セックスレスで慰謝料を請求できる?離婚の可否や相場、手続きの流れを解説

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記事目次
夫婦関係における「セックスレス」は、実は離婚原因の一つとして扱われる場合があります。「愛情が感じられない」「一方的に拒絶されて辛い」など、性の不一致が精神的な苦痛や夫婦の信頼関係の崩壊を招くことも少なくありません。
本記事では、セックスレスが離婚理由として認められるケースや、慰謝料の可能性、離婚を進めるために必要な準備・流れについて、法律の観点から詳しく解説します。
セックスレスは離婚の原因になる?
法律上一方の意思のみで離婚をするためには離婚事由が必要とされております。
セックスレスは、夫婦関係の破綻を示す重要な要素とされ、一定の要件を満たす場合には離婚事由として認められる可能性があります。
そもそもセックスレスとは
セックスレスとは、夫婦間で一定期間にわたり性交渉がない、またはその意思がない状態を指します。一般的には1か月以上性交がないことを指すとされることが多く、夫婦間の価値観や意思疎通に大きく影響を及ぼす事柄といえます。
離婚が認められる要件とは
民法では、法定離婚事由として「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が規定されています(民法770条1項5号)。
セックスレス自体が直ちに離婚原因とはなりませんが、セックスレスが一定期間継続しており、一方が改善を求めているにもかかわらず解消されない場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断されることがあります。
加えて、性交の拒絶について悪意をもって継続されていると判断されれば、離婚が認められる可能性は高まります。
セックスレスのパターンごとの離婚可否
セックスレスといっても状況は様々です。一方的な拒絶、双方の消極性、不貞行為、病気による不能など、それぞれの事情に応じて離婚の可否や慰謝料の認定が異なります。
・どちらかが一方的に性交渉を拒絶
一方的な性交渉の拒絶が長期に及び、他方に精神的な苦痛を与えている場合には、婚姻関係の破綻が認定されやすく、離婚が認められる可能性が高いです。特に、話し合いや改善の努力をしても応じないようなケースでは、法的な解決が現実的な選択肢となります。
・不貞している
配偶者が不貞行為をしており、セックスレスの原因にもなっている場合には、離婚請求が認められるだけでなく、慰謝料請求も可能です。不貞は法定離婚事由の一つであり、証拠が揃っていれば強力な主張材料となります。
・どちらもセックスに消極的
夫婦の双方が性行為に消極的であり、その状態に不満を抱えていない場合、法律上問題となることは通常ありません。しかし、当初は合意していたとしても、どちらか一方が途中から不満を感じるようになり、そのことを訴えても相手に取り合ってもらえない場合は、関係の見直しが必要です。精神的な不満や孤独感が強まり、話し合いをしても関係が改善しないような状況では、婚姻関係が破綻していると認定される可能性があります。ただし、このようなケースでは、他の事情(暴言、家事育児の放棄など)も考慮され、総合的に判断されます。
・病気でセックスができない
身体的・精神的な病気が原因で性交渉が不可能な場合、それ自体が直ちに離婚原因とはなりません。配偶者の病気は夫婦間の扶助義務との関係もあるため、慎重に判断されます。
ただし、その状況を一切説明せず、話し合いにも応じないような態度が続く場合には、離婚が認められる余地があります。
セックスレスで慰謝料の請求は可能?
セックスレスそのものでは慰謝料は認められにくいですが、一方的な拒絶や悪意、不貞行為など特別な事情があれば請求が可能です。
認められるケース
慰謝料請求が認められるケースとして代表的なのは、
①悪意ある性交渉の拒否、②不貞行為との併発、③婚姻生活全体の破綻がある場合です。
たとえば、一方的に性交渉を長期間拒否し、相手の心身に著しい苦痛を与えたような場合には、裁判上でも慰謝料が認定された例があります。さらに、セックスレスの裏に不貞行為があった場合には、不貞を理由とした慰謝料請求が可能です。このとき、セックスレス自体も「不貞のきっかけになった」として補強材料になることもあります。また、話し合いやカウンセリングを経ても改善の見込みがなく、夫婦関係が破綻していると判断された場合に、相手に過失があるとされれば慰謝料請求の余地はあります。
重要なのは、性交渉の拒否や不貞についての証拠(LINEのやり取り、医師の診断書、不貞行為の証拠写真など)を確保することです。
認められないケース
単なる性生活の減少や、自然にセックスがなくなったようなケースでは、慰謝料請求は原則として認められません。夫婦の関係性において、セックスの頻度や内容はプライバシー性が高く、客観的に判断しにくいためです。また、病気や加齢による性機能の低下など、やむを得ない事情がある場合も、慰謝料の対象にはなりにくいです。さらに、請求者側にも過失がある(暴言・無関心・セックスへの非協力など)場合には、請求自体が退けられる可能性があります。
セックスレスが原因の離婚における慰謝料の相場
セックスレスを含む婚姻破綻が原因で慰謝料が認められた場合、相場は50万円〜150万円程度とされています。個別事情によって増減します。
慰謝料が発生する場合の相場
セックスレスに加え、不貞や暴言、モラハラなど他の有責行為がある場合には、慰謝料の相場は100万円〜300万円程度になります。精神的苦痛の度合いや婚姻期間の長さ、子どもの有無なども金額に影響します。交渉で合意できない場合は、裁判所が総合的に判断します。
慰謝料が増額されるケース
慰謝料が増額されるのは、相手の行動が特に悪質な場合です。たとえば、一方的に性交渉を拒否しながらも不貞行為を繰り返していたり、セックスレスを口実に他人との交際を正当化するような態度が見られた場合です。
また、相手が改善の努力を怠り、話し合いを拒否し続けたケースでは「誠意がない」と判断され、慰謝料が高額になる傾向があります。証拠や経緯を丁寧に主張することで、増額が認められる可能性が高まります。
セックスレスが原因で離婚する際に必要な準備
セックスレスを理由に離婚を検討する際には、まず事実関係を記録し証拠を集めることが重要です。
日記やLINEの記録、カウンセリングの受診履歴などが有効です。また、拒否の経緯や頻度、精神的苦痛なども具体的に記録しておくと、後の調停や訴訟で有利になります。さらに、離婚後の生活設計も必要です。住居の確保、収入源、子どもの親権や養育についての考えを整理しておくと、スムーズな対応が可能になります。
弁護士への相談を早めに行い、法的な戦略を立てることも欠かせません。特に、慰謝料請求を考える場合には、相手の不貞行為や悪意の証拠収集が成功の鍵となります。
セックスレスが原因の場合における離婚を進める流れ
セックスレスを理由とした離婚は、まず協議による解決を目指します。それが困難な場合には、調停、訴訟と段階的に進めることになります。
①協議離婚
協議離婚は、夫婦が話し合いによって離婚条件を決定し、市区町村に届け出る方法です。セックスレスに関しても、当事者間で納得が得られれば、特段の証拠や第三者の判断を必要とせず離婚が可能です。協議の際には、慰謝料や財産分与、親権や養育費などについても話し合いましょう。セックスレスの経緯について感情的にならずに事実に基づいて話すことが重要です。
もし相手が非を認めず話し合いが難航する場合には、弁護士を介して冷静な交渉を行うことで、円満な解決につながることもあります。
②離婚調停
協議離婚が成立しない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停委員が間に入り、当事者の主張を聴きながら合意形成を目指します。セックスレスに関する状況や証拠を丁寧に提出することが、調停を有利に進めるカギです。
③離婚訴訟
調停でも解決に至らなければ、離婚訴訟に進みます。訴訟では、セックスレスが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかが審理されます。一方的な性交拒否の期間や、その影響、改善の努力をしても解決できなかった経緯などがポイントです。また、相手の不貞や悪意があった場合には、慰謝料請求も併せて行うことができます。
訴訟は時間と費用がかかりますが、明確な証拠と適切な主張があれば、裁判所による法的判断を得られ、納得のいく解決を図ることができます。専門的な対応が求められるため、弁護士への依頼が重要です。
まとめ
セックスレスは、夫婦関係に大きな影響を与える深刻な問題です。一方的な拒絶や不貞、誠意のない対応が続けば、離婚や慰謝料請求が認められる可能性もあります。ただし、感情的にならず、冷静に事実を整理し、適切な証拠を備えることが重要です。問題の深刻度や解決手段によっては、専門家の助けを借りることで、より円滑な解決が可能になります。悩みを一人で抱えず、まずは法律の専門家に相談することが、第一歩です。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設