わることが通常です。
互いを理解し、尊重し合うことで離婚等の夫婦の危機を乗り越えることが重要ですので、本記事を参考になさって夫婦で対話をしてみてください。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務