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投稿日: 弁護士 森 哲宏

相続放棄の相談先|相談の流れと注意点も解説

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「相続放棄をしたいけれど、手続きの進め方がわからない」

「相続放棄について専門家に相談したいけれど、どこに相談すればよいかわからない」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続放棄は専門家に頼らずに自分で手続きをすることも可能ですが、よくわからないまま適当に進めると、結果的に損をする可能性があるため注意が必要です。

今回は、無料で相続放棄の相談をしたい場合の相談先、相続放棄を弁護士に依頼するメリットとデメリット、相続放棄手続きの流れや注意点などについて解説します。

無料で相続放棄の相談がしたいなら公的機関

相続放棄について専門家に相談したいけれど、費用はかけたくないという方もいらっしゃるかと思います。費用をかけたくない場合は、公的機関が実施している無料の法律相談を利用するとよいでしょう。

無料で専門家に相続放棄のことを相談できる公的機関の法律相談をご紹介します。

1.市区町村役場

多くの自治体では、住民向けに各都道府県の弁護士会による法律相談を実施しています。場所は市区町村役場で時間制限がありますが、無料なので気軽に利用するとよいでしょう。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 開催日時が決まっている
  • 利用の際は予約が必要
  • 時間制限がある

利用の際は、必ず開催日時を確認した上で、予約をしましょう。予約方法は各自治体によって異なるので、お住まいの市区町村の自治体か各弁護士会の公式サイトで確認しましょう。

また、無料法律相談で弁護士に相談できる時間は30分程度しかありません。非常に短い時間なので、質問の内容や話の要点を事前にしっかり整理しておくことが大切です。

2.法テラス

弁護士に相談したくても経済的に余裕がない場合、法テラスを利用できます。法テラスとは全ての人が法的トラブルを解決できるようにサポートを提供する国の機関です。無料法律相談を実施していて、弁護士費用の立て替えもしてもらえます。

ただし、利用には一定の資力条件を満たす必要があります。詳しく知りたい方は、下記のページを参考にしてください。

相続放棄を弁護士に相談するメリット

相続放棄を弁護士に相談した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

具体的なメリットについて説明します。

1.手続きを全て任せられる

相続放棄の手続きは、家庭裁判所に申し立てれば完了するわけではありません。

申し立て後に裁判所から届くことがある照会書に対して、正しく回答する必要があります。この照会書に不適当な内容を記載してしまうと、裁判所に相続放棄の申述を受理してもらえません。複雑な質問はありませんが、相続や法律に関する専門的な知識を持たない一般の方にとっては少々難しく感じられる内容も含まれています。

弁護士に依頼すれば、申し立てはもちろん、照会書の回答も代理で行ってもらえます。照会書の回答内容でミスする心配もなく、確実に受理してもらうことができるでしょう。

2.期限を過ぎていても受理される可能性が高まる

相続放棄には申述期間があり、原則として相続の開始を知ったときから3か月以内に申し立てなりません。しかし、財産調査に時間がかかるなどやむを得ない理由がある場合は、期間の伸長の申し立てを行うことにより、期限を延長してもらうことが可能です。

ただし、期限の伸長は容易には認められません。受理されるためには裁判所を説得するための申し立て理由が求められるため、専門知識を持たない方が期限の延長を認めてもらうのは難しいでしょう。

弁護士に依頼すれば、類似の事例を加味しながら、法律的な観点から期限の伸長が妥当である旨を主張することが可能なので、裁判所に受理してもらえる可能性が高まります。

3.本当に相続放棄をすべきか相談できる

相続放棄をするかどうかは慎重に判断すべきです。相続放棄の申述が裁判所に受理された後は、基本的に撤回はできません。

明確な根拠なく、「何となく借金の方が多そうだから」などという理由で安易に相続放棄を選択し、実際はプラスの財産の方が多かったことが後から判明することは珍しいことではありません。

弁護士に依頼すれば財産調査も任せられるため、遺産の全てを把握した上で、どの相続方法を選ぶのが適切かアドバイスを受けることが可能です。そのため、財産の全てを把握しないまま相続放棄をした結果、損をしてしまうという事態を避けることができます。

4.他の相続人や債権者にも対応してもらえる

「他の相続人と関わりたくないから」という理由で相続放棄を選択する方もいらっしゃるでしょう。また、相続放棄を巡って他の相続人と揉めたために、相続に関する話を直接するのは避けたいという方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合、弁護士に依頼すれば、他の相続人への対応を全て任せることができます。直接連絡を受けても「弁護士に全部任せている」と伝えれば済むため、相続人同士の余計なトラブルを避けられるのです。

また、債権者への対応も任せられます。被相続人の債権者が相続放棄の無効を主張したり、債権の弁済を求めたりした場合も全て弁護士に対応してもらえます。

ただし、別途費用がかかることが多いので、費用については事前に確認しておきましょう。

5.相続放棄だけなら弁護士費用は高くない

相続放棄の手続だけを依頼する場合、弁護士費用の相場は決して高くはありません。

正確な費用は法律事務所ごとに異なるので、相談に訪れた際に見積りを依頼するとよいでしょう。

弁護士への法律相談にかかる費用は30分あたり5,000円程度が相場ですが、初回無料で法律相談を行っている事務所もあります。費用の捻出は難しいけれど、弁護士に相談だけでもしたいという場合、上手に活用するとよいでしょう。

相続放棄を弁護士に相談するデメリット

弁護士に相談するデメリットは、同じ法律の専門家である司法書士に相談するよりも費用がかかることです。

弁護士費用が高いと感じる場合は、司法書士に依頼することを検討してもよいですが、司法書士が対応できる業務には限りがあるという点には注意しましょう。

司法書士と弁護士の大きな違いは、代理権があるかどうかです。弁護士に依頼すれば、全ての手続きを任せられるのに対し、司法書士に依頼した場合は書面作成のサポートを受けることしかできません。書類の作成は依頼できても、自分で提出しなければならないため、時間や手間がかかります。

また、特に申述期間を過ぎている場合や、遺産の一部を既に処分してしまった場合など、相続放棄の申し立てが受理されない可能性が高い場合、司法書士が対応するのは難しいため、多少費用が高額になっても弁護士に依頼することをおすすめします。

相続放棄手続きの流れ

実際に相続放棄の手続きを行う際の流れについて説明します。

1.申立先と必要書類

申立先と申し立てに必要な書類は以下のとおりです。

  • 申立先

申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。管轄の家庭裁判所は下記の裁判所の公式サイトで調べられます。

参考URL:裁判所の管轄区域(裁判所公式サイト)

https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

  • 必要書類

申し立てには以下の書類が必要となります。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申立人の戸籍謄本

また、被相続人との関係により、以下の書類が必要です。

  • 申立人が被相続人の配偶者、子または孫である場合:被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
  • 申立人が被相続人の配偶者、子または孫以外の場合:被相続人の出生から死亡に至るまでの記載がある戸籍謄本類全て
  • 申立人が代襲者の場合:本来の相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本類全て
  • 申立人が被相続人の両親や祖父母など直系尊属の場合で、被相続人の子が死亡している場合:その子の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本類全て
  • 申立人が被相続人の両親や祖父母など直系尊属の場合で、直系尊属の中に死亡者がいる場合:該当者の死亡の記載がある戸籍謄本
  • 申立人が被相続人の兄弟姉妹、または甥や姪である場合:直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本類
  • 申立人が被相続人の兄弟姉妹、または甥や姪である場合で、被相続人の子が死亡している場合:被相続人の子の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本類
  • 申立人が被相続人の甥や姪である場合:本来の相続人(甥や姪の親など)の死亡の記載がある戸籍謄本類

申し立てには他に下記の費用がかかります。

  • 収入印紙:800円分
  • 連絡用郵便切手(金額と内訳は裁判所による)

申述書の書式は裁判所公式サイト内の以下のページからダウンロードできます。また、添付書類のうち同じ書類は1通あれば足ります。

2.申し立て後の流れ

申し立てに必要な書類を提出すると、約1週間後に裁判所から照会書が届きます。これに回答を記入して提出し、問題がなければ、裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。これで相続放棄の手続きは完了です。なお、裁判所によっては、次順位の相続人の放棄の場合など照会書での回答が不要であったり、電話で回答することもあります。

相続放棄が受理されたことの証明が欲しい場合は、裁判所に申請すれば相続放棄受理証明書を発行してもらえます。申請するには以下の書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

  • 申請書(150円分の収入印紙を貼付)
  • 返信用郵便切手

申請書の書式は各家庭裁判所の公式サイトからダウンロードできます。また、家庭裁判所窓口にも備え付けてあります。

相続放棄について知っておきたい注意点

相続放棄には知っておくべき注意点がいくつかあります。知らなかったために相続放棄できなくなってしまったという事態にならないよう、以下の点に留意しておきましょう。

1.申し立てには期限がある

相続放棄をすべき期間については、民法第915条1項で以下のように定められています。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない

「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続が開始したことを知った時や自分が相続人となったと知った時をいいます。すなわち、自分の親が亡くなったことを知らされた時や、自分より相続順位が上であった人が相続放棄をしたために自分が相続人になったと知った時から3か月以内に相続放棄の申し立てを行う必要があります。

一方で例外もあり、以下のような場面では3か月を経過していても相続放棄が認められる可能性があります。

  • 被相続人にマイナスの遺産がないと確信していたのに、後から発覚した場合
  • 被相続人の生活歴や当該相続人との交流状況からみて、相続財産の調査が難しいと判断でき、さらに被相続人にマイナスの遺産がないと当該相続人が確信するのが当然であると判断できる場合

このような場合、受理される可能性はありますが、必ず受理されるとは限りません。法律的な観点から論理的に主張をして、裁判所を説得する必要があります。専門知識や経験がなければ難しいため、該当する場合は弁護士に相談することをおすすめします。3か月を経過する前提で放棄をする場合であっても、早めの対応が必要になることは変わりませんので、早めに弁護士に相談してください。

2.財産を勝手に処分すると相続放棄できなくなる

相続財産を処分すれば、単純承認をしたとみなされ、相続放棄ができなくなります。処分するということは、自分のものだとみなしたと考えられるためです。

処分の他にも相続財産を隠した場合や、勝手に消費したりした場合も、単純承認をしたとみなされ、相続放棄はできなくなるので、注意しましょう。

3.原則として取り消しできない

相続放棄の申述は原則として受理された後は取り消すことができません。(民法第919条)

以下の場合のみ、例外的に認められています。

  1. 未成年者が親権者の同意を得ずに行った場合(民法第5条)
  2. 成年被後見人が行った場合(民法第9条)
  3. 被保佐人が保佐人の同意なく行った場合(民法第13条)
  4. 詐欺や脅迫によって行った場合(民法第96条)

このように相続放棄の取り消しは非常に限定的な範囲でしか認められていないので、本当に相続放棄をすべきか慎重に判断しましょう。

まとめ

今回は、無料で相続放棄の相談がしたい場合の相談先、相続放棄を弁護士に依頼するメリット、デメリット、相続放棄手続きの流れ、相続放棄について知っておきたい注意点などについて解説しました。

自治体が実施する無料法律相談を利用したり、司法書士に相談したりすることもできますが、手続き全てを任せられるのは弁護士に依頼した場合のみです。弁護士であれば、手続きにおいて最も重要な照会書の回答作成も任せられるので、着実に相続放棄の手続きを進められるでしょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、遺産相続について不安や悩みなどを抱えている方々を全力でサポートさせていただきます。数多くの遺産相続問題を解決した実績を持つ弁護士が、ご相談者の状況やご希望などを丁寧にお伺いしながら、適切なアドバイスをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者 弁護士森 哲宏 第二東京弁護士会 登録番号52817
日常生活に関わる様々な問題に携わり、相談者の方と同じ目線に立って問題を解決することが大切であることを学ぶ。また、企業の法務部では、コンプライアンス関係の仕事を中心に担当。国内外のグループ会社において、様々な法分野に関する規程作り、モニタリング、教育研修など法令遵守のための体制作りに携わる。こうした経験を踏まえ、問題解決においては、相談者の方との密なコミュニケーションが何より大切だと考える。話しやすく親しみやすい弁護士であることをモットーにしている。
得意分野
借金・債務整理、遺産相続、交通事故等一般民事、人事労務問題、個人情報等企業法務一般
プロフィール
東京都出身 中央大学法学部 卒業 明治大学大学院法務研究科 修了 弁護士登録 都内法律事務所 入所 民間企業にて社内弁護士として執務 東京スタートアップ法律事務所 入所
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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