少年事件で逮捕された場合に弁護士に相談するメリットと弁護士費用の相場
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弁護士への相談は敷居が高いと感じている方も多いようですが、お子さんの大切な将来を守るためにも、少年事件で逮捕された際に弁護士による適切なサポートを受けることは大切です。
今回は、少年事件と成人刑事事件の刑事手続の違い、弁護士に相談する適切なタイミング、少年事件の弁護士費用の相場について解説します。
少年事件とは
少年事件とは、少年法に基づいた手続の総称です。対象となるのは以下のケースです。
- 14歳以上20歳未満の少年が犯罪行為を行った場合(犯罪少年)
- 14歳未満の少年が刑法等の処罰規定に触れる行為を行った場合(触法少年)
- 14歳未満の少年が将来犯罪行為を行うおそれが特定の事由によって認められる場合(虞犯少年)
少年は、成長発達の途上にあり、成育歴や環境等の影響がその行動に反映しやすいという特徴があります。そのため、少年事件の手続は、その年齢や必要な対応に即して、少年法だけではなく児童福祉法に基づいて行われます。
少年事件手続の特徴
成長発達の途上にある少年に対しては、教育的・福祉的対応が必要であるため、少年事件では成人刑事事件とは異なる手続が用意されています。
1.逮捕・勾留されるのは14歳以上
14歳未満の者には刑事上の責任能力がなく、その者が犯罪行為をした場合に刑事責任を負うことはありません(刑法第41条)。犯罪の容疑で警察に逮捕されたり、勾留されたりする可能性があるのは14歳以上の少年です。ただし、14歳未満でも、事件の内容や少年の状況によっては児童相談所に身柄を保護されることがあります。
2. 勾留に代わる観護措置が取られる場合もある
14歳以上の少年が逮捕された場合、やむをえない場合以外は裁判官に対して勾留請求できない(少年法第43条3項、刑訴法第207条)と定められています。勾留の代わりに検察官は観護措置を請求することができます(少年法第43条1項本文、第17条1項)。
しかし、観護措置が行われる少年鑑別所の収容能力の問題で収容できないこと等の理由により、やむをえない場合として勾留請求が行われ、成人事件と同様の勾留が行われる場合が多いのが現状です。
3. 不起訴処分・保釈制度がなく全事件が家庭裁判所に送られる
少年事件では、全ての事件が検察官から家庭裁判所に送致されます。
4. 家庭裁判所の審判は非公開で行われる
成人事件では、憲法第82条に定められている裁判の公開の原則に基づき、公開の法廷(公判廷)で審理・判決が行われます。これに対し、少年事件に対する家庭裁判所の審判は、原則として少年の更生保護の観点から非公開で行われます。
なお、家庭裁判所の決定により事件が検察官に送致(逆送)され、公訴が提起された場合は、成人事件と同様に公判廷で裁判が行われます。
5. 18歳未満の場合は逆送事件の有罪判決でも刑が減軽される
逆送事件では有罪判決が下される可能性がありますが、犯行時に少年が18歳未満であった場合死刑を科されることはありません。成人事件で死刑に相当する場合、無期懲役刑が科されます。無期懲役刑に相当する場合、有期の懲役刑または禁錮刑、有期懲役刑または禁錮刑の場合は長期を定める
とともに、長期15年・短期10年を超えない範囲かつ長期の2分の1を下回らない範囲でそれぞれ刑が減軽されます。
また、短期についても、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮して特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の2分の1を下回らず、かつ長期の2分の1を下回らない範囲内において刑を減軽することができます。
少年事件で逮捕された場合に弁護士に相談するメリット
少年が事件を起こしてしまった場合、弁護士は少年が逮捕・勾留されている場合や示談交渉においては代理人として、家庭裁判所での観護措置・調査・審判手続が行われている場合は付添人として少年を適切にサポートする重要な役割を担っています。弁護士に相談することにより、被疑者の少年とその保護者にとってどのようなメリットがあるか説明します。
1.不安を軽減させ適切な助言をすることができる
警察に逮捕された少年は精神的に不安定になりがちで、取り調べの場で警察官に「素直にやったと言えばすぐ帰れる」などと言われて、実際には行っていない犯罪行為を行ったと自白してしまう場合も少なくありません。
少年には弁護士と面会する権利(接見交通権)があるので、取り調べにどのように答えればよいか適切な助言を得て、上記事態を回避できます。また、「自分を支えてくれる人がいる」という安心感を得ることができます。
2.保護者の負担を軽減することも可能
逮捕直後に弁護士に相談することにより、保護者は、捜査段階・審判段階の陳述や、被害者に対してとるべき対応などについて適切なアドバイスを受けることができます。
また、少年が逮捕されると、保護者は衝撃を受けるとともに捜査・審判への協力や少年が通う学校との連絡、被害者への対応等で多大な物理的・精神的負担を負うことになります。弁護士に相談することは、保護者の精神的な負担の軽減にもつながります。
3.捜査・審判段階を通して少年の権利を守る
弁護士は、捜査・審判段階を通して少年が不利益な処分を受けないように様々な働きかけをすることができます。例えば、少年が観護措置によって少年鑑別所に送致されると、高校を休学する必要があり、学校によっては退学処分となるなどの不利益を被る場合もあります。このような不利益を阻止するため、弁護士は、少年の付添人として、家庭裁判所の裁判官に対して観護の必要がない旨の意見書を提出して裁判官と面接し、観護措置を回避できる可能性があります。
審判の段階でも、弁護士は付添人として審判不開始を求める意見書を提出する等の働きかけをして、審判不開始決定を得られる可能性があります。
試験観察の段階においても、少年院送致歴があり、少年自身や環境には改善がみられるものの保護観察処分にできるかどうか不安が残るような微妙な事案において、弁護士は付添人として試験観察を活用する旨の意見書を提出する等の働きかけをすることができます。
4.被疑者と示談交渉を成立できる可能性
被害者が存在する事件の場合、弁護士は逮捕・勾留段階から少年や保護者等に被害者の連絡先を聞き出し、早期に被害者側に示談交渉を働きかけます。被害者との示談が成立すれば、有利な処分を得られる可能性があります。
弁護士に相談するタイミング
少年が事件を起こしてしまった場合、保護者や保護者に代わる方が弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほど、不利益な処分を受ける危険性を回避できる可能性が高まります。
1.警察に逮捕される前または逮捕当日・翌日までがベスト
弁護士に相談するタイミングとしてベストなのは、少年が警察に逮捕される前、または逮捕されてから48時間以内に送検される前です。逮捕されるとすぐに取り調べが始まり、少年は孤立してしまい、時間が経過するほど不利な決定を受けやすくなります。従って、保護者の方は、お子さんが逮捕される可能性があることを知った時点、あるいは逮捕されて警察から連絡を受けた時点ですぐに弁護士に相談するとよいでしょう。刑事事件を得意とする法律事務所の多くは夜間や早朝も相談を受け付けています。
2.少年鑑別所送致を回避できる可能性
少年が既に勾留されている段階でも、早急に弁護士に相談することにより、家庭裁判所の事件受付に申し入れて裁判官や調査官と面接する等、少年鑑別所送致を回避するための弁護活動をすることができます。
少年事件の弁護士費用の相場
少年事件の弁護士費用は、法律事務所ごとに異なります。また、少年が容疑を認めている自白事件か、容疑を否認している否認事件かによって、着手金や報奨金の相場が大きく異なります。初期相談の費用の相場、自白事件と否認事件の着手金や報奨金の相場について説明します。
1.初回の相談料金の相場
初回の法律相談料金の相場は30分ごとに5,000円です。初回の電話相談あるいは面談までを無料としている法律事務所も多いです。
2.自白事件の着手金や報奨金の相場
少年が容疑を認めている場合の着手金や成功報酬の相場は以下の通りです。
- 着手金:30万円程度
- 身柄解放または鑑別所送致回避の成功報酬:10万円程度
- 家庭裁判所送致され審判段階に進んだ段階の着手金:20万円程度
- 審判による処分に対する成功報酬:20~40万円程度
- 審判に出頭する費用(日当):1回2万円程度
捜査段階で少年が身柄解放・鑑別所送致回避となるか、また、家庭裁判所送致されて審判段階まで進んだ場合はどの段階まで進むかによっても、かかる費用は異なります。
3.否認事件の着手金や報奨金の相場
否認事件の場合、弁護活動・付添人活動の労力が増すため、身柄解放または鑑別所送致回避の成功報酬や、少年側の犯行事実否認の主張が認められて不処分となった場合の成功報酬は高額になる傾向があります。一般的な相場は以下の通りです。
- 着手金:30万円前後
- 身柄解放または鑑別所送致回避の成功報酬:20~40万円程度
- 家庭裁判所送致され審判段階に進んだ段階の着手金:20万円程度
- 審判により不処分となった場合の成功報酬:40~50万円程度
- 抗告する場合の抗告審弁護費用の着手金:30万円程度
- 抗告審の日当:1回2万円程度
審判による処分が下されて、処分を不服としない場合、成功報酬はかからないか相場より低くなると考えられます。他方、処分を不服として抗告(高等裁判所に再審理を求めること)する場合、成功報酬の代わりに抗告審弁護費用の着手金30万円前後と抗告審の日当1回2万円前後がかかる可能性があります。
まとめ
今回は、少年事件の手続、弁護士に相談する適切なタイミング、少年事件の弁護士費用の相場について解説しました。
少年が事件を起こした場合、弁護士が、刑事手続及び示談交渉では弁護人、保護手続では付添人として、少年と保護者を適切にサポートすることにより、少年が受ける不利益な処分を最小限に抑えられる可能性が高くなります。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、逮捕されて不安を抱えている未成年の方やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。検察官や捜査機関の考え方や動き方を熟知している元検事の弁護士を中心とした少年事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設